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土地の購入に住宅ローンは利用できる?
使える融資の種類と契約の流れ

掲載日:2021年8月6日

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注文住宅のように、土地を購入してから建物が建つまでに時間がかかるような場合、土地のみを先に購入しなければならないことをご存知ですか?土地のみを購入する場合には、住宅ローンを利用することができません。そこで、このときに利用できるのが、つなぎ融資や土地先行融資です。

これらの融資は住宅ローンとは異なり、あまり聞きなれないので、利用を少しためらっている方もいるのではないでしょうか?そこでこの記事では、ファイナンシャルプランナーの金子 賢司さんに土地の購入時に利用できる融資の種類や、手続きについてご紹介していただきました。

1. 土地の購入に住宅ローンは利用できる?

土地の購入に住宅ローンは利用できる?

各金融機関で取り扱っている住宅ローンは、以下の目的で利用するときのみ利用することができます。

  • 自分が住むための住宅購入資金や建築資金
  • 自分が住むための住宅の増改築資金
  • 住宅ローンの借換資金

住宅ローンが利用できるのは、自分が住むための建物を建築、購入、増改築、借換をするときに限られます。そのため、上記の理由を伴わない、土地のみの購入などに住宅ローンを利用することはできません。

しかし、購入する建物が注文住宅のような場合は、問題が生じますよね。注文住宅は土地購入から家を建てるまでの期間が長く、その間に以下のような費用が発生するからです。

  • 工事の着工時に支払う着工金
  • 上棟時(建物の骨組みが完成したとき)に支払う中間金
  • 竣工時(完成したとき)に必要な竣工金の支払い

ところが住宅ローンは、家が完成して引き渡しの段階で融資が行われ、融資された金額を用いて建物の代金を支払うという流れが一般的です。仮に建築費用が数千万単位でかかり、着工金や中間金がそれぞれ建築費用の30%がかかったとしても、建物がまだ完成していないので住宅ローンは利用できないことになります。

このように、建物完成前の着工金や中間金は、どうやって用意すれば良いのでしょう?

2. 土地の購入に利用可能なローンの種類

土地を購入する際に利用できる融資としては、主に「つなぎ融資」と「土地先行融資」の2つがあります。

つなぎ融資

つなぎ融資はその名の通り住宅ローンまでの「つなぎ」の役割を果たすもので、先に述べた着工金や中間金を一時的に立て替えて、住宅ローンが実行されたタイミングで返済をするという仕組みです。

つなぎ融資のメリットとデメリットは以下の通りです。

つなぎ融資のメリット

1.自己資金が少なく済む

土地の購入代金も融資が利用できるため、自己資金が少なくても注文住宅を購入することができるというメリットがあります。

2.諸費用が安い

抵当権の設定が必要ないため、登記費用などの諸費用が抑えられます。

3.無担保で融資が受けられる

抵当権の設定が必要ないということは、無担保で融資が受けられることになります。

つなぎ融資のデメリット

1.金利は高め

つなぎ融資は抵当権を設定する必要がなく、無担保で融資をすることになるため、金融機関にとってはリスクの高い融資です。そのため、金利が高めに設定されることが多いでしょう。

2.住宅ローン控除を受けることができない

つなぎ融資では、住宅ローン控除を利用することができません。

合わせて読みたい

つなぎ融資とは?知っておきたい基礎知識と利用の流れ、注意点

土地先行融資

文字通り建物の融資に先立って、土地代金の融資を先行して受けることができるローンのことです。なお、土地先行融資は受けることができても、住宅ローンの審査に通らない可能性もあるため、土地と建物の資料を同時に提出して合計借入額で審査されるのが一般的です。

土地先行融資のメリットとデメリットは以下の通りです。

土地先行融資のメリット

1.金利が低い

土地先行融資は土地に抵当権を設定する必要があります。担保があるため、つなぎ融資に比べて金利が低くなります。

2.住宅ローン控除が受けられる

建物が完成している、土地と建物の名義が同一人物などの要件を満たすと住宅ローン控除を受けられることがあります。

土地先行融資のデメリット

諸費用が高い

土地に抵当権を設定する必要があるため、諸費用がつなぎ融資よりも高めになります。

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住宅ローンの選び方│自分に合った商品を選ぶための5つの観点

3. ローンを利用して土地を購入するときの流れ

ローンを利用して土地を購入するときの流れ

つなぎ融資や土地先行融資を利用して土地を購入するまでの流れについても確認しておきましょう。

土地の評価を行う

つなぎ融資、土地先行融資いずれの場合も、土地の評価を行うことで融資額が決まります。なお、土地の評価基準は4種類あります。

公示地価

国土交通省が年に一度発表していて、一般的な土地売買の指標となる数字です。都市計画区域内を主な審査対象としています。

基準地価

全国約2万ヵ所の基準地の標準価格のこと。都市計画区域外も価格審査の対象としています。

路線価

市街地の路線(道路)に面する土地1平米あたりの評価額を算出する基準となる数値のことをいいます。国税庁から一度発表されます。公示価格の80%程度の評価になるのが一般的です。

固定資産税評価額

不動産にかかる固定資産税を計算するために利用され、国と自治体によって定められます。公示価格の70%程度の評価となるのが一般的です。

買付証明書を不動産会社に提出

購入したい土地を見つけたら、不動産会社に購入の意思を伝える意味で買付証明書を提出します。正式な契約書ではないのでキャンセルも可能で、この段階で手付金などの金銭が発生することはありません。

住宅ローンの事前審査

住宅ローンを利用する場合は、この時点で建築する建物の図面や見積書を提出して、金融機関に事前審査を申し込みます。事前審査に通れば、本審査でも同様の金額の融資を受けることができます。

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売買契約の締結

不動産会社から重要事項説明を受け、内容に問題なければ署名、捺印をして契約が成立します。

4. ローンを利用して土地を購入する際の注意点

ここでは、つなぎ融資や土地先行融資を利用して土地を先に購入する際に注意すべき点を3つご紹介します。

土地情報をしっかりと把握しておく

購入する土地情報を入手するのに、インターネットは非常に便利な手段です。しかし、実際には整備が必要な土地であったり、近隣住民とのトラブルが多い地域だったりと、現地に足を運ばないとわからない情報もあるものです。土地を管理している不動産会社から実際に情報を入手するなど、細かい情報収集をしておきましょう。

つなぎ融資は住宅ローン控除を受けることができない

つなぎ融資に関しては、住宅ローン控除を受けることができません。融資額にもよりますが、税額控除なので利用できるかできないかは大きな差になります。資金計画を作る際は考慮に入れておきましょう。

住宅ローンよりも金利が高い

つなぎ融資や土地先行融資は、通常の住宅ローンの金利よりも高い傾向にあります。負担する利息も資金計画に含むことを忘れないようにしましょう。

5. つなぎ融資・土地先行融資は特徴をしっかり理解しましょう

住宅ローンの融資は建物が完成して引き渡しをするタイミングで行われるため、注文住宅のように土地を購入してから建物を建てるまでに時間がかかる際には、住宅ローンの代わりにつなぎ融資か、土地先行融資を利用することになります。

つなぎ融資や、土地先行融資は金利が住宅ローンよりも高いうえ、つなぎ融資にいたっては住宅ローン控除も利用することができません。メリット・デメリットをふまえた返済計画を立てたうえで検討していきましょう。

金子 賢司さんの写真

金子 賢司
(かねこ けんじ)

ファイナンシャルプランニング技能士1級と同等資格のCFP ®や、生命保険資格の最高峰であるTLCを持ち、日本FP協会道央支部に幹事として所属。2017年以降は、確定拠出年金・生命保険・ライフプランに関するセミナーを年間50~100件開催。北海道新聞にもコラム掲載の経験があり、執筆活動にも力を入れている。

ファイナンシャルプランニング技能士1級と同等資格のCFP ®や、生命保険資格の最高峰であるTLCを持ち、日本FP協会道央支部に幹事として所属。2017年以降は、確定拠出年金・生命保険・ライフプランに関するセミナーを年間50~100件開催。北海道新聞にもコラム掲載の経験があり、執筆活動にも力を入れている。

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