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掲載日:2020年8月21日

税金対策

【後編】年収850万円超だと税負担アップ!?2020年税制改正について解説

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前編では、2020年1月1日から適用された「基礎控除額の引き上げ」「給与所得控除額の引き下げ」「公的年金等控除額の引き下げ」について、改正点をまとめました。
後編では、それぞれの控除が所得税に与える影響について確認していきます。

前編はこちら
【前編】年収850万円超だと税負担アップ!?2020年税制改正について解説

所得税って?歴史や仕組みを紐解く

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基礎控除と給与所得控除の変更が所得税にどういう影響を与えるのか、を説明する前に、所得税そのものについておさらいします。日本では所得税を「超過累進税率方式」と呼ばれる計算の仕組みが採用されています。一律の税率ではなく、課税所得金額の多い人ほど、高い税率が適用されて納付税額が高くなります。

所得税の税率と区分の変化

では、所得税率や税率区分の変化を調べてみましょう。

所得税率と税率区分の変化

<参照:財務省「個人所得課税の税率等の推移」を基にグラフを作成>

現在、所得税の最高税率は45%ですが、昭和61年は所得による税率区分は15段階に分かれ、最高税率は70%でした。その後も時代背景や社会構造に合わせて、不公平がないように適宜変更がされてきました。

所得にかかる税金には、所得税のほか、住民税もあります。所得税に最高税率45%が適用される方は、住民税の一律税率10%を合わせると合算税率が55%になるため、所得の半分以上が税金になります。

ただし、各種控除や補助制度などを考慮して税額負担の軽減を図っているため最高税率と実態が乖離している場合があります。

実効税率による比較

「実効税率」は、実際の負担を反映した税率です。給与収入全体に占める個人所得課税(所得税≪国税≫+個人住民税≪地方税≫)の割合を示しています。財務省の「個人所得課税の実効税率の国際比較」によると、給与収入が2,000万円の場合は約25%、給与収入が1,000万円の場合は約10%です。

税制改正により得する人、損する人は?

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損得の一言で表現するのは適切ではありませんが、税制改正の影響を受けてしまった人もいます。どのような人が得をして、また損をしたのでしょうか?
結論を先に言ってしまうと以下の通りとなります。

  1. 年収850万円超かつ子育て介護世帯以外の給与所得者:実質増税
  2. 年収850万円以下かつ子育て介護世帯以外の給与所得者:変わらない
  3. 子育て介護世帯の給与所得者:変わらない
  4. 高所得の個人事業主やフリーランスの方:実質増税
  5. 個人事業主やフリーランスの方:実質減税

それでは、なぜそのようになるのか仕組みをみていきましょう。

給与所得者の場合

基礎控除の控除額が10万円引き上げられる一方、給与所得控除が10万円引き下げられました。そのため給与所得控除の控除額10万円が基礎控除に振り替えられるイメージです。

また、給与収入が850万円超の場合は、給与所得控除の上限額が見直された関係で実質的には増税となりました。ただし、23歳未満の扶養親族がいる等の子育て・介護世帯は実質的な影響がないような措置が講じられています。

個人事業主やフリーランスの場合

個人事業主やフリーランスなどは、給与所得控除がないため、基礎控除の控除額引き上げ分の影響により実質的な減税となりました。

ただし、高所得者の場合は損をする可能性があります。合計所得金額が2,400万円超の高所得者について、基礎控除額が段階的に引き下げられました。合計所得金額が2,500万円を超えると基礎控除額は0円となり、基礎控除の適用がなくなったためです。

合計所得金額

<参照元:財務省「平成30年度税制改正」を基にグラフを作成>

それでは実際にどのくらい税額が変わったのか確認してみましょう。

税制改正適用前(2019年)と適用後(2020年)の年収別税額シミュレーション

制度を活用し税制改正の影響を最小限に

前編と後編の2回にわたり、税制改正における内容と影響を解説しました。2020年1月1日より適用された「基礎控除・給与所得控除・公的年金等控除の見直し」以外にも、「配偶者控除の見直し」など、個人所得に関する税制改正が相次いでいます。年収や家族構成などによって影響が異なることは既述の通りですが、多様な働き方によって税金の有利不利が出ないような支援と格差是正の方向で改正されています。特に50代会社員のようにある程度の収入があり、かつ子育てが一段落した方は税負担が増える傾向にあります。

所得制限や社会保障制度における適用要件の判断基準に、合計所得金額や総所得金額等を用いることがあります。給与所得控除額の引き下げにより合計所得金額や総所得金額等が増えて適用可否に影響が及ぶこともありますから細心の注意を払う必要があります。

50代こそ将来に向けた資産形成が重要!

50代会社員の可処分所得は目減りする傾向にあります。このような時代だからこそ節税の制度を利用して、賢い資産形成が重要です。「iDeCo(個人型確定拠出年金)」や「NISA・つみたてNISA」を活用しましょう。個人型確定拠出年金の掛金は全額所得控除の対象になります。運用益は非課税*になります。将来の年金受給時は退職所得控除(一時金で受給)や公的年金等控除(年金形式で受給)の対象になります。NISAは配当や売却益に税金がかかりません。税金の優遇制度を上手にフル活用することで、税制改正による増税の影響を少しでも緩和しましょう。

  • *運用中の年金資産には1.173%の特別法人税がかかりますが、現在は課税が凍結されています。

長沼満美愛

長沼満美愛

ファイナンシャルプランナーCFP(R)・1級FP技能士

神戸女学院大学英文学科卒業後、損害保険会社に就職。積立・年金・介護など長期保険に特化した業務を担当。そのあと、FP協会相談室の相談員として従事。現在、大学・資格の学校TAC・オンスク.JPにて資格講座の講師として活動するかたわら、セミナー講師や執筆も手がける。『あてるFP技能士1級』(TAC出版)を執筆。毎日新聞「終活Q&A」コラム寄稿。毎日新聞生活の窓口相談員。塾講師・家庭教師の豊富な経験を活かして、「誰でも分かるセミナー講師」・「親身なFP個別相談」をめざす。

(記事提供元:サムライト株式会社、画像提供元:ピクスタ株式会社)

  • *記事内の情報は、本記事執筆時点の情報に基づく内容となります。

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