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住宅ローンは頭金無しでも組める?フルローンのメリット・デメリット

掲載日:2022年1月31日

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住宅購入といえば「住宅ローン」と「頭金」。この2つをセットでプランを練っていくのが基本でした。住宅ローンの借入額を減らし、総返済額を抑えられるというメリットがあるからです。ただ、最近は「頭金無しでも家を買える時代」ともいわれます。実際に、住宅ローンを組む際に頭金ゼロの「フルローン」を考える人も少なくありません。

頭金はやっぱり必要なのでしょうか。それとも、フルローンならではの良さもあるのでしょうか。住宅ローンと頭金の関係をひも解きつつ、フルローンのメリット・デメリットを解説していきましょう。

1. 住宅ローンと頭金の関係

住宅を購入する際は、購入代金を住宅ローンと頭金で支払うのが一般的でした。頭金はいくら必要なのか、まずは頭金の定義、そして購入者の実態から見ていきましょう。

住宅購入で存在感を発揮する「頭金」

頭金とは、物件価格のうち、自己資金で賄う金額のことです。家を購入する際にかかる費用は「頭金+住宅ローンの借入額+諸費用」です。諸費用は不動産登記の費用、住宅ローンの手数料、保証料、事務手数料、印紙税など。この諸費用と頭金を合わせて「自己資金」と呼びます。自己資金は一般的に預貯金、そして親族からの贈与などを使うケースが多くなっています。頭金の有無によって、残った要素である住宅ローンの返済額、返済期間は大きく変わります。住宅ローンを組む際、つまり長期に渡る資金計画を練っていくうえでは、頭金は慎重に考えていかなければいけません。

平均の金額と割合は? 住宅購入者の頭金事情

頭金が多いほど住宅ローンの借入額は減ります。当然ながら、返済プランも無理がなくなり、安心度が高まっていきます。しかし、頭金は額面に決まりがあるわけではなく、必ず用意しなければならないものでもありません。現在のリアルな頭金事情を把握すべく、国土交通省が住宅市場の最新動向をまとめた「住宅市場動向調査」を見てみましょう。ここでリストアップするのは東京・愛知・大阪という三大都市圏の数字です。

初めて家を買った「一次取得者」の場合、購入価格における自己資金は20~37%が目安。諸費用と頭金を合わせて30%程度が平均値です。自己資金の平均は、新築マンションで1,124万円、新築戸建住宅で775万円、中古戸建住宅で876万円、中古マンションで818万円。諸費用と頭金で1,000万円前後を用意する傾向がうかがえます。

※出典:「令和2年度 住宅市場動向調査 報告書」(国土交通省住宅局)

2. 頭金無しで住宅ローンを組むメリット

住宅購入者の多くが頭金を用意していることが分かりました。そこで、フルローンにフォーカスします。頭金無しの住宅ローンにはどんなメリットがあげられるでしょうか。

スピード感を持った購入ならフルローンがおすすめ

頭金を用意するなら、計画立てた積み立てが大切になりますが、賃貸の家賃を払いながら貯蓄していくのは簡単ではありません。「マイホーム購入は1,000万円の頭金を貯めてから……」と考えていると、住宅取得のメドは遠のきがちに。絶好の物件があっても購入に踏み切れない可能性もあるでしょう。頭金のないフルローンなら、絶好の物件が見つかったらフットワーク軽く購入に踏み切ることができます。子供の誕生や進学、独立、親との同居といったライフスタイルの変化に合わせ、タイミングの良い住宅購入も可能になるでしょう。

頭金を抑えれば手もとに資金が残せる

貯蓄から頭金を捻出する場合、住宅ローンの借入額を減らせる一方で現金、預貯金など手もと資金も減ってしまいます。住宅を持つと固定資産税、不動産取得税の支払いが発生しますし、戸建ての場合はマンションと違って修繕積立がなく、メンテナンス、修繕の費用も準備しておく必要があります。さらに、進学などでかさむ教育費、病気やケガなどによる急な出費を想定すると、一定の貯蓄は確保しておきたいところ。

また、何らかの理由で収入が減ってしまった場合、月々のローン返済に行き詰まることが出てくるかもしれません。年収ダウンなどのリスクを考えて頭金を抑え、その分を備えに回すという考え方もあります。

住宅ローン減税の控除額がアップ

「住宅ローン控除」というキーワードもメディアをにぎわせていますから、注目している方も多いでしょう。「住宅ローン減税」とは、住宅ローンを利用しているマイホーム取得者に金利負担の軽減を図るための制度。要件を満たす住宅を購入し、所定の条件を満たした住宅ローンを組んだ場合、年末時点のローン残高の1%を所得税から控除できます。頭金がないフルローンは借入額が増えるため、控除額が大きくなり節税効果がアップ。還付金を貯蓄や固定資産税に回せるのは大きなメリットになるでしょう。

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住宅ローンの契約時に係る諸費用には何がある?金額を抑える方法

3. 頭金無しで住宅ローンを組むデメリット

もちろん、フルローンならではの注意点もあります。ここでは頭金を入れない場合のデメリットをあげてみましょう。

ローンの返済額が増える

銀行などの金融機関から頭金なしで住宅ローンを借り入れると借入額が増え、結果として利息もアップ。毎月の返済額の増加も避けられません。頭金を入れない分は、家計への確実な負担増をもたらします。

また、住宅ローンによっては頭金の有無で金利が変動するものもあります。住宅金融支援機構のフラット35は住宅購入総額のうち融資額が9割以下(頭金1割未満)の場合は適用金利が高めになり、住宅ローン審査の基準も厳格になることが明言されています。変動金利タイプを選択していたら、金利が上がった際の影響も大きくなります。総借入額が大きいため、金利の上昇が総支払額の増加に直結してしまうのです。

家を売る際にもリスクが発生

フルローンで借り入れした場合、住み替えなどで家を売却する際に問題が発生することもあります。頭金なしで借入金が大きくなれば、返済期間も長く設定されるでしょう。返済期間中も住宅の資産価値は減少していきます。つまり、住宅の価格は徐々に下がっていく傾向があります。住み続けるのなら不都合はありませんが、問題は返済期間中に売却したくなった場合です。

住宅ローンが残っている持ち家を売る場合、売却金でローン残債を支払うのが一般的です。しかし、残債の額が住宅の時価額を超えたら「オーバーローン(残債割れ)」。売却金だけでは完済できなくなるため、新たに資金を用意しなければなりません。

4. フルローンも選択肢に入れ、住宅購入は柔軟に考えて

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フルローンで住宅を購入する際のメリット・デメリットを見てきました。頭金があれば余裕を持った資金計画が組めて、それは大きな安心につながります。しかし、頭金に重きを置きすぎ、引っ越しや家具の購入代金で預貯金が底をついてしまっては本末転倒です。目先の出費にとらわれすぎず、「頭金:住宅ローンの借入額:諸費用」のバランスを考えて判断していきましょう。

そして、頭金が用意できないからといって住宅購入を先送りにしたり、あきらめたりすることもありません。「今しかない!」というタイミングが到来したら、フルローンでの購入も検討していくべきでしょう。メリット・デメリットを慎重に見極めて、場合によっては金融機関のシミュレーション、住宅ローンアドバイザーやファイナンシャルプランナーに相談してみてもいいでしょう。老後資金、家族のライフイベントも考慮しながら、安心・安全な住宅購入を考えていってください。

佐々木 正孝

佐々木 正孝
(ささき まさたか)

編集/ライター。キッズファクトリー代表。教育・ビジネス系の記事を執筆しつつ、児童書の編集やマンガ原作も手がける。

編集/ライター。キッズファクトリー代表。教育・ビジネス系の記事を執筆しつつ、児童書の編集やマンガ原作も手がける。

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