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スタートアップの資金調達方法とは?成長ステージ別の方法や成功のポイントを解説

掲載日:2025年7月1日起業準備

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資金調達は、スタートアップが事業を軌道に乗せ、成長していくために欠かせない要素の一つです。

近年では、VC(ベンチャーキャピタル)による出資やクラウドファンディング等、資金調達の選択肢が増えています。資金調達を成功させるためには、成長ステージに応じた方法の検討が重要です。

本記事では、スタートアップの資金調達方法と成長ステージについて解説します。

スタートアップの資金調達方法

資金調達は、急成長をめざすスタートアップにとって重要な役割を果たします。短期間で事業を軌道に乗せるためには、設備投資や開発、人材育成、マーケティング等、様々な資金需要が発生し、自己資金だけでまかなうのが難しいためです。

適切な方法で資金調達ができれば、事業の成長を加速できます。

スタートアップの主な資金調達方法として挙げられるのは、大きく以下の5つです。

  1. エクイティファイナンス(出資)
  2. デットファイナンス(融資)
  3. アセットファイナンス
  4. 助成金・補助金
  5. クラウドファンディング

①エクイティファイナンス(出資)

エクイティファイナンスとは、新株を発行する対価として資金の提供(出資)を受ける方法です。株主資本を増加させる資金調達方法で、決算書には純資産として計上されます。

エクイティファイナンスは、金融機関等からの借り入れとは異なり、返済義務がないため、キャッシュ・フローの負担軽減や財務の安定性向上等につながります。

一方で、株主が経営に対する発言権を得るため、経営の自由度が低下する可能性があります。

また、出資者は株価上昇による利益や配当金を目的に出資するため、資金を投じるだけの魅力があるかどうかが重要です。

メリット

返済の義務がない

デメリット
  • 経営の自由度が低下する可能性がある
  • 資金を投じるだけの魅力が求められる
メリット

返済の義務がない

デメリット
  • 経営の自由度が低下する可能性がある
  • 資金を投じるだけの魅力が求められる

エクイティファイナンスの主な出資元は、以下の3つです。

  • VC(ベンチャーキャピタル)
  • CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)
  • エンジェル投資家

VC(ベンチャーキャピタル)

VC(ベンチャーキャピタル)とは、未上場のベンチャー企業に出資して株式を取得し、その企業が成長した際にキャピタルゲインの獲得をめざす投資会社・ファンドです。

VCは企業の将来性を見込んで出資するため、起業後間もない企業も資金調達できる可能性がある一方で、出資に見合った利益を生み出すことが求められます。

CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)

CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)とは、事業会社が社外のベンチャー企業に対して投資を行う活動および組織です。自社の事業分野と関連がある企業に投資し、相乗効果を生むことを目的に投資を行います。

スタートアップがCVCから資金調達を行う主なメリットとして、事業会社との関係を強化できる点や、信用力や認知度の向上が期待できる点等が挙げられます。

エンジェル投資家

エンジェル投資家とは、起業後間もない企業に出資する個人投資家を指します。

スタートアップの初期段階は、開発や検証等のための資金が必要な時期ですが、実績が少なく、VCや銀行等から資金を調達するのが難しい傾向があります。そこで重要な役割を果たすのが、エンジェル投資家による出資です。

国もスタートアップへの投資を促進するため、投資を行った投資家に対して税制を優遇する制度(エンジェル税制)を設けています(2025年3月時点)。

②デットファイナンス(融資)

デットファイナンスとは、金融機関や投資家からお金を借り入れる資金調達方法です。他人資本が増加する資金調達方法で、負債として決算書に計上されます。

デットファイナンスに該当する主な資金調達方法は、以下の通りです。

  • 公的融資
  • 銀行融資
  • 社債
  • コマーシャルペーパー(短期の約束手形)等

デットファイナンスはエクイティファイナンスとは異なり、返済義務を負いますが、借りたお金と利息をきちんと返済していれば、特定の定めがある場合を除き、債権者が経営に関与することはありません。

審査を通過しなければなりませんが、多額の資金を調達できる場合もあります。

メリット
  • 経営の自由度が損なわれない
  • 多額の資金を調達できる場合がある
デメリット

返済義務がある

メリット
  • 経営の自由度が損なわれない
  • 多額の資金を調達できる場合がある
デメリット

返済義務がある

創業融資の種類やメリット・デメリットをより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

関連記事:「創業融資とは?種類ごとの概要とメリット・デメリットを解説」

公的融資

公的融資は、国や自治体等の公的機関から資金を借り入れる方法です。スタートアップ企業が利用できる主な公的融資として、日本政策金融公庫の創業融資や自治体の制度融資等が挙げられます。

日本政策金融公庫は政府系金融機関の一つで、設備資金や運転資金等を比較的低金利で借り入れられます。

制度融資(創業融資)は、都道府県や市町村等の自治体が金融機関・信用保証協会と連携して行う融資制度です。自治体による利息の補助等があり、返済の負担額を抑えやすい一方で、3者が関わるため、融資までの時間が長い傾向があります。

銀行融資

銀行等の民間金融機関が扱う融資は、大きく「保証付融資」と「プロパー融資」に分けられます。

保証付融資

信用保証協会が保証する融資

プロパー融資

信用保証協会の保証を受けずに、金融機関から直接受ける融資

保証付融資

信用保証協会が保証する融資

プロパー融資

信用保証協会の保証を受けずに、金融機関から直接受ける融資

プロパー融資は信用力が求められるため、一般的にスタートアップの初期段階では利用しにくい融資と言われます。

保証付融資は保証料の支払いが必要ですが、信用保証協会の保証を受けることで融資を受けやすくなります。

保証料の概要や保証を受けるメリットをより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

関連記事:「融資の信用保証料とは?計算方法と負担を軽減する2つの方法」

③アセットファイナンス

アセットファイナンスとは、企業が保有する資産を元手に資金を調達する方法です。アセットファイナンスの対象となる資産として、主に以下が挙げられます。

  • 不動産
  • 機械設備
  • 売掛債権
  • 知的財産権

アセットファイナンスの特徴は、企業の信用力ではなく、資産の価値を基に資金を調達する点にあります。そのため、資産に十分な価値があれば資金調達がしやすくなる反面、調達できる金額は資産の価値に左右されます。

メリット

経営状況に左右されにくい

デメリット

資金調達額が資産の価値に左右される

メリット

経営状況に左右されにくい

デメリット

資金調達額が資産の価値に左右される

ファクタリング

ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング業者に売却し、期日前に資金化する方法です。比較的少額かつ短期間で資金化できるため、スタートアップ企業が利用しやすい資金調達方法です。

ファクタリングのメリットは、「資産の売却」であり、負債を増やさずに資金を調達できる点です。

デメリットは、手数料が比較的高く、また売掛債権を前倒しで資金化する仕組みのため、長期的な資金調達にはあまり向きません。

④助成金・補助金

助成金や補助金は、国や地方公共団体等が事業者の取り組みを支援する目的で支給するお金です。取り組みに対して一定の割合・上限額の範囲で資金を調達でき、返済義務がありません。

ただし、制度ごとに使途や要件、申請期間・事業実施期間が細かく決まっています。あらかじめ採択件数や金額が決まっている場合も多く、要件を満たしたうえで申請したからといって受給できるとは限りません。

また、助成金や補助金は一般的に後払いで支給されるため、自己資金を用意しなければならない点にも注意が必要です。

メリット

返済義務がない

デメリット
  • 申請しても受給できるとは限らない
  • 後払いで支給される
メリット

返済義務がない

デメリット
  • 申請しても受給できるとは限らない
  • 後払いで支給される

会社設立時に利用できる助成金・補助金をより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

関連記事:「会社設立時に利用できる助成金・補助金について徹底解説」

⑤クラウドファンディング

クラウドファンディングは、インターネット等を通じて不特定多数の人から資金を集める方法です。大きく分けると、購入型・寄付型・金融型の3形態に分類されます。

形態 概要
購入型

物品や権利の購入によって支援する方法

寄付型

寄付を通じて支援する方法

金融型

投資や融資によって支援する方法

実績がなくても、プロジェクトへの賛同が得られれば資金調達が可能であるため、スタートアップでも検討しやすい資金調達方法です。商品やサービスに対するニーズをテストする、あるいはプロジェクトをPRする手段として効果的です。

ただし、プロジェクトの成立後に実行できなくなった場合は、返金等の対応を行わなければなりません。また、目標額に到達しない場合は不成立となり、資金を受け取れない場合があるほか、手数料がかかる点にも注意が必要です。

メリット
  • 不特定多数の人から少額ずつ資金を調達できる
  • 実績がなくても資金調達しやすい
デメリット
  • プロジェクトを実行できなければ返金等が必要となる
  • 目標額に到達しなければ資金を受け取れない
  • 手数料がかかる
メリット
  • 不特定多数の人から少額ずつ資金を調達できる
  • 実績がなくても資金調達しやすい
デメリット
  • プロジェクトを実行できなければ返金等が必要となる
  • 目標額に到達しなければ資金を受け取れない
  • 手数料がかかる

みずほ銀行の法人口座開設(法人のお客さま)

【ステージ別】スタートアップの資金調達方法

イメージ

スタートアップの資金調達方法は複数あり、成長ステージによって適した方法が異なります。スタートアップの成長ステージは、大きく以下の4段階に分かれます。

  • シード期
  • アーリー期
  • ミドル期
  • レイター期

なお、一般的にスタートアップの資金調達は1回だけでなく、事業の成長に応じて段階的に行われます。

シード期

シード期は、スタートアップの第一段階にあたります。「seed(種)」という名前の通り、種をまく段階で、会社設立前を指します。

ビジネスの構想はあるものの事業計画が固まっておらず、市場調査や仮説検証が必要な段階であるため、一般的に資金調達が難しい傾向があります。シード期の主な資金調達方法は、以下の通りです。

  • 自己資金
  • エンジェル投資
  • 助成金・補助金
  • クラウドファンディング

なお、シード期は、資金調達ラウンド(投資家がスタートアップに対して行う投資のフェーズ)で言うと、「エンジェルラウンド」や「シード」の段階に該当します。

アーリー期

アーリー期は、起業後の初期段階で、事業が軌道に乗るまでの時期です。事業が安定するまでは赤字の場合も多く、経営を安定させるために運転資金や設備資金等の資金が必要です。

アーリー期の主な資金調達方法は、以下の通りです。

  • 自己資金
  • エンジェル投資
  • 助成金・補助金
  • クラウドファンディング
  • 日本政策金融公庫の創業融資
  • 制度融資

アーリー期は、資金調達ラウンドの「シリーズA」の段階に該当します。

ミドル期

ミドル期は、事業が軌道に乗り始め、成長しつつある時期です。

この時期は、企業の更なる成長や事業の拡大に向けて、追加の資金調達が必要です。ミドル期のスタートアップは事業の実績があるため、シード期やアーリー期と比べて資金を調達しやすい傾向があります。

ミドル期の主な資金調達方法は、以下の通りです。

  • VCによる投資
  • 金融機関のプロパー融資
  • 制度融資

資金調達ラウンドで言うと、「シリーズB」の段階に該当します。

レイター期

レイター期は、ミドル期からさらに成熟し、売上・利益を拡大しながら持続的な成長をめざす時期です。IPO(新規株式公開)やM&Aをめざす段階です。

成長の最終段階に入り、安定した売上がある段階ですが、新規事業への投資やIPOに向けた準備等で資金調達が重要な役割を果たします。

レイター期の主な資金調達方法は、以下の通りです。

  • VCによる投資
  • 金融機関のプロパー融資

レイター期は資金調達額が大きくなる傾向があり、数億円~数十億円に達するケースも少なくありません。

資金調達ラウンドで言うと、「シリーズC」以降の段階に該当します。

スタートアップが資金調達で成功するためのポイント

スタートアップが資金調達を成功させるためには、説得力のある事業計画書の作成と、調達後の適切な資金管理が不可欠です。

この章では、スタートアップが資金調達で成功するためのポイントを解説します。

  • 事業計画書を作り込む
  • 資金管理を徹底する

事業計画書を作り込む

事業計画書とは、事業の内容や戦略、収支計画等を記載した計画書です。スタートアップが金融機関やVC、エンジェル投資家等から資金を調達するためには、綿密な事業計画書の作成が欠かせません。

例えば、金融機関から融資を受ける際には、売上や費用等の数字に根拠があり、実現性が高い計画になっているかどうかが重視されます。また、VC等から出資を受ける場合は、事業の成長性や将来性等が問われます。

資金調達を成功させるために、具体的で説得力のある事業計画書を作成しましょう。

関連記事:「事業計画書とは?主な記載項目と書き方のポイントを分かりやすく解説!」

資金管理を徹底する

スタートアップが持続的に成長するためには、調達した資金をどのように使うかも重要です。

資金調達に成功しても、過剰な人員拡大や設備投資等を行うと、資金繰りが困難になる場合が多くあります。利益が出ていても現金が不足する場合があるため、資金繰り表を作成し、資金不足となる状況の予測が重要です。

また、資金の流れを明確に把握し、適切なタイミングで資金調達を行うためには、資金管理の徹底が不可欠です。適切な資金管理を行うために、なるべく早い段階で法人口座を開設することをおすすめします。

法人口座を開設すると、事業と個人の資金を明確に区別でき、財務状況の把握や迅速な経営判断が行いやすくなります。取引先や税務署等から不信感を抱かれるリスクを防げる点もメリットの一つです。

法人口座を開設できる金融機関は複数あり、資金管理の観点だけでなく、将来的な事業のサポートも見据え、経営方針や規模等に応じて選ぶことが大切です。

みずほ銀行では、スタートアップ企業を支援する会費無料の会員制サービス「M’s Salon」をご用意しており、創業期の企業に必要不可欠な経営知識、事業遂行ノウハウ、ビジネス拡大機会、資金調達サポート等の提供によって、スタートアップ企業の成長をサポートします。

また、みずほ銀行は会社設立3年以内のお客さまは、インターネットバンキング(みずほビジネスWEB)の月額利用料が最大5年間無料になる等、創業期限定の特典もご用意しています。

関連記事:「新設法人が法人口座を開設するメリットは?口座開設の流れやポイントも紹介」

関連記事:「法人口座開設におすすめの金融機関は?選び方とメリット・デメリット」

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まとめ

スタートアップの資金調達方法には、エクイティファイナンスやデットファイナンス、クラウドファンディング等があります。

事業の成長に応じて適した方法が異なるため、資金調達の方法や成長ステージを把握し、自社に合った資金調達方法を検討しましょう。

資金調達に成功しても、急速な事業拡大等によって経営が圧迫される可能性もあるため、長期的な戦略を立て計画的に資金を使うことが重要です。

みずほ銀行の法人口座は、休日・夜間でもお申し込みでき、ウェブ面談によって原則来店なしで口座を開設できます。また、スタートアップを支援する会員制サービス「M’s Salon」等の多彩なサポートをご用意しているので、ぜひみずほ銀行での口座開設をご検討ください。

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監修者

安田 亮

安田 亮

  • 公認会計士
  • 税理士
  • 1級FP技能士

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

HP:https://www.yasuda-cpa-office.com/

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