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主婦の起業を成功させるには?知っておきたい設立準備や成功例を紹介

掲載日:2025年6月9日起業準備

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収入を増やしたい、自分らしく働きたい等の理由から、起業を検討する主婦が増えています。

実際、日本政策金融公庫が2022年に行った調査*では、起業に関心を持っている主婦の割合は21.7%でした。主夫の起業への関心が0.5%であるのと比べても、女性の起業への関心が高いことが分かります。

いざ起業となるとハードルが高く感じる方もいるかもしれません。しかし、家事や育児をしながら空き時間を有効活用する等、主婦だからこそ無理なくビジネスを始められる可能性もあります。

本記事では、主婦(主に家事育児を専業で担う女性)が起業するために、必要な準備や成功のためのポイント等を分かりやすく紹介します。

主婦が起業するにはどんな準備が必要?

主婦が起業して、これまでどおり家事や育児と両立しながら事業を継続するには、事前の準備が欠かせません。まずは、主婦が起業するにあたって準備しておきたいことを紹介します。

家族から理解を得ておく

主婦から起業するときに大切にしておきたいのが、家族との関係です。

主婦としてこれまでパートナーや子どもに頼りにされてきた方が起業すれば、家族の生活も変化することになります。家族からの協力や理解を得ておくと、起業後もビジネスを安定して続けやすいでしょう。

実際、中小企業庁の2017年の調査によると、起業を考える女性のうち、起業に踏み切った理由は「家族の理解・協力を得られた」が最も高くなっています*。起業について、家族には具体的に相談することで、熱意や本気度が伝わり、家族からも応援してもらえるでしょう。

起業の目的やアイデアをはっきりさせる

起業すると、集客や資金の調達、税務処理等、ビジネスに関わるすべてをご自身で判断し、実行しなければなりません。「なんとなく」で始めてしまうと、いざというとき判断に迷う、運営困難になる、モチベーションを維持できない等の事態に陥って、ビジネスを続けられなくなる恐れもあります。

そのため、起業する準備の第一段階として、目的やアイデアをはっきりさせておくことが重要です。

起業の目的やアイデアが決まったら、「誰に」「何を」「どのように」の3つの視点から、ビジネスのコンセプトを具体化しましょう。その過程で、ご自身の強み、同じ市場にいるライバルの存在や動向等も、併せて分析しておくと良いでしょう。

起業に必要な手続きを調べる

あらかじめ起業に必要な手続きを把握しておくと、スムーズに開業の手順を進められます。

手続きの内容は、個人事業主として起業するか、法人として起業するかによって異なります。個人事業主は、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」を提出するだけで起業となり、費用の負担はありません。一方、法人は、会社の設立にあたって、定款の作成や法人登記、設立費用等で一定の時間や負担がかかります。

個人事業主と法人のどちらで起業すべきかに関して、詳しくは後述します。

事業計画を立てて資金の調達先を検討する

ビジネスの大小に関わらず、事業計画をしっかり立てておくことが重要です。ご自身の事業を文書で「見える化」しておくと、商品の仕入れにかかるコスト等、事業の収支から必要な資金を正確に把握できます。

初期費用や事業を継続するための資金等、起業にあたっては最低でも3ヵ月分、業種によっては6ヵ月分の運転資金を用意しましょう。手持ちの資金が足りないなら、銀行からの融資や、補助金・助成金など公的制度を申し込んでおきましょう。

起業後に申し込みやすい補助金・助成金を調べておく

近年、起業する個人や法人を対象とした公的な補助金や助成金が増えています。起業を検討する主婦にも申し込める制度がみつかる可能性は高いでしょう。運営母体によって実施される制度は異なり、制度によって申込期間や条件も変わります。制度を利用するには、お住まいの自治体等で日頃からリサーチしておくことが大切です。

また、申請後に無事認定を受けても、補助金や助成金は後払いのため、すぐに資金を手にできない点に注意が必要です。資金調達が間に合わないときには、銀行からの融資を賢く活用しましょう。

主婦からの起業で利用できる可能性のある融資制度には、次のようなものがあります。

制度

新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)

女性・若者・シニア
創業サポート2.0

運営母体

日本政策金融公庫

東京都

対象

女性、若者(35歳未満)、シニア(55歳以上)で、起業予定の方または起業後おおむね7年以内の方

女性、若者(39歳以下)、シニア(55歳以上)で、起業予定の方または起業後5年未満の方(東京都に主たる事業所を置く新規事業)

使途

開業時または開業後の設備資金と運転資金

融資限度額

7,200万円

1,500万円以内
(運転資金は750万円以内)

返済期間

設備資金20年以内
(据置期間5年以内)
運転資金10年以内
(据置期間5年以内)

10年以内
(据置期間3年以内)

特徴

起業または起業後の税務申告を2期終える前の方は、利率の引下が適用される

事業計画や経営アドバイス、個別相談等の事業支援を受けられる

運営母体
新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)

日本政策金融公庫

女性・若者・シニア
創業サポート2.0

東京都

対象
新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)

女性、若者(35歳未満)、シニア(55歳以上)で、起業予定の方または起業後おおむね7年以内の方

女性・若者・シニア
創業サポート2.0

女性、若者(39歳以下)、シニア(55歳以上)で、起業予定の方または起業後5年未満の方(東京都に主たる事業所を置く新規事業)

使途
新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)

開業時または開業後の設備資金と運転資金

女性・若者・シニア
創業サポート2.0

開業時または開業後の設備資金と運転資金

融資限度額
新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)

7,200万円

女性・若者・シニア
創業サポート2.0

1,500万円以内
(運転資金は750万円以内)

返済期間
新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)

設備資金20年以内
(据置期間5年以内)
運転資金10年以内
(据置期間5年以内)

女性・若者・シニア
創業サポート2.0

10年以内
(据置期間3年以内)

特徴
新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)

起業または起業後の税務申告を2期終える前の方は、利率の引下が適用される

女性・若者・シニア
創業サポート2.0

事業計画や経営アドバイス、個別相談等の事業支援を受けられる

補助金や助成金の他、アイデアを競うコンペティションで起業を支援する団体もあります。参加すると、事業資金の支援や人脈の拡大等の恩恵を受けられる可能性があります。

有名なコンペティションには、日本政策投資銀行(DBJ)による「DBJスタートアップアクセラレーションアワード」があります。年齢や性別、地域に関わらず、起業する方なら誰でも参加できるため、主婦でもチャレンジ可能です。事業奨励金として最大1,000万円の提供、事業のサポート等を受けられる可能性があります。

また、IT技術を活用した事業に関わる「IT導入補助金」、起業家と農林漁業者との連携による取り組みを支援する「地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)」等、業種によって利用できる制度が広がる場合もあります。

関連記事:「会社設立時に利用できる助成金・補助金について徹底解説」

起業後の税務処理を理解する

起業後は、会計や税務処理の知識が求められます。これまで主婦として配偶者の扶養に入っていた方にとっては、起業後に扶養から抜けてご自身で納税するのは大きな変化です。知らなかった知識や曖昧な内容も多いかもしれません。

いったん起業すると日々の忙しさから、新たな知識を身に付けるための時間を取れない恐れがあります。そこで、会計や税務処理の知識は、起業する前に身に付けておくのがおすすめです。

税制は毎年のように改正事項が出るため、最新情報を確認しておきましょう。2023年からは、消費税に関わるインボイス制度(適格請求書等保存方式)が開始されている点にも注目です。また、個人事業主にせよ法人にせよ、一定以上の所得になると配偶者の社会保険の扶養から外れ、ご自身で健康保険と年金への加入手続きも必要です。

知識の習得やアップデートには、セミナーや勉強会に参加する、税務署や税理士会、商工会議所で相談する等、様々な方法があります。

主婦が起業するメリット

主婦の起業には、主婦ならではのメリットがあります。

主婦は、家庭において家事や育児を主体的に担う立場にあることが多いでしょう。家族の予定や都合に合わせて時間をコントロールする必要があり、正社員やパートとして働くとなると時間の制約から不自由さを感じる方も多いでしょう。

しかし、起業であれば、ご自身の裁量でビジネスを進められるため、自由度が高くスケジュールを組みやすくなります。また、やりたいことや好きなことを仕事にできるため、働くモチベーションの維持につながります。

起業は時間を有効活用して働きたい主婦にも適しています。これまでと同じように家事や育児を担いながら、収入を増やせる可能性があります。

また、キャリアの有無やブランクに関係なく、ご自身のペースでキャリアを形成できる点も魅力です。主婦として求められる役割に加え、仕事のやりがいや社会とのつながりに起業の意義を見出す方もいるでしょう。

業種にもよりますが、起業は環境の変化にも強みがあります。配偶者の転勤等のやむを得ない事情で引越したとしても、新しい土地でキャリアを継続できます。

主婦が起業するデメリット

起業が簡単ではないと感じる理由には、想定されるいくつかのデメリットが影響しています。

主婦に限ったことではありませんが、どれだけ綿密な事業計画を立てたとしても、起業後に事業が安定するまでの先行きは不透明です。収入を増やしたくて起業したとしても、会社勤めとは違って収入の保証がないため、期待したような収入を得るまでにどれだけ時間がかかるかは分かりません。

また、起業するとご自身が経営者となってビジネスを進めることになるため、失敗や責任をすべてご自身が負うことになります。状況によっては、収入を得るどころか借金を抱える場合もあるでしょう。

家庭においても、空き時間を有効活用するつもりが、事業の運営で手一杯となってしまう可能性もあります。家事や育児を思うようにこなせず、ワークライフバランスの壁にぶつかる状況も想定されます。

さらに、起業後に順調に収入が増えた場合には、これまで受けてきた税制面の優遇等の対象から外れます。配偶者控除を受けられない、配偶者の扶養から外れて社会保険に加入する等、家計の税負担が増えて、社会保険料をご自身で支払うことになります。

みずほ銀行の法人口座開設(法人のお客さま)

主婦からの起業の成功例

イメージ

主婦からの起業では、自宅で気軽に始められるビジネスを中心に、次のような職種が成功例に結び付く可能性が高いとされています。

  • ハウスキーピングや育児サロンの運営:家事や育児など日常生活で得た知識や経験、情報を活用する
  • ハンドメイド商品や手作りフードの販売:主婦として培った経験からハンドメイド商品や手作りフードの販売を行う
  • オンライン講師:学生時代や会社員時代の経験をリスキリングし、講師として知識やスキルを提供する
  • ネットショップ:実店舗を持たず、ネットショップでご自身のセレクトした商品を販売する
  • 自宅で完結できる仕事:デザインやプログラミング、動画編集等を家事などの空き時間に習得し、そのスキルに関連する仕事を請け負う
  • 人と人をつなぐ仕事:主婦ならではの人脈をいかし、コワーキングスペースや育児サロン、情報交換サイトを運営する

空き時間の活用から始めたい主婦なら、ハンドメイド商品や手作りフードの販売、オンライン講師、デザインなどの在宅ワーク等からのスタートがおすすめです。

自宅で始められる職種が多く、ご自身の得意分野をいかせるとあって、どれも気軽に始めやすいですが、顧客をつかむ行動力とアイデアを実現する実行力、計画性を持って取り組みましょう。

主婦が起業するときのポイント

主婦の起業を成功に導くために、事前に押さえておきたいポイントを紹介します。

まずは個人事業主として起業する方法もある

起業しても収入にならない、事業が安定しない等、当初思い描いていたようにビジネスが進まないことは珍しくありません。

起業だからと気負うことなく、まずは個人事業主から始めるのがおすすめです。

個人事業主であれば、税務署に開業届を提出するだけで、お金も手間もかけずに起業できます。事業を始める時点で借金等の負担を抱える必要がなく、身軽に始められます。個人事業主でも屋号で事業を運営でき、また青色申告で税制面の優遇を受けることも可能です。

個人事業主として起業後、事業が安定して規模が大きくなってから、法人化を検討すると良いでしょう。

関連記事:「個人事業主とは?必要な手続きやメリット・デメリットを解説」

個人事業主と法人との違い

主婦が起業するとき、個人事業主と法人のどちらを選んでも問題ありません。ただし、両者の違いを理解して、適切に選択することが大切です。

個人事業主と法人の主な違いには、次のようなものがあります。

個人事業主 法人
社会的信用度

簡単な書類手続きで開業できるため、法人に比べるとやや低め

法務局への登記をはじめ多数の手続きのうえ成立するため、個人事業主より高め

税務

所得に応じて所得税や住民税、個人事業税がかかる

所得に応じて法人税や法人住民税、法人事業税がかかる(所得がない場合も最低限発生する費用がある)

経費の範囲

法人よりも範囲が狭い

個人事業主より範囲が広く、経営者本人の給与、福利厚生や健康診断の費用等も経費として計上できる

社会的信用度
個人事業主

簡単な書類手続きで開業できるため、法人に比べるとやや低め

法人

法務局への登記をはじめ多数の手続きのうえ成立するため、個人事業主より高め

税務
個人事業主

所得に応じて所得税や住民税、個人事業税がかかる

法人

所得に応じて法人税や法人住民税、法人事業税がかかる(所得がない場合も最低限発生する費用がある)

経費の範囲
個人事業主

法人よりも範囲が狭い

法人

個人事業主より範囲が広く、経営者本人の給与、福利厚生や健康診断の費用等も経費として計上できる

税務に関しては、所得が一定金額を超えると、個人事業主の所得税よりも法人税の方が税負担を抑えられる一方、赤字になっても法人住民税の納付が必要です。

上記以外の違いとしては、法人になると銀行で法人口座を開設できる、厚生年金へ加入できる等のメリットが挙げられます。

法人には個人事業主にはない様々なメリットがあります。しかし、起業には定款の作成、出資金(資本金)の払込み、法務局での設立登記、社会保険や税金の手続き等が必要です。さらに、開業資金を準備しなければならず、先述の通り、法人化はビジネスが軌道に乗ってからがおすすめです。

配偶者控除など税務上のメリット・デメリットを検討する

前述したように、起業して一定の収入を得ると、主婦としてこれまで受けてきた税法上の恩恵を失う可能性があります。

  • 配偶者控除
    個人事業主として起業した場合、事業所得が年間48万円を超えると配偶者控除の対象から外れます。パートをする主婦の場合、給与所得が年間103万円までは配偶者控除の対象となるため、違いに注意しましょう。
  • 社会保険
    起業して所得や収入が一定額を超えると、パートナーの扶養から外れて社会保険にご自身で加入する必要があります。個人事業主の場合は個人年金や国民健康保険、法人の場合は厚生年金や健康保険等です。ただし、パートナーの加入する会社や健康保険組合の規定等によっては、扶養から外れる条件が異なる場合もあります。

上記のように、起業して控除や扶養から外れると、起業して所得を得ても家計全体の収入が減る可能性もあります。事業所得の金額によっては家計にデメリットとなりうる可能性も考慮しておきましょう。事業所得がいくらになれば家計にメリットとなるか、損益分岐点をシミュレーションしておくのもおすすめです。

起業後に法人口座を開設するならみずほ銀行がおすすめ

起業後、会計や税務処理の透明化を確保するには、法人口座の活用が望ましいです。法人口座を開設すれば、事業と個人の資金が明確に区別され、会計や税務処理で起こりうるリスクやトラブルを回避できます。

個人事業主から起業して、法人化するなら、みずほ銀行での法人口座開設がおすすめです。

みずほ銀行は、創業期をサポートする便利で役立つサービスや特典を多数提供しています。全国47都道府県に支店があるためどこで起業しても申し込みやすく、口座を開設後は事業のサポートをスピーディに受けられます。

また、2024年には「〈みずほ〉の創業応援ラインアップ」をスタートしています。便利なインターネットバンキング「みずほビジネスWEB」、電子帳票に対応したみずほWEB帳票サービス、法人口座からのリアルタイム決済が可能なみずほビジネスデビットの無料付帯等、お得で多彩なサービスで起業家を支援しています。

関連記事:「新設法人が法人口座を開設するメリットは?口座開設の流れやポイントも紹介」

みずほ銀行の法人口座開設(法人のお客さま)

まとめ

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最近は、性別や年齢を問わず、多くの方が起業を志しています。主婦も例外ではなく、起業に関心を持つ主婦は増えているとのデータもあります。

主婦からの起業は、ビジネスに必要な知識を身に付ける等の準備とともに、家族からの理解や協力を得ることで実現の可能性が高まります。起業にあたっては、アイデアを基に明確な事業計画を立て、税務処理や資金調達法等の知識や最新情報を頭に入れておくと安心です。

パートナーの扶養に入っている主婦の場合、起業後に一定の収入を得ると、配偶者控除や社会保険の恩恵を受けられなくなるため、気になる方は家計の損益分岐点を見極めておくと良いでしょう。また、最初は個人事業主として身軽に起業し、事業の規模に応じて法人化をめざす方法もあります。

法人化したら、起業家を支援するサービスの充実したみずほ銀行での法人口座開設がおすすめです。全国に支店があるため、地域に制限なくお得で多彩な事業支援サービスを受けられます。法人口座の開設ではウェブ面談を実施しており、来店なしで口座開設できるため、忙しい主婦でも手続きしやすいでしょう。

起業の際に法人口座の開設を検討しているなら、みずほ銀行の利用をご検討ください。

みずほ銀行の法人口座開設(法人のお客さま)

監修者

安田 亮

安田 亮

  • 公認会計士
  • 税理士
  • 1級FP技能士

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

HP:https://www.yasuda-cpa-office.com/

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