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つなぎ融資とは?知っておきたい基礎知識と利用の流れ、注意点

掲載日:2022年10月18日

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住宅の購入や買い替えでは、住宅ローンや売却代金で購入資金をカバーします。しかし、主に注文住宅の場合、住宅の完成前に購入資金を用意しなければならないケースもあります。そこで着目したいのが「つなぎ融資」です。住宅を建築する前に必要な資金を立て替え、つなぎの役割をする融資で、資金繰りに困っている方に知っていただきたい手段です。ここでは利用する際のメリット・デメリットから利用する際の流れ、返済方法、利用する際の注意点までわかりやすく説明します。

1. つなぎ融資の基礎知識

住宅の購入代金に住宅ローンや売却代金を充てられない場合、助けてくれるのがつなぎ融資です。しかし、つなぎ融資の仕組みを把握しておかないと、トータルの支払額が割高になってしまう可能性もあるのです。つなぎ融資とは何か、そして利用するタイミングや分割融資との違いについて見ていきましょう。

つなぎ融資とは?

つなぎ融資とは、住宅の引き渡し前に発生する費用を支払うため、一時的に利用する融資のことです。住宅ローンは、完成した住宅を引き渡す際に融資が実行されます。つまり、住宅ローンは住宅が完成するまでは組むことができません。そのため、完成前に必要な資金は別に用意しなくてはならないのです。

つなぎ融資を利用することで、自己資金を拠出しなくてもこれらの費用を支払うことができます。つなぎ融資で借り入れた資金は、住宅ローンのように一定額ずつ返済するのではなく、住宅ローンの融資実行時にまとめて返済するのが一般的です。

つなぎ融資を利用するタイミング

つなぎ融資を利用するケースとして、まずは注文住宅の購入があげられます。建売住宅やマンションなどを購入する場合、売買契約締結時に手付金を支払い、引き渡し前に残金を決済します。

残金の決済まで住宅ローンが融資されるため、ここで多額の自己資金を拠出する必要はありません。しかし、注文住宅を購入する場合、土地購入の代金や建物工事の着工金、中間金(上棟金)などを支払い、最後に残金を決済することになります。ここで自己資金が十分に用意できるなら問題ありませんが、自分のお金だけでまかなえない場合にはつなぎ融資が役に立ちます。

住宅の買い替えにあたって、「買い先行」となるケースも、つなぎ融資が役に立つケースです。買い先行とは、住んでいた住居の売却前に新居を購入するパターンです。売却した後に新しい家を購入するのは「売り先行」です。売り先行の場合は売却代金を新居の購入費用に充てられますが、買い先行では購入資金を前もって確保しておかなければなりません。つなぎ融資によって購入資金が確保できれば、余裕を持った買い替えができるでしょう。

分割融資とは?つなぎ融資との違い

分割融資とは、住宅ローンの総額を複数回に分けて受け取れる融資のことです。通常の住宅ローンは建物が完成した後、引き渡しの際に融資が実行されますが、分割融資は完成前に融資を受けることができます。これにより、土地を購入する際や着工時、中間金の支払いに利用できるのです。

分割融資は土地や建物を担保に借入を行うものですが、つなぎ融資はハウスメーカーなどの宅建業者が保証することで、提携する金融機関が不動産の購入者に融資するものです。つなぎ融資は金融機関の住宅ローン審査を通過していることが前提で、住宅ローンの融資額がつなぎ融資の上限額になります。

分割融資とつなぎ融資との違い、それぞれの条件を把握してから契約を検討していきましょう。

2. つなぎ融資を利用するメリット・デメリット

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住宅ローンでは費用がカバーできないため、資金繰りが悩ましい……そこでつなぎ融資の利用を考えている方もいるでしょう。ただ、仕組みや特徴を把握する前にあわてて契約を急ぐのも考えものです。スムーズな住宅購入を進めていくため、つなぎ融資のメリット・デメリットも見ていきましょう。

メリット

注文住宅を購入する際、住宅の買い替えで買い先行を選択した場合は、住宅ローンや売却代金を支払いに充てることができません。そのため、費用を確保してから購入や買い替えに臨むことになります。しかし、必要な資金を自力で貯めるとなると、それなりの時間がかかってしまいます。

そこで、つなぎ融資を利用することで資金を一気に確保し、新居の購入に進むことができます。買い時を逃がさずに済むため、好条件の立地、家族が気に入った物件などを取得できる可能性も高まるでしょう。

デメリット

つなぎ融資は住宅を購入する際に利用する点では住宅ローンと同じです。ただ、住宅ローンと比べると金利が高く設定されているのが特徴です。つなぎ融資は住宅ローンの融資実行時に一括返済します。完済までの融資期間は利息を支払う必要があるため、借入期間が長くなるほど利息の負担が大きくなるのがデメリットといえるでしょう。

また、つなぎ融資は住宅ローンとセットで契約するのが一般的です。つなぎ融資を利用する条件として、住宅ローンとセットでの契約が盛り込まれるケースが多いためです。つなぎ融資を利用できる金融機関は限られるため、利用できる住宅ローンの選択肢が狭まってしまうことも知っておきましょう。

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3. つなぎ融資を利用する流れ

つなぎ融資を利用する際の一連の流れを紹介していきましょう。つなぎ融資は土地の代金や住宅建築の着工金、中間金等の工事代金を支払う際に利用することになります。その前のステップとしてつなぎ融資を組み込んでおくことで、スムーズな住宅建築を進めることができるのです。

ステップ1.資金計画を立てて、住宅メーカーや土地を探す

注文住宅を建てたいと考えたら、まずは住宅メーカーや不動産会社に相談し、建物建築の資金計画を立てることになります。家を建てるのは一大プロジェクトですから、余裕を持ったプランニングが欠かせません。複数の選択肢を用意して進めていくことも重要です。取得資金の予算を見積もったら入念に情報を収集し、複数のメーカーや工務店に見積もりの相談をしていきましょう。

ステップ2.つなぎ融資を使える金融機関を探す

金融機関によってはつなぎ融資に対応していないところもあります。また、つなぎ融資は住宅ローンの融資後に清算する仕組みになっており、住宅ローンとセットで利用する必要があります。つなぎ融資を検討する場合、住宅ローンの選定、検討の段階から金融機関に確認し、具体的な借入先を探していきましょう。

ステップ3.住宅ローン(本融資)とつなぎ融資の審査を受ける

住宅ローン、つなぎ融資の事前審査に臨みます。ここで書類を提出して本審査を申込み、審査に通れば契約を結ぶことができ、つなぎ資金が融資されます。つなぎ融資は住宅ローンをカバーするための融資ですから、金融機関は契約者が一定の条件を満たしているかで融資を判断します。

ステップ4.つなぎ融資で住宅ローン実行前に発生する支出を支払う

審査を通過するとつなぎ融資が実行されます。その融資額を土地の購入代に充てたり、着工金を支払ったりすることで工事がスタートします。いざ着工し、順調に工程が進んでいくと中間金の支払も発生します。そのタイミングに合わせて融資が実行され、その都度支払いの手続きを済ませていきます。

ステップ5.住宅ローンでつなぎ融資を返済する

住居が完成して登記登録を行い、建物の引き渡し時に住宅ローンの融資が実行されます。住宅ローンでつなぎ融資の精算が行われ、つなぎ融資は完済となります。ここで「つなぎ」の役割は終わり、以降の返済は住宅ローンのみになります。

4. つなぎ融資の利息分の返済方法

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つなぎ融資の元金は住宅ローンの融資時に一括で返済することになりますが、利息を支払う方法、タイミングには3つのパターンがあります。金融機関によって異なるので、あらかじめ確認しておきましょう。

つなぎ融資の借入時点で利息を全額前払いする

つなぎ融資の借入時に利息を全額前払いするという方法です。利息分が差し引いてつなぎ融資が入金されるため、そこで足りない分は自己資金でカバーする必要があります。事前のやりくりを考えておきましょう。住宅ローンの借入金額につなぎ融資の利息が含まれないため、返済の負担を軽減できます。また、つなぎ融資の利息も低めになります。

住宅ローンの本融資実行時に元金と利息をまとめて返済する

つなぎ融資の元金は住宅ローンの本融資が実行される際に返済しますが、この時に利息も合わせて返済するという方法です。住宅が完成するまでつなぎ融資の元金、利息を返済する必要がないため、住宅ローンの支払が始まるまでの経済的な負担は抑えられます。ただ、住宅ローン本融資の借入額は大きくなるのがデメリットです。

つなぎ融資の利息のみ住宅ローン実行前に毎月返済する

住宅ローンの本融資が実行されるまで、つなぎ融資の利息分のみ毎月返済していくという方法です。住宅ローンの支払いが始まるまで利息分の支払いが必要になるため、その分の自己資金を確保しておく必要があります。利息分の返済は住宅ローンの本融資実行までに終わるので、住宅ローンの借入金額につなぎ融資の利息分が含まれず、以降の返済額を抑えることができます。

5. つなぎ融資を利用する際の注意点

つなぎ融資を利用する際は、以下の3つのポイントに注意しておきましょう。ここでは、それぞれの注意点について詳しく考えていきます。

  • 住宅ローン控除は利用できない
  • つなぎ融資と住宅ローンの両方で諸費用がかかる
  • 資金の受け取り回数や融資上限は金融機関によって異なる

住宅ローン控除は利用できない

住宅ローンを利用する際の大きなメリットが住宅ローン控除です。住宅ローン控除とは、一定の条件を満たしていれば、所得税からの控除が受けられる制度です。

住宅ローン控除を利用するには新築または取得の日から6ヵ月以内に物件に居住し、12月31日まで住み続ける必要があります。しかし、つなぎ融資は住宅ローンと違って住宅の「引き渡し前」の費用に充てられるものです。住宅ローン控除の利用条件を満たしていないため、住宅ローン控除は利用できません、この点は前もって理解しておきましょう。

つなぎ融資と住宅ローンの両方で諸費用がかかる

住宅ローンを利用する際は印紙代や事務手数料、融資事務手数料、ローン保証料などの諸費用がかかります。契約本数が住宅ローン一本の場合は、こうした諸費用は最小限で抑えられます。しかし、つなぎ融資を利用すると契約本数が二本になるため、それぞれに諸費用が発生します。諸費用が増えることで前もって用意しておく資金が増えることを十分に理解し、つなぎ融資を検討していきましょう。

資金の受け取り回数や融資上限は金融機関によって異なる

注文住宅を購入する際は、土地の購入代金や建物工事の着工金、中間金(上棟金)などの費用をハウスメーカーや工務店に支払います。つなぎ融資の入金を複数回に渡って希望する場合、最大何回まで可能なのか、事前に金融機関に確認しておきましょう。

金融機関によっては最大の受け取り回数が決まっているだけではなく、合計の融資限度額、一回あたりの上限金額が定められているところもあります。これらの条件を踏まえずにつなぎ融資を契約した場合、希望する支払い回数、上限額と合致しないことも出てくるでしょう。つなぎ融資を検討する際は、複数の銀行を比較してシミュレーションを。目安になる金利はもちろんですが、希望の条件を満たしているかどうかをチェックしてから契約するようにしましょう。

6. 注意点を理解し、つなぎ融資の強みを生かした活用を考えましょう

名前通り、注文住宅を購入する際の資金をワンポイントで支える「つなぎ」の役割を果たしてくれる融資について紹介してきました。悩ましい資金繰りを支える頼もしい存在ですが、「利息の支払い」「回数や上限額の制限」「諸費用の発生」など、計算しておくべき注意点があります。住宅ローンと合わせて資金計画にしっかり組み込んでおかなければならないことがわかりますね。自己資金や住宅ローンの支払総額とセットで考え、プランニングしていくことがおすすめです。つなぎ融資をスマートに使いこなし、住宅建築をスムーズに進めていきましょう。

(*)みずほ銀行では、他社のつなぎ融資を利用して融資対象物件にかかる土地購入代金・建物建築資金の一部および土地購入・建物建築にかかる諸費用の支払いを行ったことがつなぎ融資の契約書等から確認できる場合は住宅ローン借入金額につなぎ融資の返済資金を含めることが可能です。

矢野 翔一さんの写真

矢野 翔一
(やの しょういち)

2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)/宅地建物取引士/管理業務主任者の資格を保有し、不動産賃貸業、学習塾の経営に携わりながら自身の経験と保有資格の知識を活かしながら専門家ライターとして金融関係、不動産全般の記事執筆に携わる。

2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)/宅地建物取引士/管理業務主任者の資格を保有し、不動産賃貸業、学習塾の経営に携わりながら自身の経験と保有資格の知識を活かしながら専門家ライターとして金融関係、不動産全般の記事執筆に携わる。

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