株式会社の最低資本金は?少額で設立するリスクやメリット、払い込みの流れも解説
掲載日:2026年4月6日起業準備
従来、株式会社を設立するには最低1,000万円の資本金が必要でしたが、2006年の会社法施行により、資本金1円でも設立できるようになりました。
小規模で事業を始めたい方やリソースが限られている方にとって、会社設立のハードルは大きく下がったといえます。ただし、少額の資本金での設立にはリスクも伴います。
本記事では、株式会社の最低資本金や少額で設立するリスク・メリット、資本金払込の流れを解説します。
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目次
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株式会社は資本金1円でも設立できる
株式会社は資本金1円でも設立が可能です。
会社法上、「資本金1円以上」と明記された規定はありませんが、株式会社を設立するには株式の引受人が出資して株主になる必要があります。出資がなければ株式が発行できないため、実務上は資本金0円での設立はできません。
なお、資本金は事業活動の元手となる資金のことで、発起人・株主が払い込んだ出資金が含まれます。
金融機関から借り入れた「借入金」とは異なり、返済義務がなく、貸借対照表上では「純資産の部」に計上されます。
資本金の役割や金額を決める際の基準についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
関連記事:「資本金とは?その役割と金額を決める際の基準について解説」
従来は株式会社を設立するのに最低1,000万円の資本金が必要だった
旧制度(商法)では、債権者保護を目的に、株式会社の設立には最低1,000万円、有限会社の設立には最低300万円の資本金が必要と定められていました(最低資本金制度)。
株式会社は、間接有限責任を負う者のみで構成されており、会社が債務を返済できるかどうかは会社自身の資本金や財産に依存するため、最低資本金制度が設けられていました。なお、間接有限責任とは、出資者が出資額の範囲内でのみ間接的に責任を負うことを指します。
しかし、2006年の会社法施行により、柔軟な会社設立を促すために最低資本金制度が撤廃され、資本金1円でも設立が可能となりました。
少ない資本金で株式会社を設立するリスクや影響
法律上は資本金1円でも株式会社の設立が可能ですが、少ない資本金での設立には以下のようなリスクがあります。
- 運転資金が不足しやすくなる
- 十分な設備投資を行いにくくなる
- 取引先や金融機関から信用を得にくくなる可能性がある
資本金の額は、必要な運転資金や税金、許認可の条件、補助金・助成金の条件等を踏まえ、事業内容や規模に応じた金額を設定することが重要です。
運転資金が不足しやすくなる
資本金は事業の元手となる資金であり、返済義務のない自己資本として、設備投資や運転資金等に幅広く活用できるものです。資本金が少ないと、売上の入金遅れや急な支払い等が発生した際に資金不足に陥りやすく、事業の継続に影響が及ぶリスクも高まります。
特に、設立直後は売上が安定しにくく、想定外の支出が発生することも少なくありません。
資金繰りを安定させるには、利益が出なくても当面の運転資金をまかなえる程度の資本金を確保することが重要です。
十分な設備投資を行いにくくなる
資本金が少ないと、初期投資や設備投資に十分なお金を回す余裕がなくなり、事業の立ち上げや成長が遅れる可能性があります。具体的には、以下のような影響が考えられます。
- 最適な設備を導入できず、生産性や品質が低下する
- 十分な在庫を持てず、販売機会を逃す
- 広告活動が制限される
取引先や金融機関から信用を得にくくなる可能性がある
資本金は会社の経営体力や財務基盤を示す指標の一つであり、対外的な信用にも影響する重要な要素です。
資本金が多いと、経営が安定しているとみなされて顧客や取引先からの印象が良くなり、事業のチャンスが広がる可能性があります。
一方で、資本金が少ない場合は、事業継続のリスクがあると見なされたり、希望通りの資金調達が難しくなったりする可能性があります。
少ない資本金で株式会社を設立するメリット
少ない資本金で株式会社を設立すると、資金不足等のリスクがある一方で、以下のようなメリットも存在します。
- 設立費用を抑えられる
- 起業の準備期間を短縮できる
- リスクを抑えて設立できる
- 税負担額を軽減できる可能性がある
特に、現在個人事業主として行っている事業を法人化したい場合等、小規模でスタートしたい方にとって、負担を抑えつつ会社を設立できる方法の一つです。
設立費用を抑えられる
法人設立時の登録免許税は、資本金の額を課税標準として計算されるため、資本金が少ないと設立登記にかかる税額が少なくなるメリットがあります。
株式会社の設立にかかる主な費用は以下の通りです。
| 設立にかかる費用の種類 | 金額 |
|---|---|
|
資本金 |
1円以上 |
|
定款認証費用 |
|
|
設立登記費用(登録免許税) |
資本金額×0.7%
|
上記以外に、印鑑の作成費用・印鑑証明書の取得費用・専門家への報酬等が必要です。
設立費用を抑えることで、設備投資等に充てる資金の余裕が生まれやすくなります。
法人設立費用について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
関連記事:「法人設立費用の相場はいくら?安く抑える方法や設立後の維持費も紹介」
起業の準備期間を短縮できる
資本金が少ないと、多額の資金を準備する必要がないため、比較的短期間で会社を設立できる点もメリットの一つです。
資金準備にかかる手間や時間が軽減されれば、事業の準備に専念しやすくなります。その結果、スピーディーに事業を始められ、早期の顧客獲得や売上の安定化につながります。特に、人手が限られている事業者にとっては大きなメリットでしょう。
リスクを抑えて設立できる
資本金を少額に設定すると、事業開始時の金銭的なリスクを抑えて設立できます。
資本金は創業者の個人資産から拠出される場合が多く、設立後は個人的な資金として自由に引き出すことができません。そのため、高額に設定すると自身の生活費が圧迫される可能性があります。
少額に設定しておけば、万一事業がうまくいかなかった場合でも、失う金額を最小限に抑えられます。さらに、株式会社の株主は間接有限責任のため、会社が負う債務は原則として会社財産の範囲に限定され、個人の資産に影響を及ぼしません。
税負担額を軽減できる可能性がある
資本金が一定以下の場合、税金の負担額を軽減できる可能性があります。
例えば、法人住民税には法人税割と均等割があり、均等割は資本金等の額や従業員数に応じて税額が決まる仕組みです。資本金が1,000万円以下で従業員数が50人以下の法人は、同規模で従業員数が50人超の法人より均等割の税額区分が低くなるため、負担額も相対的に小さくなります。
また、資本金が1,000万円未満の新設法人は、原則として設立1期目および2期目の消費税が免除となります(一定の条件により課税事業者となる場合があります)。
ただし、条件によっては負担の軽減が限定的になってしまう場合もあるため、注意が必要です。
新設法人の消費税免除について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
関連記事:「法人化すると消費税が2年間免除される?条件や期間を延ばす方法を解説」
株式会社の設立方法・資本金払込の流れ
株式会社を設立する方法・資本金払込の流れは以下の通りです。
- ①会社の基本情報を決める
- ②会社用の実印・銀行印・角印を作成する
- ③定款を作成して認証を受ける
- ④資本金を払い込む
- ⑤法務局で登記申請する
会社設立時の資本金は、登記申請までに払い込む必要があります。払込時点では法人名義の口座を開設できないため、発起人の個人口座に振り込むのが一般的です。
通帳の表紙・裏表紙(支店名・口座番号・口座名義人が分かるページ)および振込内容が分かるページのコピーを取り、登記申請時に「払い込みを証する書面」として添付する必要があります。
また、必要な情報が記載されていれば、取引明細票・取引履歴照会票・払込金受取書・インターネットバンキング等の取引状況に関する画面をプリントしたものでも問題ありません。
会社設立方法について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
関連記事:「会社設立の流れとは?基礎知識や必要な手続き、費用について解説」
少ない資本金で株式会社を設立する際の注意点
少額の資本金で株式会社を設立する際は、以下の2点も踏まえて金額を決定しましょう。
- 借入金は資本金にできない
- 増資には税金がかかる
借入金は資本金にできない
十分な自己資金を用意できない場合でも、原則として借入金を資本金として計上することはできません。
資本金は、返済が不要な自己資本であるのに対し、借入金は金融機関や家族、友人等から借り入れた返済義務のある資金であるためです。
また、借入金を資本金であるかのように見せかける行為(見せ金)は、債権者を欺く違法行為にあたり、刑事罰の対象となる可能性があるため、絶対に行ってはいけません。
増資には税金がかかる
少額の資本金で会社を設立し、事業の成長や資金状況に応じて後から増資することも可能です。ただし、増資を行うには株主総会の開催や登記申請等、会社法に基づく法的な手続きが必要となるほか、増資額に応じた登録免許税がかかります。
登録免許税額 = 増資額 × 0.7%(3万円に満たない場合は1件につき3万円)
そのため、少額で設立する場合も、将来的な増資のコストを把握することが重要です。
一方、増資を行えば、事業拡大の資金を確保できるだけでなく、信用度向上や財務の安定化等のメリットもあります。
株式会社設立後は早めに法人口座の開設を
資本金や登記申請の準備と並行して、法人口座の開設準備も進めましょう。法人口座は法律で義務付けられているわけではありませんが、健全な資金管理や円滑な事業運営で重要な役割を果たします。
個人の口座で管理すると、法人・個人の資金を明確に区分できず、会計処理に時間がかかったり、税務リスクが高まったりする原因となるほか、資本金の払い込みに利用した個人口座での事業取引は、金融機関の利用規約に反する可能性があります。
企業によっては、法人口座での取引を求めるケースもあるため、法人設立後は速やかに法人口座を開設することが望ましいでしょう。なお、資本金は法人設立前に個人名義の口座に振り込むため、法人口座が開設できたら個人口座から法人口座に移動させる必要があります。
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まとめ
法律上は、資本金1円でも株式会社の設立が可能です。少ない資本金で設立すれば、初期費用や事業開始時の金銭的な負担を抑えて設立できるほか、準備期間を短縮できる等のメリットがあります。
一方で、資本金は事業の元手となる資金であり、信用度を示す指標でもあるため、低く設定すれば良いとは限りません。メリットや資本金が少ないことによるリスクを見極めたうえで、事業内容や今後の資金計画に応じて資本金の額を検討することが重要です。
また、法人設立後、円滑に事業を立ち上げ、健全な資金管理を行うために、設立準備と並行して法人口座の開設準備も進めておきましょう。
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監修者
安田 亮
- 公認会計士
- 税理士
- 1級FP技能士
1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。