NPO法人は法人口座を開設できる?金融機関の対応や口座開設のメリットを紹介
掲載日:2025年3月21日法人口座

NPO法人は特定非営利活動法人とも呼ばれ、豊かな社会の形成等を通じて不特定多数の利益を追求する団体です。
NPO法人を運営するうえでは、法人口座があると便利です。しかし、法人格を持つとはいえ、非営利団体が金融機関で法人口座を開設できるのか、疑問に思われる方もいるでしょう。
本記事では、NPO法人が金融機関で法人口座を開設できるのか、開設する場合のメリットや注意点とともに紹介します。
目次
NPO法人も法人口座の開設はできる?
NPOとは「Non–Profit Organization」の略で、民間の非営利組織を意味します。非営利活動を行う団体であれば、法人格を持たないボランティア団体もNPOに含まれます。
民間の非営利団体であるNPOは、活動上の制約を受ける機会が多いことから、より自由な活動を後押しする目的で、1998年12月に特定非営利活動促進法が施行されました。これにより、NPOは簡易な手続きで法人格を取得できるようになり、NPO法人(特定非営利活動法人)として活動する団体が増えました。
特に2011年の法改正後はNPO法人数が急速に増加しており、2024年11月30日時点の認定NPO法人数は1,293件にのぼります。
NPO法人になると、法人として扱われるため、法令に基づいた運営や事業報告書の情報公開等の義務を負うとともに、法人名義での資金調達、不動産登記、契約等、法人としての活動が認められます。
営利・非営利の違いはありますが、NPO法人は一般企業と同じく金融機関での法人口座の開設も可能です。
法人格のない任意団体への対応は様々
法人化していない民間のNPOや法人格のない任意団体は、団体名義での活動を制限されます。その一つが金融機関の法人口座で、法人格のないNPOは、活動実績があっても、原則として法人口座を開設できません。
金融機関の中には、法人格を持たなくても、特別な手続きを条件に任意団体として法人口座の申込を受け付ける金融機関もあります。ただし、申込前の事前相談、面談、厳格な審査、開設までの時間が長い等、一般的な法人口座の開設よりハードルは高いでしょう。
法人口座開設のメリット
NPO法人は、法人格を持つ団体として、金融機関の法人口座を開設できます。以下では、NPO法人が法人口座を開設するメリットを詳しく紹介します。
公的な補助金や助成金を利用できる機会が増える
NPO法人として法人格を持つと、公的機関による助成金制度や補助金制度の選択肢が増えます。制度により申込条件や規定は異なるため一概には言えませんが、法人名義の口座を応募条件とする制度もあるため、法人口座を開設すれば補助金や助成金を利用する機会が広がります。
補助金や助成金を利用できれば、活動の幅や規模を広げ、安定した運営を維持するのに役立つでしょう。
寄付金を受け付けやすくなる
NPO法人や民間団体等の非営利団体の多くは、寄付金が活動の重要な財源の一つです。
NPO法人であれば団体名と一致する法人口座を開設できます。法人口座を送金先に指定すれば、社会的信用度の高さから寄付金を得やすいでしょう。また、団体の活動や知名度が上がれば、寄付金の受領額が安定化する期待も高まります。
なお、NPO法人は税法上の「公益法人等」に該当します。収益事業から生じた所得以外は非課税となるため、寄付金も非課税です。
法人向けビジネスカードと紐づけがしやすい
法人格を持たない民間のNPO団体がNPO法人になると、事業の活動内容や経営状態を広く公開する義務が生じます。事業報告書の作成、省庁への届け出等のほか、NPO法人会計基準にのっとった会計処理が必要です。こうした事務処理は民間団体にも求められますが、法人化によってより厳格に義務を果たさなければなりません。
法人運営に関わる支出管理には、法人向けビジネスカードの利用が便利です。活動に必要な物品の購入にビジネスカードを使えば、活動経費を把握しやすくなるためです。
法人口座を開設すれば、クレジットカードやデビットカードとの紐づけもしやすく、会計処理に関わる事務手続きをより円滑に進められるようになります。
預金保険制度が法人口座に適用される
金融機関が破綻すると、預金保険制度が適用されます。定期預金や利息の付く普通預金等の一般的な預金は、預金者一人あたり1金融機関ごとに合算のうえ、元本1,000万円までと破綻当日までの利息が保護されます。
預金保険制度は、同一名義の個人名義ごと、法人名義ごとに名寄せされます。
例えば、法人格のない民間団体が代表者の個人口座を利用している場合、金融機関が破綻すれば、同じ金融機関の同一名義の個人口座が名寄せされます。名寄せにより合算された金額が1,000万円以上になれば、結果として団体の資産を失う恐れがあります。
また、個人事業主として届け出があっても、法人格を持たなければ同じ金融機関では同一名義の口座は名寄せの対象です。
預金保険制度は法人口座にも適用され、法人名義ごとの名寄せとなります。そのため、個人の資産と合算されることはなく、NPO法人の資産を守れます。
法人口座開設に必要な書類

金融機関や法人格により指定される書類に違いはありますが、法人口座の開設に必要となる書類には主に次のようなものがあります。
- ①法人の印鑑登録証明書と法人の印鑑(代表印)
- ②登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
- ③手続きする方の本人確認書類
- ④株主名簿など実質的支配者の確認ができる書類
- ⑤主たる事業の許認可証、ウェブサイトURLなど事業内容や事業実態の分かる書類
NPO法人は収益を目的としない非営利団体のため、通常は①から③のみの準備となるのが一般的です。ただし、金融機関や団体の活動内容に応じて、NPO法人の定款や収支報告書、活動実態が分かる書類等の提出を求められるケースもあるため、金融機関へ事前に確認しておきましょう。
最近は、インターネットから法人口座の開設申込を受け付ける金融機関が増えています。インターネットからの申込は、書類のやりとりや店舗へ出向く負担を減らせる等、様々なメリットから注目されています。
しかし、NPO法人が法人口座の開設を申し込む場合、店舗での手続きに限定される、インターネットで申し込んでも書類をオンラインで提出できない等の対応となることがあります。
必要書類については、次のみずほ銀行のウェブサイト内「法人口座開設のお手続き」のページで詳しく解説しています。
NPO法人が法人口座を開設するときに知っておくべき注意点
NPO法人が法人口座を開設するにあたって、申込の前に知っておくべき注意点を紹介します。
口座開設ができない可能性もある
NPO法人だけに関わることではありませんが、法人口座の開設は個人口座よりもむずかしく、厳格な審査を通過しなければ開設できません。活動実態を確認できないと判断されれば、口座開設ができない可能性もあります。
口座開設に必要な書類の手配や面談で話す内容の整理等、口座開設に向けて準備しておきましょう。
NPO法人の活動に理解ある金融機関を選ぶ
法人口座を開設する金融機関を選ぶ際には、NPOに対する融資制度を実施しているかに注目して選ぶ方法もあります。金融機関の中でも、特に地方銀行、信用金庫や信用組合、労働金庫には、地域で活動するNPOを対象にローン商品を提供するところがあります。
一方、運営に必要な知識やサポートを得たいなら、メガバンクが適しています。法人口座開設者を対象としたサービスが充実しており、運営のノウハウに精通した担当者が多いため、日常的に頼れる存在となるはずです。活動地域の支店で法人口座を開設すれば担当者とも関わりやすく、運営相談もしやすいでしょう。
法人口座を開設するならみずほ銀行がおすすめ
NPO法人の法人口座を開設するなら、みずほ銀行がおすすめです。
法人格のない民間団体は事前に店舗へ問い合わせが必要ですが、NPO法人であれば店舗でもインターネットでも申し込めます。インターネットからの申込なら印鑑証明や謄本が不要となるため、法人口座の開設にかかる負担が軽減できるでしょう。
みずほ銀行は全国47都道府県に支店があるため、活動する地域に関わらず申し込みやすく、口座開設後もNPO法人の地域活動のサポート受けることができます。
便利なインターネットバンキング「みずほビジネスWEB」、電子帳票に対応したみずほWEB帳票サービス、法人口座からリアルタイム決済できる「みずほビジネスデビット」を付帯する等、NPO法人に必要な経理や事務を効率化するサービスも多数あり、円滑な活動を支えてくれるでしょう。
まとめ

NPO法人とは、特定の活動を行う民間の非営利団体が法人化したものです。
民間のNPOや任意団体がNPO法人化すると、金融機関で法人口座を開設できます。法人口座を開設すれば、公的な補助金や助成金を受けやすくなる等のメリットがあるため、安定した活動を長く続けるのに役立つでしょう。
ただし、法人口座の開設申込にあたっては、金融機関ごとに必要書類の違いがあるため、事前に確認することが大切です。
みずほ銀行は全国に支店を持つメガバンクのため、地域に根差したNPO法人にとっても身近な存在です。また、口座を開設した法人を対象とした様々な無料サービスが、会計処理の負担を減らす手段となるでしょう。
- *本稿に含まれる情報の正確性、確実性あるいは完結性をみずほ銀行が表明するものではありません。
また、個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。
最新の情報をご確認のうえ、ご自身でご判断いただくようお願いいたします。
監修者

内山 貴博
- 1級FP技能士
- CFP
大学卒業後、証券会社の本社で社長室、証券業務部、企画グループで5年半勤務。その後FPとして独立。金融リテラシーが低く、資産運用に保守的と言われる日本人のお金に対する知識向上に寄与すべく、相談業務やセミナー、執筆等を行っている。
日本証券業協会主催「投資の日」イベントや金融庁主催シンポジウムで講師等を担当。
2018年に日本人の金融リテラシー向上のためのFPの役割について探求した論文を執筆。