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住宅ローンの団信って何のこと?
種類や選び方、よくある質問への回答

掲載日:2021年8月6日

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住宅ローンを利用するときに、ほぼ必須で加入をする「団信」。団信という言葉にはあまりなじみがない……という方は多いと思いますが、団信にはいくつかの種類があるのを知っているでしょうか?最近では、病気による死亡や高度障害はもちろんのこと、がんと診断された場合に保障される特約が付加されたタイプの団信も増えています。

そこで今回は、団信の機能や、各種団信の選び方、団信に関するよくある質問についてファイナンシャルプランナーの金子 賢司さんに解説いただきました。

1. 住宅ローンの団信(団体信用生命保険)とは?

住宅ローンを利用する際、必ずと言っていいほど金融機関から団信(だんしん)への加入が求められています。では、いったい団信はどのような役割を果たしているのでしょうか?

団信の保障内容

団信は債務者が死亡・高度障害状態となった場合に生命保険としての役割を果たします。具体的な適用範囲については、保障内容によって異なります。

保険会社から銀行に支払われる

保険金は団信に加入をしている契約者ではなく、保険会社から金融機関に支払われることで残債が完済されるという仕組みです。

団信の加入には告知が必要

団信に加入をするためには、申込時の健康状態を告知しなければなりません。告知内容によっては団信に加入できないこともあります。もし持病等の理由で団信に加入できない場合は、住宅ローンを利用することができません。その場合は、引受条件が緩和された、ワイド団信への加入を検討するか、団信の加入を要件としない住宅ローン、フラット35を活用する方法があります。

フラット35とは?

フラット35とは、住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して扱う「全期間固定金利の住宅ローン」です。フラット35では、団信の加入を要件としていないため、団信に加入できなくても住宅ローンを利用できます。

また、フラット35は任意で団信に加入することも可能です。加入を希望するのであれば、住宅金融支援機構で取り扱っている機構団信を利用するか、民間の生命保険に加入をするといいでしょう。ただし、機構団信も、民間生命保険と同様に告知をする必要がありますので、健康状態によっては加入できないことがあります。

団信は追加料金なしで加入できる

一般の団信ではほとんどの場合、保険料があらかじめ金利に上乗せされているため、追加で保険料がかからないのが一般的です。

生命保険との違い

通常の団信と、生命保険ではどのような違いがあるのでしょうか?

保険料が一律

通常の生命保険は、性別や加入時年齢によって保険料は異なりますが、団信保険料は一律となっています。

保険金は、保険会社から金融機関に直接支払われる

生命保険は、保険金受取人に支払われますが、団信の場合は保険会社から金融機関に直接支払ます。

団信は生命保険料控除の対象にならない

団信は生命保険ですが、生命保険料控除の対象にはなりません。

2. 住宅ローンの団信の種類

住宅ローンの団信の種類

ほとんどの金融機関では、死亡・高度障害の保障だけでなく、一般の団信に特約を付加した拡充プランを用意しています。以下の章で団信の主な特約についてご紹介しますので、自分たちの保険選びの参考にしてください。なお、特約保険料は金利に上乗せするタイプのものや、通常のローンとは別に月払いで支払うタイプのものがあります。

がん団信

所定のがんと医師によって診断確定された場合、住宅ローンの借入残高が0円になるという特約付きの団信です。なお、団信の保険開始日より前にがんと診断確定されていた場合や、保険開始日から90日以内に診断確定されたがん、または上皮内がんや非浸潤がん(※1)、大腸の粘膜内のがん、および皮膚の悪性黒色腫以外の皮膚がんは対象外となります。

(※1)非浸潤(ひしんじゅん)がん…がん細胞が増殖して、乳管の壁を破って周辺の組織まで広がった状態を浸潤といい、まだ乳管や小葉の内部に留まっているものを非浸潤がんといいます。

三大疾病保障付団信

通常の団信の保証範囲に加えて、悪性新生物(がん)、急性心筋梗塞、脳卒中といった三大疾病に該当した場合にローン残高が完済されるのが、三大疾病保障付団信の特徴です。

八大疾病保障付団信

前述の三大疾病に加えて、高血圧・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎の5つの重度慢性疾患も加えた八大疾病保障付団信もあります。就業不能期間中は最長1年間などの期間を限度に毎月の住宅ローンの返済額が保険金として支払われ、さらに就業不能状態が継続する場合には残りのローンのうち全額や半額など、約定によって予め決められた分が支払われます。なお、毎月支払われる保険金はローンの債務者が受け取り、完済をするときの保険金は、金融機関が受け取るのが通常です。

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住宅ローンの団体信用生命保険とは?加入時の注意点とポイント

3. 住宅ローンの団信の選び方

団信はどのように選んでいけば良いのでしょうか?選び方についてご紹介します。

そもそも団信は必要か?

どの金融機関であっても、住宅ローンを利用する際には団信に加入する必要があります。ただしフラット35を利用すれば、団信に加入しなくても住宅ローンを組むことは可能です。しかし、債務者に万が一のことが起こった場合は、残債を引き継ぐことになるので、慎重に検討する必要があります。

団信の特約は必要か

それでは、三大疾病保障、八大疾病保障は加入した方が良いのでしょうか?特定の状態になった場合には保険が適用されるので、特約を付加することで万が一に備えられます。既に加入している生命保険や医療保険も考慮に入れて加入を検討すると良いでしょう。ただし、特約を付加すると金利が上乗せされる場合があります。具体的にどの特約を選ぶか迷ったときは、返済シミュレーションを基に、支払に無理がないか検討してみましょう。

加入している生命保険も合わせて検討

団信に加入をすると、現在加入している生命保険と保障内容が重複するケースも少なくありません。そのため、民間の生命保険のうち、死亡保障に関しては見直しを検討する必要がありますが、がんや三大疾病に関しては注意が必要です。

がん団信や、三大疾病保障付団信等で保険が支払われるのは、住宅ローンの残債のみで、入院費用等は保障されていません。一部では、入院を保障している団信もありますが、疾病、ケガ、がん等の手術代や入院代は別途必要となることを心得ておきましょう。

また、住宅ローンの返済が終われば、団信の保障はなくなります。団信を返済した後の入院代、手術代等の準備も生命保険と並行しながら検討する必要があるでしょう。死亡保障についても、いくら団信に加入しているからといって、全くゼロにしていいとは限りません。保証する必要がなくなったのは住居だけですので、その他の生活費、教育費等についても想定しておきましょう。

4. 住宅ローンの団信についてのよくある質問

住宅ローンの団信についてのよくある質問

ここでは、団信のよくある質問についてご紹介します。

団信の加入年齢に条件はある?

一般的に団信は、70歳まで申込み(完済時年齢が80歳まで)を取扱う金融機関がほとんどです。しかし、団信の特約については、加入対象年齢や終了年齢の両方が定められています。

団信の内容は住宅ローン返済中に変更できる?

団信は通常、一度加入すると契約内容を変更することができません。変更する可能性がある場合は、住宅ローンとは別に月払いで団信の特約保険料を払う商品もありますので、知っておくと便利でしょう。

5. 団信は現在加入中の生命保険とセットで検討

団信には一般の団信の他、三大疾病保障付、八大疾病等、保障範囲をさらに拡充できる特約もありますが、住宅ローンの返済が終了すれば保障もなくなってしまうため、並行して、民間の生命保険の見直しをすることが大切です。その際には、双方のメリットが生かせるような保険を検討するといいでしょう。

金子 賢司さんの写真

金子 賢司
(かねこ けんじ)

ファイナンシャルプランニング技能士1級と同等資格のCFP®や、生命保険資格の最高峰であるTLCを持ち、日本FP協会道央支部に幹事として所属。2017年以降は、確定拠出年金・生命保険・ライフプランに関するセミナーを年間50~100件開催。北海道新聞にもコラム掲載の経験があり、執筆活動にも力を入れている。

ファイナンシャルプランニング技能士1級と同等資格のCFP®や、生命保険資格の最高峰であるTLCを持ち、日本FP協会道央支部に幹事として所属。2017年以降は、確定拠出年金・生命保険・ライフプランに関するセミナーを年間50~100件開催。北海道新聞にもコラム掲載の経験があり、執筆活動にも力を入れている。

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