新設法人が法人口座を開設するメリットは?口座開設の流れやポイントも紹介
掲載日:2025年2月10日法人口座

新設法人が法人口座を開設せずに個人口座で入出金を管理していると、社会的信用度に影響する可能性があります。新設法人は、特に税務署や取引先からの信頼を得ることが重要であるため、法人口座を開設することをおすすめします。
この記事では、新設法人が法人口座を開設するメリットや開設する際のポイント、口座開設までの流れを紹介します。法人口座を開設するか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
法人口座とは
法人口座とは、法人名義の銀行口座のことです。法人を設立した後に個人口座で取引をしても違法ではないため、法人口座を必ず開設しなければならないわけではありません。
しかし、法人口座を開設していない場合、取引先から信用を得にくくなったり、融資を受けにくくなったりする可能性もあります。
なお、法人口座と混同されやすい口座として、個人事業主の屋号付き口座があります。屋号付き口座の口座名には事務所名や店名がついていますが、あくまでも個人口座の1つであり、法人口座とは異なることを押さえておきましょう。
新設法人が法人口座を開設するメリット
法人口座を開設するメリットは、以下の4つです。
- 社会的信用度が上がる
- 経営状況が把握しやすくなる
- 融資を受けやすくなる
- 法人名義のデビットカード・クレジットカードが作れる
それぞれ詳しく解説します。
社会的信用度が上がる
法人口座は、金融機関の審査に通らなければ開設できません。そのため、法人口座を開設すれば、金融機関から信頼を得ていることを証明できます。
新設法人は、取引先を増やしたり、ビジネスチャンスをつかんだりすることが重要であるため、法人口座を開設して社会的信用度を高めると良いでしょう。
また、個人口座ではなく法人口座で取引すると、個人と会社の資金を分けて管理できます。適切な資金管理ができていると税務署や取引先に示しやすくなるのもメリットといえます。
経営状況が把握しやすくなる
法人口座を開設せずに個人口座で取引していると、プライベートと会社の収支の区別がつきにくくなってしまいます。
法人口座を開設して会社と個人の資産を分けておくと、通帳を見れば会社のお金の流れを把握できるようになるため、無駄な支出も削減しやすくなるでしょう。
インターネットバンキングを活用すれば、会計ソフトと連携して会計業務の効率化にもつながります。
融資を受けやすくなる
融資を受ける際は、「返済できる見込みがあるか」「事業計画に問題がないか」等の点が重視されます。法人口座を開設していれば、金融機関からの信用度が高まり、融資の審査に通る可能性が高くなると考えられます。
また、そもそも融資額の振り込み先が法人口座のみの場合は、法人口座を開設しておかないと融資が受けられません。
法人名義のデビットカード・クレジットカードが作れる
法人口座を開設すると、法人名義のデビットカードやクレジットカードが作れるようになります。
法人名義のカードがあれば、会社の経費とプライベートの支払を分けて管理できます。また、経費を支払う際に法人名義のカードを利用すると、法人口座からまとめて経費精算ができ、会計作業が楽になるでしょう。
新設法人は法人口座の審査に通りにくい?
法人口座を開設する際、金融機関は法人口座がマネー・ローンダリングや振り込め詐欺等の犯罪に利用されるのを防ぐために、法人の実態を把握するための審査を行います。実際に事業実態のない法人口座が犯罪に利用されたケースもあるため、審査は入念に行われます。
新設法人は事業実績が少ない点が懸念されることもありますが、審査は総合的な判断の基に実施されるため、必ずしも審査に通りにくいわけではありません。
実態として、新設法人向けのサービスを提供している金融機関もあります。
新設法人が法人口座を開設する際のポイント

ここからは、新設法人が法人口座を開設する際のポイントを紹介します。法人口座をスムーズに開設するためにも、ポイントを押さえておきましょう。
事業内容を明確にする
法人口座開設時には法人の実態を説明する必要があります。事業内容があいまいであったり、幅広すぎたりすると、金融機関に事業実態が伝わりにくいケースがあります。
新設法人は事業実績が少ないことも多いため、どのような事業を行う会社なのかをしっかりと説明できるように準備しておくことが大切です。
適切な金額の資本金を用意する
資本金が1円であっても会社設立は可能です。適切な資本金額は事業内容によって異なりますが、一般的に300万円~500万円ほどが目安とされています。
資本金を決める際は、税金を考慮することが大切です。資本金1,000万円未満の場合は、会社を設立してから最大2年間消費税が免除されます。
ただし、インボイス制度における適格請求書発行事業者となった場合は開業年より消費税の納税義務が生じます。
また、法人住民税の均等割の税額は、資本金や従業員数によって決まり、資本金1,000万円を超えると納税額が高くなります。
例えば、東京23区内に会社がある場合、資本金1,000万円以下、従業員数が50人以下であれば均等割が7万円であるのに対し、資本金1,000万円を超える企業は均等割が18万円、11万円の差が生じるので注意しましょう。
資本金についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
関連記事:資本金とは?その役割と金額を決める際の基準について解説
公式ウェブサイトを作成する
法人の実態を説明するためには、公式ウェブサイトを作成し、運営しておくことも有効です。公式ウェブサイトがあるからといって必ずしも審査に通るとは限りませんが、口座開設時の面談において、自社の事業内容を説明する際の有効なサポート材料になる場合があります。
公式ウェブサイト内には、企業の住所や代表者名、資本金、事業内容を掲載しておきましょう。無料でもウェブサイト作成はできるため、金融機関とのスムーズなやりとりのために作成することをおすすめします。
法人口座開設の流れ
法人口座を開設する流れは、以下の通りです。
- 1.金融機関を選ぶ
- 2.必要書類を用意する
- 3.口座開設の申込をする
- 4.審査を受ける
それぞれ詳しく解説します。
金融機関を選ぶ
法人口座を開設できる金融機関には、都市銀行、地方銀行、信用金庫、ネット銀行があります。それぞれの特徴は、以下の通りです。
金融機関の種類 | 特徴 |
---|---|
都市銀行 |
|
地方銀行 |
|
信用金庫 |
|
ネット銀行 |
|
金融機関によって法人口座のサービス内容や審査基準が異なるため、各金融機関を比較して選びましょう。
必要書類を用意する
法人口座を開設するためには、以下のような書類が必要です。
必要書類 | 概要 |
---|---|
登記事項 |
法務局で取得できる、法人の登記情報が記載された書類 |
代表者の実印と |
代表者が問題のない人物であると示すために提出する |
会社の実印と |
会社の実在を示すために提出する |
代表者の |
運転免許証やマイナンバーカード等の身分証明書 |
定款 |
事業目的や会社の所在地等の基本情報やルールが記載された書類 |
会社の事業実態が |
法人番号指定通知書や事業の許認可を確認できる書類等 |
不動産謄本または |
事務所が実在すると示すために提出する |
必要な書類は金融機関によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
みずほ銀行でインターネットからの口座開設申込を行う場合、実印や賃貸借契約書などは不要です。必要書類の詳細は、次のウェブサイト内「法人口座開設のお手続き」のページで詳しく解説しています。
口座開設の申込をする
必要書類が用意できたら、各金融機関の案内に従って口座開設の申込をしましょう。口座開設の審査で事業内容や代表者の経歴等の口頭説明を求められる場合があるため、事前に準備しておくことが大切です。
審査を受ける
口座開設の申込が完了したら、金融機関による審査が行われます。審査にかかる期間は金融機関によって異なり、1~3週間程度です。
審査に通ると、法人口座を開設できます。
法人口座を作るならみずほ銀行がおすすめ
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さらに、取引状況が追加延長条件を満たした法人は、最大5年間無料で利用できます。
また、スタートアップ企業を支援する「M’s Salon」を展開しており、経営ノウハウや資金調達サポートを提供しているため、新設法人におすすめです。
- *場合によっては月額利用料無料の対象とならない場合がございます。詳しくは、「創業期特典」をご参照ください。
まとめ
法人口座を開設すると、取引先や税務署からの信用度が上がったり、プライベートと会社の収支の区別がついて自社の経営状況を把握しやすくなったりするメリットがあります。
法人口座を開設する際は審査があるため、新設法人は事業内容を明確にしたり、ある程度の資本金を用意したりして、法人の信頼性をアピールすることが大切です。
法人口座を作るときは、来店不要で口座開設ができるみずほ銀行への申込をご検討ください。
- *本稿に含まれる情報の正確性、確実性あるいは完結性をみずほ銀行が表明するものではありません。
また、個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。
最新の情報をご確認のうえ、ご自身でご判断いただくようお願いいたします。
監修者

内山 貴博
- 1級FP技能士
- CFP
大学卒業後、証券会社の本社で社長室、証券業務部、企画グループで5年半勤務。その後FPとして独立。金融リテラシーが低く、資産運用に保守的と言われる日本人のお金に対する知識向上に寄与すべく、相談業務やセミナー、執筆等を行っている。
日本証券業協会主催「投資の日」イベントや金融庁主催シンポジウムで講師等を担当。
2018年に日本人の金融リテラシー向上のためのFPの役割について探求した論文を執筆。