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一軒家の購入に必要な年収はいくら?住宅ローンの活用ポイント

掲載日:2023年10月5日

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人生の買い物の中で、不動産は最も大きなものの一つです。最近は高層で眺望絶佳のタワーマンションの注目も高まっていますが、隣室や階下がなく、部屋の間取りや収納の造作など、家づくりの自由度が増す「一軒家」が根強い人気です。そこで今回は、一軒家を購入するためにはどれだけの年収が必要かを掘り下げて考えます。住宅ローン金利のタイプや返済方法、返済期間にも選択肢がありますが、ポイントになるのは返済する人の「適正年収」です。住宅ローンを最大限に活用して、理想の一軒家暮らしをめざしましょう。

1. 一軒家の購入にかかる費用相場は?

集合住宅が登場する前から、一軒家は住まいの基本型です。しかし、最近は省エネ性能を高めて環境に配慮した住宅や、デザイン性を高めた注文住宅など、設備やグレードは高まる一方です。ここでは住宅購入にかかる費用の相場を調べてみました。

一軒家の購入価格の平均はどれぐらいでなのでしょうか。住宅ローン利用者の多くが活用している「フラット35」の利用者調査から探ってみました。2021年4月~2022年3月までにフラット35を利用した方の所要資金(住宅の建設費と土地の取得費)を見ると、「土地付注文住宅」が4,455万円で、土地購入なしの「注文住宅」だと3,572万円、「建売住宅」が3,605万円。新築の一軒家を購入するためにかかった資金額の平均は3,877万円ということが分かりました。

【土地込み】注文住宅の相場はいくら?建てられる住宅や借入額の目安

2. 一軒家を購入するときの年収の目安

立地や面積によってケースバイケースですが、どれだけの世帯年収があれば一軒家を購入できるでしょうか。タイムリーに住宅ローン返済を進めるため、一軒家を手に入れるために適正な年収を検討していきます。

一軒家の購入に必要な年収の目安

ここで参照するのが、国土交通省がまとめた「住宅市場動向調査」です。こちらは不動産市場の動向、個人の住宅取得・建設の状況を調査してまとめたもの。一軒家やマンションを購入する世帯の動向がつかめます。2021年4月~2022年3月のデータによると、注文住宅を購入した世帯年収は全国平均で801万円となり、このうち最も多いのは年収400万~600万円の世帯でした。購入額の内訳を見ると、自己資金が1,177万円で29.9 %を占めます。「頭金は3割」というセオリーを裏づける数字ですね。自己資金は預貯金や有価証券の売却代金、退職金が使われており、足りない部分を充てるのが民間金融機関からの借入、つまり住宅ローンです。

一軒家の購入価格の平均と年収倍率

「フラット35利用者調査」(2022年度)によると、注文住宅を購入した世帯の所要資金(建設費)は3,717万円で、住宅価格に土地の取得費がプラスされる土地付注文住宅は4,694万円。建売住宅は3,719万円でした。

一軒家の購入に必要な年収の目安を算出するため、「年収倍率」という指標を使うのがおすすめです。これは不動産の購入価格と購入者の世帯年収の比率を表すもの。一般的に言われる「購入できる住宅の目安は年収の5~7倍程度まで」とは、年収倍率5~7倍を意味します。前述の調査によると、フラット35の利用者で注文住宅を購入した世帯は年収倍率6.9倍、土地付き注文住宅で7.7倍、建売住宅は6.9倍で、平均すると7.2倍となり、年収倍率がおおむね7倍に収まっていることが分かります。

【年収別】一軒家の購入価格の目安

ここで、土地付注文住宅を購入したケースの年収倍率「7.7倍」を指標に、世帯年収別の購入価格を計算してみましょう。世帯年収が300万円なら7.7倍の2,310万円、世帯年収1,000万円なら7,700万円の予算で一軒家が建てられる計算になります。

世帯年収 一軒家の購入価格
300万円 2,310万円
400万円 3,080万円
500万円 3,850万円
600万円 4,620万円
700万円 5,390万円
800万円 6,160万円
900万円 6,930万円
1,000万円 7,700万円

3. 一軒家を購入するときの住宅ローンの活用ポイント

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一軒家の物件購入にあたっては住宅ローンの活用がポイントになります。注意点は、所要資金と融資額をすり合わせること。つまり、適正な借入額を決めることです。自己資金と相談しつつ、住宅ローンの利用で広がるマイホーム購入の可能性を見ていきましょう。

自己資金で足りない分を住宅ローンで補う

先に挙げた「住宅市場動向調査」によると、住宅ローンを利用している世帯の割合は、新築で注文住宅を建てた世帯で83.2%。一軒家の購入には住宅ローンの活用が大きな割合を占めることが分かります。購入金額のうち、自己資金比率は注文住宅を新築で建てた世帯が30.6%となっていました。現在では、自己資金が3割程度確保できれば一軒家の購入にゴーサインを出す世帯が多いようです。

返済能力から適切な借入額を検討する

では、住宅ローンでどれだけの金額を借入できるでしょうか。確認すべきは、先ほど解説した「年収倍率」です。現在、金融機関は融資の審査基準に年収倍率を採用することが多くなっています。契約前の審査では勤務先の会社や収入、完済時の年齢が何歳かなどもチェックされますが、債務者が安定して支払ができるかを重視するからです。このため、借入限度額を試算するタイミングでも重要な指標になります。

ただ、借入限度額は、その名の通り「目いっぱい借りられる限度の額」で、余裕を持った返済には少々不安も残ります。無理なく返すためのシミュレーションでは「返済比率(返済負担率)」が指標になります。これは年収のうち年間にどれだけ返済するかという額の割合で、20%~25%程度に抑えると無理のない返済ができるとされています。住宅ローンを提供する銀行などの金融機関は、この返済比率を25~35%程度に設定しています。

【年収別】住宅ローンの借入額の目安

ここで、年収300万円で返済負担率を30%に設定した場合、借入額の目安は以下の計算方法で算出できます。

1.300万円×30%=90万円…年間のローン返済額の上限
2.年間返済金額84万円(毎月の返済額=7万円。ボーナス払いなし)
上記の条件で借りられる住宅ローンの金額の目安→2,293万円※1

  • 1 返済期間:35年、金利年率:1.48%、返済方式:元利均等返済にて試算。
    借入可能額は金利・返済期間等の条件によって変わります。

この計算式にのっとり、住宅ローン借入額の目安を年収別に比較してみました。世帯年収300万円であれば2,000万円台、世帯年収1,000万円なら8,000万円程度の借入額が目安になります。具体的な額面が導き出せれば、住宅物件もイメージしやすくなるでしょう。個別の返済シミュレーションの参考にしてみてください。

住宅ローン借入可能額シミュレーション|みずほ銀行

年収 借入額の目安
300万円 2,293万円
400万円 3,276万円
500万円 3,931万円
600万円 4,914万円
700万円 5,570万円
800万円 6,552万円
900万円 7,208万円
1,000万円 8,191万円

【年収別】住宅ローン借入額の目安と無理なく返済するためのポイント

4. 年収の計算から適正な購入価格を導き、一軒家の購入へ

憧れの一軒家が手に入れられるかどうかは、しっかりした資金計画、そして年収から計算した「適正な購入価格」を導き出せるかどうかにかかっています。住宅ローンの借入期間は35年といったように長きにわたります。年収倍率と返済比率の項目で解説したように、住宅ローンの借入は「目いっぱい借りられる限度額」ではなく、将来に渡って「月々無理なく返済できる額」がベストです。

住宅購入者の調査からも分かるように、物件価格をはじめとして一軒家を購入するためのコストは年々上昇傾向にあります。だからこそ、事前の情報収集と、家計の安心・安全を考慮した返済計画が欠かせません。家族のライフプランを考えれば、家計の負担となるのは住宅費用と生活費だけではありません。子どもの教育費や老後資金など、返済中にも無視できない支出が発生します。住宅ローンを適切に利用して、家族がのびのび暮らせる一軒家を手に入れましょう。

佐々木 正孝

佐々木 正孝
(ささき まさたか)

編集/ライター。キッズファクトリー代表。教育・ビジネス系の記事を執筆しつつ、児童書の編集やマンガ原作も手がける。

編集/ライター。キッズファクトリー代表。教育・ビジネス系の記事を執筆しつつ、児童書の編集やマンガ原作も手がける。

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