法人口座を開設するときに必要な印鑑(法人銀行印)とは?使用シーンや実印との違いを解説
掲載日:2025年8月25日法人口座

銀行で法人口座を開設する際には、法人銀行印を登録する必要があります。個人が口座を開設するときと同様に、名義人を証明するための印鑑が求められます。
銀行で登録した法人銀行印は、口座を開設するときだけでなく、融資を受ける際に使用することもあります。銀行で様々な手続きするときに必要となるため、事業経営にあたり重要な印鑑といえるでしょう。
本記事では、法人銀行印とその他の印鑑との違い、具体的に使用するシーン等を解説します。
目次
法人口座を開設するときに必要なのは「法人銀行印」
法人銀行印(法人として登録する銀行印)とは、法人口座を開設するときやお金の引き出し等、銀行で取引するときに必要な印鑑です。銀行取引に使用する正式な印鑑として、銀行に届け出なければなりません。
なお、法人口座を開設するときには、印鑑証明書の提出が求められるケースが一般的です。法人銀行印は、口座開設時に事業実態があるかを審査するときに、重要な役割を果たします。
関連記事:「法人の印鑑証明書を取得するには?印鑑登録の方法から詳しく解説」
法人銀行印と他の印鑑との違い
法人を設立した後は、法人銀行印だけでなく「実印(代表者印)」「角印(社印)」等の印鑑も作成します。
それぞれ使用する場面の違いを確認しておきましょう。
実印(代表者印)
法人の実印(代表者印)は、会社としての正式な意思決定を証明する最も重要な印鑑です。実印を押印することにより、文書や契約が会社として正式に承認したものとみなされ、法的効力を持ちます。
具体的に、実印(代表者印)を使用する主なシーンは以下の通りです。
- 法人登記の手続き
- 登記情報の変更手続き
- 不動産の売買契約
- 重要な取引の契約
- 公的機関への許認可申請
登記に関連する手続きや、不動産の売買・賃貸契約など、重要な取引・契約の場面で用います。
角印(会社認印)
角印(会社認印)は、日常業務の認印としての役割を果たしています。法人実印ほど重要性は高くないものの、以下のように様々な書類へ押印し、会社の意思表示を示す際に広く使われます。
- 請求書
- 見積書
- 納品書
- 領収書
- 注文書
- 発注書
- 社内文書
- 稟議書
- 一般的な文書や証明書類
角印は、実印のような正式な登録は必要ありません。社内規定に基づいて作成・使用され、必要に応じて同じ内容の角印を複数作成も可能です。
住所印
住所印とは、会社名・住所・電話番号等の基本情報を押印する際に用いる印鑑です。住所印があることにより、以下のような書類に会社名・住所・電話番号等を手書きすることなく、素早く記載できます。
- 封筒の差出人欄
- 書類の発行元表示
- 発送伝票
- 領収書・請求書・見積書等の会社情報欄
- 契約書の会社情報記載部分
- 各種申請書類の会社情報記載部分
住所印は会社としての意思表示ではなく、業務を簡素化する目的で用います。
口座開設時以外で法人銀行印を使用するシーン

法人銀行印は、口座開設時以外にも、銀行での取引における様々なシーンで使用します。
具体的に、どのような場面で使用するのか確認しましょう。
預金の引き出し・払い出し
法人口座の預金から支払いや払い出しをするとき等、法人口座から資金を移動する際に、法人銀行印を使用することがあります。
また、銀行窓口で振込依頼書や振込用紙、公共料金の口座振替依頼書等へ押印する場面もあります。不正な引き出しを防ぐために、法人銀行印は重要な役割を果たしています。
なお、昨今はインターネット上でお金の移動ができる「インターネットバンキングサービス」を提供している銀行が主流です。日常的な引き出しや振り込みについてインターネットバンキングサービスを使用すれば、法人銀行印を使用する場面はそこまで多くありません。
融資の契約時
ビジネスローンや不動産担保ローンなど、銀行へ融資の申し込みする際は、融資申込書へ法人銀行印を押印します。審査に通過した後に、融資契約を締結する際の書類や預金口座振替依頼書等にも、法人銀行印を押印するのが一般的です。
運転資金を用意するときや事業投資資金のお金を用意する際に、融資を受ける場面が想定されます。
なお、融資の申し込みで必要となる書類は、銀行ごとに異なります。手続きをスムーズに進めるためにも、法人銀行印以外にも必要な書類を確認すると良いでしょう。
法人銀行印と代表者印(実印)は使い分けるのが一般的
法人銀行印と会社の代表者印は別に作成して、使い分けるのが一般的です。
同じものを併用することもできますが、紛失または盗難に遭ってしまった場合、事業活動が停滞してしまうリスクがあります。
会社としての大切な意思表示ができなかったり、お金の移動や取引等ができなくなったりするため、法人銀行印と代表者印を併用するのはリスクが大きいといえるでしょう。
会社の代表者印は、会社にとって最も重要な印鑑です。盗難され、悪用されると甚大な損害を受ける事態にもなりかねません。リスクに備えるためにも、法人銀行印は銀行取引専用の印鑑として別途作成し、銀行に届け出ましょう。
法人銀行印を紛失したときの対処法
法人銀行印を紛失したときは、速やかに口座を開設している銀行へ連絡する必要があります。
万が一、紛失してしまったときに備えて、具体的な対処法を確認しておきましょう。
口座を開設している金融機関に連絡する
法人銀行印の紛失に気づいたら、すぐに口座を開設している銀行に連絡しましょう。営業時間外でも、24時間365日体制の電話窓口が用意されているため、法人銀行印を紛失してしまった旨を伝えます。
なお、変更手続きをしないまま新しい銀行印を使用すると、取引が拒否される可能性があります。不正利用を防止するためにも、紛失したときの手続きは速やかに行いましょう。
警察署へ遺失届出書を提出する
警察署へ遺失届出書の提出も、忘れずに行います。不正使用等のトラブル発生に備えるためにも、警察署から紛失届証明書をもらっておきましょう。
新しい法人銀行印を作成・届出する
銀行に対して、法人銀行印を紛失した旨の連絡をすると、今まで使っていた法人銀行印は使えなくなります。そのため、新しく法人銀行印を作成したうえで、届出印として再登録の手続きを行いましょう。
なお、新しい法人銀行印を届け出る手続きは、基本的に法人代表者が行う必要があります。
みずほ銀行で法人口座を開設するときの流れ
法人口座を開設するときは、24時間365日いつでも申し込みが可能なみずほ銀行のご利用をご検討ください。みずほ銀行では、以下のように来店不要で法人口座を開設できます。
- 1.インターネットから申し込み
- 2.一次審査結果のご連絡と面談日程の調整
- 3.ウェブ面談(来店も可能)
- 4.申込書類の郵送
- 5.申込書類に必要事項を記入・押印して返送
- 6.通帳・キャッシュカード等が届く
面談はウェブで行えるため、店舗へ足を運ぶ時間と手間がかかりません。なお、法人口座開設にあたって必要な書類は以下の通りです。
- 登記事項証明書(履歴事項全部証明書等)
- 代表者・役員・ご面談者等のお名前・住所・生年月日等が確認できる書類
- 面談者の本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード等)
- 実質的支配者の確認ができる書類
通帳・キャッシュカードの初回発行手数料は無料で、原則として登記事項証明書・印鑑証明書の原本提出は不要です。
口座開設後も、インターネットバンキングサービスの「みずほビジネスWEB」や、取引明細等の各種帳票を電子帳票にできる「みずほWEB帳票サービス」等をご利用いただけます。
まとめ
銀行で法人口座を開設するときや融資の手続きに、法人銀行印が必要です。会社のお金を動かすときに必要となる大切な印鑑であるため、大切に保管しましょう。
なお、法人口座の開設を検討している方は、来店不要で口座を開設できるみずほ銀行がおすすめです。
手間をかけずに口座を開設できるだけでなく、創業間もない企業の経営支援や、豊富な取引実績やネットワークをいかしたコンサルティングやビジネスマッチングサービス等を提供しています。
実際に、法人口座を開設したお客さまからは「口座開設直後の連携の速さ」を評価いただきました。法人営業オフィス(中小企業のお客さまに伴走するリモート営業組織)をはじめ、様々な面から経営者の方をサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。
監修者

安田 亮(やすだ りょう)
- 公認会計士
- 税理士
- 1級FP技能士
1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。
連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。