ページの先頭です
メニュー

メニュー

閉じる
本文の先頭です

住宅ローンの連帯債務とは?
メリット・デメリット、利用時の注意点

掲載日:2021年8月6日

アイキャッチ画像

理想の住宅を手に入れたくても、希望額が借りられるか分からない……とあきらめている人も多いのではないでしょうか?

今の収入や貯金の状況によっては、希望通りの融資を受けるのは難しいかもしれませんが、連帯債務型住宅ローンを利用することで、希望する物件を購入することができるかもしれません。

そこで今回は、ファイナンシャルプランナーの金子 賢司さんに連帯債務柄住宅ローンの特徴とともに、メリットとデメリットについて解説していただきました。

1. 住宅ローンの連帯債務の意味

住宅ローンにおける連帯債務とは、どちらかが主債務者、もう一人が連帯債務者となり、それぞれが1つの住宅ローンの債務を同等に負うことです。

例えば、夫の年収だけでは希望額に届かない場合、夫が債務者、共働きをしている妻が連帯債務者となり、夫と妻の収入を合計することで借入額を増やすことができます。なお、夫婦だけではなく親子でも連帯債務を利用することも可能です。

住宅ローンの連帯債務の特徴

住宅ローンの連帯債務を利用すると、2人それぞれに同等の債務が発生します。金融機関等の債権者は夫、妻どちらかに全額請求することもできますし、両方に半分ずつ請求することも可能です。

連帯債務者になれる人

連帯債務型住宅ローンが利用できる代表的なものとして、住宅金融支援機構のフラット35がありますが、収入合算できる連帯債務者の要件を以下のように定めています。

【収入合算できる方】

以下の要件に当てはまる方一名のみを連帯債務者として指定することができます。

  • 申込者本人の親・子供・配偶者等
  • 申込時の年齢が70歳未満
  • 申込者本人と同居している人
  • 連帯債務者となる方

【収入合算できる金額】

連帯債務者同士で合算できる金額には一定の条件があります。フラット35の場合は、申込者の収入に合算する人を合算者といい、合算できる金額は以下の通りとしています。

  • 合算者の年収の全額まで
  • ただし、合算額が収入合算額の50%を超える場合は、借入期間が短くなることがあります。

2. 連帯債務型の住宅ローンを利用するメリットとデメリット

連帯債務型住宅ローンは、連帯債務を利用して、借入額を増やすことができるローンです。そのメリットとデメリットについては以下の通りです。

メリット

  • 借入額が増える
  • 2人とも住宅ローン控除を受けることができる
  • 諸費用を抑えられる

デメリット

  • 連帯債務者が休業しても返済が免除されるわけではない
  • 団信に主債務者または連帯債務者のどちらかしか加入できない
  • 離婚した場合でも連帯債務者の返済義務はなくならない

それでは、それぞれ詳しく見ていきましょう。

メリット

・借入額が増える

住宅ローンを利用する際、一人の年収だけでは希望額の融資が受けられなくても、夫婦、親子の収入を合算することで借入額を増やすことができます。

・2人とも住宅ローン控除を受けることができる

2人ともが住宅ローン控除の条件を満たしていれば、それぞれが住宅ローン控除を受けることが可能です。最大年末ローン残高の1%が10年間(※1)、所得税から控除されます。また、所得税から控除しきれない場合は、住民税から税額が控除されます。

(※1) 消費税10%が適用された住宅を取得等して2019年10月1日から2021年12月31日までに入居した場合の適用期間は13年間に延長されます。

・諸費用を抑えられる

連帯債務型は1本の契約とみなされますので、印紙代や事務手数料等の諸費用が1契約分で済みます。

デメリット

・連帯債務者が休業しても返済が免除されるわけではない

妻が産休に入ったり、夫が病気やケガで入院をしたりしたとしても返済が免除されるわけではありません。住宅を購入する際には、万が一のときのために積み立てや保険で備える等、不測の事態も想定したうえでの返済計画が必要です。

・団信に主債務者または連帯債務者のどちらかしか加入できない

連帯債務型ではどちらか一方しか、団信に加入をすることができません。仮に団信に加入をしていない方に万が一のことがあった場合、住宅ローンの返済がそのまま続くうえに、世帯年収が一部失われてしまいます。

団信に加入していない方は、生命保険等を利用することも視野に入れなければなりません。万が一に備えて団信に変わる保障を個別に用意しておく必要があるでしょう。

なお、フラット35の「デュエット」など、2人で加入できる団信もありますが、機構から融資を受けていることを要件としている等、かなり対象が限られます。

・離婚した場合でも連帯債務者の返済義務はなくならない

連帯債務型の住宅ローンを使用している場合、夫婦が、万が一離婚をしても、住宅ローンの返済義務はどちらも無くなることはありません。連帯債務型住宅ローンの場合、夫婦で出し合った割合での共有名義となります。離婚をしても連帯債務者から外れることができなければ家の共有名義も変えることができません。

合わせて読みたい

住宅ローンの団体信用生命保険とは?加入時の注意点とポイント

3. 住宅ローンの連帯債務型と連帯保証型、ペアローンとの違い

住宅ローンの連帯債務型と似ているタイプに、連帯保証型やペアローン等があります。自分に最も合った方法を選ぶことができるよう、概要を確認しておきましょう。

連帯保証型

連帯債務型の住宅ローンを夫婦で利用している場合は、夫婦それぞれが同等の返済義務を負っていますが、連帯保証型は、債務者の連帯保証人は、直接住宅ローンの債務を負っているわけではなく、債務者が返済できなくなったときに返済義務が生じます。

ペアローン

ペアローンは夫婦がそれぞれ住宅ローンを組み、お互いが相手のローンの連帯保証人となる方法です。

各ローンのポイントを整理すると以下のようになります。

ペアローン 連帯債務 連帯保証
債務者 債務者 主債務者 連帯債務者 債務者 連帯保証人
団体信用生命保険 金融機関による
住宅ローン控除
所有権

4. 連帯債務型の住宅ローンを利用する注意点

連帯債務型の住宅ローンを利用する注意点

連帯債務型の住宅ローンを利用する際に注意すべき点を確認しておきましょう。

贈与税が発生するケースも

連帯債務型の住宅ローンの利用において、本来、主債務者の返済するべき住宅ローンを、連帯債務者が肩代わりをして支払いをした場合、贈与税が発生する可能性があります。贈与税の年間110万円の基礎控除が認められていますが、定期的、継続的に負担されている場合は否認される可能性もありますので注意してください。事前に税理士や税務署に確認をしておきましょう。

借換がしにくくなる

夫婦の収入を合算して、連帯債務型住宅ローンを利用している場合、仮にどちらかが退職して収入がなくなった場合や、病気で今後団信に加入できない場合でも、借換をすることができなくなります。

5. 連帯債務型住宅ローンはメリット・デメリットをしっかり理解したうえで活用

連帯債務型住宅ローンは、夫婦、または親子等要件を満たす人を一人連帯債務者として指定し、連帯債務者と収入を合算して住宅ローンを申し込む方法です。収入を合算することで、より多くの融資額を利用することが可能になります。

また、連帯債務型住宅ローンは、銀行からの借入を増やすことができる以外にも、2人とも住宅ローン控除を受けられたり、一人分の諸費用で抑えられたりできるというメリットがあります。

しかしその反面、2人とも団信に加入することができないことや、何らかの事情で離婚をした場合や、片方が退職や病気で働けない等ライフプランに変動があった場合でも、債務がなくなるわけではないというデメリットがあることも確かです。

利用する際は、慎重に検討をしましょう。

金子 賢司さんの写真

金子 賢司
(かねこ けんじ)

ファイナンシャルプランニング技能士1級と同等資格のCFP(R)や、生命保険資格の最高峰であるTLCを持ち、日本FP協会道央支部に幹事として所属。2017年以降は、確定拠出年金・生命保険・ライフプランに関するセミナーを年間50~100件開催。北海道新聞にもコラム掲載の経験があり、執筆活動にも力を入れている。

ファイナンシャルプランニング技能士1級と同等資格のCFP(R)や、生命保険資格の最高峰であるTLCを持ち、日本FP協会道央支部に幹事として所属。2017年以降は、確定拠出年金・生命保険・ライフプランに関するセミナーを年間50~100件開催。北海道新聞にもコラム掲載の経験があり、執筆活動にも力を入れている。

ほかの人が次に読んでいる記事

ページの先頭へ