クレジットカード決済で領収書は発行できる?代わりの書類や注意点も解説
公開日:2026年6月12日
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クレジットカードで支払った場合、「領収書は発行してもらえるのか」「経費精算では何を保管しておけばよいのか」と迷うことがあるかもしれません。実際、カード決済では現金払いと扱いが異なるため、領収書の発行や保存書類について正しく理解しておくことが大切です。
また、インボイス制度が始まったことで、仕入税額控除を受ける際に必要となる書類の考え方にも注意が必要になりました。
本記事では、クレジットカード決済における領収書の扱いや、代わりに使える書類や注意点、インボイス制度への対応、保管期間について紹介します。
クレジットカード決済で領収書は発行できる?
クレジットカード決済では、店舗側に領収書の発行義務はないとされています。これは、現金払いのようにその場で店舗と購入者の間に現金の受け渡しが発生するわけではなく、カード会社がいったん代金を立て替える仕組みになっているためです。
ただし、発行義務がないからといって、領収書を出してはいけないわけではありません。実際には、顧客から依頼があれば、店舗が任意で領収書を発行するケースもあります。実店舗・ネットショップを問わず、運用として「領収書は発行しない」と案内するケースもあれば、必要に応じて発行に対応するケースもあります。そのため、領収書が必要な場合は、会計時に確認しておくと安心です。
クレジットカード決済で領収書の代わりとなる書類
クレジットカード決済では領収書が発行されないこともありますが、支払内容を確認できる書類は残ります。経費精算や確定申告では、取引の内容と金額が分かり、支払いの事実を説明できる書類を保存しておくことが重要です。
ここでは、領収書の代わりとして使われることの多い代表的な書類を紹介します。
利用明細書
クレジットカード会社が発行する利用明細書は、利用日や利用先、利用金額を確認する資料として役立ちます。カード利用の記録が残るため、支払内容を振り返りたいときにも活用しやすいです。
利用明細書には、利用日や利用金額等の記録が記載されています。ただし、クレジットカード会社の利用明細書だけでは、税務上必要な書類として十分でない場合があります。支払記録を一覧で確認したいときには便利ですが、税務処理では他の書類も合わせて確認しておくことが大切です。
多くのECサイトでは「クレジットカード会社が発行する利用明細書を領収書としてご利用ください」と明記しています。ネットショップ側で個別に領収書を発行せず、カード会社の明細書で対応するケースが一般的です。
レシート
店舗で発行されるレシートも、内容によっては領収書の代わりとして使えます。購入日時や購入内容、金額等が印字されているため、取引の事実を客観的に示しやすいのが特徴です。
レシートには店舗名、購入日時、商品内容、金額等が印字されます。手書きの領収書に比べると改ざんしにくく、内容を確認しやすい点も特徴です。
レシートを経費精算や確定申告に使用する場合は、取引年月日、取引内容、取引金額、発行者の氏名または名称等、取引内容を確認できる事項が記載されているか確認します。必要な記載事項が不足していると社内手続きや確認の手間が増える可能性があるため、受け取った時点で内容を見ておくことが大切です。
クレジットカード決済時に領収書をもらう際の注意点
クレジットカード決済で領収書を受け取る場合は、後から経理処理で混乱しないよう、いくつか注意しておきたい点があります。領収書・レシート・利用明細書はいずれも支払いに関する書類ですが、扱い方を誤ると申告や精算で混乱が生じる恐れがあります。
以下では、領収書を適切に管理するための3つのポイントを解説します。
二重計上を防ぐ
領収書とレシート、利用明細書を別々に保管していると、同じ取引を二重に経費計上してしまう恐れがあります。例えば、カードの利用明細を取り込んで経費処理した後、同じ取引のレシートを見て再度計上してしまうケースがあります。
二重計上したまま確定申告を行うと、申告内容の誤りとして修正を求められたり、状況によっては加算税等の対象となる可能性があります。意図しないミスでも、後から修正が必要になると手間がかかります。
こうした重複を防ぐには、取引ごとに関連書類をまとめて保管しておくのが効果的です。会計ソフトを使っている場合は、重複チェック機能を活用するのも有効です。
領収書にクレジットカード利用と明記する
クレジットカード決済で領収書を発行してもらう場合は、「クレジットカード払い」や「クレジット利用」といった記載があるか確認しておきましょう。支払方法が明確でないと、後から確認しづらくなるためです。
クレジットカード利用の記載がない領収書は、店舗とカード会社の両方から代金を受け取ったと誤認される恐れがあり、経理上のトラブルにつながります。精算時に現金払いかカード払いかが曖昧だと、確認や差し戻しが発生しやすくなります。
店舗側が領収書を発行する場合は、発行者名、宛名、金額、日時、購入内容に加えて、支払方法として「クレジットカード払い」と明記することで二重発行の誤認を防げます。受け取る側も、その場で必要事項がそろっているか確認しておくと、その後の管理がしやすくなります。
収入印紙は必要ない
クレジットカード決済で、領収書に「クレジットカード払い」等の記載がある場合、一般に収入印紙は不要とされています。クレジットカード決済は、購入時にその場で現金を受け取る取引ではないため、一般に印紙税法上の課税文書にはあたらないとされています。
ただし、領収書に「クレジットカード払い」等の記載がないと、現金で受領した領収書と同様に印紙税の課税対象と判断される恐れがあるため注意が必要です。印紙の要否は領収書の記載内容と結び付くため、発行する側・受け取る側ともに表記の確認が重要になります。
インボイス制度でクレジットカード決済の領収書は使える?
インボイス制度が始まり、クレジットカード決済でも、どの書類を保存しておくべきかをこれまで以上に意識する必要が出てきました。
以下では、必要書類の考え方を整理します。
クレジットカード明細書はインボイスにならない
クレジットカード会社の利用明細書は、支払履歴を確認するための書類ではありますが、それだけで適格請求書にあたるわけではありません。そのため、原則として利用明細書だけでは仕入税額控除の要件を満たせません。
カード会社の利用明細書には、取引内容の詳細や税率ごとの消費税額、適格請求書発行事業者の登録番号といった必要項目が記載されていないことがあります。そのため、消費税法上の請求書としては扱われません。
また、カード会社の利用明細書は、あくまでカードの利用履歴や支払金額を示す書類です。購入先が発行する請求書や領収書とは役割が異なるため、仕入税額控除の書類としては不十分です。
適格請求書の記載事項を満たした領収書が必要となる
クレジットカード決済で仕入税額控除を受けるには、購入先が発行した領収書やレシート等、適格請求書の記載事項を満たした書類を保存しておく必要があります。カード払いかどうかにかかわらず、適格請求書として必要な事項が記載された書類を保存することが大切です。
適格請求書にあたる領収書やレシートには、適格請求書発行事業者の登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとに区分した消費税額等の項目が記載されています。受け取ったら、必要事項がそろっているか確認したうえで保管しましょう。
なお、少額特例(一定の要件を満たす税込1万円未満の課税仕入れ等)や公共交通機関特例等、取引の内容によってはインボイスの保存が不要となる場合があります。該当するかどうかは、事前に確認しておきましょう。
クレジットカード決済時の領収書の保管期間
クレジットカード決済で受け取った領収書やレシートは、申告方法や書類の種類によって保管期間が異なります。必要なときに提出や説明ができるよう、保存年数をあらかじめ確認しておくことが大切です。
ここでは、青色申告と白色申告で保管期間がどのように異なるのかを見ていきましょう。
青色申告の場合は原則7年間
青色申告を行う個人事業主は、領収書やレシート等の書類を原則7年間保管します。書類によって保存期間が異なる場合もあるため、何を何年保管するのかをあらかじめ整理しておくと安心です。
ただし、前々年分の事業所得および不動産所得の金額が300万円以下であれば、保管期間は5年間に短縮されます。要件によって取り扱いが変わるため、自分が該当するかどうかを確認しておきましょう。
また、仕入税額控除の要件として保存すべき請求書や、インボイス発行事業者として交付した適格請求書の写しについては、金額に関係なく一律で7年間の保存が義務付けられています。インボイス制度に関係する書類は、他の書類と分けて整理しておくと管理しやすくなります。
白色申告の場合は原則5年間
白色申告では、業務に関して作成または受領した請求書や領収書等を原則5年間保管します。クレジットカード決済のレシートや、店舗から受け取った書類も、業務に関する受領書類として保存対象になります。
一方、収入金額や必要経費を記載した法定帳簿は7年間の保管が必要で、領収書等の書類とは保管期間が異なる点に注意が必要です。帳簿と書類を同じ感覚で扱うと、保存年数の整理で迷いやすいため、区分を分けて管理しておくとよいです。
また、消費税の課税事業者が仕入税額控除の要件として保存すべき請求書等については、白色申告であっても7年間の保存義務があります。インボイス対応の領収書・レシート等は、申告区分だけでなく消費税の取り扱いも踏まえて保存年数を判断する必要があります。
まとめ
クレジットカード決済では、現金払いのように領収書が必ず発行されるとは限りません。ただし、レシートや購入先が発行した書類を保管しておけば、経費精算や申告時の確認資料として役立ちます。どの書類を残しておくべきか整理し、後から内容を確認できるように保管しておくことが大切です。
領収書を受け取る際は、「クレジットカード利用」の記載があるか確認し、二重計上を防ぐためにも書類を整理して保管しておきましょう。領収書・レシート・明細書が同じ取引にひも付いている場合は、取引単位でまとめて管理すると混乱しにくいです。
保管期間は書類の種類や申告区分によって異なります。青色申告は原則7年、白色申告でも法定帳簿や消費税の仕入税額控除に必要な請求書等は7年間の保存が必要です。
監修者情報
内山貴博(うちやま たかひろ)
- 1級FP技能士・CFP
大学卒業後、証券会社の本社で社長室、証券業務部、企画グループで5年半勤務。その後FPとして独立。金融リテラシーが低く、資産運用に保守的と言われる日本人のお金に対する知識向上に寄与すべく、相談業務やセミナー、執筆等を行っている。
日本証券業協会主催「投資の日」イベントや金融庁主催シンポジウムで講師等を担当。
2018年に日本人の金融リテラシー向上のためのFPの役割について探求した論文を執筆。