ジョブ型雇用とは?メンバーシップ型雇用との比較や企業と求職者のメリット・デメリットを解説
掲載日:2026年7月3日採用課題
近年、グローバル化への対応や働き方の多様化等を背景に、「ジョブ型雇用」を導入する企業が増えています。
ジョブ型雇用とは、あらかじめ定めた職務内容に適した人材を採用する雇用形態です。企業にとっては、即戦力となる人材を効率的に確保でき、生産性や競争力向上につなげられる等のメリットがあります。
本記事では、ジョブ型雇用と従来のメンバーシップ型雇用との違い、企業側・求職者側のメリット・デメリットを解説します。また、導入時のポイントや企業の導入事例も紹介します。
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目次
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ジョブ型雇用とは
ジョブ型雇用とは、企業が職務内容を定義し、その職務に適した人材を採用する雇用形態です。職種・業務内容・報酬・労働時間等の条件を明確に定め、「職務記述書」に記し、その内容に基づいて採用を行うのが特徴です。
欧米では一般的な雇用形態として定着していますが、近年では日本でも大手企業を中心に導入が進んでいます。
メンバーシップ型雇用との違い
近年広がりつつあるジョブ型雇用に対して、日本で一般的に採用されてきたのは「メンバーシップ型雇用」です。
従来のメンバーシップ型雇用では、採用した人材に仕事を割りあてるのが基本的な考え方ですが、ジョブ型雇用ではあらかじめ定めた仕事に人材を割りあてる点が大きな違いです。
| ジョブ型雇用 | メンバーシップ型雇用 | |
|---|---|---|
| 基本的な考え方 |
あらかじめ定めた仕事に人材を割りあてる |
採用した人材に仕事を割りあてる |
| 主な採用方法 |
欠員募集(中途採用) |
新卒採用 |
| 採用基準 |
スキルや能力 |
ポテンシャルや人間性 |
| 業務範囲 |
明確かつ限定されている |
明確に定めない場合が多い |
| 人材の流動性 |
高い |
低い |
| 異動や転勤 |
少ない |
比較的多い |
| 評価・報酬 |
職務やスキル・成果に応じて決まる |
年齢や勤続年数等の年功的な要素が含まれる |
| 雇用の安定性 |
職務がなくなれば雇用契約の終了事由になり得る |
長期雇用を前提とする |
| 基本的な考え方 | |
|---|---|
| ジョブ型雇用 |
あらかじめ定めた仕事に人材を割りあてる |
| メンバーシップ型雇用 |
採用した人材に仕事を割りあてる |
| 主な採用方法 | |
| ジョブ型雇用 |
欠員募集(中途採用) |
| メンバーシップ型雇用 |
新卒採用 |
| 採用基準 | |
| ジョブ型雇用 |
スキルや能力 |
| メンバーシップ型雇用 |
ポテンシャルや人間性 |
| 業務範囲 | |
| ジョブ型雇用 |
明確かつ限定されている |
| メンバーシップ型雇用 |
明確に定めない場合が多い |
| 人材の流動性 | |
| ジョブ型雇用 |
高い |
| メンバーシップ型雇用 |
低い |
| 異動や転勤 | |
| ジョブ型雇用 |
少ない |
| メンバーシップ型雇用 |
比較的多い |
| 評価・報酬 | |
| ジョブ型雇用 |
職務やスキル・成果に応じて決まる |
| メンバーシップ型雇用 |
年齢や勤続年数等の年功的な要素が含まれる |
| 雇用の安定性 | |
| ジョブ型雇用 |
職務がなくなれば雇用契約の終了事由になり得る |
| メンバーシップ型雇用 |
長期雇用を前提とする |
なお、日本では、ジョブ型雇用であっても労働契約法第16条の「解雇権濫用の法理」が適用されます。
そのため、特定の職務が消失したからといって、直ちに解雇が正当化されるわけではありません。企業には、他の職務への配置転換や教育訓練等、解雇を回避するための努力が求められるケースが一般的です。
ジョブ型雇用が注目されている背景
ジョブ型雇用の注目が高まっている背景には、各企業が適した雇用制度の確立をめざす中で、経団連がジョブ型雇用を選択肢の一つとして提言したことがあります。また、以下のような背景もあります。
- 終身雇用や年功序列制の見直し
- テレワークの普及
- 高度専門人材の不足
終身雇用や年功序列制の見直し
近年では、働き方の多様化等を背景に転職が一般化し、「定年まで同じ企業に勤める」という考え方が弱まりつつあります。経営環境の変化が加速する中、長期雇用を前提とした人材配置だけでは、柔軟に対応しにくい場面もあります。
こうした背景から、年齢や勤続年数に応じて人件費が増加する制度の是正を検討する企業もあり、終身雇用や年功序列型の制度を見直す動きが見られます。
テレワークの普及
新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの企業でテレワークが導入されました。しかし、従来の雇用管理方法では、従業員間のコミュニケーション不足や部下の評価の難しさ等の課題が指摘されています。
こうした中で、役割や職務内容が明確に定められ、テレワークでも業務を進めやすいジョブ型雇用への注目が高まっています。
高度専門人材の不足
近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速により、業界を問わずIT人材の需要が急増しています。
また、脱炭素社会の実現に向けたGX(グリーントランスフォーメーション)の推進には、エネルギー管理や環境法規制に精通した専門人材が求められます。
さらに、海外市場への進出やクロスボーダーでの事業展開を行う際には、現地の商習慣や国際法務、マーケティングに精通した専門人材が必要です。
しかし、人材供給が追いついておらず、高度専門人材の採用競争は厳しさを増している状況です。こうした中、職務の市場価値に応じた報酬設定や成果に応じた処遇により、採用力の強化や人材定着を図る手段の一つとして、ジョブ型雇用が注目されています。
【企業側】ジョブ型雇用のメリット
採用競争が厳しさを増す中、企業にとってジョブ型雇用の考え方を取り入れる意義は高まっています。導入の主なメリットは以下のとおりです。
- スキルのある人材を確保できる
- 雇用後のミスマッチを防ぎやすい
スキルのある人材を確保できる
ジョブ型雇用では、企業が必要な職務を明確に定義したうえで採用を行うため、専門性の高い人材や特定のスキルを有する人材を的確に確保できます。
即戦力となる人材を確保できれば、事業立ち上げまでの期間を短縮しやすくなり、育成コストの抑制にもつながるでしょう。
雇用後のミスマッチを防ぎやすい
ジョブ型雇用は、あらかじめ定義した職務内容について合意を得たうえで雇用契約を結ぶ雇用形態です。そのため、職務内容に関する認識のずれが生じにくく、雇用後のミスマッチを抑えやすくなります。
その結果、トラブルの発生リスクや再採用に伴うコストの増加を防ぎやすい点がメリットです。
【企業側】ジョブ型雇用のデメリット
ジョブ型雇用の導入にはデメリットも存在します。
- 業務の柔軟性が下がる可能性がある
- 優秀な人材が流出しやすくなる
- 組織の一体感が弱まりやすい
そのため、日本国内ではメンバーシップ型雇用から抜本的に移行するのではなく、両者を組み合わせて運用する傾向があります。
業務の柔軟性が下がる可能性がある
ジョブ型雇用は、あらかじめ職務内容を明確にしたうえで雇用契約を結ぶため、範囲外の業務を柔軟に依頼することが難しくなる傾向があります。
また、メンバーシップ型雇用では定期的な配置転換を行うケースが多いですが、ジョブ型雇用では同一職務で昇進していくことが一般的です。柔軟な配置転換がしにくいため、新規事業の立ち上げや繁忙期の一時的な人材補充、経営方針の変更等に制約が生じる可能性があります。
優秀な人材が流出しやすくなる
ジョブ型雇用では、従来のメンバーシップ型雇用と異なり、年齢や勤続年数に応じて昇給する年功序列の仕組みがほとんどありません。
職務と処遇の連動が強まる一方で、長く働くことで得られるメリットは少ない傾向があります。そのため、特に成長意欲や市場価値の高い優秀な人材を中心に人材の流動性が高まり、より良い条件の他社へ移る可能性があります。
組織の一体感が弱まりやすい
特定の企業の一員になることに大きな意味を持つメンバーシップ型雇用に対して、ジョブ型雇用では職務に特化した働き方が基本となります。
そのため、従業員同士が協力して幅広い業務に取り組む機会が減り、組織の一体感が低下する要因となる可能性があります。
【求職者側】ジョブ型雇用のメリット
ジョブ型雇用には、求職者側にもメリット・デメリットがあります。主なメリットは以下のとおりです。
- スキルアップにつながる
- 成果に応じた評価・報酬を受けられる
- 急な配置転換が少ない
スキルアップにつながる
ジョブ型雇用では、自身のスキルや経験をいかして働くことができます。特定の職務に専念できるため、専門スキルや知識を深めやすく、成果や実績を着実に積み上げることが可能です。
その結果、キャリア計画を立てやすくなり、他社でも即戦力として評価されやすくなるといったメリットが期待できます。
成果に応じた評価・報酬を受けられる
ジョブ型雇用の特徴として、職務内容や成果が処遇と連動している点が挙げられます。
メンバーシップ型雇用では、年齢や勤続年数に応じて評価や報酬が決まる年功序列の考え方がベースとなる傾向があります。一方、ジョブ型雇用では、スキルや成果が報酬や昇進に反映されやすく、従業員のモチベーション向上につながります。
急な配置転換が少ない
ジョブ型雇用では、あらかじめ定めた特定の職務に就くため、急に職務を変更されたり、定期的に異なる部署へ異動させられたりすることはあまりありません。
そのため、結婚や育児、介護等のライフイベントと両立しやすく、長期的な計画を立てやすくなる可能性があります。
【求職者側】ジョブ型雇用のデメリット
求職者からみたジョブ型雇用の主なデメリットは以下のとおりです。
- 自己研鑽が求められる
- 幅広い業務経験を積みにくい
- 長期的に雇用されない場合がある
企業が自社に適した雇用制度を検討する際には、自社側のメリット・デメリットだけでなく、求職者にどのような影響があるのかを理解することも重要です。
自己研鑽が求められる
ジョブ型雇用はスキルや能力を持っていることが前提であり、メンバーシップ型雇用のように上司や先輩の指導を受けながらスキルを習得していく考え方とは異なります。
また、雇用後も職務に求められるスキルや能力を維持・向上させるために、継続的かつ主体的な自己研鑽が求められます。
幅広い業務経験を積みにくい
専門分野に集中しやすい反面、担当職務以外の業務に関わる機会が少なく、幅広い経験を積みにくい傾向がある点もデメリットの一つです。キャリアの幅を広げたい場合や別の職種にチャレンジしたい場合でも、職務転換が難しいことがあります。
長期的に雇用されない場合がある
ジョブ型雇用は、必要な職務に対して人を割りあてる仕組みであるため、その職務がなくなった場合には雇用契約が終了する可能性があります。
一方、メンバーシップ型雇用では、担当職務がなくなった場合でも、別の職務に配置転換することで雇用契約を維持することが一般的であり、雇用の安定性は比較的高い傾向があります。
ただし、ジョブ型雇用で担当していた職務がなくなっても、それだけで直ちに解雇が正当化されるわけではありません。
ジョブ型雇用を導入する際のポイント
ジョブ型雇用は、以下のポイントを押さえて検討・導入を進めることが重要です。
- 導入対象の範囲を明確にする
- 職務内容および評価基準を具体的に設計する
- 自社版ジョブ型雇用を確立する
まず、どの部門や職種にジョブ型雇用を適用するのかを整理します。全社一律で移行すると、コストや運用負担が増大し、混乱が生じる可能性もあるため、ジョブ型雇用と親和性の高い職種(エンジニア職、研究開発職など)から段階的に導入するのが有効です。
また、ジョブ型雇用は職務に人を割りあてる雇用形態であるため、職務記述書で職務内容を明確に定義したうえで、評価基準や報酬体系も連動させる必要があります。
ジョブ型雇用はメンバーシップ型雇用を否定するものではなく、あくまで自社に適した雇用制度を設計する際の選択肢の一つです。完全移行を前提とするのではなく、メンバーシップ型雇用のメリットも取り入れつつ、自社に適した形で検討しましょう。
ジョブ型雇用の導入企業の事例
日本国内では、大手企業を中心にジョブ型雇用が導入されています。以下では、主な事例を紹介します。
| 取組事例 | |
|---|---|
| 情報通信企業A社 |
|
| 総合電機メーカーB社 |
|
| 通信会社C社 |
|
雇用制度の整備と併せて資金管理体制も整えよう
ジョブ型雇用を効果的に運用していくためには、職務内容と評価基準、報酬体系を明確に設計することが求められます。その前提として、人件費を含めた資金の流れを適切に管理する体制の整備が重要です。
法人口座を活用して事業資金を適切に管理することは、こうした体制整備の基盤の一つです。法人口座を開設すると、法人と個人の資金を明確に区別でき、資金管理の透明性が高まります。円滑な事業運営や税務リスクの低減にもつながるため、できるだけ早い段階で法人口座を開設しましょう。
みずほ銀行の法人口座は、休日・夜間でもお申し込みが可能で、ウェブ面談によって来店不要で手続きを完結できます。なお、一部のお客さまは、店舗での対応が必要となる場合がございます。
また、みずほ銀行では、イノベーティブな事業に取り組むスタートアップ企業(イノベーション企業)向けの会員制サービス「M’s Salon」を運営し、経営知識や事業遂行ノウハウ、ビジネス拡大機会、資金調達サポート等の提供も行っています。
法人口座の開設手順やスムーズに進めるポイント、注意点等についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
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まとめ
ジョブ型雇用とは、職務内容を明確に定義し、その職務に適した人材を採用する雇用形態です。日本ではメンバーシップ型雇用が一般的でしたが、外部環境の変化やグローバル化等を背景に、ジョブ型雇用の考え方が広まっています。
メンバーシップ型雇用との違いやメリット・デメリットを踏まえ、自社に適した雇用制度を設計する際の選択肢の一つとして、ジョブ型雇用の導入を検討することが重要です。
来店不要で24時間受付(メンテナンス時間:日曜日 0時00分~9時30分を除く)
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監修者
大柴 良史(おおしば よしふみ)
- 社会保険労務士
- CFP
1980年生まれ、東京都出身。IT大手・ベンチャー人事部での経験をいかし、2021年独立。年間1000件余りの労務コンサルティングを中心に、給与計算、就業規則作成、助成金申請等の通常業務からセミナー、記事監修まで幅広く対応。ITを活用した無駄がない先回りのコミュニケーションと、人事目線でのコーチングが得意。趣味はドライブと温泉