掲載日:2021年1月29日
応用編
【未来想像マネー塾 1限目】自分のお金について知ろう!
お金について学びたいと思いつつも「何から始めたら良いのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。そんな方に向けて「未来想像マネー塾」では、お金の基本を分かりやすく解説していきます。1限目の今回は、自分のお金を把握するところから始めてみましょう。
身近な収支を見てみよう!
給与明細が自分のお金を知る第一歩!
会社員が毎月の給与と一緒に受け取る「給与明細」。その内訳をしっかりと把握できているでしょうか。
給与明細では現在の収入だけでなく、収めている保険料や税金も確認することができます。
「支給」の項目では「基本給」や「残業手当」、「通勤手当」など会社から支払われるお金が記載されています。
「控除」の項目には「社会保険料」や「所得税」、「住民税」といった給料から差し引かれる保険料や税金が確認可能です。
最後に「勤怠」の項目では「出勤時間」や「欠勤日数」、「有給日数」など労働時間や取得した有給の日数を把握することができます。
このなかでもとくに知っておきたいのが、病気や怪我、失業といった生活に関わるトラブルが発生したときの助けとなる「控除」の項目です。
困ったときに助けてもらえる社会保険は5種類
社会保険制度の種類は「医療保険」「年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」の5種類があります。
控除の項目では毎回、給料の2~3割程度が差し引かれてしまうため、大きなマイナスと捉えてしまうかもしれません。しかし、例えば雇用保険に加入していれば「育児休業給付」など、子育てのために働けなくなったときに給与の3分の2相当が支給される制度もあります。今すぐに使うわけではないかもしれませんが、社会保険料はいざというときの備えとして機能するのです。
所得税と住民税
給与から毎月差し引かれるお金には、所得税や住民税もあります。
住民税は一律で10%程度ですが、所得税については収入によって課税率が5~45%まで変動。収入が多いほど、税金の負担も大きくなります。ちなみに税金を計算する際に用いられる収入は「課税所得」といい、前年の年収から「給与所得控除」や「社会保険料控除」などの各種控除分を引いて算出された金額です。
月単位で家計の収支を見える化する
次に、1ヵ月の家計簿をつけて「収支は赤字になっていないか」「必要以上に高額な支出はないか」などを可視化してみましょう。
「もっと節約したい」と思ったときは通信費や保険料といった固定費から見直すのがポイント。食費や被服費、美容代などの変動費は、節約するために毎回我慢が強いられるなど強い意志の力が必要です。一方で固定費なら、一度削減してしまえば、ずっと節約効果が続く可能性があります。
なお、毎月の家計の収支が赤字になっていたとしても、1年間で見ると「ボーナスで補えるから大丈夫!」と思う方もいるかもしれません。しかし今回のような新型コロナウイルスの蔓延など、予想外の影響で会社の業績が悪化し、ボーナスが大幅に減額されるケースもあります。月単位で家計の収支を黒字化できていると貯蓄も増やしやすくなるでしょう。
最低限必要な備えとは?
まずは、突発的な事故や病気など想定外の事態が起きたときに必要なお金を、給料の2~3ヵ月分は確保しておきましょう。すぐに現金として引き出せる普通預金として預けておくのがおすすめです。
病気やケガをしたときに、公的保障では足りなくなる部分をカバーする医療保険などの備えも必要です。
さらに、人生100年時代と呼ばれる現代では長生きを前提とした老後の備えも確保しておいたほうが良いでしょう。
出典:内閣府『高齢社会白書』(平成30年版)より「平均寿命の推移と将来推計」
- *0歳の平均余命が「平均寿命」です。
長く生きるのは、もちろん素晴らしいことです。しかし寿命が長くなると、定年後これまでの貯蓄や年金だけで過ごす期間も増えます。つまり定年後も豊かな生活を送るためにも、早いうちから老後の備えを用意することが大切になってきているのです。
老後の生活費と不足額はいくらぐらい?
では、老後にはどのくらいの資金が必要になるのでしょうか。
- *1総務省統計局「家計調査結果」(2018年)に記載の、高齢夫婦無職世帯の家計収支(支出合計約26.5万円/月)、同(実収入約22.3万円) 、高齢単身無職世帯の家計収支(支出合計約16.2万円/月)、同(実収入約12.3万円)をもとに算出。また、老後の生活費には衣食住の他、教養娯楽費等を含みます。各数値については、老後収支を把握するために各指標をもとに簡便的に試算した一例です。実際の数値とは異なる場合があります。
あくまでも目安となりますが、一般的にセカンドライフ(定年後)で必要な生活費は、夫婦2人で9,000万円程度。そして65歳から受給を開始するとして、夫婦2人の公的年金は平均6,100万円程度といわれています。
つまりこの目安金額をもとにすると、2,900万円(=9,000万円-6,100万円)は退職金やこれまでの貯蓄などで補わなければいけないわけですね。
もちろん、定年後に受け取れる公的年金や退職金の金額は人によって異なります。公的年金の受給見込額を知りたい方は、日本年金機構の「ねんきんネット」で確認し、退職金や企業年金については勤務先に相談する必要があるでしょう。
老後資金以外にも人生にはお金がかかる
長い人生で必要になるのは老後の資金だけではありません。結婚やマイホームの購入、子供の進学などライフイベントごとに費用がかかります。参考までに、ライフイベントごとに発生する費用の平均は以下の通りです。
出典:ゼクシィ結婚トレンド調査2018(結婚費用・子どもの結婚援助費用)、厚生労働省「第78回社会保障審議会医療保険部会配布資料(平成26年)」(出産費用)、 住宅金融支援機構「2017年度フラット35融資利用者の主要指標」(住宅費用)、文部科学省「平成28年度子供の学習費調査」、日本政策金融公庫「教育費負担の実態 調査結果(平成29年度)」(子ども教育)、国土交通省「住宅市場動向調査(平成29年度)」(リフォーム)、総務省統計局「家計調査結果(2017年)」(セカンドライフ)
ただ、マイホームの購入費などは地方と都市圏で大きく変わってきますし、教育費用も子供の人数が増えるほど金額も増加していくでしょう。そのため、自分の今後のライフプランに沿った資金を各々が用意しておく必要があります。
またライフイベントに限らず、将来叶えたい夢と想定される費用を書き出し、そのための必要な資金を確保することも大切です。自分のやりたいことや叶えたい夢も想像してみましょう。
今の自分を知り、将来を想像する
未来想像マネー塾の1限目では、自分のお金を見つめ直し、将来必要となる資金を想像してもらいました。お金に対して漠然とした不安を感じている人は、まずは家計簿を付け、日常的なお金の流れを見える化することから始めてみてはいかがでしょうか。
2限目では、お金を貯めるだけではなく、無理せずに増やしていく資産形成のポイントを解説していきます。
- *記事内の情報は、本記事執筆時点の情報に基づく内容となります。
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