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住宅ローンの契約時に係る諸費用には何がある?
金額を抑える方法

掲載日:2021年8月6日

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住宅購入の際に、物件(土地や建物を含む)の金額以外にも、住宅ローンを利用する金融機関や保険会社などに支払う諸費用が発生することをご存知でしょうか?これらの諸費用を合計すると数十万円にもなるため、物件の金額とは別に用意しておく必要があります。さらに引越費用などもあり、最終的に一体どのくらいの金額を用意しておかなければならないのかと不安になりますよね。

そこで今回は、ファイナンシャルプランナーの新井 智美さんに「住宅ローンの契約時に係る諸費用にはどのようなものがあるのか」、そして「その費用を抑える方法はあるのか」について解説していただきました。

1. 住宅ローン契約時の諸費用とは?

一般的に住宅ローンを利用して住宅を購入する場合、物件の価格以外にも金融機関に支払う手数料や登記費用など様々な費用が発生します。これらの費用のことを「諸費用」といい、一般的な金額の目安は、住宅購入価格の3%~10%といわれています。ちなみに物件別の諸費用の目安は、以下の通りです。

物件別 住宅購入価格に対して
注文住宅・新築マンション 3%~7%
建売住宅・中古マンション・中古戸建住宅 6%~10%

注文住宅や新築マンションよりも、建売住宅・中古マンション・中古戸建住宅の方が諸費用が高くなる理由としては、固定資産税清算金や仲介手数料がかかるという点があげられます。

続いて、諸費用の項目詳細や金額の目安について見ていきましょう。

項目 内容の詳細および金額の目安
住宅ローン保証料

保証会社の利用にかかる手数料です。保証会社を利用しないネット金融機関やフラット35では不要となります。
保証料の支払方法には、金利に上乗せして分割で支払う「内枠方式」と一括前払の「外枠方式」があります。保証料の金額は借入額や借入期間によって異なります。

融資事務手数料(保証会社手数料)

住宅ローンの申込や契約にかかる手数料で、金融機関に対して支払うものです。費用の相場は、ネット銀行では「借入金額×2.2%(税込)」、都市銀行では「約33,000円(税込)」となっています。

なお、みずほ銀行のように融資事務手数料の代わりに、保証会社手数料が必要な場合もあります。みずほ銀行の保証会社手数料は33,000円です。

印紙税

住宅ローンの契約時には、金融機関と金銭消費貸借契約書を結びます。その際に、その契約書に書かれている金額(借入金額)に応じた印紙税を納める必要があります。印紙税は収入印紙を購入して契約書に貼付し、割印することで納付します。印紙税額は、借入金額が「1,000万円超5,000万円以下の場合であれば、2万円」、「5,000万円超1億円以下の場合であれば、6万円」となります。

団体信用生命保険料

住宅ローンを借り入れた人に万が一のことがあった場合、その後の返済を保障してくれるのが団体信用生命保険(団信)です。団信の保険料は取り扱う金融機関によって異なります。住宅ローンの金利に含まれていることが多いですが、保障内容が充実したプランに加入する場合は、金利の上乗せが発生することがあります。また、フラット35では団信加入が義務付けられていないため、加入を希望しない場合は金利が0.2%低くなります。

火災保険料および地震保険料

多くの人は火災や地震などに備えて、火災保険や地震保険に加入します。そして加入した保険会社に対し、保険料を支払います。保険料は建物の種類、構造、延床面積、補償内容、保険金額、保険期間などによって異なるので、一律ではありません。支払方法は年払のほか、まとめて10年一括前払という方法もあります。

不動産会社に対する仲介手数料

物件の購入にあたって不動産会社に仲介業務を依頼した場合は仲介手数料が発生します。
仲介手数料の上限額は法律で定められていて、例えば、物件の売買価格が400万円以上ならば、(物件価格×3%+6万円)×消費税が上限となります。

登記費用

住宅を購入した際、所有者となったことを証明するために、法務局で不動産の所有権の登記を行います。さらに住宅ローンを借りる場合は、抵当権の設定登記も行います。登記の際には、登録免許税を納める必要があり、その税額は所有権の場合、土地・建物の評価額(固定資産税評価額)に一定の税率(0.4%)をかけた金額となります。また、抵当権設定登記に係る登録免許税額は、融資額×0.4%となります。この登記業務については司法書士などに委託することが多く、別途その司法書士報酬が発生することも覚えておきましょう。

不動産取得税

不動産を購入した際に1度だけかかる税金で、税額は土地および建物の固定資産税評価額の3%となっています。不動産取得後、3ヵ月から半年を目安に都道府県から送付される納税通知書の内容に従って支払う形となります。
不動産取得税については軽減措置が講じられており、その詳細は以下の通りです。
●土地の軽減措置
固定資産税評価額×1/2×3%-軽減額
軽減額については、次のうちいずれか大きい方の金額となります。
(1)45,000円(税額が45,000円未満の場合にはその金額)
(2)土地1平米あたりの固定資産税評価額×1/2×住宅の床面積の2倍(200㎡が限度)×税率3%
●建物の軽減措置
床面積が50㎡以上240㎡以下の住宅であれば、固定資産税評価額から1200万円控除されます。

この他にも必要に応じて「固定資産税等精算金」や、マンションを購入した場合であれば「修繕積立基金」を支払うケースもあります。

2. 住宅ローン契約時の諸費用を抑える方法

住宅ローン契約時の諸費用を抑える方法

ここまでの説明で、「こんなに費用がかかるの?」と驚かれた人もいるかもしれません。しかし、これらの諸費用は、努力次第で節約することができます。以下の内容をしっかりと理解して、賢く節約するようにしましょう。

ローン保証料を節約する方法

諸費用の大部分を占めるのはローン保証料および融資事務手数料です。どちらも借入金額の多さと借入期間(返済期間)の長さに比例して金額が決まります。つまり借入金額を減らし、借入期間を短くすることで諸費用を抑えることができます。自己資金を貯めて頭金をできるだけ増やす、もしくは購入する物件の価格を見直すと良いでしょう。

他にも、利用する金融機関によってローン保証料と融資事務手数料に違いがあることも覚えておきましょう。

例えばネット銀行であれば、保証料を0円とする代わりに、融資額に一定の割合を乗じた金額を融資事務手数料としています。また、フラット35を利用する場合も保証料はかかりません。ただし、フラット35の場合は物件検査の費用がかかりますので、もしフラット35を利用する場合は物件検査費用がどれくらいかかるのか事前に確認しておくと安心です。

火災保険料を節約する方法

もう一つ見逃しがちなのが、火災保険料です。住宅ローンを利用する際に、金融機関がすすめする火災保険を契約してしまうのではなく、他の保険会社と比較することが節約の大きなポイントです。さらに補償内容を見て不要なものを外したり、勤務先で団体加入できる火災保険にしたりすれば保険料は安くなるでしょう。金融機関がすすめする火災保険への加入義務はありませんので、調べて納得のいく保険会社を選ぶことで、補償内容に見合った保険料に抑えることができるかもしれません。

合わせて読みたい

住宅ローンの団体信用生命保険とは?加入時の注意点とポイント

3. 住宅を購入すると発生するその他の諸費用

住宅は購入したら終わりではありません。住みやすさを維持するために様々な費用がかかります。では、それらの費用にはどのようなものがあるのでしょうか。

固定資産税および都市計画税

固定資産税は毎年1月1日現在の住宅など不動産の所有者に対して課税される税金で、4月~6月頃に不動産が登記されている自治体から1年分の納付書が届きます。また、都市計画税は都市計画法によって市街化区域内にある土地と建物に課税される税金で、こちらも固定資産税と同様に納付書が郵送されます。

修繕リフォーム費用(戸建ての場合)

住宅購入からある程度の年月が経てば劣化が出てくるため、メンテナンスをする費用が必要になります。また、家族が増えるなどライフスタイルに合わせてリフォームする費用も必要になるかもしれません。

管理費および修繕積立金(マンションの場合)

マンションでは共用部分の管理が必要になるため、毎月、管理費を支払う必要があります。また、10年~15年程度のサイクルで大規模修繕が行われることから、積立金も管理費と合わせて毎月支払うことになります。さらに、駐車場代も別途必要となることを覚えておきましょう。

4. 住宅ローンの諸費用についてのよくある質問

住宅ローンの諸費用についてのよくある質問

住宅ローンの諸費用については、以下の情報を事前に知っておくことで慌てずに対応することができます。しっかりと理解しておきましょう。

諸費用は住宅ローンの借入額に組み込める?

現在では多くの金融機関で諸費用を住宅ローンの借入額に組み込むことができます。しかし、その際には諸費用込みの借入額で審査に通らなければなりません。もしも、諸費用の額が多くなり、諸費用込みで借り入れができなかった場合は、「諸費用ローン」を組むこともできます。ただし、この「諸費用ローン」は普通の住宅ローンに比べて金利が2〜4倍以上高くなるため、できれば利用を避けたいところです。

また、一部の諸費用は借入額に組み込めないことがありますので、どの諸費用が組み込めるかは金融機関に確認しましょう。

諸費用を支払うタイミングはいつ?

諸費用の項目によって支払うタイミングは異なります。

諸費用の項目 支払いのタイミング
融資事務手数料 融資額から差し引かれる、または実行前
ローン保証料 融資が実行される際、または実行前
火災保険料 融資が実行される際、または実行前
司法書士への報酬 融資が実行された直後
登録免許税 融資が実行された直後
印紙税 金融機関と金銭消費貸借契約を結ぶとき
仲介手数料 不動産の引渡時

5. 諸費用を住宅ローンに組み込む場合は総返済負担率を考えよう

住宅購入の際には物件の価格以外にも様々な費用がかかります。もちろん、それらの費用を住宅ローンに組み入れることもできます。ただし、その際には総返済負担率を考えて利用するようにしましょう。

総返済負担率とは、年収に対する年間の住宅ローン以外のローンを含む返済額総額の割合のことです。諸費用を住宅ローンに組み入れることで、借入金額が大きくなり、その結果総返済負担率が大きくなると、毎月の支払いが負担になります。できれば総返済負担率は20%以下になるように抑えて、借入金額をいくらにするかを考えてください。その際には、これまで紹介してきた「諸費用の種類」や「諸費用をできるだけ抑えるポイント」をぜひ思い出して実践するようにしてくださいね。

新井 智美さんの写真

新井 智美
(あらい ともみ)

CFP(R)認定者/一級ファイナンシャルプラン二ング技能士/DCプランナー/住宅ローンアドバイザー/証券外務員等の資格を保有し、コンサルタントとしての個人向け相談の他、資産運用等上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

CFP(R)認定者/一級ファイナンシャルプラン二ング技能士/DCプランナー/住宅ローンアドバイザー/証券外務員等の資格を保有し、コンサルタントとしての個人向け相談の他、資産運用等上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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