個人事業主が利用できる融資の種類は?他の資金調達方法も紹介
掲載日:2024年9月2日
事業を営んでいると、事業拡大のための設備の購入や仕入れ費用等で事業資金の調達が必要になることがあるでしょう。
個人事業主が利用できる融資には、日本政策金融公庫や自治体の融資制度、民間金融機関の融資等があります。
本記事では、個人事業主が融資を受ける主な方法を紹介します。融資を受ける際の注意点や融資以外の資金調達方法も解説するので、個人事業主の方はぜひ最後までご覧ください。
個人事業主が利用できる融資の種類
融資とは、主に金融機関や公的機関から事業資金を借りることです。個人事業主が融資を受ける際、主に以下の方法が検討できます。
- ①日本政策金融公庫
- ②自治体の制度融資
- ③民間金融機関(銀行や信用金庫)の融資
- ④ビジネスローン
①日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、国が株式の100%を保有する政策金融機関です。支店は全国に152支店(2024年8月21日時点)、事業資金の融資先は約131万件にのぼり、中小企業や個人事業主、農林漁業者を対象に幅広く融資を行っています。
例えば、「一般貸し付け」は事業を営むほとんどの業種の方が利用できる融資制度で、4,800万円(特定設備資金は7,200万円)を限度に融資が受けられます。
日本政策金融公庫は、民間金融機関を補完する目的で運営する政策金融機関であり、民間金融機関と比べて金利が低めです。また、融資の種類によっても異なりますが、返済期間が最長20年と長く、長期の返済計画を立てられます。
ただし、融資を受けるまでに面談等の手続きが必要となり、融資まで日数がかかる傾向があります。
なお、融資制度の種類や内容について、詳しくは日本政策金融公庫のウェブサイトでご確認ください。
②自治体の制度融資
独自に制度融資を行っている自治体(都道府県や市町村等)もあります。制度によって異なりますが、民間金融機関よりも低金利・固定金利での借入も可能です。
ただし、自治体の制度融資は、信用保証協会の利用を条件としている場合が多い傾向があります。
信用保証協会とは、返済が困難になった場合に代位弁済してくれる(事業者に代わって立て替えてくれる)会社のことです。信用保証協会を利用することで金融機関側の貸し倒れリスクが低くなるため、事業者は融資を受けやすくなります。
ただし、信用保証協会を利用する場合は、保証料の支払いが必要です。また、自治体・信用保証協会・金融機関が関わる制度であるため、融資までの日数が長くなる傾向があります。
制度の詳細は自治体によって異なるため、お住まいの地域でご自身の事業に合う制度融資を調べてみましょう。
③民間金融機関(銀行や信用金庫)の融資
民間金融機関(銀行や信用金庫)の融資は、大きく「プロパー融資」と「保証付き融資」の2種類に分けられます。
民間融資の種類 | 概要 |
---|---|
プロパー融資 |
信用保証協会を通さずに金融機関から直接融資を受ける方法 |
保証付き融資 |
信用保証協会による保証を利用する方法 |
プロパー融資は比較的金利が低く、融資上限がないため、審査結果によっては高額の融資も可能です。ただし、信用保証協会による保証がなく、金融機関の貸し倒れリスクが大きいため、保証付き融資と比べて審査のハードルが高くなる傾向があります。
なお、銀行が営利を目的とした金融機関であるのに対し、信用金庫は地域の方々の相互扶助を目的とした協同組織の非営利法人です。融資条件には、信用金庫の営業地域内にお住まい、または事業所があること等の条件があるため、まずはお近くの信用金庫に相談してみるのも良いでしょう。
④ビジネスローン
個人事業主向けのビジネスローンを利用する方法もあります。ビジネスローンとは、銀行やノンバンク(消費者金融や信販会社等)が扱う事業資金用のローンです。
1回ごとに契約書を交わして契約書に記載された金額を借りる証書貸し付け型と、利用限度額の範囲で繰り返し融資が受けられる場合があり、ビジネスローンによって異なります。
ビジネスローンは比較的審査が早く、資金調達を急ぐ個人事業主にとって有力な選択肢の一つとなるでしょう。また、原則として使い道に制限がない点や担保・保証人なしで利用できる点もメリットです。
利便性が高い反面、他の融資制度と比べて金利は高めに設定されています。ただし、銀行のビジネスローンは、ノンバンクと比べて一般的に低めです。
個人事業主が融資を受ける際のポイント・注意点
公的融資や民間融資を受ける際は、審査に通過しなければなりません。この章では、個人事業主が融資を受ける際のポイント・注意点を解説します。
- 自己資金を用意しておく
- 資金使途を明確に示す
- 説得力のある事業計画書を作成する
- 確定申告書を提出する必要がある
- 融資の審査には日数がかかる
自己資金を用意しておく
個人事業主が融資を受ける際、どれだけ自己資金を用意できているかは重要なポイントの一つです。
一般的に、自己資金が多いほど融資額を低くでき、返済が滞る可能性が低くなるため、融資が受けやすくなります。融資によっては、自己資金割合が定められている場合もあります。
また、返済の負担を踏まえても、ある程度の自己資金が必要です。自己資金割合が低ければ、売上が思うように上がらないときや想定外の出費が生じたとき等に資金繰りが苦しくなる可能性もあります。
日本政策金融公庫の「2023年度新規開業実態調査」によると、資金調達額に占める自己資金の割合は約23.7%でした。無理のない返済計画を立てられるよう、計画的に自己資金を準備しましょう。
なお、自己資金とは「事業者が自分で準備したお金」のことで、家族や友人から借りたお金は自己資金とはみなされません。
資金使途を明確に示す
融資を受ける際は、資金使途を明確に説明しなければなりません。例えば、事業に係る資金が1,000万円で、自己資金が300万円、残りの700万円を借り入れ希望額として融資の申し込みをする場合、事業に必要な1,000万円の内訳を説明し、見積書等で客観的な根拠を示す必要があります。
事業にどれだけの資金が必要で、いくら不足するのかを具体的に算出しましょう。なお、事業に必要な資金は、設備資金と当面の運転資金を合計したものです。
事業に必要な資金=設備資金+当面の運転資金
また、融資を受けたお金は約束した資金使途に充てなければなりません。例えば、設備資金として融資を受けたお金を運転資金に充てると資金使途違反となるため、注意が必要です。
説得力のある事業計画書を作成する
事業計画書は、融資を受ける際の審査において重要な指標の一つです。
審査では、きちんと利益が上がり、融資金を返済できる計画になっているかが見られます。つまり、事業計画書の売上予測や資金計画が希望的なものではなく、根拠のある実現性の高い数字になっていることが重要です。
日本政策金融公庫では、事業をはじめる方に向けて様々な資料を提供しています。「創業の手引」等を活用し、説得力のある事業計画書を作成しましょう。
確定申告書を提出する必要がある
一般的に、個人事業主が公的機関や金融機関から融資を受けるためには、確定申告をしている必要があります。
例えば、日本政策金融公庫では、原則として確定申告書(直近2期分)の提出が必要です。また、確定申告書の他にも開業届や本人確認書類、事業計画書等の提出を求められる場合があります。
準備に時間がかかるものもあるため、事前に確認し、余裕をもって準備しましょう。
融資の審査には日数がかかる
融資を受ける際の審査は日数がかかる傾向があるため、早い段階から事業計画を立て、資金繰りが苦しくなる前に手続きを進めましょう。
例えば、日本政策金融公庫の場合、融資が決まるまでの日数は2週間程度です。また、信用保証協会が関わる保証付き融資は、融資までの日数が長くなる傾向があります。
個人事業主が融資以外で資金調達する方法
事業資金が必要なとき、個人事業主が利用できる資金調達方法は融資以外にもいくつかあります。融資以外で事業資金を調達できる主な方法は、以下の通りです。
- 自治体の助成金・補助金制度
- ファクタリング
- クラウドファンディング
自治体の助成金・補助金制度
自治体によっては、融資制度の他に個人事業主向けの助成金・補助金制度を独自に行っている場合があります。助成金や補助金は融資とは違い、返済の必要がありません。
例えば、東京都では、創業初期に必要な経費の一部を助成する「創業助成事業」や、技術・製品開発に要する経費の一部を助成する「TOKYO戦略的イノベーション促進事業」等を実施しています。
制度ごとに「税金を滞納していない事業者である」等の利用条件が定められているため、ご自身の事業や状況に合うものがあるかを調べてみましょう。
ファクタリング
ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング事業者に売却し、一定の手数料が差し引かれた金額を期日前に受け取れるサービスです。
融資ではなく「債権の売買(債権譲渡)」であるため、担保や保証人が不要で、資金化までの時間が短い傾向があります。早急に資金調達したい場面で役立つでしょう。
ファクタリングには、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがあり、前者の場合は売掛先への通知も不要です。
取引の種類 | 概要 |
---|---|
2社間ファクタリング |
ファクタリング事業者と利用者の2社間で取引をするファクタリング |
3社間ファクタリング |
ファクタリング事業者・利用者・売掛先の3社間で取引をするファクタリング |
一方、3社間ファクタリングは売掛先の承諾が必要ですが、手数料を抑えられる傾向があります。ただし、ファクタリングの手数料は、融資の金利と比べて高い傾向があるため注意しましょう。
また、近年、ファクタリングを装って高金利で融資を行う「偽装ファクタリング」が増えています。買い取り代金が債権の額に対して著しく低い(手数料が高い)場合は、偽装ファクタリングである可能性が高いため、くれぐれも注意しましょう。
クラウドファンディング
クラウドファンディングとは、インターネット上で取り組みたい活動や企画、アイデアを発信し、広く支援金を集める仕組みです。
開発資金等を調達できるだけでなく、商品やサービスを広くPRでき、販売前に市場の反応や需要を確かめられる等のメリットがあります。
また、クラウドファンディングは多様化しており、地域活性化に特化したサービスや新商品・サービス開発のプロジェクトを掲載しているサービス等さまざまです。
ただし、目標金額を達成できなければプロジェクトが不成立となり、資金調達ができない可能性があります。
みずほ銀行カードローンは個人事業主の方もお申込が可能
個人事業主が早急に資金を調達したい場合、個人事業主向けカードローンが役立ちます。業者によっては最短即日に事業資金を調達でき、利用限度額の範囲で何度でも融資が受けられるため、急な資金需要にも対応しやすいでしょう。
みずほ銀行カードローンは、個人のお客さまを対象としたカードローンであり、事業資金にはご利用いただけませんが、個人事業主の方もお申込が可能です。
事業資金を除き、原則として使い道に制限がないため、個人的な支出で一時的に資金が足りなくなった際、生活費の補てんや医療費、教育費、冠婚葬祭費、住宅の修繕費等に幅広くご利用いただけます。
また、利用限度額が50万円以下の場合は、本人確認書類のみでお申込が可能です。インターネットでのお申込なら最短当日に審査結果をお知らせできるため、お急ぎの方もぜひご検討ください*。
- *審査結果の最短当日回答は、みずほ銀行の口座をお持ちの方に限ります。
まとめ
個人事業主が事業資金を調達したいとき、日本政策金融公庫や自治体の制度融資、民間金融機関、ビジネスローン等が検討できます。
公的機関の融資は日数がかかりますが、比較的低金利で資金調達できます。また、早急な資金調達が必要なときは、銀行や消費者金融等が扱うビジネスローンを検討するのも手段の一つです。
みずほ銀行カードローンは、事業資金にはご利用いただけませんが、個人事業主の方もお申込が可能です。個人的な支出で資金が必要になった場合に、幅広い目的でご利用いただけますのでぜひご検討ください。
カードローンのお申込は
こちら
-
- *カードローンのお申込に際してはみずほ銀行およびみずほ銀行指定の保証会社である株式会社オリエントコーポレーション(以下オリコ)またはアイフル株式会社(以下アイフル)の審査があります。審査の結果によっては、ローンご利用のご希望に沿いかねる、またはご希望のご利用限度額をご選択されていても減額させていただく場合がありますので、ご了承ください。
- *カード種類は「キャッシュカード兼用型」となります。
- *「キャッシュカード兼用型」には自動貸越機能を付加させていただきます。
自動貸越機能についてはこちら - *みずほ銀行、オリコまたはアイフルより申込内容の確認のため、ご入力いただいた電話番号にお電話を差しあげる場合があります。申込時間により、ご連絡が翌日以降(土・日曜日、祝日の場合は翌営業日以降)になる場合があります。 なお、ご連絡がとれなかった場合は、お申込を取り下げさせていただく場合もあります。
- *お申込の時間等により、仮審査結果および必要書類登録用URLのご連絡が翌日以降(土・日曜日、祝日の場合は翌営業日以降)になる場合があります。
- *審査結果の最短当日回答は、みずほ銀行の口座をお持ちの方に限ります。
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- *メールアドレスの誤入力等により、仮審査結果のご連絡がメールで届かない場合は、大変お手数ですが以下の【みずほ銀行カードローン専用ダイヤル】までお電話ください。審査結果や必要書類ご登録のご案内、ご契約内容等のご連絡はメールのみとなりますので、メールアドレスの登録内容を必ずご確認ください。
- *申込に必要な手続きをみずほ銀行からメールでご案内します。みずほ銀行のドメイン(@p.onet.orico.co.jp、@e-mail.mizuhobank.co.jp)からのメールを受信できるよう設定してください。
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- *カードローン口座開設後、ご契約内容を通知いたします。
- *お客さまとのお取引の内容、状況等に応じて、過去にご確認させていただいた、お客さまの氏名・住所・生年月日や、お取引の目的等を、再度ご確認させていただく場合がございます。また、その際に各種書面等のご提示をお願いする場合がございます。
確認にご協力いただけない場合は、カードローンを含めるすべてのお取引が制限される可能性がございますのでご留意ください。 - *ご利用いただける方:
ご契約時の年齢が満20歳以上満66歳未満の方で、安定した収入があり、みずほ銀行指定の保証会社であるオリコまたはアイフルの保証を受けることができる方 - *「必要書類登録用URL」は、みずほ銀行委託先より送信いたしますのであらかじめご了承ください。
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- *そのほかにもご利用にあたってのご注意事項があります。お申込の前に必ずご確認ください。
全国銀行協会の全国銀行個人信用情報センターにおいて、2019年3月29日より「貸付自粛制度」がスタートしました。
詳しくは貸付自粛制度のご案内よりご確認ください。
ギャンブル等依存症に関する注意事項や、対処に困った場合の相談窓口はこちらから
監修者情報
内山貴博
(うちやま・たかひろ)
大学卒業後、証券会社の本社で社長室、証券業務部、企画グループで5年半勤務。その後FPとして独立。金融リテラシーが低く、資産運用に保守的と言われる日本人のお金に対する知識向上に寄与すべく、相談業務やセミナー、執筆等を行っている。
日本証券業協会主催「投資の日」イベントや金融庁主催シンポジウムで講師等を担当。
2018年に日本人の金融リテラシー向上のためのFPの役割について探求した論文を執筆。
大学卒業後、証券会社の本社で社長室、証券業務部、企画グループで5年半勤務。その後FPとして独立。金融リテラシーが低く、資産運用に保守的と言われる日本人のお金に対する知識向上に寄与すべく、相談業務やセミナー、執筆等を行っている。
日本証券業協会主催「投資の日」イベントや金融庁主催シンポジウムで講師等を担当。
2018年に日本人の金融リテラシー向上のためのFPの役割について探求した論文を執筆。