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勤続年数は住宅ローン審査に影響する?不安があるときの対策

掲載日:2023年2月28日

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住宅ローンの利用には「審査」が必須です。借入額が大きくなるため審査は慎重に行われ、銀行など金融機関ごとに独自の審査基準があります。そこで今回取り上げるのは「勤続年数」です。これまで、「勤続年数は住宅ローンの審査に影響する」と言われてきました。ただ、昨今は転職によってキャリアアップをめざす人も増えており、勤続年数が短いから審査が不利とは一概に言い切れないようです。今回は住宅ローンにおける勤続年数の影響と、その背景、さらに「審査を考えると勤続年数が短くて不安……」」という方に向け、注意点と勤続年数というリスクを踏まえた対策を紹介します。

1. 勤続年数が住宅ローン審査に及ぼす影響

住宅ローンの審査において、多くの金融機関は「勤続年数」というチェック項目を用意しており、融資の実行まで総合的に判断していきます。さっそく、勤続年数が住宅ローンにどのような影響を与えるのかを見ていきましょう。

勤続年数を住宅ローンの審査項目にしている金融機関は多い

住宅ローンの審査でチェックされる項目は金融機関ごとに異なりますが、多くの場合、「勤続年数」が影響することが多いようです。国土交通省の調査によると、回答した金融機関のうち94.5%が「勤続年数」を審査項目に挙げています。

その他の項目には完済時年齢(98.9%)、健康状態(98.5%)担保評価(97.6%)借入時年齢(97.1%)、年収(95.0%)、連帯保証(94.5%)などが挙がります。最重要の要素ではないものの、審査時の重要なチェックポイントであることは間違いありません。

住宅ローン審査を受ける際の勤続年数の目安

審査において、勤続年数の目安はあるのでしょうか。国土交通省の調査を参考にすると、申込者の勤続年数を審査項目とする金融機関のうち、「1年以上」を求める金融機関が629にのぼり、調査対象全体の6割を超えました。「3年以上」と挙げた金融機関は2割程度にとどまっており、全体の割合を比較すると1年以上がおおむね基本ラインになることが分かります。

勤続年数 回答数
1年以上 629
2年以上 58
3年以上 189
その他 195

回答数:1,071

会社都合による転職も自己都合の転職と同等に扱われる

住宅ローン審査で「勤続年数」が大きな影響を及ぼすことが分かりましたが、気をつけたいのが倒産やリストラといった、会社都合による転職です。審査において、これらの理由は基本的に自己都合の転職と同じ扱いになります。そのため、近い将来に転職を考え、住まいを購入しようと考えている方は注意が必要になります。次項から、勤続年数が短い場合のリスクを考えてみます。

転職は住宅ローンの利用にどう影響する?申込に適したタイミング

2. 勤続年数が住宅ローンの審査に影響する理由

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勤続年数が住宅ローンの審査に少なからぬ影響を与えることが分かりました。では、不動産の契約において、金融機関は勤続年数をなぜ重要な評価指標にしているのでしょうか。背景を調べてみました。

勤続年数が短いと収入の安定性が低いと判断されやすい

まず、勤続年数が短い方は「収入の安定性が低い」と判断されることが多くなってしまいます。多くの金融機関はローン審査において返済能力を重視する傾向にあります。転職が続き、安定して収入をキープできない場合、返済が滞る可能性はどうしても高まってしまいます。一般的な住宅ローンの借入期間は35年です。その長い返済期間の中でリスクを減らすためも、金融機関は残債の確実な回収をめざすのです。

一方、雇用形態によって審査基準が異なることもあります。会社員と公務員などの給与所得者、自営業やフリーランスなど個人事業主は審査基準が異なりますし、契約社員は正社員よりも長い勤続年数が求められるケースがあります。

勤続年数が短いと収入のアップが見込みにくい

勤続年数の審査とは、ただ働いているかどうかではなく、「同一の勤務先に何年間勤めているか」を把握するのが主眼になります。勤続年数が短かったり、転職したばかりといった場合、「収入の安定性が低い」に加えて、「昇給ペースが遅くなりがち」と判断される可能性があります。一定のペースで昇給が期待できれば、月々の返済も安定します。勤続年数が長くなるほど、昇給の機会は増えていくと考えられ、審査も通過しやすくなっていくのです。

3. 勤続年数に不安がある方が住宅ローンに申し込むときの対策

勤続年数が1年以内といったように転職して間もない場合、住宅ローン審査においてデメリットになりがちです。勤続年数に不安があるけど、物件の購入に踏み切りたい。このような場合は、どのような方法がおすすめでしょうか。

勤続年数を申込条件にしていない金融機関を選ぶ

住宅ローンの審査において、勤続年数が無視できない要素になっていることが分かりました。ただ、住宅ローンは金融機関によって申込条件、審査項目が異なります。中には勤続年数を申込の要件に含めていない金融機関もあります。継続した勤務が1年未満のように短い場合は、金融機関の申込要項をチェックしてみましょう。また、住宅金融支援機構と金融機関が提携して取り扱う「フラット35」は、勤続年数に関する条件はありません。直近3ヵ月分の給与が記載された明細が求められるので、新卒など入社3ヵ月未満の場合、証明できる必要書類が揃ってから申込を考えましょう。

フラット35の審査基準 │ 審査の流れから向いている人の特徴まで

勤続年数以外の要件を確認しておく

勤続年数を審査基準にしていない金融機関であっても、その他の審査基準が緩いわけではありません。別の要素によって審査が通らないことも十分に考えられます。住宅ローン以外の借入額や過去の滞納記録などを確認して、不利になりそうな項目があった場合には対策を施し、審査への影響をなくしてから住宅ローンの申込手続きをするのが望ましいでしょう。

前職の勤続年数を合算できないか相談する

業界内の同業種への転職や、グループ会社・関連会社への転籍・出向で年収が上がった場合、そして資格職への転職は、勤続年数が短くても審査に通る可能性があります。特に、弁護士や税理士といった士業は住宅ローン審査で有利とされており、転職先での勤続年数が少ない場合でも、審査に通りやすい傾向にあります。

そして、職歴やスキルに一貫性のある転職であれば、前職の勤続年数と合算して審査してもらえる場合もあります。これらの条件に当てはまり、勤続年数に不安がある場合には、前職の勤続年数を加算して審査してもらえるどうかか、金融機関に相談してみましょう。

4. 勤続年数を含め、総合的に審査基準を考えていく

本記事では勤続年数と住宅ローン審査の関係、そして対処法について考えてきました。一般的には、勤続年数が長い方が審査で有利に働きますが、昨今はキャリアアップをめざした転職や独立が活発化しています。勤続年数が短い場合でも、審査でマイナスにならないケースも少なくありません。

そして、住宅ローン契約ではその他の審査基準を意識することも大切です。例えば、健康状態や信用情報です。住宅ローンを組む際は、一般的に団信(団体信用生命保険)への加入が申込条件になります。健康に問題があり、団信に加入できなければ住宅ローンを契約できず、審査をクリアできない場合もあります。また、クレジットカードの支払で遅延があった場合、審査に影響を及ぼすこともあります。勤続年数は審査で重要視される項目ですが、総合的に返済能力を高めることが大切です。家族のライフプランを見据えた安心・安全な返済計画も大切ですが、借入額を考慮し、金融機関側の審査に備えたシミュレーションも重要です。両輪で進めつつ、マイホームの購入を検討していきましょう。

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佐々木 正孝

佐々木 正孝
(ささき まさたか)

編集/ライター。キッズファクトリー代表。教育・ビジネス系の記事を執筆しつつ、児童書の編集やマンガ原作も手がける。

編集/ライター。キッズファクトリー代表。教育・ビジネス系の記事を執筆しつつ、児童書の編集やマンガ原作も手がける。

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