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住宅ローンの返済中に住み替えは可能?基礎知識や利用の流れ

掲載日:2023年2月28日

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念願のマイホームを購入し、月々の住宅ローンを返済していても、終のすみかになるとは限りません。子どもの成長や進学、異動や転職などで別の土地に住みたい、という家族の選択があるかもしれません。老後の生活を見据え、交通アクセスの良いエリアへの移住を検討する方もいます。そこで焦点になるのが、現在の家を売り、別の家を購入する「住み替え(買い替え)」です。今回は住み替えの際に便利な「住み替えローン」をテーマに、現住居の売却・新住居の購入に関するお金について考えていきましょう。

1. 住宅ローンの返済中に住み替えはできる?

マンションでも戸建てでも、新たな住居を購入して住み替えを考える場合、「自宅の売却代金」「手元資金」が購入の原資になります。その資金が住宅ローンの残債に届かない場合、住み替えが困難になります。そこで検討したいのが「住み替えローン」です。

住み替えローンとは?

住み替えを希望する場合、現在の住まいの「住宅ローンを完済しているか」がポイントになります。住宅の売却時には、住宅ローンの完済によって抵当権を抹消する必要があります。抵当権とは、借り入れした人がローンを支払えなくなった際の担保として、金融機関が建物や土地に設定する権利のことです。

現居の住宅ローンを完済している場合、住宅ローンを改めて組むことになります。現居の売却益と合わせて購入資金を確保し、住み替えることができます。一方で手元の資金で一括返済や繰上返済ができず、完済まで年月がかかる場合は、住み替えローンがおすすめの選択肢です。住み替え可能なタイミングを早め、理想のスケジュール通りのスムーズな買い替えを実現できるのです。

そもそも、住み替えローンとは、現在住んでいる住宅のローンの残債と新しい住宅を購入するための資金を合算して借り入れできるローンのこと。住宅ローンの残債が2,500万円で住宅の査定額が2,000万円というケースで考えてみましょう。この場合、2,500万円-2,000万円で、自宅の売却によって返済しきれない残債は500万円となります。そこで、新居の物件価格で3,000万円の借入が必要となった場合、残債とまとめた3,500万円を借入できるのが住み替えローンです。

住み替えローンのメリット

何と言っても、自己資金の負担を抑えられるのが住み替えローンのメリットです。スピーディーに資金調達ができるため、希望するタイミングで現居の売却や新居の購入に進むことができます。現居と新居の住宅ローンを並行して組むダブルローンよりは家計にやさしく、借入額を安定して設定できるのも魅力です。

住み替えローンのデメリット

ただ、新規に住宅を購入する住宅ローンより金利が高くなる傾向があります。ローン金利の設定は金融機関によって異なりますが、住み替えローンは新規の住宅ローンにある金利引き下げの優遇がないことがほとんどで、借入時の金利は高くなります。

また、通常の住宅ローンに比べると審査も厳格です。借入額が増え、金利が高くなる分、金融機関は「安定して返済できるか」というポイントをより詳しく審査していくのです。住宅ローン審査に備えた資金計画、シミュレーションはもちろん、収入やその他ローンの借入履歴、勤務先の情報などが入念にチェックされるため、審査項目の情報を整えておくことも大切です。

2. 住み替えローンを利用する際の流れ

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住み替えローンの利用時は、現居の売却と新居の購入を並行して進める必要があります。売却が先になる場合は、新居への引っ越し前に住む仮住まい探しも必要になるなど、流れが複雑になりやすいのが特徴です。不動産会社や金融機関と密にコミュニケーションを取り、手順を一つひとつ踏んで進めていきましょう。

ステップ1.現在の住宅の売却相談をする

住み替えには、自分のお家を先に売却する「売り先行」と、新しい住宅を購入してから現居を売却する「買い先行」というアプローチがあります。住み替えローンではローン残債の把握が必要になるため、売り先行を選択することが多くなります。不動産会社に相談し、住宅の売却に向けて手続きを進めていきます。

ステップ2.ローン残債を確認する

続いて、現在組んでいる住宅ローン残高がいくら残っているかを確認します。つまり、住宅ローンの残債の確認です。残債は無料で確認できます。住宅ローンの借入後に発行される返済予定表や、年に1度送られてくる残高証明書、金融機関の会員用Webサイト、サービス窓口などに問い合わせます。

ステップ3.住み替えローンを取り扱っている金融機関を探す

住み替えローンは、現居を売却しても住宅ローンの残債が残る「オーバーローン」でも組むことができます。ステップ1.で進めた売却査定額とローン残債を突き合わせ、必要な返済額を確認したら、住み替えローンを取り扱っている金融機関を探し、融資の依頼を検討していきましょう。金融機関によって選択できる金利タイプ、審査基準なども異なります。情報収集を重ね、申込の準備を進めます。

みずほ買い替えローン

ステップ4.住み替えローンを利用できる条件か確認する

住み替えローンを借り入れる金融機関が決まったら、利用条件を確認します。住み替えローンの利用条件は「新しい購入する住居であること」「ローン残債が残っていること」「借入金を遅滞なく返済していること」などが挙げられます。金融機関によっては申込条件に年収、勤続年数などが明示されていることもあるので、比較・検討して絞り込みます。

ステップ5.借入の審査を受ける

住み替えローン借入の審査結果によって、新居購入の融資を受けることができます。住み替えローンは住宅の担保評価以上の融資を行うため、融資の審査は特に厳格です。返済能力に問題がある場合、審査を通過することができません。無事に審査をクリアしたら、融資の実行と現居の売却・引き渡し、決算(ローンの完済)、購入予定の新居の決済、契約を進めていくことになります。

この際、現居の売却が間に合わないことを想定し、売買契約書に「買い替え特約」を記載し、契約解除ができる備えをするという方法を紹介しておきます。これにより、査定額よりやすい売却金額を提示されても、不安やリスクを最小限にして住み替えを進められるでしょう。

なお、不動産売却時にも、不動産購入時にも諸費用の支払が発生します。仲介手数料や印紙税などを決済する必要があるので、余裕を持った資金計画を組んでおきましょう。ちなみに、住み替えた住まいは新たに住宅ローン控除の対象になります。一定の条件を満たすと所得税の控除が受けられる制度ですので、確定申告を忘れずに行いましょう。

3. 住み替えローンを利用する際の注意点

「住み替えローンのデメリット」で解説したように、住み替えローンは通常の住宅ローンに比べて金利が高く、審査がシビアになる傾向があります。そのため、以下の注意点を頭に置き、活用を検討していきましょう。

審査に通らないリスクがある

住み替えローンは新規の住宅ローンに比べて借入額が高額になりやすい上、優遇措置が設けられていません。このためローン金利は高めになりがちです。現居を購入した際に住宅ローンを申込、問題なく審査が通った金融機関であっても、住み替え時には審査に通らない可能性は十分に考えられます。金融機関も代替候補を検討しておくのが良いでしょう。

ローンの申込ができる上限年齢を確認しておく

住宅ローンは銀行など金融機関の規定によって組める年齢が決まっています。申込時に70歳未満であれば住宅ローンを組むことができますが、完済時の上限年齢は80歳が一般的です。つまり、35年ローンを組む際の上限年齢は「79歳-35年」で「44歳」になります。住み替えを検討する際は、完済時の年齢から逆算し、申し込める上限年齢が何歳かを確認しておきましょう。

住宅ローンは何歳まで組める?借入時の平均年齢と理想の完済時年齢

住宅が売却できないリスクを考えておく

住み替えをスケジューリングするには、「現居の売却」「新居の購入」を並行して進めなければなりません。特に、住宅の売却は買い手が出てきてこそ成立します。物件の条件や価格によってはスムーズに売れない可能性もあります。新居の購入、住み替えというステップを遅滞なく進めていくためには、マネー面のバックアップが必須です。安心して住み替えを進めるためにも、金融機関に早めに相談するのが望ましいでしょう。

4. 住み替え時こそ考えたい、柔軟に活用できる住宅ローン

住宅の購入は大きな金額が動くもの。住み替えは簡単なことではありません。そこで、住み替えローンを活用することで資金面での下支えができ、理想のタイミングで住み替えできる可能性が高まります。子どもの進学などでまとまった資金が必要な場合は預貯金を手元に残せますし、大きな出費がないようならローン残債の返済に充てるなど、手元資金を柔軟に活用できるのもポイントでしょう。しかし、住み替えローンの審査はハードルも高めです。現居の住宅ローン残債と売却代金を考え、家庭の状況に合った借入額を決めていく必要があります。家族のライフプランを見据えた返済計画を緻密に構築し、無理なく計画的に住み替えを進めていきましょう。

みずほ買い替えローン

佐々木 正孝

佐々木 正孝
(ささき まさたか)

編集/ライター。キッズファクトリー代表。教育・ビジネス系の記事を執筆しつつ、児童書の編集やマンガ原作も手がける。

編集/ライター。キッズファクトリー代表。教育・ビジネス系の記事を執筆しつつ、児童書の編集やマンガ原作も手がける。

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