法人口座の開設について 審査のポイントと開設手順をご紹介
掲載日:2025年5月23日法人口座
法人口座は、企業や個人事業主が事業の資金を管理するための銀行口座です。事業資金と個人資金を分けることで、経理業務が整理され、取引の透明性も向上します。また、法人名義の口座を持つことで、取引先や金融機関からの信用を得やすくなります。
この信用につながる要因の一つとして、法人口座の開設には、個人口座とは異なり、事業の実態や信用情報を確認する審査があることが挙げられます。この審査を円滑に進めるためには、審査のポイントに合わせた適切な準備が大切です。
本記事では、法人口座の開設手続きや必要書類、審査の流れについて詳しくご紹介します。法人口座開設をご検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

目次
法人口座の開設とは
法人口座とは、企業や個人事業主が事業専用の銀行口座を開設することを指します。事業資金と個人資金を明確に分けることで、経理処理の効率化や財務の透明性が向上し、健全な事業運営の基盤となります。
また、法人名義の振込口座を明記することで、正式な事業体であることを証明でき、取引の透明性が確保されます。これにより、資金管理や取引がスムーズになるだけでなく、取引先や金融機関からの信頼構築にもつながるでしょう。
ただし、法人口座の開設には、事業実態や信用情報に関する厳格な審査が必要です。これは、金融不正や犯罪を防ぐために設けられている制度であり、スムーズな開設のためには、適切な書類の準備や審査基準の理解が欠かせません。
しっかりと準備を整えた上で、法人口座を開設しましょう。
法人口座と個人口座との違い
個人口座は、個人の生活費や貯蓄を管理するための口座であり、本人確認のみで開設できます。一方、法人口座は、事業資金の管理や取引を専門とする口座であり、企業の財務管理や取引の透明性を確保する役割を担っています。
以下の表に、法人口座と個人口座の主な違いをまとめました。
項目 | 法人口座 | 個人口座 |
---|---|---|
名義 |
法人名義 |
個人名義 |
用途 |
事業資金の管理・取引 |
個人の生活費・貯蓄 |
審査の有無 |
事業の実態や信用情報を確認する審査が必要 |
本人確認のみで開設可能 |
信用度 |
企業の信用を示せる |
事業取引には適さないことがある |
名義 | |
---|---|
法人口座 |
法人名義 |
個人口座 |
個人名義 |
用途 | |
法人口座 |
事業資金の管理・取引 |
個人口座 |
個人の生活費・貯蓄 |
審査の有無 | |
法人口座 |
事業の実態や信用情報を確認する審査が必要 |
個人口座 |
本人確認のみで開設可能 |
信用度 | |
法人口座 |
企業の信用を示せる |
個人口座 |
事業取引には適さないことがある |
また、個人事業主は、金融機関によって「屋号+個人名」の名義で開設できる「屋号付き口座」を利用できます。これは個人口座の一種で、事業用資金の管理に活用できます。
法人口座の役割とメリット
法人口座を開設することで、企業や個人事業主は事業資金を適切に管理できるようになり、経理の効率化や信用力の向上につながります。
具体的にどのようなメリットがあるのか、その理由とともに詳しく解説します。
1. 事業資金と個人資金を分けて管理できる
なぜ必要なのか?
法人口座により、事業資金と個人資金の混在を防ぎ、会計処理を明確かつ効率的に行うためです。
メリット例:
- 資金の流れが明確になるため、帳簿管理が容易になる。
- 経理作業の手間が削減され、正確な財務状況を把握しやすくなる。
- 財務状況を把握できることで、正しい経営判断を行いやすくなる。
2. 取引先からの信用を得られる
なぜ信用が向上するのか?
法人口座は、開設時に事業の実態や法人の信用情報が確認されるため、取引先から「信頼のある企業」と認識されやすくなります。
メリット例:
- 企業としての信頼性が高まり、取引の円滑化につながる。
- 法人名義の口座を利用することで、取引の透明性が向上する。
- 取引がしやすくなり、事業拡大のチャンスが広がることがある。
3. 各種法人向け金融サービスを受けやすくなる
法人向けサービスのメリットとは?
法人向けの金融サービスは、事業の成長を支援するために提供されています。法人口座を開設することで、資金管理や取引の効率化が進み、様々なメリットを享受できます。
メリット例:
- 法人口座に紐付けた法人カードを利用することで、経費精算がスムーズに管理できる。
- ビジネスローンの利用が可能になり、資金繰りの選択肢が広がる。
- 法人向けの振込手数料プランや、専用のサービスを利用できる。
このように、法人口座には多くのメリットがあります。適切な準備を整え、スムーズに口座開設を進めましょう。
法人口座の審査とは?通過するためのポイント
法人口座を開設する際には、銀行が定める一定の審査を通過する必要があります。 銀行では金融犯罪防止や健全な取引を確保する目的から、会社の信用情報や事業の実態を総合的に確認しています。
審査基準の詳細は公表されていませんが、以下のポイントを押さえることで、スムーズな審査につながります。
必要書類を正確に揃える:
各金融機関の申込手順を確認し、法人口座の開設に必要な書類を揃えましょう。
申込情報を正確に記入する:
書類の記入ミスや情報の不備は審査の遅延につながります。正式文書と完全に一致しているか、内容に誤りがないか等、提出前に再確認しましょう。
事業の実態を示す資料を整える(必要に応じて):
会社案内や取引実績、契約書等、事業が実際に運営されていることを客観的に証明できる資料を求められることがあります。特に、開業直後や新設法人の場合、事業の実態が確認できる資料やウェブサイトを準備しておきましょう。
法人口座開設の審査については、以下の関連記事もぜひご覧ください。
関連記事:法人口座の開設ができない理由とは? 審査基準と対策、スムーズな開設のポイントを解説
法人口座開設のお申込方法【インターネットと店舗】
みずほ銀行では、インターネット、もしくは店舗のお申込の2つの方法で法人口座を開設できます。
インターネットから「法人口座開設ネット受付」を利用すれば、来店不要で口座を開設できるため、スムーズな手続きが可能です。
詳細は、「法人口座開設ネット受付」ページをご確認ください。

以下の表に、インターネットと店舗でのお申込の主な違いをまとめました。ご自身に合った方法を選択してください。
項目 | インターネットでの申込 | 店舗での申込 |
---|---|---|
面談方法 |
ウェブ面談 |
店舗での面談 |
面談に必要な機器 |
カメラ機能が内蔵または外付けされた端末 |
特になし |
口座開設の流れ |
インターネット申込 → 一次審査結果連絡と面談日程調整 → ウェブ面談 → 申込書類の郵送 |
ご来店予約 → 店舗での面談 → 審査 → 再来店で申込書記入・印鑑票登録等の手続き |
必要書類 |
少ない |
多い |
来店の必要性 |
不要(場合によっては店舗へご来店の必要あり) |
必要(原則2回以上来店) |
その他の留意事項 |
確認のはがきを転送不要の簡易書留郵便で郵送 |
予約時間帯にて優先的に案内 |
面談方法 | |
---|---|
インターネットでの申込 |
ウェブ面談 |
店舗での申込 |
店舗での面談 |
面談に必要な機器 | |
インターネットでの申込 |
カメラ機能が内蔵または外付けされた端末 |
店舗での申込 |
特になし |
口座開設の流れ | |
インターネットでの申込 |
インターネット申込 → 一次審査結果連絡と面談日程調整 → ウェブ面談 → 申込書類の郵送 |
店舗での申込 |
ご来店予約 → 店舗での面談 → 審査 → 再来店で申込書記入・印鑑票登録等の手続き |
必要書類 | |
インターネットでの申込 |
少ない |
店舗での申込 |
多い |
来店の必要性 | |
インターネットでの申込 |
不要(場合によっては店舗へご来店の必要あり) |
店舗での申込 |
必要(原則2回以上来店) |
その他の留意事項 | |
インターネットでの申込 |
確認のはがきを転送不要の簡易書留郵便で郵送 |
店舗での申込 |
予約時間帯にて優先的に案内 |
法人口座開設の流れ【インターネットと店舗】
次に、みずほ銀行の法人口座開設手順についてご紹介します。 インターネットと店舗、それぞれの法人口座開設の流れを詳しく見ていきましょう。
インターネットでの法人口座開設の流れ【4ステップ】
みずほ銀行の「法人口座開設ネット受付」は、以下の4ステップで法人口座を開設することができます。
ステップ1:インターネットからお申込
法人口座開設は、オンラインで24時間365日申請可能です。インターネットで必要事項を入力する際は、以下の書類をお手元にご用意ください。
インターネットで入力した申請データを基に、一次審査が行われます。
お手元にご用意いただく書類 |
---|
登記事項証明書(履歴事項全部証明書等)*1) |
代表者・役員・実質的支配者等のお名前・住所・生年月日等が確認できる書類*2) |
運転免許証、マイナンバーカード等、写真付き本人確認書類*3) |
- *1)口座開設情報入力の際に必要な情報が記載された書類であり、必ずしも提出が必要な書類ではありません。
- *2)実質的支配者についての説明は取引時確認手続きの変更についてをご確認ください。
- *3)本人確認はスマートフォンで行い、本人確認書類と顔写真を撮影します。
手順の詳細は法人口座開設ネット受付ご利用マニュアル(PDF/6,386KB)をご確認ください。
審査をスムーズに進めるポイント
- 法人名・住所等の必要情報は登記事項証明書と完全一致させましょう。
- 事業内容を明確に記入し、不明確な説明を避けましょう。
ステップ2:一次審査結果のご連絡と面談日程調整
一次審査の結果は、みずほ銀行の担当者からメールまたは電話で通知されます。審査を通過した場合、ウェブ面談の日程調整の案内が届きます。
ステップ3:ウェブ面談の実施︎(来店不要)
ウェブ面談では、みずほ銀行の担当者が事業内容や口座の利用目的についてヒアリングします。事業内容や事業実態が分かる資料*4)、登記事項証明書(原本)、印鑑証明書(原本)等、必要に応じて提出を求められる場合があります。
ウェブ面談までにご提出が必要な書類*5) |
---|
実質的支配者の確認ができる書類*6) |
- *4)会社案内、商品パンフレット、法人名義の国税または地方税の領収書、受注書・発注書、請求書 等
- *5)担当者より電子メール等を通じて、書類の提出依頼が届きます。
- *6)法人格が「株式会社・有限会社・投資法人・特定目的会社」の場合、以下のいずれかの書類の提出が必要です。
株主名簿、有価証券報告書、実質的支配者リスト、法人税確定申告書別表二の明細書の写し 等 実質的支配者に関する詳細は、「取引時確認手続きの変更について」をご確認ください。
ウェブ面談の後、最終審査を実施し、口座開設可否が通知されます。
ステップ4:申込書類の郵送(口座開設完了)
最終審査を通過後、口座開設に必要な書類が郵送されます。必要事項を記入・押印のうえ、返送してください。その後、通帳やキャッシュカード等が郵送で届きます。
郵送時の注意点
- 登記事項証明書に記載されていない住所への送付はできません。
- 転送不要の簡易書留で発送するため、確実に受け取れることを確認してください。
その他:店舗に来店する必要がある場合
「法人口座開設ネット受付」で申し込んだ後、状況によっては店舗への来店が必要になる場合があります。 その際の手続きの流れは、法人口座開設のお手続きページからご確認ください。
店舗での法人口座開設の流れ
法人口座の開設にあたって、インターネットで手続きができない場合があります。 インターネットでのお申込が可能な場合は、みずほ銀行の「法人口座開設ネット受付」からのお手続きをおすすめします。
以下に該当する場合は、店舗でのお申込が必要です。
- 1.個人事業主または(任意)団体の場合
- 2.普通預金口座以外の口座開設を希望する場合
- 3.既にみずほ銀行に法人口座を持っている場合
- 4.店舗での申込手続、面談を希望する場合
- 5.登記上の本店所在地(設立国)が日本以外の場合
対応店舗の一覧はこちら
- *来店予約をすると、予約した時間帯内で優先的に案内されます。ただし、予約開始時刻ちょうどに手続きが開始されるわけではありませんので、あらかじめご了承ください。
法人口座開設特典のご紹介
みずほ銀行は、法人口座の開設に伴い、創業期の法人向け特典を用意しています。
創業期向け特典
会社設立3年以内かつ「法人口座開設ネット受付(来店不要)」で口座を開設すると、インターネットバンキング(みずほビジネスWEB)の月額利用料が最長5年間無料になります。
法人口座開設特典
法人口座を開設した場合には、会計ソフトや電子契約サービスの割引等、様々な特典を用意しています。
本記事は2025年3月時点の情報です。特典内容は変更となる可能性がありますので、最新の情報は以下のページからご確認ください。
法人口座開設に関する質問(FAQ)
法人口座の開設にあたり、「どんな書類が必要なのか?」「審査にはどれくらい時間がかかるのか?」等、不安や疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。
みずほ銀行は、法人口座開設に関するよくある質問をまとめたFAQページを公開しています。事前に確認して口座開設の準備を進めるだけでなく、手続きの途中で困ったときや口座開設後にも参考になりますので、ぜひご活用ください。
1. 申込・開設に関するご質問
Q1. 「法人口座開設ネット受付(来店不要・ウェブ面談)」は、誰でも利用ができますか? A1. 本店所在地が日本にある法人であり、みずほ銀行に既に法人口座を持っていない場合に利用できます。
Q2. 申込から一次審査完了までの期間はどれくらいですか? A2. 通常は数日から1週間程度かかります。祝日や申込状況により前後する場合があります。
2. 審査に関するご質問
Q3. 口座開設をする際、審査はありますか? A3. 法人口座開設には審査があります。審査の結果によっては、口座を開設できない場合があります。
Q4. 口座開設見送りの理由を教えてください。 A4. 総合的な判断によるもので、詳細は公開されません。
3. 口座の利用・管理に関するご質問
Q5. 口座開設後、キャッシュカードはいつ届きますか? A5. 手続き完了後、約1〜2週間後にお届け予定です。
Q6. インターネットで法人口座の残高を確認できますか? A6. 法人口座の残高はみずほe-ビジネスサイトまたはみずほビジネスWEBで確認することができます。
その他のご質問については、以下のリンクからご覧ください。
まとめ
法人口座の開設には、必要書類を適切に準備し、事業の実態を明確に示すことが重要です。口座の利用目的や取引の流れを整理し、正確な情報を提供することで、審査をスムーズに進めることができます。本記事が、法人口座開設の参考になれば幸いです。
みずほ銀行では、インターネットから簡単に法人口座の申込が可能です。 詳しい手続きの流れは、法人口座開設のお申込ページをご確認ください。