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掲載日:2021年12月20日

結婚・出産・子育て

30代で世帯年収1,000万円。今年のボーナス全額貯蓄のワケは?

ファイナンシャルプランナー(FP)に相談してみた! 30代、世帯年収1,000万円。今年のボーナス全額貯蓄のワケは?

結婚3年目の今年、第1子が誕生したIさん。妻が育休中の現在も、世帯年収は1,000万円を超えています。資産形成に不安があるIさんの今年のボーナスの使い道について、ファイナンシャルプランナーの豊田さんに相談しました。

今回のご相談者 37歳男性(神奈川県在住) 会社員(東証1部上場企業、勤続14年) 家族構成:妻(38歳・会社員)、第1子(0歳) 住まい:賃貸 年収:夫・650万円、妻・育休中で350万円 金融資産:1,110万円

結婚3年目。夫婦の家計管理法は?

豊田FP:今年お子さんが誕生されたのですね、おめでとうございます。ご結婚されてどれくらいですか?

Iさん:ありがとうございます。結婚3年目です。

豊田FP:ご夫婦の家計と資産の管理法はどうなさっていますか?

Iさん:私名義の口座に、家計に関わる「共通費」を入金して支出を管理し、残った分はそれぞれの小遣いと貯蓄にしている形です。

豊田FP:共働きの方に多い、お財布3つのパターンですね。お互い定期的に資産状況を開示し合って、貯蓄できているかをチェックする点がポイントですね。

Iさん:はい。妻から、しっかり貯蓄しておいてねと言われています。

豊田FP:お子さんの誕生で家計は何が変わりましたか?

Iさん:妻の産休・育休で収入が減りました。でも、支出は今のところ以前とあまり変わっていません。紙おむつや粉ミルクを始め子供関連の支出は増えましたが、子供が小さいこともあり、家で食事をすることが増え、外食が減った分で賄えています。

豊田FP:月間収支を見ても、引き締まった家計ですね。奥様が育休中で収入が半分になっているのに、月16万円の貯蓄ができているのは素晴らしい。

Iさん:ありがとうございます。実は、保育園に急に空きが出て、3ヵ月後から妻が仕事に復帰することになったのですが、保育料が月9万円と分かり慌てています。復帰して妻の手取りが増える分は、当面、保育料で消えると思います。

豊田FP:0歳児は保育料が高いですからね。年齢が上がれば保育料は徐々に下がりますので、奥さまのキャリア温存のコストと捉えてしばらくは我慢のときですね。お子さまが保育園に入園してから、奥さまの働き方はどうなりますか?

Iさん:9時00分~17時00分の時短勤務の予定です。

月間収支(育休中)

月収入(手取り)
31万円
20万円
合計 51万円
月支出と貯蓄
家賃 14万円
食費 6万円
水道光熱費 2万円
通信費 1万円
日用雑貨 2万円
小遣い(3万円×2人) 6万円
子供費ほか 2.5万円
保険料 1.5万円
貯蓄 16万円
合計 51万円

ボーナスは全額貯蓄で住宅購入と教育資金に備える

豊田FP:今年の冬のボーナスはどれくらい支給される見込みですか。

Iさん:私が65万円、妻は育休中なのでありません。

豊田FP:ボーナスはどのように使われる予定ですか。

Iさん:全額貯蓄です。

冬のボーナス収支

ボーナス手取り額
65万円
(育休中のためなし)
合計 65万円
ボーナス支出と貯蓄
貯蓄 65万円
合計 65万円

豊田FP:奥様が育休中にも関わらず、毎月16万円貯蓄して、ボーナスも全額貯蓄できるというのは優秀ですね。世帯年収が高いだけでなく、支出が抑えられているからこそできることです。ハイペースでの貯蓄の理由は何でしょう。

Iさん:子供の教育資金と住宅購入です。子供はもう一人欲しいですし、保育料が想定外にかかると分かったので、そうした分も含めて貯められるときに貯めておきたいと思っています。

豊田FP:今は全額貯蓄できていますが、お子さんが少し大きくなれば、家族旅行やレジャー施設など家族の楽しみに使うお金も必要になるかもしれませんし、ボーナスの使い道で迷うかもしれませんね。

Iさん:ボーナスはどれくらい貯めればいいでしょうか。

豊田FP:模範回答はありませんが、貯める必要性が高い世帯ほど貯蓄割合が高くなるのは当然のことです。I家では、住宅を購入後に住宅ローンの繰上返済を行うかどうかで迷われるかもしれませんね。

Iさん:それはありそうです。ボーナス払いを組むかどうかも気になります。

豊田FP:景気に左右されるボーナス払いは原則組まない方が良いです。繰上返済については、住宅ローンの金利を上回る運用が可能なら、繰上返済よりも運用を優先するという考え方もあります。ただし、投資にリスクはつきものなので、リスクをとりたくない人は繰上返済をして支払う金利を減らすのも一つの方法です。

目的別貯蓄表を作成し、貯蓄法を見直す

豊田FP:I家の資産状況を整理すると下表のような内容ですね。

資産状況

預貯金 300万円
つみたてNISA 10万円
学資保険 5万円(既払込保険料)
預貯金 700万円
財形貯蓄 20万円
つみたてNISA 70万円
第1子 ジュニアNISA 5万円
合計 1,110万円

Iさん:私のつみたてNISAはまだ始めたばかりです。

豊田FP:現在の資産で、運用に回す割合が妥当かどうかはあとで見ていきましょう。まず、教育資金はどのように貯めていますか?

Iさん:大学の教育資金として、子供一人の目標額は「600万円+α」。学資保険が満期200万円、ジュニアNISAは月1万円の投資信託積立、財形貯蓄も月1万円で600万円越えをめざしています。足りないときは、他の貯蓄を回そうと考えています。

豊田FP:ジュニアNISAの新規投資は2023年までです。2024年以降、5年経過分は継続管理勘定に移管(ロールオーバー)し、20歳まで(1月1日時点で20歳である年の前年12月31日まで)保有することも可能です。途中で売却して引き出すこともできます。

Iさん:ジュニアNISAの投資信託は保有し、2024年からは、子供が18歳になるまで特定口座で投資信託積立を続ける予定です。

豊田FP:教育資金は運用期間が長いので、インフレリスクに備えるためにも一部に運用商品を組み入れるのは良い方法ですね。

Iさん:安心しました。

月1万円の積立投資で3%運用ができた場合(税金は加味せず)
月1万円の積立投資で3%運用ができた場合(税金は加味せず)のグラフイメージ

(金融庁シミュレーター)

豊田FP:他は何のためにいくらを目標に貯めていますか?

Iさん:住宅は5,000万円台前半のものを5、6年以内に購入予定で、あと3年で頭金500万円と諸費用200万円を貯めるつもりです。後は、コロナ禍で延期になっていた結婚式を年内に行うので、その費用が約200万円かかります。

豊田FP:生活費3~6ヵ月分の予備費も必要ですね。目的別に貯蓄を分け、貯め方まで整理してみると、どの部分なら投資に回せるかなど、見えてくるものがあります。

Iさん:第2子が生まれたら枠を加えればいいのですね。

目的別貯蓄表

(単位:万円)

目的 目標額 あと何年? 今の貯蓄③ 必要貯蓄額 年間の貯蓄目標 どう貯める?
金額 金融商品 毎月 ボーナス年間
生活予備費 200 常時 100 夫・預金
100 妻・預金
結婚資金 200 今年 100 夫・預金
100 妻・預金
住宅用 700 3 100 夫・預金 250 84 3 48
350 妻・預金
第1子教育資金 600 17 5 ジュニアNISA+
投資信託積立
570 12 1
5 夫・学資保険 12 1
20 妻・財形貯蓄 12 1
老後資金等
(退職金含まず)
1,100 22 夫・預金 374 17 17
20 10 夫・つみたてNISA 790 40 3.3
1,700 21 150 妻・預金 756 36 3
18 70 妻・つみたてNISA 730 40 3.3
合計 1,110 253 15.6 65

(単位:万円)

目的 生活予備費
目標額 200
あと何年? 常時
今の貯蓄③ 金額 100 100
金融商品 夫・預金 妻・預金
必要貯蓄額
年間の貯蓄目標
どう貯める? 毎月
ボーナス年間

(単位:万円)

目的 結婚資金
目標額 200
あと何年? 今年
今の貯蓄③ 金額 100 100
金融商品 夫・預金 妻・預金
必要貯蓄額
年間の貯蓄目標
どう貯める? 毎月
ボーナス年間

(単位:万円)

目的 住宅用
目標額 700
あと何年? 3
今の貯蓄③ 金額 100 350
金融商品 夫・預金 妻・預金
必要貯蓄額 250
年間の貯蓄目標 84
どう貯める? 毎月 3
ボーナス年間 48

(単位:万円)

目的 第1子教育資金
目標額 600
あと何年? 17
今の貯蓄③ 金額 5 5 20
金融商品 ジュニアNISA+投資信託積立 夫・学資保険 妻・財形貯蓄
必要貯蓄額 570
年間の貯蓄目標 12 12 12
どう貯める? 毎月 1 1 1
ボーナス年間

(単位:万円)

目的 老後資金等(退職金含まず)
目標額 1,100
あと何年? 22 20
今の貯蓄③ 金額 10
金融商品 夫・預金 夫・つみたてNISA
必要貯蓄額 374 790
年間の貯蓄目標 17 40
どう貯める? 毎月 3.3
ボーナス年間 17

(単位:万円)

目的 老後資金等(退職金含まず)
目標額 1,700
あと何年? 21 18
今の貯蓄③ 金額 150 70
金融商品 妻・預金 妻・つみたてNISA
必要貯蓄額 756 730
年間の貯蓄目標 36 40
どう貯める? 毎月 3 3.3
ボーナス年間

(単位:万円)

合計
今の貯蓄③ 金額 1,110
金融商品
必要貯蓄額
年間の貯蓄目標 253
どう貯める? 毎月 15.6
ボーナス年間 65
  • *目標額は暫定的なものでこれを「超える」ことを目指します。
  • *必要貯蓄額に対する年間貯蓄額は、目標額を超えるための計算であるため単純計算では合わない部分もございます。
  • *収支に変更があるときは見直しを含め、調整することをおすすめします。

豊田FP:運用に回す資金は、3年以上使わない資金の3割程度が1つの目安です。ただし、老後資金は超長期なので運用中心でも問題ありません。I家で運用に回せる部分は教育資金と老後資金部分ですが、いずれも運用が組み込まれています。

Iさん:実は子供が生まれたときにFPに相談しました。

豊田FP:老後資金の積立で、掛金が所得控除になって節税効果もあるiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)を始められてはいかがでしょう。

Iさん:職場に企業型DCがあってできないのです。

豊田FP:そうなんですね。実は2022年10月から、企業型DCとの併用であっても加入者本人の意思だけでiDeCoに加入できるようになりますので、再度検討してみてください。あるいは、つみたてNISAに加え、特定口座での投資信託積立を行うのも一法です。

Iさん:妻と相談してみます。

まとめ

お子さまが生まれ、家計が激変しているI家。奥様の職場復帰も目前で、以降は保育料もかかり始めるとあって、ボーナス全額貯蓄もうなずけます。教育資金の準備も着手済みで、住宅取得資金の準備も進めていて、優秀な家計です。育児・家事に追われる中、家計管理・資産管理を効率よく行うことも大事ですね。

また今回の家計ではボーナスは全額貯蓄でしたが、使い道が決まっていない場合はボーナスの一部を投資に振り分けることも考えておくと良いかと思います。現在の家計とのバランスを見ながら、将来の資産形成としてつみたてNISAなどをうまく活用していきましょう。

最後に1点。先のことですが、投資系の資産は出口戦略が重要です。お子さまの教育資金の投資信託積立は、使う時期の1、2年前から換金のタイミングを見計らっていくようにしましょう。

豊田 眞弓さんの写真

豊田 眞弓

AFP、住宅ローンアドバイザー、相続診断士

マネー誌等のライターを経て、1994年よりFPとして活動。「人生の3.5大支出」(教育・住宅・老後+介護)に備え、ハッピーで持続可能な家計の実現をサポート。大学・短大で非常勤講師も務める。「親の入院・介護が必要になるときいちばん最初に読む本」(アニモ出版)など著書多数。趣味は講談、投資。

  • *記事内の情報は、本記事執筆時点の情報に基づく内容となります。

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