「油」は食料か、エネルギーか
2026年7月7日
みずほ総合研究所 サステナビリティコンサルティング部
甘利 朋矢
※みずほ総合研究所はみずほ銀行内の組織の名称です。
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東京都目黒区に「油面(あぶらめん)」という地名がある。この地名は、江戸時代にこの地域で菜種の栽培が盛んに行われ、搾られた菜種油が芝の増上寺に納められていたことに由来すると言われている。
現代の日本人にとって菜種油は、キャノーラ油として食用、すなわちサラダ油の用途が思い浮かぶであろう。しかし当時、菜種油は灯明用の油として利用され、照明のエネルギー源として重要な役割を果たしていた。そしてこの「植物油がエネルギー源である」ということは、決して過去のものではない。バイオ燃料として、キャノーラ油やパーム油、大豆油などの植物油は、いまなお多くの国で輸送用エネルギーとして利用されている。
そのため、ホルムズ海峡を巡る地政学リスクの高まりなどにより石油の供給が制約されると、その代替となるバイオ燃料原料である大豆やトウモロコシといった穀物価格にも影響が波及する。すなわち、エネルギーと穀物(食料や家畜飼料)は市場を通じて相互に影響し合う関係にある。我が国で「自給率」というと、「食料自給率」と「エネルギー自給率」が挙げられ、それらは別々に論じられることが多い。しかし両者は必ずしも切り離せるものではなく、むしろ相互に依存する関係にある。
日本は資源制約の大きい国であり、食料自給率はカロリーベースで4割弱、エネルギー自給率も原子力を含めても2割に満たないなど、いずれも海外からの輸入に大きく依存しているのが現状である。だからこそ、食料・エネルギーを一体のシステムとして捉え直し、サプライチェーン全体の可視化を進めるとともに、有事に備えた備蓄や国際的な協力関係の構築など、供給網の強靭化を図ることが一層重要となるのではないだろうか。
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