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世帯年収1,200万円の人が注意すべき住宅ローンのポイントと借入額の目安

掲載日:2023年6月29日

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世帯年収が1,200万円の家庭がマイホームを考えるとき、どんなチェックポイントがあるでしょうか?家計には余裕があり、安心して住宅購入に踏み切れるように思えますが、住宅ローンの返済は長きにわたるものです。自己資金や借入額、そして返済プランを慎重に考え、選択していかなければなりません。今回は住宅ローンの借入で目安にするべき数字を算出し、借り方・返し方の注意点を見ていきましょう。

1. 世帯年収1,200万円なら住宅ローンは心配ない? 注意すべき点は?

適正な借入額を導き出せば、無理のない住宅ローンを検討することができます。まずは年収1,200万円世帯の手取り収入を把握し、そのポテンシャルを見ていきましょう。

年収1,200万円以上の世帯は全体の1割に満たない

世帯年収が1200万円、単純計算で月収が100万円の世帯はどれだけいるのでしょうか。厚生労働省の調査によると、所得1,200万円以上の世帯は7.8%となっており、全体の1割以下です。同調査によると、全世帯の平均所得は約564万円ですので、収入にはかなり余裕がある世帯といえるでしょう。ただ、共働き、いわゆる「2馬力」と、夫か妻の一人が働く「1馬力」では、手取り収入の金額に差が出てきます。

手取りの額は世帯収入から税金や社会保険料を差し引いて算出します。所得税は、多く稼ぐ人ほど税率が高くなる累進課税です。例えば、所得が695万円以上900万円未満の場合は税率が23%、これが900万円以上になると33%と10%も跳ね上がります。

令和4年分 所得税の税額表〔求める税額 =A×B-C〕

A 課税所得金額 B 税率 C 控除額
1,000円から1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

片働きの年収1,200万円と共稼ぎで年収1,200万円、手取り額はどれだけ違う?

一般的に、手取り額の目安は年収1,000万円以下であれば70~80%程度、年収1,000万円~2,000万円なら60~70%程度とされています。では、同じ年収1,200万円でも、1馬力(片働き)と2馬力(共働き)の世帯で手取り額はどれだけ違うのかを試算してみましょう。

手取り額は年収から税金(所得税と住民税)、社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料、雇用保険料)を差し引いた額です。概算によるものであくまで参考値ですが、1馬力で年収1,200万円の世帯の手取り額は865万円(年収の72%)、2馬力の世帯は930万円(年収の77.5%)になりました。前述の通り、所得税は累進課税の仕組みを取っているため、2人が600万円稼ぐほうが、1人で1,200万円を稼ぐよりも税負担が少なくなるのです。

世帯年収が1,200万円であっても住宅購入は慎重に検討して

世帯年収が1,200万円以上あれば、余裕を持ってマイホームの購入に踏み切れそうです。しかし、家計の収支やライフプランと突き合わせながら、慎重に検討していくべきでしょう。まず、まとまった出費として考えなければならないのは子どもの教育費です。文部科学省や日本政策金融公庫の調査によると、幼稚園から小学校・中学校までの学費は、公立のみで約103万円、すべて私立だと約352万円が平均してかかります。教育費の本丸と言っていい高校3年間・大学4年間の入学・在学費用は約943万円。国公立か私立か、自宅通いか一人暮らしかといった条件で著しく差が出るものですが、教育費の総額で1,000万円以上は見込んでおいたほうがいいでしょう。

旅行やレジャーなどの趣味、自家用車など、まとまった出費がどれだけ出るかによっても家計の収支は大きく変わります。世帯年収1,200万円であっても、長期的なライフプランを考え、出産・育児・老後などのライフイベントを考慮した返済計画を考えていくべきなのです。必要に応じて、FP(ファイナンシャルプランナー)に相談するなど、暮らしのお金を振り返る機会を持ちましょう。

2. 世帯年収1,200万円で借入できる額と目安とは?

世帯年収1,200万円の方が住宅の購入を考えるとき、どれだけの額で住宅ローンを組めるのでしょうか。金融機関から借入可能な額や一般的な目安、さらに総額を絞り込んでいく際の注意点を見ていきましょう。

年収1,200万円の世帯が借入できる上限はいくら?

一般的に、「住宅の借入額は年収の7倍まで」といわれてきました。このセオリーを世帯年収1,200万円に当てはめれば、1,200万円×7=8,400万円までの住宅購入が可能になります。首都圏の新築分譲マンションの動向を見てみると、2022年度(2022年4月~2023年3月)の平均価格は6,907万円。全国的に住宅価格が上昇し続ける中でも、希望に沿った物件を購入できそうな感触です。

住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携する住宅ローン「フラット35」は最高で8,000万円まで借りられるので、借入額の上限もおのずと決まってきます。商品や、融資希望者の条件によっては上限額まで借入ができない可能性もあります。実際の借入可能額は、金融機関に問い合わせて確認しましょう。

年収1,200万円の世帯が目安にしたい借入額は?

借入額の目安を考えるうえで欠かせないキーワードが「返済比率(返済負担率)」です。これは、年収において住宅ローンの借入金額が占める割合のこと。一般的には返済比率を20%~25%、つまり年収の2割程度に抑えると余裕をもった返済ができるといわれています。

年収1,200万円の世帯では、返済比率20%は240万円で、月々の返済は20万円(ボーナス返済なしの想定)になります。みずほ銀行の住宅ローン借入可能額シミュレーションで試算すると、35年ローンで7,870万円の借入ができるという目安が出てきました。前項で出てきた「8,000万円台」に近い数字です。

世帯年収が多いほど、住宅費以外の出費も余裕を持ってカバーできるので、返済比率を上げても家計への影響は低く抑えられます。以下の表を参考にして、現在の家計がどれだけの返済比率を許容できるかを計算してみましょう。

条件:借入額8,000万円、返済期間35年、ボーナス返済なし、金利年0.375%

返済比率 月々返済額 年間返済額
15% 15万円 180万円
20% 20万円 240万円
25% 25万円 300万円
30% 30万円 360万円
35% 35万円 420万円

3. 借入額を決める際に考えるべきリスクや注意点は?

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住宅ローンの借入額は、家計のバランスを崩さないよう、慎重に決めていきたいもの。安心・安全なプランニングには、返済比率以外にもいくつかのチェックポイントがあります。

共働き世帯は離職の可能性も考えておく

住宅ローンの借入時は共働きで収入をパワフルに確保できていても、それが永続的に続くとは言い切れません。今後どちらかの収入が減少したり、なくなってしまったりした場合は当然ながら収入も減少。返済比率が大きく変わってきます。

出産や育児で短時間勤務に変更したり、どちらかの転職や転居によって離職を余儀なくされたりする可能性もあるでしょう。2馬力から1.5馬力~1馬力になるというリスクは、常に考えておかなければならないのです。この場合、600万円+600万円の共稼ぎ世帯が最もハイリスクです。夫婦均等に収入がある世帯は税負担でメリットがありましたが、1馬力になると世帯収入は一気に半分になってしまいます。

借入額が大きいと金利上昇リスクも高くなる

住宅ローンは返済期間と金利によって毎月の返済額が変わってきます。金利が上昇するにつれて返済額も増えていきますが、金利がかかるのは残債です。そのため、総借入額が多い場合は月々返済する金額の上昇幅も大きくなるのです。

金利上昇リスクを折り込みつつ、貯蓄が着実にできる借入額にとどめることや、そもそも金利上昇リスクのない固定金利を選択することも考えておく必要があります。後悔のないよう、世帯に合った返済プランを絞り込んでいきましょう。

条件:借入額8,000万円、返済期間35年、ボーナス返済なし、収入1,200万円

金利 月々返済額 年間返済額 返済比率
年0.375% 20万3,279円 243万9,348円 20.3%
年0.5% 20万7,665円 249万1,980円 20.8%
年1.0% 22万5,827円 270万9,924円 22.6%

想定の借入額や、月々の返済額から返済計画を確かめてみませんか

住宅ローンシミュレーションはこちら

4. 返済期間に余裕がある場合に考えたい住宅ローンの借り方

住宅ローンには変動金利・全期間固定金利・固定金利選択がありますが、どの金利を選択するべきかは、ライフプランや自己資金によって変わってきます。ただ、住宅ローン金利も国際情勢や経済動向の影響を受け、上昇局面に入ることもあります。リスクを想定した選択について考えてみましょう。

固定金利を選択してリスクを抑える

住宅ローンの金利には変動金利・全期間固定金利・固定金利選択の3つがあります。空前の低金利時代が続いたため、住宅購入者には変動金利が魅力的です。しかし、変動金利は金利の上昇による影響を受け、完済まで支払う利息の総額が想定より増える可能性もあります。月々の返済額に余裕がある場合、固定金利を選択肢に入れて検討するのもおすすめです。

返済期間を短くする

年収1,200万円の世帯で家計に余裕がある場合、返済期間を短縮するというアプローチも考えられます。返済期間を短くすることで、トータルで支払う利息を抑えることができるためです。ただ、月々の返済額は上がり、年間の返済比率も上昇します。住居費が家計を圧迫しすぎないよう、バランスのよい返済期間を検討していきましょう。

団信など補償プランを手厚くする

住宅ローンを利用する際、団信(団体信用生命保険)への加入が必須になります。住宅ローン契約者が病気やケガ、死亡などの理由で返済が難しくなった場合、団信に加入していれば、その保険金で住宅ローンの残債が完済されます。住宅ローンは35年といったように長期にわたって返済していくものです。死亡や高度障害だけではなく、様々な病気のリスクに備えておいて損はありません。

年収1,200万円世帯で「万が一の備え」にもお金を割ける場合、団信を手厚くするというのも一つの手段です。日本人の死因第一位の病に備えた「がん補償特約付団信」はよく知られていますが、がん・脳卒中・急性心筋梗塞に備える3大疾病補償、さらに高血圧症・糖尿病・肝硬変・慢性腎不全・慢性膵炎に備える8大疾病補償の特約が付加された団信もあります。みずほ銀行は「8大疾病補償プラス」の団信を用意しており、もしものときの備えも手厚くしています。

5. 年収1,200万円世帯が、自分たちらしい住宅ローンを考えていくために

AI事前診断で希望借入額の借入可能性を診断できる

年収1,200万円世帯の条件を生かした住宅資金、そしてリスクに備えた住宅ローンの組み方を解説しました。世帯年収のボリュームを生かしてアクティブに考え、万が一に備えてリスクを抑えるための方策も考えておく。この両輪を回してこそ、理想と現実が合致する、自分たちだけの住まいが見えてきます。

ただ、返済シミュレーションで試算した通り、月々の返済額や総返済額は金利によって大きく変わってくるもの。金融機関の本格的審査の後に計画の変更を迫られるようでは、後手に回りかねません。

そこでおすすめしたいのが、みずほ銀行のAI事前診断(ネット住宅ローン事前診断)です。こちらは先端のAIを活用し、希望借入額で審査が通る可能性を最短1分で診断するもの。人が行っていた従来の審査とほぼ同水準の高精度で診断できるため、診断結果によって借入計画を適切に見直すことができます。最短1分でチェックできるスピード診断を利用し、不安のない返済プランを仕上げていきましょう。

住宅ローン AI事前診断

佐々木 正孝

佐々木 正孝
(ささき まさたか)

編集/ライター。キッズファクトリー代表。教育・ビジネス系の記事を執筆しつつ、児童書の編集やマンガ原作も手がける。

編集/ライター。キッズファクトリー代表。教育・ビジネス系の記事を執筆しつつ、児童書の編集やマンガ原作も手がける。

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