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住宅ローンの返済比率の目安は?上限割合や計算方法、注意点

掲載日:2023年1月31日

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マイホームを手に入れるうえで大前提となるのが、住宅を購入するための資金です。多くの人が住宅ローンを検討することになりますが、「自分はいくら借りられるのか」が最大の関心事項になるでしょう。この記事でクローズアップするのは、総返済額と年間の返済額を比べた「返済比率」という目安です。借りられるだけ借りるのではなく、家計と照らし合わせながら、堅実な返済計画を立てるためにも、理想的な返済比率の算出方法、そして注意ポイントをお伝えします。

1. 住宅ローンの返済比率とは?

住宅ローンの借入額を検討する際に目安となるのが「返済比率」です。ここでは、返済比率の意味や計算方法を紹介します。

返済比率の意味

住宅ローンでは「年収に占める年間返済額の割合」を表します。総返済負担率(返済負担率)と呼ばれることもあります。返済比率が低い方が余裕を持って返済していきやすいため、無理のない返済を続けていくための借入額を決める目安として用いられます。

返済比率の計算方法

返済比率は「年間返済額÷年収×100」という計算式によって求めることができます。例えば、毎月のローン返済額が10万円、年収500万円の方の返済率は次の通りです。

120万円÷500万円×100=返済率24%

ここで注意したいのは、年間返済額には住宅の取得を目的とした借入(住宅ローン)に加え、「住宅取得以外」を目的とした借入も合算するということです。マイカーローン、カードローンの支払やクレジットカードのリボ払い、奨学金の返済なども含まれます。家計をしっかり洗い出して計算するのが望ましいでしょう。

2. 住宅ローンの返済比率の上限と目安

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金融機関は住宅ローンの申込者の収入など、様々な要素から購入者の借入額を決めていきます。ここでも返済比率が重要な指標になります。金融機関の基準と理想的な目安を解説します。

返済比率の上限

返済比率は、銀行などの金融機関が住宅ローン審査を行う際の指標としても用いられます。これは申込者の返済能力を超えた借入を防ぐため。年収のほとんどが住宅ローンの返済額に充てるようになると、家計が破綻するリスクが高まるからです。

基準となる比率は金融機関によって異なります。例えば、フラット35では返済比率の上限が30%(年収400万円未満の場合)、35%(年収400万円)です。民間の金融機関の多くは返済負担率の上限を30~40%程度に設定しています。

返済比率の目安

金融機関が目安とする返済比率を30~40%と説明しましたが、これは「借りられる額面の上限」であって、個人にとっての「理想的な返済比率」とは異なります。 住宅ローンの借入にあたっては、「無理なく返済していけるか」を第一に考えなければなりません。注文住宅や新築マンションといった、希望条件通りのマイホームを手に入れても、月々の返済負担が重くのしかかったり、返済プランが破綻してしまったりしては意味がないのです。

一般的に、無理なく返済していくための返済比率は20~25%程度といわれます。ここでは額面収入とではなく、手取り収入を基準として試算しましょう。生活にかかるお金を考えるうえでは、税金などを差し引き、実際に手元に残って使える手取り収入で計算すべきなのです。

額面年収から2割を引くと、手取り収入の目安が計算できます。例えば、年収600万円の家庭なら、次の計算式から手取り金額と、無理のない返済比率から年間の返済額が導き出せます。

600万円-(600万円×20%)=480万円(手取り金額)

480万円×20~25%=96万~120万円(年間の理想的な返済額)

上記の計算により、年間の返済額が96万~120万円であれば、毎月の返済額は8万~10万円程度が望ましいことがわかります。教育費、住宅ローン以外のローン支払い額、家族構成など、家庭それぞれに条件が異なるため、計算すべき要素は変わります。それぞれのライフスタイル、家計を家族で相談しながら、適切な返済比率を出していきましょう。

3. 住宅ローンの返済比率について考えるときの注意点

住宅ローン返済の途中で、返済比率が変動することがあります。例えば、世帯年収の増減は住宅ローンの支払に大きな影響を及ぼすでしょう。ここでは、返済比率を考える際の注意点をまとめてみました。

住宅ローン以外の借入を整理しておく

金融機関の審査で返済比率をチェックするうえでは、住宅ローン以外の借入も合算されます。そのため、借入にあたっては、自動車ローンや教育ローン、カードローンやスマートフォン端末の分割払いなど、借入の内容をチェックしておく必要があります。一般に、その他のローンの利息は住宅ローンよりも高い傾向があり、住宅ローン控除のような優遇施策もありません。住宅ローンを申し込む前には自己資金や諸費用、適用金利など、判断すべきポイントが多いものですが、「住宅以外」のローンを完済してその後の負担を減らす、という考え方もあります。

収入が減少する可能性も考慮する

収入の減少や支出の増加があっても平均して返済を続けられるよう、返済比率を指標に借入額を考えることが大切です。例えば、夫婦の共働き収入を前提に返済計画を組んだ場合、どちらかの収入が減ったときには家計に返済負担が重くのしかかってきます。いわゆる「2馬力」で返済していく際のメリット・デメリットを考える必要があるのです。家族の介護や病気などによって生活費が厳しくなるというケースもあるでしょう。現在の収入が将来にわたって維持できるかは未知数です。資金計画を立てる際には、長期のライフプランを見据え、慎重に考えていくことをおすすめします。

借入には返済比率以外の指標も考慮する

年収に対する年間返済額の割合が返済比率ですが、適正な借入かどうかを考える場合は、「年収倍率」という数値も参考になります。年収倍率とは、総返済額が年収の何倍になるかを表すもの。住宅ローンと物件価格を見極める際、年収倍率は一般的に7~8倍(年収の7~8年分)が目安とされています。年収が500万円の場合、3,500万~4,000万円程度が限度になります。

また、「完済年齢」も見逃せない指標です。これは、完済したときに何歳になっているかを示す数値です。例えば、民間金融機関の住宅ローンやフラット35では、完済時の上限年齢が80歳に定められています。しかし、65歳など定年退職後の返済方法となると、支給される年金や貯蓄を取り崩すことを迫られます。リタイア後の負担を考えると、完済年齢は慎重に逆算しなければなりません。

【年収別】住宅ローン借入額の目安と無理なく返済するためのポイント

4. 「返済比率」という数字は、長期にわたる住宅ローン返済の道しるべ

この記事では、住宅ローン借入額の目安となる返済比率を軸として、無理のない返済プランを立てるためのポイントを紹介しました。不動産を購入するだけあって、住宅ローンの返済は長期にわたります。借入時は、元金に加えて教育や介護などにかかる費用もシミュレーションし、家族全員のライフプランをトータルで考えていくことをおすすめします。

最長で35年にもなる長い借入期間の中では、ときに収入が減少して返済比率が上昇することがあるかもしれません。今後、経済や社会情勢の変動により、金利が上昇する可能性もあります。そのためのリスクヘッジとして、「頭金を増やす」「返済期間を長期に設定する」といった手段もあります。頭金を増やしたり、返済期間を長期にしたりすると、返済負担を軽減でき、不測の事態になっても余裕を持った返済が見えてくるでしょう。

佐々木 正孝

佐々木 正孝
(ささき まさたか)

編集/ライター。キッズファクトリー代表。教育・ビジネス系の記事を執筆しつつ、児童書の編集やマンガ原作も手がける。

編集/ライター。キッズファクトリー代表。教育・ビジネス系の記事を執筆しつつ、児童書の編集やマンガ原作も手がける。

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