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住宅ローンの変動金利の仕組みや特徴は?メリット・デメリットを比較

掲載日:2022年11月29日

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マイナス金利政策における空前の低金利もあり、住宅ローンを利用する際は「変動金利」を有力な選択肢として考える方が多くなっています。返済期間が長くなる住宅ローンは支払う金額も大きくなるため、金利が変動すると返済プランに大きな影響を及ぼすことがあります。ここでは変動金利の特徴とメリット・デメリット、向いている人・向いていない人について解説します。住宅購入にあたってトータルの費用を見すえ、安心な返済プランを立てるためにも、ぜひチェックしてみてください。

1. 住宅ローンの変動金利の特徴

住宅ローンの金利は、変動金利と固定金利(一定期間中の金利が固定される固定金利選択もあり)の大きく二種類に分けられます。住宅ローンにおける金利優遇の施策もあり、多くの金融機関で優遇金利を採用しているのも魅力的です。ただ、何となく変動金利を選択した場合、返済負担が増して返済計画に支障が生じることもあります。安心して住宅ローンを利用するためには、変動金利をよく理解してから契約することが大切です。まずは、変動金利とは何なのかを知っていきましょう。

住宅ローンの変動金利の仕組み

変動金利とは、返済期間中に適用金利が上昇・下落する可能性のある金利タイプです。適用金利が決定される条件は金融機関によって異なりますが、半年に一度見直されるのが一般的です。変更された金利が返済額に反映されるタイミングは、返済方式によって以下のように異なります。

  • 元利均等返済:5年ごとに返済額が見直されるケースが多い
  • 元金均等返済:金利の変更に合わせて返済額が見直される

元利均等返済には、最短でも5年ごとに返済額を見直す「5年ルール」と、金利の見直しによって返済額が増加する場合の一回の上昇幅は125%までという「125%ルール」が設けられています。ただ、一部の金融機関は元利均等返済でもあっても5年ルール、125%ルールを用意していない場合もあります。新規の住宅ローンを申し込みする際は、金融機関ごとの違いをよく確認してから相談するようにしましょう。

一方、元金均等返済では金利が変更されたタイミングで返済額も変わります。元利均等返済で設けられている5年ルール、125%ルールは適用されないことを念頭に置いておきましょう。

変動金利と固定金利の違い

固定金利とは、返済期間中の適用金利が一定になる金利タイプです。変動金利のように、一定期間で金利が見直されることはありません。融資実行のタイミングで返済総額や総利息額が確定するため、金利の変動に影響を受けずに済みます。これが変動金利との大きな違いです。

ただ、政策金利が引き下げられても住宅ローンでは金利引下げがないため、その恩恵を受けることができません。また、変動金利より金利が高く設定される場合が多いのも注意点です。

2. 住宅ローンで変動金利を選ぶメリット

住宅ローンで変動金利を選ぶメリット・デメリット

固定金利よりも金利が低く設定されているケースが多く、住宅ローンでは変動金利が有力な選択肢になります。まず、変動金利のメリットに焦点を当ててみましょう。

固定金利よりも当初の金利が低めに設定されている

固定金利と比べると、変動金利は借入した当初の金利が低い傾向があります。近年はマイナス金利政策により、金融機関が低金利の融資を実行しており、金利の状態が低水準で推移していることは見逃せません。今後も金利が低水準のまま推移した場合、固定金利より変動金利を選ぶ方が返済額を抑えられる可能性があります。

金利が下がった場合には利息の支払額が減る

変動金利は政策金利の水準と連動して金利が変動し、利息の支払額が変わります。つまり、毎月の住宅ローン支払額も減ることになります。これは変動金利の大きなメリット。現在は金利水準が低めのまま推移しています。今後、金利水準が大幅に引き下げられることは考えにくいですが、金利が高い時点で借り、その後で金利が下がったとしたら、支払額を減らせる可能性があります。

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3. 住宅ローンで変動金利を選ぶデメリット

変動金利型の住宅ローンに向いている人の特徴

変動金利のメリットをリストアップしてみましたが、リスクや注意すべきポイントもあります。状況によっては利息が増し、元金が返済できなくなってしまうとおそれもあります。デメリットも把握したうえで検討していきましょう。

将来的に金利が上昇して支払額が増えるおそれがある

変動金利の場合、金利が下がれば、その恩恵を受けて返済額を抑えることができます。しかし、金利が上がれば返済額も増えることになります。

近年の住宅ローン金利の推移を見てみると、2009年から2022年10月まで、10年以上に渡って大きな変動はありません。しかし、アメリカやイギリスでは2022年に金利が上昇したという事実もあり、利上げを視野に入れた今後の金融政策を正確に見通すことはできません。住宅ローンは返済期間が長いため、返済に支障が生じることがないように長期的にプランニングしていかなければなりません。金利の変動によって返済額がプラスにもマイナスにも振れる可能性があるからです。固定金利と比較すると、長期的かつ正確な返済計画を立てにくいのは変動金利のデメリットといえるでしょう。

利息の返済が増えて元金が減りにくくなるおそれがある

金利が上昇した際のデメリットは支払額が増えることだけではありません。利息の返済も増えることで、元金が減らなくなってしまうという可能性もあります。

先に解説した通り、変動金利には「125%ルール」があり、支払額の増加には一定の限度があります。しかし、金利水準が大幅に上昇すると、返済する利息の金額も増えます。ただ、毎月の支払額の上昇は125%が限度なので、金利が急上昇すると元金の返済額を減らして、利息を返済できるように内訳を調整することになります。つまり、毎月の支払額の中で利息ばかりを返済することになり、元金が一向に減らない状況に陥ってしまうおそれがあるのです。

返済期間終了時に未払利息が残るおそれがある

前項で利息の返済額が増え、毎月の支払額がすべて利息に充てられてしまうという可能性に触れました。こうして、金利水準が大幅に上昇すると元金の減りが遅くなるどころか、毎月の返済だけで利息の全額を支払うことができなくなる可能性があります。その結果、返済期間の終了時に未払いの利息が残ってしまうことも有り得るので。住宅ローンの返済期間は延長が認められないため、残債は一括で返済することになってしまいます。借入額と年収、借入金利を比較しながら、借換を検討することも選択肢に入れておいたほうがいいでしょう。

4. 変動金利の住宅ローンに向いている人と向いていない人の特徴

変動金利のメリットとデメリットを把握したものの、最終的に変動金利に決めかねる、という方もいらっしゃるでしょう。安心して契約に臨んでいただくため、変動金利の住宅ローンに向いている人の特徴を整理してみました。

変動金利の住宅ローンに向いている人

・借入当初の返済額をできるだけ抑えたい人
金利を比べると、固定金利より変動金利の方が一般的に低く設定される傾向にあります。

例えば、みずほ銀行の2022年11月1日現在のみずほ銀行ネット住宅ローンの両者の金利(基準金利)は以下の通りです。

  • 変動金利:年0.375%
  • 固定金利:年1.55%

3,000万円を返済期間35年の元利均等返済で契約した場合、試算した返済額は以下のようになります。

  • 変動金利:3,201万6,180円※
  • 固定金利:3,888万7,800円
  • シミュレーションの都合上、変動金利は35年間0.375%で推移したと想定

変動金利の返済額の方が680万円程度少なくなっており、固定金利よりも変動金利の方が返済額を抑えられることが分かります。つまり、当初の返済額を抑えたい方は変動金利が向いているといえるのです。ただ、デメリットの項で解説したように、変動金利の金利が上昇した場合、最終的な返済額は固定金利を上回る可能もあります。

・借入期間が短い人
借入期間が短い方は変動金利に向いているといえます。なぜなら、借入期間が長いほど、金利変動が生じるリスクが高まるからです。借入期間が短ければ、金利が上昇しても影響を受けにくくなります。金融機関が5年ごとに返済額を見直す5年ルール、上昇幅を最大で125%までとする125%ルールを設けている場合は、借入期間が長かったとしても、返済の負担が一気に増す懸念を軽減することができます。

・将来の返済額増加に耐えられる資金力のある人
金利が将来的に上昇して返済額が増えることになった場合、当初想定していた返済額に上乗せされ、返済プランを再考しなければならなくなることもあります。このため、返済額が増えても支払いを継続できる資金力がある場合、変動金利に向いているといえます。長期的に考えても、返済計画に支障が生じるリスクが低くなるからです。

金利が上昇したとしても、5年ルールを所定として設けている金融機関であれば、毎月の返済額がすぐに増えるわけではありません。返済する本人の収入、資金力に余裕がある場合、それまでに繰上返済を行うことで返済期間を短縮するという対処が可能です。繰上返済手数料、事務手数料などの問題はありますが、返済方法のオプションを考えることで、金利上昇リスクを最小限度に抑えられるのです。

変動金利の住宅ローンに向いていない人

・変動する金利の動向を確認するのが面倒な人
デメリットの項で解説した通り、金利の上昇によって「返済額の増加」や「未払利息が残ってしまう」といったリスクが生じることもあります。このため、変動金利を選択した場合は、最新の金利動向に注意を払い、定期的にチェックしておく必要があります。新規借入にあたり、こうした確認・判断の手間が面倒だと感じてしまう場合、金利が一定の固定金利が向いているといえるでしょう。

・返済期間が長い人
住宅ローンは一般的に35年を上限として借り入れ、ローン残高を長期間で返済していくことが多くなります。ただ、返済期間が長引くほど、金利の変動リスクは高まります。返済期間が長い場合、金利が上昇した際の影響が直撃することが考えられるため、変動金利を選択するとデメリットが目立つことにもなりかねません。返済が長期になるほど、固定金利の方が向いているといえます。

・月々の返済額に余裕がない人
金利が上昇しても対応できる余剰資金がない場合、変動金利を選択すると支払いが困難になるケースも考えられます。金利が低いため魅力に見えますが、長期的な視点に立てば、月々の返済額に余裕が無い方には推奨しにくくなります。金利が上昇した際、返済が困難になるリスクが高まるからです。安心して返済できるプランニングを考えれば、借入時に金利が高かったとしても、利息が増えるおそれのない固定金利の方が向いているといえます。

5. 変動金利の特徴を把握したうえで住宅ローンを検討しよう

メリットとデメリットを挙げ、変動金利に向いている人・向いていない人を整理してみました。変動金利は、固定金利に比べて金利が低い点が圧倒的な魅力です。しかし、国際情勢や経済情勢が不安定と言われている今、日銀の金融緩和も修正を迫られており、住宅ローンの金利を左右する長期金利は不透明。完済時までの住宅金融事情を見通せません。変動金利は金利が上昇した場合は返済額が大きくなるというデメリットを見過ごすことはできないのです。

金利の変動を見すえて頭金を考え、返済額が増えても完済まで対応できる余剰資金があるかどうか、チェックすることが大切です。また、変動金利を選択する場合は、金利が上昇した際を想定して借入額をシミュレーションし、総返済額がどれだけになるかを計算しておくのがよいでしょう。主要銀行はWEB上の公式サイトで無料のシミュレーションを充実させています。申込契約から時が経ち――最後に「こんなはずじゃなかった」と嘆くことがないよう、本記事で変動金利の詳細とメリット・デメリット、並び方を把握し、自分が向いているかどうか、よく理解してから借り入れて、契約に臨むようにしましょう。

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矢野 翔一
(やの しょういち)

2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)/宅地建物取引士/管理業務主任者の資格を保有し、不動産賃貸業、学習塾の経営に携わりながら自身の経験と保有資格の知識を活かしながら専門家ライターとして金融関係、不動産全般の記事執筆に携わる。

2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)/宅地建物取引士/管理業務主任者の資格を保有し、不動産賃貸業、学習塾の経営に携わりながら自身の経験と保有資格の知識を活かしながら専門家ライターとして金融関係、不動産全般の記事執筆に携わる。

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