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住宅ローン控除の必要書類は?
手続きの流れやよくある質問への回答

掲載日:2021年8月6日

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住宅を購入する際に住宅ローンを利用すると、「住宅ローン控除」が利用できることをご存知ですか?この控除を利用する際には要件を満たす必要があり、さらに1年目は確定申告で行う必要があります。確定申告という言葉を聞き慣れない方は、不安に思う方もいらっしゃるでしょう。そこでこの記事では、ファイナンシャルプランナーの新井 智美さんに住宅ローン控除とはどういうものか、その要件や適用を受けるための手続き、必要書類などについて解説していただきました。一つひとつ確認しながら進めていきましょう。

1. 住宅ローン控除の基礎知識

まず、住宅ローン控除がどのようなものなのか、その制度についてしっかり理解しておきましょう。

住宅ローン控除とは?

住宅ローン控除は、正式名称を「住宅借入金等特別控除」といい、「住宅ローン減税」といわれることもあります。個人が住宅ローン等を利用して、マイホームの新築、取得またはリフォームなどの増改築をし、2021年12月31日までに自分が住むための目的で入居し、一定の要件を満たす場合に適用されます。その住宅の、取得または増改築等にまつわる住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を、居住した年分以後の各年分の所得税額から控除される制度です。

住宅ローン控除の適用を受けることができる期間は10年間となっていますが、消費税10%が適用された住宅を取得等して2019年10月1日から2021年12月31日までに入居した場合の適用期間は13年間に延長されます。

ちなみに住宅ローン控除は扶養控除などの所得控除とは異なる、「税額控除」です。そして、所得税額の計算は以下のように計算されます。

  1. 1.課税所得金額=(収入-経費)-所得控除
  2. 2.1で算出した課税所得金額に対する税額=課税所得金額×税率-控除額
  3. 3.納付税額=2で求めた課税所得金額に対する税額-税額控除

つまり、住宅ローン控除の適用を受けることによって、通常の所得控除に比べると節税効果はかなり高くなるといえます。また、所得税から引き切れなかった額については、住民税から引くことができることも知っておきましょう。

住宅ローン控除を受けるための要件とは?

住宅ローン控除の制度を利用するためには、以下のような要件を満たす必要があります。

  1. 1.控除を受ける人のその年の合計所得が3,000万円以下であること
  2. 2.住宅取得後6ヵ月以内に入居し、引き続き入居していること
  3. 3.家屋の床面積(登記面積)が50㎡以上あること
  4. 4.住宅ローン等の返済期間が10年以上で、分割して返済するものであること

住宅ローン控除額はどうやって計算する?

住宅ローン控除額は、控除を受ける年の年末時点における「住宅ローン残高」に1.0%を乗じた額となります。一般的な性能の住宅の場合、控除対象となる住宅ローン残高等は最大4,000万円となっており、控除額の上限は年間40万円になります。

また、対象の住宅が一定の条件を満たす「認定長期優良住宅」の場合であれば、控除対象となる住宅ローン残高等は最大5,000万円に拡充され、控除額の上限は年間50万円となります。

さらに10年目までの計算と11年目から13年目までの計算方法は異なることにも注意が必要です。10年目まではうえで説明した通り、年末の住宅ローン残高の1%が控除額となりますが、11年目から13年目の場合は、以下で計算した値のいずれか少ない方となります。

  • 住宅ローンの年末残高等×1.0%
  • 建物の取得価格(消費税を引いた額)×2.0%÷3

2. 住宅ローン控除の申請の流れと必要書類

住宅ローン控除の申請の流れと必要書類

冒頭でもお話しした通り、住宅ローン控除の適用を受けるための申請については、1年目は確定申告で行う必要があります。そして給与所得者であれば、2年目以降は年末調整で行うことができます。1年目の確定申告時は多くの書類を合わせて用意する必要があります。ここでは必要書類について、その入手先についても紹介していきましょう。

初年度の確定申告の手続き

住宅ローン控除の適用を受ける際、初年度においては確定申告を行う必要があります。その際の手続き方法については以下の通りです。

1.「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」への記入

国税庁の公式サイトに住宅借入金等特別控除額の計算明細書がPDF形式でアップされていますので、それをダウンロードして利用すると良いでしょう。記載は手書きで行います。内容については、「居住開始日」、「土地や家屋の購入費用」、「床面積」、「住宅ローンの年末残高」の記入欄がありますので、すべて埋めていきましょう。すべての記入が終わったら、最終的なその年の特別控除額を算出して記入します。

2.確定申告書Aの第一表の記入

確定申告書Aの第一表に、源泉徴収票の内容を転記していき、さらに上の計算明細書にて算出した「住宅借入金等特別控除額」を記入します。

3.確定申告書A第二表の記入

確定申告書Aの第一表についても、源泉徴収票を参考に必要事項を転記します。

作成した確定申告書は管轄の税務署に提出します。確定申告提出の際には、マイナンバーカードもしくは通知カード、マイナンバーが記載されている住民票のコピーなど、本人確認書類の添付が必要です。忘れないよう準備しておきましょう。

初年度の確定申告の際に必要となる書類

初年度の確定申告時には様々な書類を入手する必要があります。必要な書類とその入手先について以下にまとめておきますので、参考にしてください。

書類 入手先
確定申告書A
(もしくはB)
税務署もしくは国税庁の公式サイトから入手できます。
ちなみに確定申告書Aを使うのは給与所得者で、確定申告書Bは自営業者の方が使用します。
借入金残高証明書 住宅ローンを借りている金融機関から発行されます。
住宅借入金等特別控除額の計算明細書 国税庁の公式サイトから入手できます。
住民票の写し 住所がある市区町村の役場、もしくはマイナンバーカードを持っているのであればコンビニエンスストアなどで取得可能です。
土地および建物の登記事項証明書 法務局にて入手します。ペアローンを組んでいる方で、夫婦ともに確定申告を行う場合でも1部で構いません。
不動産売買契約書もしくは
工事請負契約書の写し
契約時に本書を受け取るはずですので、忘れずに保管しておきましょう。提出する際は写しを提出します。
源泉徴収票 会社員の場合、勤務先より発行されます。

ここにあげたもの以外にも、ケースによっては「耐震基準適合証明書」や「長期優良住宅建築等計画の認定通知書の写し」などが必要となります。これらの書類については、住宅の引き渡し時に不動産会社から受け取っているはずですので、大切に保管しておきましょう。

2年目以降の手続き方法

2年目以降は給与所得のみの方であれば、年末調整で申告することが可能です。手順については以下の書類を会社に提出することで終了します。

1.「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」兼「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」

初年度の確定申告後の10月頃に管轄の税務署から残りの年数分まとめて送られてくるものです。住宅ローン控除を受けようとする年に必要なものですので、無くさないように保管しておきましょう。内容については、初年度に確定申告を行った際と同じことを記載する形になります。異なるのは年末残高の額とそこから算出する控除額です。

2.住宅ローンの残高証明書

住宅ローンを借りている金融機関より、毎年10月頃に送られてきます。遅くても11月下旬には手元に届くようにしておき、届かない場合は速やかに金融機関に連絡を入れて再発行してもらうようにしておきましょう。

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住宅ローンの借換時は変動金利と固定金利のどちらを選ぶ?

3. 住宅ローン控除についてのよくある質問

住宅ローン控除についてのよくある質問

慣れない確定申告を行う際は非常に不安ですよね。ここでは、よくある質問についてお答えします。

申請はいつからいつまでに行う?

毎年確定申告の時期は2月16日~3月15日(休日の場合は翌営業日)です。しかし、住宅ローン控除のような還付申請の場合は、入居(住宅ローン返済開始)した翌年の1月から申請可能です。

書類を紛失した場合はどうすれば良い?

一番紛失しやすい書類が「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」です。税務署からまとめて送られてくるため、どこにしまったか、わからなくなってしまう方も多いでしょう。もし見当たらない場合には、管轄の税務署に「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請書」を提出し、再交付を受けてください。

また、金融機関から送られてくる「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」が見当たらない場合は、銀行に再発行の依頼をすることで対応してもらえます。

手続きは郵送やインターネット上でもできる?

確定申告の手続きは郵送やインターネット上でも行えます。インターネットで申請する場合は国税電子申告・納税システム「e-Tax(イータックス)」を利用することで簡単に手続きが可能です。

連帯債務の場合、注意すべきことは?

住宅を取得したときには不動産登記を行いますが、連帯債務の場合は登記した所有権の持分割合に注意する必要があります。仮に登記した所有権の持分割合が半分ずつで、住宅ローンの負担割合が異なる場合、どちらか多い方からの贈与があったとみなされるケースもあります。したがって、連帯債務でローンを組む際は、それぞれの借入額に応じた所有権の持分割合で登記を行うことが大切です。

ふるさと納税との併用は可能?

住宅ローン控除とふるさと納税を併用することは可能です。ただし、提出の際には注意が必要です。まず、ふるさと納税における「ワンストップ特例」は、住宅ローン控除1年目には利用することができません。したがって、住宅ローン控除およびふるさと納税ともに確定申告で行う必要があります。2年目以降で確定申告が不要な場合であれば、住宅ローン控除については年末調整で行い、ふるさと納税については「ワンストップ特例」を利用することができます。ただし、何らかの事情で確定申告を行う必要がある年においては、「ワンストップ特例」を利用することができないことに注意してください。

4. 国税庁の確定申告書の作成コーナーを活用しよう

住宅ローン控除の申請については、初年度は確定申告によって行う必要がありますが、2年目以降からは給与所得者の場合は年末調整によって行うことができます。とはいえ、控除額を自分で計算したり、それぞれの記入欄がたくさんあったりと、手書きで申告書を作詞栄する際には非常に手間がかかります。そんなときには国税庁のサイトにある「確定申告書等作成コーナー」を活用してみましょう。

ガイドに沿って入力するだけで簡単に書類が作成できる他、そのまま「e-Tax(イータックス)」を利用して提出することもできます。確定申告時期は税務署も非常に込み合いますし、作成相談の窓口もかなりの待ち時間となります。負担を避けるためにも、インターネットで簡単に作成できる方法を有効に活用していきましょう。

新井 智美さんの写真

新井 智美
(あらい ともみ)

CFP(R)認定者/一級ファイナンシャルプラン二ング技能士/DCプランナー/住宅ローンアドバイザー/証券外務員等の資格を保有し、コンサルタントとしての個人向け相談の他、資産運用等上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

CFP(R)認定者/一級ファイナンシャルプラン二ング技能士/DCプランナー/住宅ローンアドバイザー/証券外務員等の資格を保有し、コンサルタントとしての個人向け相談の他、資産運用等上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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