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主な研究成果

主な研究成果

研究成果

金融分野における量子コンピュータの早期実用化に向けた実証実験へ量子アルゴリズムを提供

掲載開始日:2025年4月
著者:吾郷太一, 金子和哉, 武田直幸

住友商事が実施した金融領域における量子アルゴリズムの早期実用化を目指すプロジェクトにおいて、モンテカルロ・シミュレーションに関する量子アルゴリズムが実装され、その量子回路の圧縮を行うことに成功した。このプロジェクトでは、当社が開発した擬似乱数を利用したアルゴリズム(Miyamoto and Shiohara, Phys. Rev. A 102, 022424)と、従来型の量子アルゴリズムがClassiq社の量子アプリケーション開発プラットフォームを使って実装された。両アルゴリズムは、Classiq社の量子回路圧縮技術を用いてコンパイルされ、その結果、回路の深さが大幅に削減された。具体的には、従来型アルゴリズムで最大94%、擬似乱数型アルゴリズムで最大95%の回路深さの削減が実証された。

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パラメータ化された量子回路の表現力-機械学習による寄与分析-

掲載開始日:2024年8月
著者:武田直幸, 金子和哉, 馬場健太郎, 劉宇(富士通株式会社), 小山純平 (富士通株式会社), 木村浩一(富士通株式会社)

パラメータ化された量子回路(変分量子回路, PQC)において、その表現力は重要な特徴の1つである。例えば、高い表現力を持つPQCと十分な数の量子ビットで構成された量子機械学習モデルは、任意の連続関数を近似することができる。PQCの表現力と学習性能、さらにPQCのレイヤー数との関連性に関しては、既に多くの先行研究が存在する。一方で、表現力とPQCの回路構造の関係性については、まだ十分に研究されていない。本研究では、勾配ブースティングモデルとSHAP値という古典機械学習技術を用いて、PQCに含まれる量子ゲートの種類と表現力との関係性を分析した。19種類のアンザッツから生成した1,615個のPQCインスタンスを対象に分析を行い、CNOTゲート数との適度なバランスを取りながら、X回転またはY回転ゲートの数を増やすことで、表現力が増加することを示唆する結果を得た。我々の結果は、高い表現力を持つPQCを設計するための指針となり得る。

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ベイズ予測統合に基づくポートフォリオ最適化

掲載開始日:2024年7月
著者:加藤真大/馬場健太郎/貝淵響/井口亮

ポートフォリオ最適化は投資における重要な課題です。既存のポートフォリオ最適化手法の多くは、ポートフォリオを構成する資産のリターン分布に関する情報を必要とします。しかし、多くの状況において、これらは投資家にとって未知の情報です。分布情報を推定するためのさまざまな方法が提案されていますが、その精度は推定モデルや金融市場の不確実性に大きく依存します。この不確実性のため、ある時点で分布情報をよく予測できるモデルが、別の時点では別のモデルに比べて精度が低下することがあります。これを解決するために、メタ学習の手法の一つであるベイズ予測統合(Bayesian Predictive Synthesis; BPS)に基づくポートフォリオ最適化手法を検討します。私たちは、投資家が複数の資産リターン予測モデルにアクセスできると仮定します。BPSを用いることで、私たちは動的線形モデルを用いてこれらの予測を組み合わせ、金融市場の不確実性を考慮した資産の平均リターンに関するベイズ予測後分布を得ることができます。さらに、予測された分布情報に基づいて平均分散ポートフォリオおよび分位点ベースのポートフォリオを構築する方法を検討します。

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景気動向の評価における時間的構造の分析

掲載開始日:2024年7月
著者:加藤真大

内閣府が公表している「景気ウォッチャー調査」では、様々な職業に従事する個人による現在および将来の経済状況に関する評価が報告されています。この調査は経済政策の意思決定において重要な情報を提供する一方で、これらの評価の根拠がどの時点における事象に基づいたものであるかが不明瞭であるという問題があります。例えば、ある個人は既に起こった出来事に基づいて将来の経済状況を評価する一方で、別の個人は将来起こりうる出来事を予測して将来の経済状況を評価することがあります。人々が評価を行う際のこのような時間的文脈を理解することは、政策立案者にとって極めて重要です。この必要性に基づき、私たちは将来の経済状況に対する評価の根拠の時間的構造を明らかにすることができる手法を提案し、その手法を用いて景気ウォッチャー調査データを分析します。本研究では、現在の経済状況の評価はすべて現在の出来事に基づいており、将来の経済状況の評価は現在と将来の出来事に基づくものが混在していると仮定します。この仮定のもと、将来の経済状況に関する評価を現在および将来の出来事に基づく評価に分類するために、正例データとラベルなしデータからの学習(Learning from Positive and Unlabeled data; PU学習)を用いることを提案します。実証分析により、PU学習が将来の経済状況に対する評価の根拠を効果的に分類できることを検証し、分類結果を活用して政策立案のための洞察を導き出します。

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共変量分布の最適化を伴う効率的な平均処置効果推定のための適応的実験計画

掲載開始日:2024年7月
著者:加藤真大/大賀晃弘/小松原航/井口亮

マーケティング施策などにおける因果効果を表す指標である平均処置効果(Average Treatment Effect; ATE)について、実験過程で得られたデータに基づいて、被験者の特性と割り当て確率を適応的に最適化する手法を用いることにより、より高い精度で推定することが可能となります。

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量子振幅推定を活用した線形回帰の新手法を提案

掲載開始日:2021年8月25日
著者:金子和哉/宮本幸一/武田直幸/吉野一慶

本稿では大規模データセットの最小二乗法を利用した線形回帰について、量子振幅推定を利用することで回帰係数を古典データとして抽出するアルゴリズムを提案し、計算量の低減を実現しました。

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次元数に関して量子加速されたモンテカルロ積分の手法を提案

掲載開始日:2021年5月21日
著者:金子和哉/宮本幸一/武田直幸/吉野一慶

本稿では量子コンピュータを使用したモンテカルロ積分に疑似乱数を用いたスキーム(Miyamoto and Shiohara, Phys. Rev. A102, 022424)を改良し、金融における信用ポートフォリオのリスク測定における計算量の低減を実現しました。

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量子コンピュータへの局所ボラティリティモデルの実装方法を提案

掲載開始日:2020年7月3日
著者:金子和哉/宮本幸一/武田直幸/吉野一慶

量子コンピュータによりモンテカルロシミュレーションの高速化が実現されると期待されており、とりわけ、金融派生商品の時価評価への応用が議論されています。しかし、既存の研究の多くは、Black-Scholesモデルと言う単純なモデルのみ検討しており、実務上もモンテカルロ法が用いられるような高度なモデルへ検討対象を拡張することが必要です。本論文では、実務でも広く用いられている局所ボラティリティ(LV)モデルを取り上げ、当該モデルの量子コンピュータへの実装を検討しました。我々が以前提案した、疑似乱数を用いたスキーム(Miyamoto and Shiohara, Phys. Rev. A102, 022424)に則り、LVモデルの下での原資産価格の時間発展を計算するための量子回路を、具体的かつ詳細に提示し、所要リソース(量子ビット数・ゲート数)の見積もりを行いました。

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量子コンピュータによるモンテカルロシミュレーションにおける量子ビット数の削減方法を提案

掲載開始日:2019年11月28日
著者:宮本幸一/塩原堅司(北海道大学・弊社インターンシップ生)

近年の量子コンピュータの急速な発展を受け、これの金融実務への適用に向けた研究が進められています。
そのうちの1つが、金融機関のリスク計測等に用いられるモンテカルロシミュレーションの高速化です。
この中で問題となり得るのが、量子コンピュータにおける計算単位である量子ビットの数です。
金融実務上の諸問題においては、モンテカルロシミュレーションの中で多数の乱数を発生させますが、先行研究における手法では、多数の乱数を表現するために膨大な量子ビット数が必要になります。
本稿では、現状の実務で採られている計算手法を参考にして、量子ビット数の削減方法を提案しました。
即ち、量子コンピュータ上に疑似乱数生成器を実装し、乱数を逐次的に生成することで、必要な乱数の数に依存せずに所要量子ビット数を一定に保ちます。

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市場観測情報に基づいた動態的アセットアロケーション手法を提案

掲載開始日:2019年05月31日
著者:家田雅志/藤野直樹/佐々木洋

本稿では市場で観測可能な様々な指標を直接アセットアロケーションに反映するマネージド・ポートフォリオと呼ばれる手法に関して、より実務への適用可能性を高めた形での定式化を提案しています。

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定量的ストレステスト実施のための包括的なフレームワーク

掲載開始日:2013年12月27日
著者:高野康/羽柴次郎/安楽臨太郎/佐藤隆一/水木栄/河野朗典

本稿では、マクロ金融経済指標の情報を取り込むよう企業価値モデルを拡張する方法を提示するとともに、マクロストレステストの実施方法について説明します。本稿のストレステストの方法論は信用リスク管理の実務で広く用いられている企業価値モデルと整合的なものであり、丸1多くのマクロ金融経済指標を用いた分析が可能、丸2業種や個社のレベルでストレス時のリスク量を算出可能、丸3ストレステストの実施が容易で多くのシナリオを効率的に分析可能、といった多くの特長があります。この手法を用いることにより、ポートフォリオの弱点を効率的に把握することができ、効果的なアクションプランの立案に資する情報を得ることができます。また、本稿では、拡張企業価値モデルを用いてリバース・ストレステストを実施する方法についても提示します。

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CreditGradesモデルのLevy過程による拡張(Quantitative Financeに掲載)

掲載開始日:2008年7月30日
著者:尾関貴昭/梅澤祐二/山嵜輝/吉川大介

本稿では、CreditGradesモデルにレヴィ過程を用いた拡張モデルを提案します。
この拡張モデルの枠組みの中で、参照企業の株式オプション価格とデフォルト確率を算出するための準解析的な公式を導出しています。

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与信ポートフォリオ解析の新しい方法論:数値的近似によるアプローチ

掲載開始日:2008年4月24日
著者:高野康/羽柴次郎

本稿では、与信ポートフォリオのVaRやCVaR等のリスク量、およびこれらリスク量に対する債務者のリスク寄与度を高速かつ精確に計測するための新しい数値的方法論を提案しています。
なお、本稿の概要につきましては、以下の資料をご参照ください。

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特許

統計モデルに用いる説明変数の選択方法に関する特許を取得

掲載開始日:2017年10月30日
著者:高野康/石島辰郎/吉野一慶

本発明は、信用スコアリングモデル等の統計モデルを構築する際に、多数の説明変数の中から、適切な説明変数の組み合わせを効率的に選択する手法を示したものです。
これにより、これまで多くの時間を要していた説明変数の選択が短時間で実施できるとともに、より精度の高いモデルを構築することが可能となります。

(日本国特許第6069460号(2017年1月6日特許登録):「説明変数を選択する装置、方法およびプログラム」)

日米でGPUコンピューティングの乱数生成に関する特許を取得

掲載開始日:2014年9月1日
著者:山上智久

日本および米国でGPUコンピューティングにおける乱数生成手法および装置に関する特許を取得しました。

本発明は、既存コードをGPUコンピューティングにより高速化する際に、乱数系列を変更せずにその生成を並列化させる手法についてのものであり、GPU化後に算出される数値差異を最小限に抑えることが可能となります。
これにより、開発検証に係る作業を削減する効果が見込まれ、より安定的なGPU導入によるお客さまニーズへの対応が実現できます。

(日本国特許:第5059928号(2012年8月10日特許登録):「GPUを用いた乱数生成処理の並列化」)
(米国特許:Patent No. US8,786,617B2 (2014年7月22日特許登録):「PARALLELIZATION OF RANDOM NUMBER GENERATION PROCESSING BY EMPLOYING GPU」)

日米でポートフォリオの信用リスクの高速・高精度な計測手法に関する特許を取得

実績・研究成果 日米でポートフォリオの信用リスクの高速・高精度な計測手法に関する特許を取得
掲載開始日:2010年4月23日
著者:高野康/羽柴次郎

日本および米国でポートフォリオの信用リスクを高速かつ高精度に計算するための手法および装置に関する特許を取得しました。本件特許の詳細につきましては以下の資料をご覧ください。
(日本国特許第4443619号(2010年1月22日特許登録):「ポートフォリオの信用リスクの計算方法および装置」)

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