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履歴事項全部証明書とは?提出を求められる場面や取得方法も解説

掲載日:2025年4月14日起業準備

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履歴事項全部証明書とは、会社情報を証明する公的書類です。法人を設立した後や行政機関・金融機関で手続きをするとき、履歴事項全部証明書の提出を求められることがあります。

スムーズに手元へ用意するためにも、事前に必要となるシーンや取得する方法を知っておくとよいでしょう。

今回は、履歴事項全部証明書と登記簿謄本の違いや、履歴事項全部証明書が具体的に必要となるケース、取得方法等を解説します。

履歴事項全部証明書と登記簿謄本の違い

履歴事項全部証明書は、登記事項証明書の一種です。登記事項証明書は「現在事項証明書」「履歴事項全部証明書」「閉鎖事項証明書」「代表者事項証明書」の4つがあり、それぞれ証明する内容が異なります。

なお、電子化(データ化)された登記記録を証明書として発行したものは「登記事項証明書」、紙の登記簿を複写して作成された証明書は「登記簿謄本」が正式名称です。

本来であれば「登記事項証明書」と呼ぶべき書類を、俗称で「登記簿謄本」と呼ぶことがあります。基本的には登記事項証明書と登記簿謄本は同じもの、と捉えて問題ありません。

登記事項証明書の中でも、履歴事項全部証明書とは法人の登記情報を詳細に記録した公的書類です。具体的に、履歴事項全部証明書に記載される内容は以下の通りです。

  • 会社法人番号
  • 商号(会社名)
  • 本店所在地
  • 会社設立年月日
  • 事業目的
  • 資本金額
  • 役員に関する事項
  • 株式に関する情報

履歴事項全部証明書には、現在の会社情報だけでなく交付請求日の3年前の年の1月1日以降の変更履歴も含まれています。企業の実態や信頼性、経営状況を証明するために、様々な手続きで使用します。

履歴事項全部証明書の提出を求められる場面

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会社を設立した後、行政機関の窓口や金融機関で手続きをする際に、履歴事項全部証明書の提出を求められることがあります。

具体的に、どのようなケースで履歴事項全部証明書が必要になるのかを見ていきましょう。

法人を設立した後に届出をするとき

会社設立後、2ヵ月以内に法人設立届出書を税務署へ提出しなければなりません。

税務署の他にも、都道府県税事務所や市町村役場に対して法人設立届出書を提出するときも、添付書類として履歴事項全部証明書を提出します。

法人の登記内容を変更するとき

法人の登記内容を変更するとき、法務局に変更登記の手続きを行います。このとき、履歴事項全部証明書が必要です。

なお、法人の登記内容に変更が必要になる主なケースは、以下の通りです。

  • 事業目的を変更するとき
  • 会社情報(会社名や本店の所在地)を変更するとき
  • 役員に関する情報を変更するとき
  • 定款を変更するとき
  • 支店の設置・廃止が発生したとき

登記内容に変更があった場合、原則として2週間以内に変更の手続きをしなければなりません。

労働保険や社会保険へ加入するとき

法人を設立した後は、従業員の雇用状況に応じて労働保険や社会保険の手続きをします。

従業員を雇うときは労働基準監督署と公共職業安定所(ハローワーク)、社会保険の手続きは年金事務所で行います。

手続きをする保険 手続きをする行政機関
労災保険

労働基準監督署

雇用保険

公共職業安定所(ハローワーク)

社会保険(健康保険と厚生年金保険等)

年金事務所

これらの手続きをするときに、履歴事項全部証明書の提出が求められます。

なお、従業員を雇わず社長1人の会社であっても、健康保険や厚生年金保険の加入手続きは必要です。

法人名義で契約を締結するとき

法人名義でビジネス上の契約を締結するとき、履歴事項全部証明書の提出を求められるケースがあります。例えば、オフィス・社宅を契約するときや新しい取引先と取引をするシーン等が考えられるでしょう。

企業実体を確認したり、与信判断をしたりするとき、履歴事項全部証明書を用います。何らかの契約を締結する際には、履歴事項全部証明書を用意しておくとスムーズでしょう。

許認可申請をするとき

業種によっては、事業運営をするために行政機関から許認可を得なければなりません。許認可申請をするときに、履歴事項全部証明書の提出を求められることがあります。

なお、運営にあたって許認可申請が必要となる代表的な業種は、以下の通りです。

  • 飲食業
  • 建設業
  • 宿泊業
  • 不動産業
  • 人材紹介業
  • 旅行業
  • 倉庫業
  • 運送業
  • 介護事業
  • 自動車運転代行業
  • 酒類の販売

場合によっては、必要書類に「登記事項証明書」と記載されているケースがあります。具体的に登記事項証明書の中でどの書類を指しているのか、確認しておくとよいでしょう。

助成金・補助金を申請するとき

国や自治体は、事業主の設備投資や人材登用を支援するために助成金・補助金の事業を行っています。助成金・補助金を申請する際、履歴事項全部証明書の提出を求められることがあります。

助成金・補助金は返済不要なお金です。設備投資・人材採用・人材登用等、様々な場面で助成金や補助金を申請する可能性が考えられるため、申請できる助成金や補助金を含めて情報を確認しましょう。

関連記事:「会社設立時に利用できる助成金・補助金について徹底解説」

金融機関で法人口座を開設するとき・融資の申込をするとき

金融機関で法人口座を開設するときや融資の申込をするとき、履歴事項全部証明書の提出を求められることがあります。

金融機関としては、事業実態が曖昧な相手だと安心してお金を貸せません。また、貸したお金がきちんと返済されるかを評価するためにも、履歴事項全部証明書で通じて事業実態を確認する必要があります。

なお、すべての金融機関で履歴事項全部証明書が必要になるとは限りません。金融機関ごとに手続きに必要な書類は異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。

関連記事:「法人口座開設に必要な書類は?取得方法と提出時のポイントを解説」

履歴事項全部証明書の取得方法

履歴事項全部証明書は、最寄りの法務局で申請できます。また、取得方法は法務局の窓口へ出向く以外にも、郵送やオンラインが用意されています。

履歴事項全部証明書を取得する流れについて、方法ごとに見ていきましょう。

法務局の窓口で申請する

最寄りの法務局の窓口へ足を運び「登記事項証明書交付申請書」を記入し、手数料に相当する収入印紙を用意して窓口で申請用紙を提出する方法があります。必要な持ち物は特になく、手数料は1通につき600円(2025年2月時点)が必要です。

登記事項証明書交付申請書は、法務局の窓口で入手するか、法務局のウェブサイトからダウンロードできます。

申請すると法務局による処理が行われ、その日のうちに履歴事項全部証明書を受け取れます。

申請は全国どこの法務局でも可能ですが、開庁している時間(平日8時30分~17時15分)に法務局へ足を運ぶ必要があります。

郵送で申請する

法務局のウェブサイトから申請書をダウンロードし、必要事項を記載したうえで手数料分の収入印紙1通(2025年2月時点:600円)と返信用封筒を入れて、法務局に郵送する方法があります。

法務局が申請書を受け取り、手続きが完了すると履歴事項全部証明書が郵送されます。法務局へ足を運ぶ必要はないものの、郵便でのやり取りになるため、到着まで数日から数週間かかる点に注意しましょう。

オンラインで申請する

オンラインで履歴全部事項証明書を申請することも可能です。受取方法は、法務局の窓口か郵送かを選択できます。

なお、オンラインで申請する際の流れは以下の通りです。

  1. 1.「登記・供託オンライン申請システム」にアクセスして各種サービスから「かんたん証明書請求」を選択する
  2. 2.初めてオンライン申請を行う場合は利用者登録をする
  3. 3.請求を進める
  4. 4.請求内容を確認し、間違いがなければ「確定」ボタンを押す
  5. 5.履歴事項証明書の手数料を支払う電子納付の氏名が表示されるため、誤りがなければ「確定」ボタンを押す
  6. 6.受取方法(郵送または窓口)を選択する
  7. 7.「送信実行」を押す

オンラインで申請すると、窓口や郵送で請求するよりも手数料が安くなるメリットがあります。最寄りの登記所や法務局証明サービスセンターで受け取る場合の手数料は480円、郵送で受け取る場合の手数料は500円です(2025年2月時点)。

受取方法を郵送にすれば、法務局へ足を運ばずに、自宅や事務所で発行の手続きを完了できます。また、オンライン申請は平日の午前8時30分から午後9時まで利用でき、法務局の開庁時間よりも長いというメリットもあります。

法人設立後は法人口座があると便利

法人設立後は、法人口座を開設すると便利です。法人名義の口座を開設することで、事業実態を対外的に証明できます。

事業運営をするうえで、信頼の獲得は重要な課題です。法人口座があれば、社会的信用度を高められ、取引先や顧客に自社の事業を理解してもらいやすくなるでしょう。

また、金融機関から融資を受けるときも、法人口座で事業資金の流れを集中管理することで事業実態が説明しやすくなります。

法人口座と併せて、法人用のデビットカードの作成もおすすめです。法人口座と法人用のデビットカードを会計ソフトに紐付ければ、経理処理がスムーズになり、資金の動きも把握しやすくなります。

個人のお金と法人のお金が混在すると、正確な税務申告ができないリスクが高まるだけでなく、税務調査の対象となるリスクも高まってしまいます。生産性の高い事業にリソースを割くためにも、法人口座と法人用のデビットカードの発行を検討してみてください。

関連記事:「法人口座とは?個人口座との違いや3つのメリットを分かりやすく解説」

まとめ

会社の設立を検討している方は、履歴事項全部証明書が必要になる場面を把握しておくとよいでしょう。行政機関や金融機関での手続き、取引先との契約等で必要になります。

特に、許認可が必要な事業を運営する場合、履歴事項全部証明書がないとスムーズに手続きを進められません。事業の開始に支障をきたしてしまう恐れがあるため、手続き前に取得しておきましょう。

また、法人を設立した後は法人口座の開設も検討してみてください。事業実態を対外的に証明でき、自社の事業理解が進みやすくなるメリットが期待できます。

みずほ銀行の法人口座は休日・夜間でもお申し込みでき、原則ウェブ面談を経て、来店不要で口座開設手続きが完結します。

原則として登記事項証明書・印鑑証明書なしでお申し込みいただけるため、書類を用意する手間を省けます。

口座開設と同時に、法人カード「みずほビジネスデビット」の発行も可能です。創業期のお客さまに向けた特典やビジネスを支えるサービスをご用意しているので、ぜひみずほ銀行で口座開設をご検討ください。

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監修者

志塚 洋介

志塚 洋介

  • 行政書士
  • 1級FP技能士
  • CFP

大学在学中に行政書士、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。証券会社で資産運用コンサルティングに従事したのち、不動産会社で保有不動産の収支計算や資産管理、収支改善業務等に従事し、独立開業。行政書士とファイナンシャルプランナーというお金と法律の2つの側面から会社設立、相続、遺言、運用、不動産等に関する幅広い業務を展開中。雑誌やwebでの執筆や株式や投資のセミナー等の講師も行い、YouTubeでの投資に関する動画も好評。

HP:http://www.shizuka-office.com/

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