ページの先頭です
メニュー

メニュー

閉じる
本文の先頭です

法人とは?種類ごとの特徴や個人事業主との違いを分かりやすく解説

掲載日:2025年8月25日法人口座

キービジュアル

法人は「公法人」と「私法人」に大別されます。私法人はさらに、株式会社や合同会社等の「営利法人」と、NPO法人や一般社団法人等の「非営利法人」に分類され、設立方法や運営の仕組み、責任範囲等がそれぞれ異なります。

本記事では、「法人」の意味や種類ごとの特徴を分かりやすく解説します。また、会社や個人事業主との違いや、法人を設立するメリット・デメリットも紹介します。

法人とは

法人とは、法律によって権利・義務の主体となることを認められた団体や組織です。

民法上、権利能力(法律上の権利・義務の主体となることができる資格)をもつのは、「自然人(人間)」と「法人」の2つに大別されます。生まれながらに権利能力をもつ自然人に対して、法人は法的な手続き(設立)を経てこの権利を有することができます。

法人を設立して法人格(法律上の人格)を取得すると、法人として次のような契約行為等を行うことが可能となります。

  • オフィスや店舗を借りる
  • 銀行で法人口座を開設する
  • 従業員を雇用する
  • 不動産を所有する 等

法人と会社・企業の違い

「会社」とは、「会社法」に基づいて設立される、営利を目的とする法人です。具体的には株式会社や合同会社、合資会社、合名会社等が該当します。つまり、会社は法人の一形態です。

また、「企業」は営利を目的に経済活動を行う主体の総称であり、個人事業主も含まれます。

法人と個人事業主の違い

個人事業主とは、法人を設立せずに個人で事業を行っている人を指します。法人との主な違いは以下の通りです。

項目 法人(株式会社の場合) 個人事業主

設立手続き

登記

開業届の提出

資本金

必要

不要

設立費用

18万円~24万円程度

なし

責任範囲

有限責任

無限責任

税金の種類

法人税、法人住民税、法人事業税など

所得税、住民税、個人事業税など

社会保険

健康保険、厚生年金保険

国民健康保険、国民年金など

個人事業主の場合は、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出すれば、事業を開始できます。一方、法人を設立する場合は、定款の作成や法務局での登記手続きが必要です。また、設立費用や責任範囲、課税される税金、社会保険等にも違いがあります。

関連記事:「個人事業主とは?必要な手続きやメリット・デメリットを解説」

みずほ銀行の法人口座開設(法人のお客さま)

法人は大きく分けると3種類

法人は「公法人」と「私法人」に大別され、私法人はさらに「営利法人」と「非営利法人」に分類されます。

  • 公法人
  • 私法人
    • 営利法人
    • 非営利法人

公法人とは、国や地域のために公の活動を行う法人です。一方、私法人は個人や団体によって設立され、営利または非営利の目的で活動する法人を指します。

営利法人と非営利法人は、いずれも私法人の一種ですが、目的や利益の扱いに違いがあります。営利法人は、事業活動によって得られた利益を構成員(株主や社員等)に分配することを目的とする法人です。一方、非営利法人は利益を分配せず、事業の目的を達成するための活動に充てます。

公法人の主な種類・特徴

公法人は、国や地方公共団体等が設立する法人を指し、具体的には以下のような法人が該当します。

区分 内容

地方公共団体

  • 普通地方公共団体(都道府県や市町村)
  • 特別地方公共団体(特別区等)

公共組合

  • 土地改良区
  • 土地区画整理組合
  • 健康保険組合
  • 水害予防組合
  • 消防組合
  • ごみ処理組合 等

営造物法人

  • 公社
  • 公団
  • 事業団 等

独立行政法人

公共性の高い事務・事業のうち、国が直接実施する必要はないが、民間の主体に委ねると実施されないおそれのあるものを行うために設立される法人(国民生活センターや国際協力機構等の86法人*)

公法人は憲法や地方自治法等の公法に基づき、公共の利益を主な目的として設立されます。

営利法人の主な種類・特徴

営利法人は、「株式会社」と「持分会社」に大別され、持分会社はさらに3形態に分類されます。

  • 株式会社
  • 持分会社
    • 合同会社
    • 合資会社
    • 合名会社

なお、有限会社は会社法施行前に設立されていた法人形態です。2006年5月の会社法施行以降、有限会社の新規設立は認められていません。旧有限会社は、現在「特例有限会社」として存続しており、法的には「株式会社」とみなされます。

株式会社

株式会社とは、株式を発行し、株主から資金を集めて事業を営む、営利法人の代表的な形態です。法人の中でも認知度が高く、社会的信用を得やすい法人形態であり、国税庁によると法人全体の92.4%を占めています*。

株式会社の特徴は、所有者(株主)と経営者が異なる点です(所有と経営の分離)。また、株式会社の株主は、会社の債務に対して、出資額の範囲内でのみ責任を負います(間接有限責任)。

合同会社

合同会社(LLC)とは、2006年の会社法改正によって新たに認められた法人形態です。合資会社や合名会社と同様に、原則として出資者が経営者となる「持分会社」に分類されます。

出資比率に応じて議決権が決まる株式会社に対して、合同会社の議決権割合は出資比率に関わらず原則として「1人1議決権」です。

合同会社の設立は、株式会社と同様に有限責任社員1人以上で行うことができ、構成員全員が有限責任社員です。株式会社と比べて認知度は高くありませんが、定款の認証手続きが不要で、設立費用も抑えられる点が特徴です。

合資会社

合資会社は、合同会社と同様に持分会社の1つです。設立するためには最低2名の出資者が必要で、そのうち1名以上が無限責任社員、もう1名以上が有限責任社員である必要ががあります。

出資額を超えて責任を負う「無限責任社員」が存在する点で、合同会社とは異なります。

無限責任社員は、会社が債権者に債務を返済できない場合、個人資産をもって弁済する義務を負い、重い責任を負います。

合資会社の設立にあたっては、他の持分会社と同様に定款の認証手続きが不要であり、登録免許税も株式会社より安いため、設立コストを抑えることができます。

合名会社

合名会社は、合同会社や合資会社とともに持分会社に分類される法人形態です。出資者全員が無限責任社員で構成されます。

無限責任社員は責任範囲が限定されないため、倒産等によって債務が残った場合、個人資産によって弁済する必要があります。

合名会社と合資会社は、現金出資だけでなく労務出資や信用出資も認められており、設立手続きが簡便で費用も抑えられます。しかし、無限責任の重さから、設立件数は少なくなっています。

非営利法人の主な種類・特徴

非営利法人は、得た利益を構成員(理事や監事等)に分配することが認められておらず、事業の目的を達成するための活動に充てる点に特徴があります。

非営利法人の主な種類として、以下の法人が挙げられます。

  • NPO法人(特定非営利活動法人)
  • 一般社団法人
  • 一般財団法人
  • 公益社団法人・公益財団法人
  • 社会福祉法人

なお、1名でも設立できる株式会社や合同会社とは異なり、非営利法人の設立には複数人の設立者が必要です。

NPO法人(特定非営利活動法人)

NPO法人(特定非営利活動法人)は、特定非営利活動を行うための法人です。

特定非営利活動とは、不特定かつ多数の者の利益に寄与することを目的とする一定の活動を指します。具体的には、保健・医療または福祉の増進を図る活動や、まちづくりの推進を図る活動等、20種類の分野に該当する活動が対象です。

NPO法人を設立するためには、「構成員が10人以上である」、「報酬を受ける役員が総数の3分の1以下である」等の要件を満たしたうえで、認証を受ける必要があります。

関連記事:「NPO法人は法人口座を開設できる?金融機関の対応や口座開設のメリットを紹介」

一般社団法人

一般社団法人とは、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づいて設立される社団法人(法人格を有する人の団体)です。

許認可や財産払込の必要がなく、登記手続きによって設立できるため、比較的設立しやすい法人形態といえます。2名以上の社員と1名以上の理事で設立でき、社員と理事の兼任も可能です。

また、NPO法人とは異なり、原則として事業目的に制限がないため、幅広い事業を行える点も特徴です。

一般財団法人

一般財団法人は、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づいて設立された財団法人です。人の集まりによって成り立つ社団法人に対し、財団法人は拠出された財産を基に活動を行う点で異なります。

一般社団法人と同様に設立時の許可は不要であり、登記手続きによって設立できます。ただし、300万円以上の財産の拠出が必要です。また、設立には最低7名(理事3名・評議員3名・監事1名)が必要です。

公益社団法人・公益財団法人

公益社団法人・公益財団法人とは、一般社団法人や一般財団法人のうち、公益目的事業を行うことを主たる目的とする法人です。これらの法人は、内閣府または都道府県から公益認定を受けています。

公益社団法人として認定を受けると、社会的信用度が高まるほか、税制上の優遇措置を受けられる等のメリットがあります。

ただし、「公益目的事業」は法律で定められた23種類の事業に限定されます。また、「費用のうち50%以上が公益目的事業に使われる見込みである」等の要件を満たさなければなりません。

社会福祉法人

社会福祉法人とは、社会福祉法に基づき、社会福祉事業を行うことを目的として設立される法人です。

社会福祉事業は社会福祉法で規定されており、「第一種社会福祉事業」と「第二種社会福祉事業」に区分されます。第一種社会福祉事業には特別養護老人ホームや児童養護施設、第二種社会福祉事業には老人デイサービスや保育所等が該当します。

また、社会福祉事業のほか、公益事業(有料老人ホームや子育て支援事業等)や収益事業(貸ビルや駐車場の経営等)を行うこともできます。

なお、社会福祉法人の設立には、所轄庁による認可が必要です。

法人を設立するメリット

イメージ

個人事業が軌道に乗ってきたタイミングで法人化を検討する個人事業主は少なくありません。個人事業主が法人化すると、主に以下のメリットが得られます。

  • 社会的な信用度が高くなる
  • 所得に係る税率が下がる場合がある
  • 赤字の繰越が10年できる

法人を設立するメリットについて、詳しくは以下の記事も併せてご覧ください。

関連記事:「事業を法人化する9つのメリット|個人事業主との違いや注意点を解説」

社会的な信用度が高くなる

法人を設立するためには登記が必要であり、登記簿には商号や代表者、所在地、事業目的等が記載・公開されます。これにより、事業の実態を公的に示しやすくなり、個人事業主と比べて一般的に社会的信用度が高まります。

法人との取引を希望する企業とも取引できるようになるため、事業機会の拡大にもつながる可能性があります。

所得に係る税率が下がる場合がある

法人化すると、税負担が軽減されることがあります。

個人事業主の所得に課される所得税は、「累進課税」が採用されており、所得が多くなるほど税率も段階的に上がる仕組みです。

一方、法人の事業活動によって生じた所得には、法人税が課されます。法人税の税率は原則23.2%であるため、所得によっては法人化した方が税金の負担を抑えられる可能性があります。

区分 税率

所得税

課税所得金額に応じて5%~45%

法人税

原則23.2%

  • *資本金1億円以下の普通法人の場合、所得金額800万円以下の部分は、2027年3月31日までの間に開始する各事業年度分まで15%(本則19%)

なお、法人に課される税金には、法人税の他にも法人住民税(個人事業主は個人住民税)や法人事業税等があります。

関連記事:「法人税の実効税率とは?計算方法・シミュレーションや表面税率との違いも解説」

赤字の繰越が10年できる

法人が事業で欠損金(赤字)を出した場合、翌年以降、最長10年にわたって繰越が可能です。赤字が生じた翌年以降、利益が出た場合に相殺できるため、法人税の負担を軽減する効果があります。

個人事業主でも青色申告をしていれば損失(赤字)を繰り越せますが、最長3年間であり、法人に比べて繰越期間が限定的です。

法人を設立するデメリット

法人を設立すると、社会的信用や税金面等でメリットを得られる可能性がある一方で、以下のようなデメリットも考えられます。

  • 設立費用がかかる
  • 赤字でも税金を納めなければならない

設立費用がかかる

法人を設立する際は、定款の認証手数料や収入印紙代、登録免許税等の費用が発生します。株式会社と合同会社の場合、設立にかかる主な費用は、それぞれ以下の通りです。

設立費用 株式会社 合同会社

認証手数料

3万円~5万円

不要

収入印紙代*

4万円

4万円

登録免許税

資本金×0.7%(最低15万円)

資本金×0.7%(最低6万円)

また、上記以外の費用として、印鑑作成費用や各種証明書の取得費用、専門家への報酬等が挙げられます。

  • *電子定款の場合は不要

赤字でも税金を納めなければならない

法人住民税には「法人税割」と「均等割」があり、均等割は赤字でも納税義務が生じます。

法人住民税の法人税割は、法人税額に応じて負担する仕組みであり、利益が出ている場合にのみ課税されます。一方、均等割は所得に関わらず、資本金や従業員数に応じて一定額を負担するものです。

つまり、法人化すると、事業で利益が出ていなくても毎年一定の税負担が発生します。

例えば、東京都23区内の法人で資本金が1,000万円以下・従業員数が50人以下の場合、法人住民税の均等割額は7万円です。

法人を設立したらみずほ銀行で法人口座の開設を

法人化を検討している方は、みずほ銀行での法人口座開設をご検討ください。

みずほ銀行の法人口座はオンラインでもお申し込みを受け付けており、ウェブ面談で口座開設のお手続きが可能です。原則として登記事項証明書や印鑑証明書の原本提出が不要であるため、設立準備に追われる中で、口座開設にかかる準備の負担を軽減できます。

また、会社設立3年以内のお客さまは、インターネットバンキング「みずほビジネスWEB」の月額利用料が最大5年間無料になる等、創業期のお客さまへの限定特典もご用意しています。

さらにみずほ銀行では、スタートアップ企業を支援する会員制サービス「M’s Salon」を運営しています。約4,000社の会員さまにご利用いただいている「M’s Salon」では、急成長をめざすイノベーション企業に必要不可欠な経営知識、事業遂行ノウハウ、ビジネス拡大機会、資金調達サポート等をご提供します。

法人を設立した際は、ぜひみずほ銀行の法人口座をご活用ください。

みずほ銀行の法人口座開設(法人のお客さま)

まとめ

法人は「公法人」と「私法人」に大別されます。私法人はさらに、株式会社や合同会社等の営利法人と、NPO法人や一般社団法人等の非営利法人に分類されます。

それぞれ仕組みが異なるため、事業の目的や規模、責任範囲等に応じて、どの形態で法人を設立するかを検討しましょう。

法人設立の準備と並行して、法人口座の開設準備を進めておくことで、事業開始後の資金管理や取引を円滑に行いやすくなります。

口座開設にかかる負担をできるだけ軽減したい方は、インターネットでお手続きが可能なみずほ銀行での法人口座開設をご検討ください。

みずほ銀行の法人口座開設(法人のお客さま)

監修者

安田 亮

安田 亮(やすだ りょう)

  • 公認会計士
  • 税理士
  • 1級FP技能士

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。
連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

HP:https://www.yasuda-cpa-office.com/

ページの先頭へ