貯蓄の平均値と中央値とは?20代から50代までの平均貯蓄額や老後に必要な金額も解説!
掲載日:2023年9月1日

ただ貯蓄するのではなく毎月の貯蓄額の目安、世代ごとにかかる生活費や貯蓄の平均値・中央値などを把握することで、効果的な貯蓄ができます。本稿では、20代、30代、40代、50代の貯蓄額や、毎月必要な金額、老後に必要な金額について紹介します。

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貯蓄に関するデータの見方
貯蓄に関するデータの見方について、平均値と中央値の2種類の見方について解説しています。
平均値
貯蓄に関するデータの見方の1つが、平均値です。すべてのデータを考慮できる、データ全体のイメージが掴みやすいなどのメリットがあります。一方、極端にデータの数値が大きかったり小さかったりすると、平均値がもっともデータ数の多い数値とは、ずれてしまうというデメリットがあります。データを見る際は、平均値だけでなく中央値を併用するとよいでしょう。
中央値
平均値と合わせて、貯蓄に関するもう1つのデータの見方が中央値です。中央値は、データを大きい方、または小さい方から順番に並べた際に中央に位置している数値のことで、2つのデータが中央に位置している場合は2つの平均値を中央値とします。
全体のデータから大きく外れた値が及ぼす影響を受けず、おおよそ中心の数値が分かるメリットがある一方で、すべてのデータを考慮できる訳ではないので、データ全体の分布状況のイメージを持ちづらいというデメリットがあります。
各世代の平均貯蓄額
世代ごとに平均貯蓄額は異なります。世代だけではなく、独身であるのか、既婚者なのか、子どもがいるのかによっても、必要な貯蓄額は変わってきます。ここでは、各世代の平均貯蓄額について解説します。
20代
20代の平均貯蓄額については、収入や、独身・既婚によって差が出てきます。ここでは、20代の平均貯蓄額の特徴について解説します。
独身者の場合
20代の独身者の平均貯蓄額は、平均値が176万円、中央値が20万円という結果になっています。金融資産を保有していない20代の独身者の割合は42.1%となっており、約半分が貯蓄のない状態です。20代は働き始めたばかりや収入が少ない場合が多いことに加えて、娯楽やレジャーなどへの支出が多いため、貯蓄に回す額が少ないと予想されています。
既婚者の場合
20代の既婚者の平均貯蓄額は、平均値が214万円、中央値が44万円という結果になっています。金融資産を保有していない人の割合は35.7%となっており、独身者よりは金融資産を保有する人の割合が若干増えていますが、既婚者でも貯蓄がない人は存在する状態です。
中央値も44万円と、独身者の中央値20万円に比べると増えていますが、子どもの教育費や住宅購入などを考慮すると、より多くの貯蓄が必要になってきます。

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30代
30代の平均貯蓄額については、20代と比べると大幅に増えていますが、同年代における経済格差も大きくなっており、既婚者の貯蓄への意識は高まりつつあります。ここでは、30代の平均貯蓄額の特徴について解説します。
独身者の場合
30代の独身者の平均貯蓄額は、平均値が494万円、中央値が75万円という結果になっています。金融資産を保有していない30代の独身者の割合は32.4%と、約3人に1人が貯蓄のない状態です。20代の独身者に比べて平均値と中央値の乖離が大きくなっており、30代の独身者間で経済的な格差が大きくなっていることが見て取れます。
既婚者の場合
30代の既婚者の平均貯蓄額は、平均値が526万円、中央値が200万円という結果になっています。30代の独身者と比べて大きく中央値が上がっており、金融資産を保有していない割合も23.9%と10%程少ないです。独身者に比べて中央値が上がっている理由は、子どもの教育費や住宅購入などを見据えて貯蓄を増やそうという意識が高いことが予想されます。

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40代
40代の平均貯蓄額については、独身と既婚の差は30代と変わりませんが、同年代における経済格差がさらに大きくなっています。既婚者は支出が増えることもあり、貯蓄額が30代と比べて大きく増大することはありません。ここでは、40代の平均貯蓄額の特徴について解説します。
独身者の場合
40代の独身者の平均貯蓄額は平均値が657万円、中央値が53万円という結果になっています。金融資産を保有していない40代の独身者の割合は35.8%と、30代の独身者と大きな差はありません。しかし、30代の独身者と比べて平均値は100万円以上増えている一方で、中央値は約20万円低下しており、さらに経済的な格差が広がっていることが分かります。
既婚者の場合
貯蓄額は平均値が825万円、中央値が250万円という結果になっています。30代の既婚者に比べて平均値は300万円程上がっていますが、中央値に大きな乖離はありません。40代は子どもの教育費や住宅ローンなどの返済が重なり出費が多くなるため、収入が上がっても貯蓄が増えにくい世代でもあります。
なお、金融資産を保有していない割合は26.1%であり、30代の既婚者と同程度です。

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50代
50代の平均貯蓄額については、独身・既婚に関わらず、同年代における経済格差がさらに大きくなっており、既婚者の支出が落ち着くこともあり、平均貯蓄額は高くなっています。ここでは、50代の平均貯蓄額の特徴について解説します。
独身者の場合
50代の独身者の平均貯蓄額は平均値が1,048万円、中央値が53万円という結果になっています。平均値は40代の独身者に比べて400万円程の大きな差があるものの、中央値は変わらないため、20代から30代の格差よりも、さらに大きな経済的な格差が発生している状態です。
既婚者の場合
貯蓄額は平均値が1,253万円、中央値が350万円という結果になっています。50代は子どもの養育が終わって支出が落ち着く場合も多く、30代や40代に比べて平均値だけではなく中央値も高くなっています。金融資産を保有していない割合は24.4%であり、30代や40代と同程度です。
参考:家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)|金融広報中央委員会
家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)|金融広報中央委員会
各世代の平均生活費
生活費は年齢や家族構成など世帯の状況によって大きく異なります。
貯蓄や節約を目的に家計の見直しをする場合、毎月の生活費や支出の内訳を知ることが必要です。ここでは、各世代の1ヵ月の平均的な生活費について解説します。
単位:円
世帯主の年齢 | 20歳代 | 30歳代 | 40歳代 | 50歳代 |
---|---|---|---|---|
食料 | 35,615 | 61,249 | 74,948 | 70,845 |
住居 | 35,036 | 30,225 | 20,021 | 22,469 |
光熱・水道 | 9,801 | 17,494 | 21,687 | 21,920 |
家具・家事用品代 | 4,371 | 9,399 | 11,279 | 10,920 |
被服および履物代 | 7,630 | 9,697 | 11,155 | 10,201 |
保健医療 | 6,088 | 9,476 | 11,119 | 12,523 |
交通・通信 | 21,646 | 35,876 | 44,805 | 46,567 |
教育 | 348 | 5,275 | 19,915 | 19,770 |
教養娯楽 | 21,423 | 26,867 | 29,008 | 27,257 |
その他 | 21,671 | 34,953 | 47,381 | 62,787 |
生活費合計 | 163,629 | 240,511 | 291,318 | 305,258 |
参考:「家計調査報告書[家計収支編](令和4年)」(総務省)を加工して作成
20代
20代の平均生活費は約16万円です。他の世代に比べて収入が少ないため生活費も少なくなっているほか、20代で結婚して子どもを持つ層が少ないため、教育費が非常に低いことも特徴です。
30代
20代に比べて食料費や水道光熱費、家具・家事用品代などが2倍近くになっているほか、教育費が約5千円増加しています。要因として、30代で結婚や同棲をしたり、子どもをもうけたりしている人が多いことが予想されます。また、30代は20代と比べて収入が増えて、使えるお金が増えていることも生活費が上がっている要因と考えられます。
40代
40代は、30代に比べてさらに教育費が上がっており、差額は15,000円程です。一方で、食料費や水道光熱費、家具・家事用品代などは30代と大きな差はなく、総額は約29万円と、30代と生活水準自体は大きく変わっていないことが分かります。
50代
50代は、食費や水道光熱費、教育費など各種項目の金額が40代とほとんど変わっておらず、総額も約30万円と内訳だけではなく全体的に同程度で推移しています。
毎月の貯蓄額の目安
貯蓄額の目安は、20代なら何万円といった一律の金額ではなく、現在の月収の10~15%程度と考えることをおすすめします。また、子どもがいない共働きの世帯や、独身で実家暮らしの方などは支出を抑えやすいため、月収の20%以上を貯蓄に回せると理想的です。
老後に必要な貯蓄額
2022年の調査では、60歳以上の無職世帯の支出が240,827円なのに対して、収入は社会保障給付が198,017円となっており、差額は42,810円です。1ヵ月あたり約5万円を自力で賄う必要があるため、年間で60万円を貯蓄から捻出すると仮定して、退職後の生活の年数倍することで、老後に必要な貯蓄額が計算できます。
例えば、退職後の生活を30年と仮定した場合は、60万×30年で貯蓄額は1,800万円程度あると良いと分かります。
参考:家計調査報告書[家計収支編]2022年(令和4年)|総務省
貯蓄を増やすために意識すること
収支を把握して管理する
貯蓄を増やすために意識することとして、収支を把握したうえで管理することがあげられます。収支が把握できれば、支出が多くなっているものや、節約できそうなものなどが分かり、貯蓄に回せる額を増やしやすくなります。また、水道光熱費や通信費などの固定費を見直して減らせれば、継続的に節約効果が続いて貯蓄増加につながるのでおすすめです。
口座を目的別に分けて管理する
口座を目的別に分けて管理することも、貯蓄を増やすための方法です。口座を分けることで支出の管理がしやすくなるほか、引き出しすぎてお金を使ってしまうのを防ぐ効果が期待できます。また、口座を目的別に分ける際は自動振込サービスを利用して、給与の受取口座から別の口座への振り込みを自動化することをおすすめします。
まとめ
貯蓄に関するデータの見方や、各世代の平均貯蓄額、平均生活費、毎月の貯蓄額の目安や老後に必要な貯蓄額、貯蓄を増やすために意識することなどを解説してきました。貯蓄があると日々の生活だけではなく、大きな買い物をしたいときや、事故や病気などで働けなくなったとき、老後の生活など様々な場面で役に立ちます。
自分の収入や生活費を把握したり、老後に必要な額などをシミュレーションすることで、必要と思われる額の貯蓄ができるように日々意識することが大切です。

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(記事提供元:株式会社WACUL)
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