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住宅ローンの連帯保証人とは?ケース別の対応とよくある疑問

掲載日:2022年3月25日

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不動産契約を結ぶ際に「保証人」が必要になることもある。これは皆さんもご存じのことでしょう。住まいを借りたり、お金を借り入れたりする時に、その存在を目にすることがありますよね。一般的な住宅ローンでは不要ですが、場合によっては「連帯保証人」が求められることもあります。少々重い響きのある「連帯」保証人とは……? 住宅ローンの利用を検討している方は、思わぬトラブルに遭遇することがないよう、一通りのポイントと注意点を押さえておきましょう。

1. 住宅ローンの連帯保証人とは?

「連帯」という重要ワードがついた連帯保証人。一般的な「保証人」とどのように異なるのでしょうか?

融資を受けた人が、その借入を契約通りに返済できなくなった場合、返済義務を負う――それが「保証人」です。「連帯」を冠すると、どのような意味合い、役割に変わってくるのでしょうか。連帯保証人とは「借主とほぼ同等」の立場。借主が返済できないとき、その返済をサポートするというよりも、すべてを肩代わりする約束をしたということになります。住宅ローンの債務者が何らかの事情で返済できなくなった場合、連帯保証人はどんな理由があっても返済の義務を負わなければなりません。

保証人と連帯保証人の違いを詳しく掘り下げてみましょう。大きな違いは、保証人には認められているのに連帯保証人には認められていない「3つの権利」です。それは次の通り。

  • 催告の抗弁権
  • 検索の抗弁権
  • 分別の利益

まず、「催告の抗弁権」がありません、債権者に返済を求められたら、連帯保証人は返済に応じなければなりません。これが保証人なら「まずは主債務者に返済してもらってください」と主張できます。そして、「検索の抗弁権」がありません。通常の保証人なら、主債務者に返済能力があれば、「まずは主債務者から返済してもらうか、財産を差し押さえてください」と主張できます。しかし、連帯保証人はその権利がないため、債権者から求められたら返済に応じなければなりません。「分別の利益」もありません。例えば、1,000万円の借金を保証人が肩代わりして返済しなければならなくなったとしましょう。保証人が2人いる場合、1人500万円までの責任しかありません。ところが、連帯保証人には1,000万円という金額を返済する義務があるのです。

原則的に住宅ローン契約に連帯保証人は不要

住宅ローンの契約に際し、銀行などから連帯保証人を求められることは基本的にはありません。それは、購入する住宅そのものが担保になるためです。物件が担保となるので貸し倒れするリスクは低くなり、連帯保証人が不要になるケースが多いのです。

現在、多くの金融機関では保証人の役割を代行する仕組みとして「保証会社」を利用しています。ただ、場合によっては連帯保証人の設定を求められることもあります。それは「夫婦などが収入を合算してローンを組む」「名義人と物件の名義人が異なる(親名義の土地に子が住宅を建てる、親子連携の場合など)」「ペアローンを組む」といったケースです。

また、連帯保証人と似た言葉で「連帯債務者」「連帯債務」もあります。住宅ローンの契約で連帯債務者が求められるのは、収入を合算して「フラット35」を利用するケースです。民間金融機関の住宅ローンでは、ほぼ連帯債務を求められることがありません。

2. 【ケース別】住宅ローンの連帯保証人に何かあったときの対応方法

連帯保証人になると、解除するのは用意ではありません。連帯保証人にトラブル、重篤な事態が起こった場合のデメリット、対処ポイントを考えてみましょう。

連帯保証人が死亡した場合

ここまで解説してきたように、連帯保証人は債務者とほぼ同じ立場になります。そのため、連帯保証人は基本的に法定相続人が相続することになります。相続手続きによってはその限りではなく、個別の相談が必要なこともありますが、多くの場合は新たな連帯保証人を立てる必要があります。

連帯保証人である配偶者と離婚した場合

離婚後の夫婦は他人になりますが、これを持って連帯保証人の解除にはなりません。それは、婚姻関係がイコール連帯保証人というわけではないからです。離婚時の協議書で「債務の返済はしない」と取り決めてあったとしても、連帯保証人から解除したり、変更したりできることはありません。連帯保証人の解除には金融機関からの承諾を得る必要があり、それは基本的に認められることがありません。

連帯保証人が自己破産した場合

金融機関の多くでは、連帯保証人が破産した場合は「期限の利益喪失」と認定されます。これは、借金を返済しなくて良い「期限の利益」をなくすこと。つまり、分割払いではなく、借金を一括で即時に返済しなくてはいけなくなるということを示します。ただ、これは「金融機関が一括で請求できる」ということを示しているだけであって、金融機関との相談によっては、従来続けていた分割返済が認められることもあります。ただ、一般的には新しい連帯保証人が必要になる可能性が高いでしょう。

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住宅ローンを夫婦で協力して組む方法とメリット・デメリット、注意点

3. 住宅ローンの連帯保証人に関するよくある疑問

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連帯保証人の知識を持っていても、「こんな時どうなる?どうしたらいい?」といった質問、悩みが出てくるかもしれません。まさかに備えたFAQをご覧ください。

どうしても連帯保証人を解除したい場合は?

住宅ローンの借換を行うしかありません。なぜなら、金融機関の承諾を得て連帯保証人を解除するのは容易ではないからです。ローンを借り換えることでその契約を終了、つまり連帯保証人を解除し、別の住宅ローンを契約するという方法です。

連帯保証人が死亡したら団体信用生命保険は適用されない?

団信(団体信用生命保険)とは、住宅ローンを返済している途中で、借主が亡くなったり高度障害等になったりした場合、本人に代わって生命保険会社が住宅ローンの残債を完済するという保険です。住宅ローンの利用条件として、この団信への加入を条件にしている金融機関が多くなっていますが、連帯保証人が死亡しても団信が適用されるわけではありません。団信は主たる債務者、つまり住宅ローンの借主しか加入できないためです。そこで困惑するのが、夫婦などで収入を合算してローンを返済しているケース。団信が適用されないため、連帯保証人に支払いの負担がのしかかり、返済が滞ってしまうリスクもあるでしょう。他の生命保険などの契約によってカバーし、安心のためのリスクヘッジを考えておきましょう。

4. 一般的には不要だけど、知っておいて損はなし

住宅ローンの連帯保証人は原則不要です。しかし、連帯保証人を求められるローンもあることを本記事では説明してきました。一度連帯保証人になると解除するのは困難です。住宅ローンのメリットを十分に活用するためにも、リスクをしっかり踏まえて、必要以上の負担、トラブルを防ぐようにしましょう。

佐々木 正孝

佐々木 正孝
(ささき まさたか)

編集/ライター。キッズファクトリー代表。教育・ビジネス系の記事を執筆しつつ、児童書の編集やマンガ原作も手がける。

編集/ライター。キッズファクトリー代表。教育・ビジネス系の記事を執筆しつつ、児童書の編集やマンガ原作も手がける。

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