会社設立は行政書士に依頼できる?業務範囲やメリット、注意点、選び方を紹介
掲載日:2026年10月14日起業準備
会社を設立する際には、基本事項の決定や定款の作成・認証、法務局での登記申請等、多くの手続きが必要です。
これらの手続きは自分でも行えますが、会社設立に関わる書類作成や各種届出の一部を行政書士に依頼することで、設立手続きを円滑に進め、事業の立ち上げをスムーズに行うことができます。
本記事では、会社設立に伴って行政書士に依頼できる業務や依頼するメリット、注意点を解説します。併せて、行政書士を選ぶ際のポイントも紹介します。
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目次
- *本記事は、株式会社みずほ銀行が提供しています。
- *記事の制作にあたっては、外部の協力会社に一部業務を委託しています。監修者は、情報の正確性・公平性の観点から監修を行っており、特定の商品やサービスをおすすめするものではありません。
会社設立時に行政書士に依頼できる業務の範囲
行政書士とは、行政機関に提出する書類の作成や手続きの代理、権利義務に関する書類の作成等を業務とする法律専門職です。
会社設立時に行政書士に依頼できる業務は、主に以下のものがあります。
- 定款作成および認証手続きのサポート
- 許認可の申請手続き
- 補助金や助成金の申請
上記の他にも、会社の基本事項に関する相談や、設立後の社内規定・契約書の作成等、幅広いサポートを受けられます。
会社設立の流れについてより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
関連記事:「会社設立の流れとは?基礎知識や必要な手続き、費用について解説」
定款作成・認証の代行
定款とは、組織や運営に関する根本的な規則を定めたものであり、設立後の意思決定や事業運営に関わる重要な書類です。
定款は設立後に変更できますが、変更には株主総会の開催や登録免許税の支払いが必要になるため、設立段階で正確な定款を作成することが重要です。
専門的な知識を持つ行政書士に依頼すれば、会社の理念や事業目的を反映した定款を適切に作成できます。
なお、行政書士は電子定款の作成を代理することも認められています。電子定款は紙の定款とは異なり、印紙税(4万円)が不要となるため、会社設立にかかるコストを抑えることが可能です。ただし、登記の代行は依頼できないため注意しましょう。
関連記事:「定款とは?作り方・記載内容から認証の方法まで分かりやすく解説」
許認可申請の代行
業種によっては、許認可を取得しなければ法的に事業を開始できない場合があります。
許認可が必要な業種の一例は、以下のとおりです。
- 飲食店
- 建設業
- 旅館業
- 古物営業
- 薬局
- 医薬品販売
- 宅地建物取引業
- 電気工事業
- 労働者派遣事業
許認可は複雑な法的要件を満たす必要があるほか、多くの書類の準備が求められる等、専門知識が必要です。
行政書士に依頼することで、各種許認可の要件を満たした書類の作成や申請手続きが可能となります。
補助金や助成金の申請代行
補助金や助成金は、制度ごとに細かく定められた要件を満たしたうえで、通常業務と並行して事業計画書等を準備する必要があり、手間や時間がかかります。また、申請後に審査が実施されるため、申請したからといって必ずしも受給できるとは限りません。
行政書士に依頼すれば、要件の確認や事業計画書の作成、申請手続きの支援を受けられるため、手続きの負担を軽減できるだけでなく、不備による不採択のリスクを減らすことができます。
なお、行政書士が対応できるのは、主に経済産業省が管轄する補助金が中心です。一方、厚生労働省管轄の助成金の申請代行ができるのは、社会保険労務士に限られています。行政書士がすべての補助金・助成金を取り扱えるわけではないため、事前に確認しましょう。
関連記事:「創業時に使える補助金は?助成金・支援金や申請時の注意点も解説」
行政書士と他の専門家との違い
会社設立に関わる専門家には、行政書士のほか、司法書士・税理士・社会保険労務士等がいます。それぞれ対応できる手続きが異なるため、必要なサポート内容に応じて選びましょう。専門家ごとの主な業務は以下のとおりです。
| 専門家 | 主な業務 |
|---|---|
|
行政書士 |
行政機関に提出する書類の作成や許認可の申請手続きの支援 |
|
司法書士 |
法務局への登記申請 |
|
税理士 |
税務代理、税務書類の作成、税務相談 |
|
社会保険労務士 |
社会保険手続き、就業規則の作成支援 |
なお、これらの専門家が相互に連携し、設立手続きから設立後のサポートまで一貫して提供しているケースもあります。
会社設立を行政書士に依頼するメリット
行政書士への依頼は、会社設立が初めての方や事業を円滑に立ち上げたい方に適しています。依頼する主なメリットは以下のとおりです。
- 本業の準備に専念できる
- ミスや不備を防ぎやすい
- 専門的なアドバイスが受けられる
本業の準備に専念できる
会社設立に関する手続きを行政書士に任せることで、書類作成や役所への提出といった手間を省くことができ、設立にかかる時間を大幅に短縮できます。
その結果、本業の準備や設立後の事業運営に専念しやすくなります。
ミスや不備を防ぎやすい
会社設立に関する書類に不備があると、修正や再提出が必要になり、手続きが遅れたり、追加のコストが発生したりする原因となります。
行政書士に依頼すれば、専門知識に基づき法的要件を満たした書類を正確に作成してもらえるため、手続きのミスや不備の防止につながります。
専門的なアドバイスが受けられる
専門家の立場からアドバイスを受けられる点もメリットの一つです。
会社を設立する際には、事業計画や会社の基本事項、定款等、慎重に決定すべき事項が多くあります。
行政書士からアドバイスを受けることで、理念や事業を適切に反映した定款の作成や、事業に必要な許認可を踏まえた設立準備が可能となり、設立後を見据えて計画的に進められます。
会社設立を行政書士に依頼する際の注意点
会社設立に関する手続きを行政書士に依頼することで、負担やミスを軽減し、事業に専念できるメリットがある一方で、以下のような注意点もあります。
- 費用が発生する
- 登記手続きの代理は依頼できない
費用が発生する
行政書士に依頼する場合、会社設立にかかる法定費用とは別に、行政書士への報酬を支払う必要があります。
目安の一つとして、日本行政書士会連合会の調査によると、2025年度の会社設立手続きに関する報酬額は平均106,371円でした*。報酬額は行政書士事務所や依頼範囲によって異なるため、支払う報酬に見合った効果が得られるかを踏まえ、総合的に判断することが大切です。
なお、電子定款を利用すれば、紙の定款に必要な収入印紙代4万円が不要となります。行政書士に依頼して電子定款を作成してもらうことで、費用や手間を抑えられる場合があります。
登記手続きの代理は依頼できない
登記そのものは司法書士の独占業務であるため、行政書士に登記申請書の作成や手続きの代理を依頼することはできません。登記手続きは司法書士に依頼するか、自分で行う必要があります。
ただし、専門知識が必要な定款等の作成を行政書士に任せることで、手続き全体をスムーズに進めることが可能です。また、司法書士と連携している行政書士事務所では、登記申請まで一貫して依頼できる場合もあります。
行政書士を選ぶ際のポイント
どの行政書士に依頼するかは、会社設立までの時間や手間だけでなく、設立後の事業運営にも影響する重要な要素です。この章では、行政書士を選ぶ際の主なポイントを紹介します。
- 依頼したい業務に精通しているか
- 他の専門家と連携できるか
- 料金体系が分かりやすいか
- 相談がしやすく、対応が丁寧か
依頼したい業務に精通しているか
行政書士の業務は幅広く、すべての専門家が会社設立に精通しているわけではありません。公式ウェブサイト等で専門分野や実績を確認し、安心して任せられる行政書士を選びましょう。
専門知識が豊富な行政書士に依頼することで、正確な手続きを行えるだけでなく、事業内容や業界の特性を踏まえた適切なサポートも受けやすくなります。
また、事業に必要な許認可に精通しているか、事業計画の策定や設立後のサポートに対応しているか等も併せて確認すると安心です。
他の専門家と連携できるか
登記申請の代理まで依頼したい場合は、司法書士と連携しているかどうかも確認しましょう。
法務局での登記手続きは司法書士の独占業務であり、行政書士単独では行えません。また、税理士との連携が可能な場合は、設立後の税務手続きもスムーズに進みやすくなります。
このように、他の専門家とのネットワークを持つ行政書士に依頼すれば、会社設立の手続きを一貫して任せやすくなります。
料金体系が分かりやすいか
報酬の内訳や金額が明確で分かりやすい行政書士を選ぶことも重要です。
報酬が相場よりも低い場合、コストを抑えられるメリットがありますが、料金表に記載されていない追加費用が発生する可能性もあります。
安さだけで判断せず、支払う報酬に対して提供されるサービスが見合っているかどうかを十分に検討しましょう。
相談がしやすく、対応が丁寧か
会社設立に関する手続きは煩雑で専門的な内容も多いため、相談しやすく対応が丁寧な行政書士を選ぶことは、安心して依頼するうえで重要です。具体的には次のようなポイントに注目すると良いでしょう。
- 問い合わせに対して迅速に対応しているか
- 専門用語を分かりやすく説明しているか
- 十分なヒアリングを行っているか
- 適切に進捗を報告しているか
- 費用やリスク等についても明確に説明しているか
会社設立後に必要な手続き
登記申請を行うと法人の設立手続きは完了しますが、事業によっては許認可の取得が必要なほか、税務や社会保険等の手続きも行う必要があります。
事業を円滑に立ち上げるため、設立準備と並行して計画的に準備を進めましょう。設立後に必要となる主な手続きは以下のとおりです。
| 手続先 | 手続きの種類 | 期限 |
|---|---|---|
|
税務署 |
法人設立届出書 |
設立日から2ヵ月以内 |
|
都道府県税事務所、市町村役場 |
法人設立届出書 |
自治体によって異なる |
|
年金事務所 |
|
発生した日から5日以内 |
|
労働基準監督署 |
|
従業員を雇用した日の翌日から10日以内(概算保険料申告書は50日以内) |
|
ハローワーク(公共職業安定所) |
|
|
|
金融機関 |
法人口座の開設 |
期限なし |
なお、法人口座の開設は法律上の義務ではありませんが、許認可や補助金・助成金の申請、取引先への請求等、設立直後から必要となる場面が少なくありません。口座開設には一定の期間を要するため、各種手続きと併せて早めに準備を進めることが望ましいでしょう。
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まとめ
会社設立時には、定款の作成や法務局での法人登記、許認可の申請等、様々な手続きが必要です。
これらの手続きのうち、定款の作成や許認可の取得、補助金・助成金の申請等を行政書士に依頼することで、設立にかかる時間や手間を削減でき、本業の準備や事業運営に専念しやすくなります。
依頼したい内容を明確にしたうえで、他の専門家との違いも踏まえ、行政書士への依頼を検討することが重要です。
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監修者
志塚 洋介(しづか ようすけ)
- 行政書士
- 1級FP技能士
- CFP
大学在学中に行政書士、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。証券会社で資産運用コンサルティングに従事したのち、不動産会社で保有不動産の収支計算や資産管理、収支改善業務などに従事し、独立開業。行政書士とファイナンシャルプランナーというお金と法律の2つの側面から会社設立、相続、遺言、運用、不動産などに関する幅広い業務を展開中。雑誌やwebでの執筆や株式や投資のセミナーなどの講師も行い、YouTubeでの投資に関する動画も好評。