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住宅ローンを借り換える注意点とは?
有効に活用して返済負担の軽減を

掲載日:2021年8月6日

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住宅ローンの返済額減額や、今よりも低水準の金利の住宅ローンを利用して総返済額を削減したいと考える際に、一番に検討できる方法が住宅ローンの借換です。住宅ローンの借換には金利負担を軽減するというメリットがあるものの、もちろんデメリットも存在します。そこでこの記事では、住宅ローンの借換を検討する際の注意点についてファイナンシャルプランナーの新井 智美さんに解説していただきました。

1. 住宅ローンを借り換えるメリット

住宅ローンを借り換えるメリット

現在利用している住宅ローンを、今よりも低金利のものに借り換えれば、毎月の返済額を軽減できます。また、返済期間を短縮できることから、最終的な総返済額の削減につなげることができます。

返済額を下げられる

借換によって利用している住宅ローンの金利を下げれば、借換前との金利の差額分だけ、支払いを軽減できるメリットがあります。特に、月々の返済額を軽減できれば、家計の収支にゆとりを生むことにつながり、余裕資金を他の支払いに充てることも可能となります。

返済期間を短縮できる

毎月の返済額に負担を感じていないのであれば、そのまま月々の返済をしていくだけで、返済期間を短縮することができます。予定よりも早く住宅ローンを完済することができれば、残りの期間の収入を自身の老後資金に充てることもできるでしょう。

金利タイプを選び直せる

住宅ローンを借り換えるということは、現在借入を行っている金融機関への住宅ローンを一括返済し、新たに別の金融機関で住宅ローンを組み直すこととなります。つまり借換によって、これまで利用していた金利タイプとは、別のものに選び直すこともできます。例えば、これまでは固定金利型を利用していたけれど、借換の後の住宅ローンでは変動金利型を選択することも可能です。

一般的に固定金利よりも変動金利の方が金利水準が低く設定されており、その差が1%程度になるケースもあります。住宅ローンは20~30年の長期に渡って返済していくものです。借入額や返済期間にもよりますが、1%金利が違えば、金利負担額の差はかなりのものになるでしょう。ただし、変動金利には金利上昇リスクが伴う点に注意が必要です。

団体信用生命保険の見直しができる

借換の際には、新しく住宅ローンを組むという意味から、加入する団体信用生命保険の内容を手厚くすることも可能です。新しく借り入れる金融機関の団体信用生命保険のラインナップと、現在加入している民間の生命保険のバランスを考えながら、不足している部分を保障してくれる団体信用生命保険へ加入するなどの検討してみてください。

ただし、団体信用生命保険のプランによっては金利の上乗せが発生する可能性もあります。見直しの際には最終的な月々の支払額がどのくらいになるのか、確認しながら進めていきましょう。

2. 住宅ローンを借り換える時の注意点

住宅ローンの借換は、誰でもいつでもできるわけではありません。借換に適したタイミングを考える必要もありますし、審査の結果によっては借換ができない可能性もあることも覚えておきましょう。

借換時には諸費用がかかる

住宅ローンの借換の際には、新規の契約の時と同様に印紙税や事務手数料の他、登記に関する手数料などの諸費用が発生します。諸費用を含めた金額で、どのくらい総返済額が減額できるかを考えながら進めていきましょう。

また、借換の際には現在借りている金融機関に対して住宅ローンの残債を一括返済する必要があります。多くの金融機関において、一部繰り上げ返済の手数料は無料となっているケースが多いものの、全額繰り上げ返済の場合は手数料がかかることが多く、また、事前に連絡が必要なケースもあります。

借換の際には、現在借りている金融機関の公式サイトにて、全額繰り上げにかかる手数料や手続き方法などについても確認しておきましょう。

団体信用生命保険に加入できないケースがある

住宅ローンを利用する際には、ほとんどの金融機関において団体信用生命保険への加入を義務付けています。したがって、借換を申し込む際、直近に病気をしているとか、借換までの間に健康状態が悪化したなどの理由で団体信用生命保険への加入ができないといった場合には、住宅ローンの借換を行えません。

また、住宅ローンを借りた当初から状況が変わっている場合も注意が必要です。例えば転職して年収が下がったといった場合には、新たに借り入れようとする金融機関の審査に通らない可能性があります。

各審査においては、年収や勤続年数などが当初の住宅ローンの審査と同様にチェックされますので、当初住宅ローンを借り入れた時とくらべて条件が悪くなっている場合は、借換できない可能性もあります。

住宅ローン控除の適用が外れるおそれがある

住宅ローンの借換の際、住宅ローン控除の適用期間が残っている場合は、借換によって住宅ローン控除の適用外にならぬよう注意が必要です。住宅ローン控除の適用要件は「借り入れている住宅ローンの返済期間が10年以上あること」です。

したがって、月々の返済額を変えずに返済期間を短くしたことで、借入期間が10年を下回ると、住宅ローン控除の要件から外れ、適用が受けられなくなります。住宅ローンの控除額は、年末のローン残高で決まります。住宅ローンの借換により、借換後の残高が借換前の残高以下であれば、その残高が控除対象額となるため注意しておきましょう。

また、借換の場合には諸費用がかかり、返済金額が借換前よりも増えるケースもあります。そのようなケースの場合には、借換後の住宅ローン控除対象額を調整する必要があります。借換後の残高が借換前の残高よりも増えたケースで、住宅ローン控除対象額を求める式は以下の通りです。

  1. A.借換直前における借換前の住宅ローン残高
  2. B.借換の際に新たに借り入れた借入金額
  3. C.借換後の新しい住宅ローンの年末残高

住宅ローン控除対象額=C×(A÷B)

借換前の住宅ローン残高が2,500万円で、借換後の借入金額が2,800万円、借換後の年末残高が2,700万円として試算すると、その際の住宅ローン控除対象額は以下のようになります。

2,700万円×(2,500万円÷2,800万円)=約2,400万円

住宅ローンを借り換え、借換前よりも借入金額が増えた場合には、このような措置があることも覚えておきましょう。

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3. 住宅ローンの借換時に注意したい判断のポイント

住宅ローンの借換において得られるのは、メリットばかりではありません。以下をチェックし、借り換えても問題がないか、必ず事前に確認しておきましょう。

住宅ローンの借換を避けるべきケース

一般的に借換を行うことによってメリットが得られる目安は、「住宅ローンの残高が1,000万円以上あること」、「残りの返済期間が10年以上あること」、そして「金利差が1%以上あること」といわれています。

借換の際には諸費用がかかることや、団体信用生命保険を見直すことにより金利の上乗せが発生する可能性もあることから、必ず事前に借り換えようと思う先の金融機関のサイトにてシミュレーションを行うようにしてください。そして、総返済額の差額がどのくらいになるのかを確認し、思ったほどの効果が得られないと思うのであれば、無理に借換を行うべきでありません。

みずほ銀行の住宅ローンの審査に必要な書類はこちら

想定の借入額や、月々の返済額から返済計画を確かめてみませんか

住宅ローンシミュレーションはこちら

4. 借換を行う際に大切なことは目的を明確にすること

借り換えを行う際に大切なことは目的を明確にすること

住宅金融支援機構が発表している2019年度民間住宅ローン借換の実態調査によると、借換の理由について「借換によって金利が低くなるから」という回答が半数以上を占めています。

借換前と借換後の金利分布をみても、借換前の金利水準は年1%超~1.5%以下が多く、借換後の金利水準については、年0.5%超~1%以下と、借換によって金利が低下していることがわかります。しかし、全期間固定型を選択した場合で見ると、1割の方が金利は上昇しているという点は見逃せません。

借換によるメリットは、返済額の削減だけではありません。変動金利型から固定金利型へ変更することにより、金利上昇リスクを軽減し、今後の支払いを安定させることで返済計画への影響をなるべく少なくしたいという理由から、借換を検討している方もいるでしょう。

借換を行う際には、その目的を明確にし、今後のライフイベントにおいて無理のない返済計画を立て直すという意識を持ったうえで検討していくことが大切です。借換え先の情報をしっかりチェックしたうえで検討していきましょう。

新井 智美さんの写真

新井 智美
(あらい ともみ)

CFP(R)認定者/一級ファイナンシャルプラン二ング技能士/DCプランナー/住宅ローンアドバイザー/証券外務員等の資格を保有し、コンサルタントとしての個人向け相談の他、資産運用等上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

CFP(R)認定者/一級ファイナンシャルプラン二ング技能士/DCプランナー/住宅ローンアドバイザー/証券外務員等の資格を保有し、コンサルタントとしての個人向け相談の他、資産運用等上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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