法人口座とは?個人口座との違いや3つのメリットを分かりやすく解説
掲載日:2024年12月18日法人口座

起業する際に準備するものの一つに金融機関の口座があります。多くの場合「法人口座」を準備しますが、一般的な「個人口座」とは何が違うのでしょうか。また法人口座は誰でも持てるのでしょうか。
本稿では、法人口座の特徴について、個人口座との違いや解説のメリットも含めて詳しく紹介します。会社設立に必要な手続きを把握するためにも、ぜひご参照ください。
法人口座とは

法人口座とは、法人が名義人となっているビジネス向けの口座のことです。例えば名義人が「A株式会社」など法人名になっている口座を指します。
同じくビジネス向けの口座でも、法人化せず個人事業主として活動している場合は、法人口座ではなく個人口座を作成します。個人事業主向けの口座には「屋号+名前」のように、名義人名の前に屋号を付けられる場合がありますが、屋号だけの名義で口座を開設することはできません。必ず個人名を併記することになります。
なお、法人でも法人口座の開設は義務ではなく、代表者名義の個人口座を使って法人のお金を管理しても問題はありません。ただし管理が煩雑になりやすく、取引先からの印象が悪くなるリスクがある等、様々なデメリットがあるため、法人は一般的に法人口座を使ってお金を管理します。
法人口座と個人口座の違い
法人口座と個人口座は、付帯サービスや口座開設時に必要な書類などが異なります。
法人口座では、ビジネスデビットや法人向けの機能が充実したインターネットバンキング等、ビジネス向けの便利な付帯サービスが用意されています。詳しくは本稿の「付帯サービス・割引などが受けられることがある」をご参照ください。
また「登記事項証明書」等、法人ならではの書類の提出が求められる点も、個人口座との違いです。必要書類については「法人口座の開設・利用開始の流れ」で詳しく解説しています。
法人口座は必要?開設する3つのメリット

法人のお金を管理するために、法人口座を開設することは必須ではありません。とはいえ法人口座を持つことにはメリットがあるため、多くの法人は法人口座を開設しています。主な3つのメリットについて、以下に詳しく解説します。
会社のお金の流れを管理しやすくなる
法人口座を作る基本的なメリットは、事業資金とプライベート資金を分けて管理しやすくなることです。
法人口座で出入りするのは会社のお金だけということになるため、会社のお金の流れを分かりやすく把握できます。お金の動きが分かりやすいと、今後の事業展開や資金繰りについても考えやすくなるでしょう。
また経理業務を行う際、事業資金とプライベート資金を分ける作業が不要になるというメリットもあります。経理業務が効率化し、業務のミスを減らすことにもつながるでしょう。
付帯サービス・割引などが受けられることがある
法人口座もしくは個人事業主向けの営業性個人口座を開設すると、通常の個人口座とは違ったビジネス向けの付帯サービスを利用できることがあります。例えばみずほ銀行では以下のようなサービス・特典を提供しています。
付帯サービス・特典の種類 | 内容 |
---|---|
ビジネス向けデビットカード |
リアルタイム決済で経費の支払ができる「みずほビジネスデビット」が、手数料・年会費無料で利用できる。 |
スタートアップ企業支援サービス |
大企業とのビジネスマッチング機会の創出、アドバイザーによるセミナー等を行う「M’s Salon」に無料で入会できる。(入会審査あり) |
【特典】人材・スキルマッチングサービス割引 |
「みずほココナラ スキルマーケット」および「みずほココナラ 募集」で使える、初回利用限定の10%OFF(最大30万円)クーポンをプレゼント。 |
【特典】クラウド会計ソフト割引 |
「弥生会計 オンライン」のベーシックプランまたはセルフプランが、設立年数に関係なく2年間無料。 |
取引先からの印象アップが期待できる
法人口座を使って取引を行うことで、取引先からの信用度が高くなるなど印象アップが期待できます。
法人口座の開設時には審査があるため、法人口座を持っているだけでも、金融機関の審査に通っていることが証明されます。また事業資金をプライベート資金と分けて管理するしっかりした会社というイメージにもつながるでしょう。
振込先を指定するとき等、銀行口座を提示する際に、法人口座かどうかで印象が変わることがあります。なかには「法人口座がある会社のみと取引する」という方針の会社もあるため、今後の事業拡大を考えるのであれば、法人口座は持っておいた方が良いでしょう。
法人口座の開設・利用開始の流れ

法人口座の開設から利用開始までの流れを見ていきましょう。法人口座を最初に使用する場面は、多くの場合「資本金の入金」です。ここでは、法人口座の開設から資本金の入金までの基本的な流れを解説します。
個人口座に資本金を入金
資本金は法人口座を作る前に用意しておき、一時的に発起人の個人口座に入金しておく必要があります。
法人口座を作るには法人登記を済ませる必要があり、法人登記の際には資本金の払込を証明する書類として預金通帳のコピー等が必要です。とはいえ、この時点では法人が存在しないので法人口座を作ることはできません。そこで会社の発起人の個人口座に、資本金を一時的に入金しておく必要があります。
また資本金の額は、あらかじめ決定して「定款」に記載しておかなければなりません。資本金を入金する前に定款を作成し、株式会社の場合には「定款の認証」も済ませておく必要があります。
資本金の額は、会社の信用度を図るうえでも重要なので、しっかり検討して決めることが大切です。資本金の額の決め方について詳しくは、以下のページをご参照ください。
法人登記
法人口座を作るには、前提として「法人登記」を済ませておく必要があります。
作成・認証した「定款」や、資本金を入金した個人口座の通帳のコピーを含む「払込を証する書面」等、必要書類をそろえて法務局に提出しましょう。法人登記の手続きは、法務局の窓口に直接訪問して行う他に、郵送・オンラインで行うことも可能です。オンラインでは一部の書類を省略できます。
法人登記の手続きについて詳しくは、以下のページで解説しているので、ぜひご参照ください。
会社登記の手続きの流れとは?必要書類・申請方法を10分で徹底解説!
必要書類の準備
法人登記が完了したら法人口座の申込に必要な書類の準備をしましょう。みずほ銀行の法人口座申込に必要な書類は以下の通りです。
インターネット申込 | 店舗で申込 |
---|---|
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|
FAQ(よくあるご質問) 法人のお客さま:「法人口座開設時に必要な書類は何ですか」
「登記事項証明書」は、法務局に申請することで入手できます。法人登記の手続きをする際に一緒に入手しておきましょう。
「代表者・役員・実質的支配者等」というのは通常、法人の代表者を指しますが、議決権の25%超を保有している人など「実質的支配者」がいる場合には、その個人について「名前・住所・生年月日等が確認できる書類」を用意する必要があります。
口座開設の申込・審査
書類を準備したら口座開設の申込に進みます。金融機関によっては店舗での申込だけでなくインターネット申込ができることがあります。店舗に行く時間が取れない場合はインターネット申込を利用しましょう。
みずほ銀行の場合、インターネット申込と審査は以下の流れで行われます。
- 1.インターネットから申込。
- 2.一次審査後、担当者から結果連絡。
- 3.ウェブ面談後、申込書類の郵送。
- 4.口座開設完了。届出された住所にキャッシュカード等が送付され、口座利用が可能になる。
詳しくは以下のページをご参照ください。
みずほ銀行の法人口座開設(法人のお客さま)
資本金の払込
法人口座の開設が完了したら、発起人の個人口座に一時的に入金していた資本金を、法人口座に移しましょう。また資本金の入金・移動の事実について仕訳帳に記録することも必要です。
例えば資本金300万円を発起人の個人口座に一時的に入金する際の仕訳帳への記載方法は以下の通りです。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
預け金 |
300万円 |
資本金 |
300万円 |
法人口座の開設後、資本金を法人口座に移す際は、以下のように仕訳を行います。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
普通預金 |
300万円 |
預け金 |
300万円 |
資本金の払込と仕訳方法について詳しくは、以下のページをご参照ください。
【内部リンク】資本金・創立費・開業費の勘定科目と仕訳は?会社設立時の会計処理を解説
まとめ
法人口座を保有できるのは、法人登記されている会社のみです。さらに、審査があるため、すべての会社が法人口座を持てるわけではありません。このような理由から、法人口座がある会社は取引先などに信用されやすいという利点があります。
またビジネス向けの付帯サービス・割引などが受けられることがあるのもメリットです。みずほ銀行の法人口座は、ビジネス向けのデビットカードが無料付帯し、人材・スキルマッチングサービスやクラウド会計ソフトの割引も特典としてご利用いただけます。
会社設立や事業の法人化をご検討の際には、みずほ銀行での法人口座の開設をぜひご検討ください。
(記事提供元:株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ)
- *本稿に含まれる情報の正確性、確実性あるいは完結性をみずほ銀行が表明するものではありません。
また、個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。
最新の情報をご確認のうえ、ご自身でご判断いただくようお願いいたします。
執筆者

田尻 宏子
生命保険・損害保険・株式投資・ローン・相続など金融分野の専門ライターとして活動するファイナンシャル・プランナー。証券会社・生命保険会社・銀行など複数の金融機関での勤務経験あり。
保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員一種資格