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【例文あり】定款の事業目的はどう書く?満たすべき必須要件と書き方のコツ

掲載日:2024年12月18日起業準備

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定款は会社設立時に作成する、会社のルールブックのようなものです。定款には会社法で定められた基本情報を記載する必要があります。事業目的は、定款に必ず記載しなければならない事項の一つです。

本稿では定款の事業目的について、概要や必須要件、書き方のコツなどを解説します。業種別の例文も紹介するので、定款を作成する際の参考にしてみてください。

定款に記載する事業目的とは?

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定款とは会社の基本情報やルールが記載された書類のことです。会社を設立する際は、定款を作成することが法律で義務付けられています。

事業目的は、定款の絶対的記載事項(会社法で必ず記載することが定められている内容)の一つです。そのため、事業目的が記載されていない定款は無効となります。

定款に記載する事業目的には、その会社がどのような事業を営んでいるのかを対外的に示す役割があります。金融機関から融資を受ける際や、取引先が自社との取引を検討する際などに判断材料となることもある重要な情報です。

定款とは?作り方・記載内容から認証の方法まで分かりやすく解説

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定款の事業目的が満たすべき3つの必須要件

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定款に記載する事業目的は、「適法性」「営利性」「明確性」の3つの要件を満たさなければなりません。それぞれどのような点を押さえておく必要があるのか、以下に詳しく解説します。

適法性

定款の事業目的は法律に則った内容であることが必要です。そのため、例えば違法薬物の販売や詐欺など公序良俗に反するものは事業目的にできません。また弁護士業や税理士業など法律上一定の資格が必要な事業についても、無資格の場合には違法になるため、事業目的として認められません。

営利性

株式会社や合同会社などは、利益を上げて株主などに配分することを目的とした「営利法人」です。そのため、ボランティア活動や慈善事業など「非営利」目的の活動をメインとする内容は記載できません。

明確性

定款は金融機関や取引先などから提出を求められる場合があるため、誰が見ても分かりやすい内容を記載する必要があります。その会社の人しか分からないような表現は避けるようにしましょう。

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定款の事業目的を適切に記載する3つのコツ

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定款の事業目的を記載する際は、次の3つのポイントを押さえておくと効果的です。事業目的の書き方が適切でないと、設立手続の際に修正が必要になったり、将来の事業展開に影響が出たりする場合もあるので、事前にチェックしておきましょう。

許認可の要件を確認しておく

業種によっては、事業を始めるために許認可が必要な場合があります。許認可とは、特定の事業を営む場合に、行政機関から許可を得る手続きのことです。

許認可を受けるためには、受けようとする許認可の種類に合った事業目的を定款に記載することが重要です。事業目的の書き方が適切でないと、許認可が下りないことがあります。

下表は、許認可が必要な業種の例と申請先をまとめたものです。許認可が必要なすべての業種をカバーしているわけではありませんが、参考にしてみてください。

業種 必要な許認可 申請窓口

飲食業

食品営業許可

保健所

酒類の販売業

酒類販売業免許

税務署

建設業

建設業許可

都道府県庁

不動産業

宅地建物取引業免許

都道府県庁

貸金業

貸金業登録

財務局または都道府県庁

リサイクルショップ業

古物商許可

警察署

スナック、キャバレー

風俗営業許可

警察署

旅行代理業

旅行業登録

都道府県庁

運送業

  • 一般貨物自動車運送事業許可(トラックでの運送)
  • 貨物軽自動車運送事業経営届出(軽トラックでの運送)

陸運支局

許認可が必要な業種で事業を始めようとしている方は、定款の事業目的の書き方を含めて、許認可の要件や手続きの流れを確認し、スムーズに申請できるようにしましょう。

将来の計画も踏まえて作成する

将来的に行う予定の事業があれば、会社設立の時点で行っていなくても、定款の事業目的に記載できます。後から定款の事業目的を追加することも可能ですが、定款の変更には手間や費用がかかります。そのため、作成時に事業目的を広めに記載するのが一般的です。

ただし実現の可能性が低く、計画や見通しが全く立っていない事業を複数記載するなど、実態に即さない書き方にはならないように注意しましょう。記載方法の注意点について詳しくは本稿の「定款に記載する事業目的についての注意点」をご参照ください。

同業他社の定款をチェックしてみる

同業他社の定款を見て、どのように記載しているか書き方を参考にするのも一案です。既に作成されている定款を見ることで、記載内容の抜け漏れを防止できます。

定款そのものは株主と債権者(金融機関など)しか請求できませんが、定款に記載した事業目的は登記事項証明書にも記載されるので、費用を払って請求すれば誰でも閲覧できます。登記事項証明書は法務局の窓口や郵送、オンラインでの請求が可能です。

また、会社によってはウェブサイトに定款を掲載しているところもあります。東京証券取引所(以下、東証)に上場している企業であれば、東証のウェブサイトでも定款の閲覧が可能です。

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【業種別】定款に記載する事業目的の例文一覧

ここからは、定款に記載する事業目的の記載例を紹介します。代表的な業種の事業目的の例を下表にまとめているので、設立する会社の事業に該当するものがあれば参考にしてみてください。

業種 事業目的

飲食サービス業

  • 飲食店・レストラン・喫茶店の経営
  • 弁当・総菜等の調理食品製造・宅配業

宿泊業

  • ホテル業
  • 宿泊施設・ゲストハウスの経営

美容業

  • 美容室の経営
  • 美容サロンの運営およびフランチャイズ事業

情報サービス業

  • コンピュータハードウェア・ソフトウェアの開発・製造、販売および賃貸
  • IT(情報技術)を用いたアウトソーシングサービスその他の各種サービス

不動産業

  • 不動産の売買および仲介
  • 不動産の賃貸および管理

建設業

  • 建築工事業
  • リフォーム、修繕および増改築工事業

小売業

  • 飲料および食料品等の開発、製造、販売
  • 〇〇の小売業

コンサルティング業

  • 企業経営および経営戦略に関するコンサルティング
  • 〇〇に関するコンサルティング業務

広告業

  • 広告(新聞、雑誌、ラジオ、テレビその他の広告)
  • 広告の企画および制作、広告代理業務

教育、学習支援業

  • 学習塾の経営
  • 英会話等のスクール運営業務

運輸業

  • 貨物自動車運送事業
  • 貨物利用運送事業

このように、事業目的の書き方は誰が見ても一目で分かるよう、簡潔に記載されるのが一般的です。上表に記載している内容はあくまで一例で、書き方は会社によって異なります。

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定款に記載する事業目的についての注意点

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定款の事業目的の書き方は金融機関や取引先の印象に影響を与える場合があるので、定款の必須要件を満たすだけではなく、より効果的な書き方になるよう工夫することが大切です。今後のビジネスに不利な内容にならないよう、以下の点に注意して記載しましょう。

事業目的の数は多くしすぎない

定款の事業目的の数や文字数に制限はありませんが、あまり多くしすぎないように注意しましょう。事業目的の数は少なければ良いわけではないものの、具体化していない事業をたくさん書いてしまうと、メインの事業が見えにくくなったり、「事業実態がない」と判断されたりするリスクが高くなります。

「将来の計画」を踏まえて事業目的を広くすることも大切ですが、具体化してない事業を不必要に記載しないよう注意しましょう。

事業目的の内容は狭くしすぎない

事業の範囲が狭くなりすぎないように、事業目的の表現を工夫することも大切です。例えば、事業目的の最後に「前各号に附帯または関連する一切の事業」というような一文を追加して、事業の範囲に幅を持たせている企業は多くあります。

他社の事業目的の書き方を閲覧して、上手な言い回しをしている企業を参考にすると良いでしょう。

分かりやすく記載する

定款の事業目的は分かりやすく記載する必要があります。定款は対外的に公開する機会が多い資料です。そのため事業内容が分かりづらいと、会社の印象が悪くなる可能性があります。

特に一つ目に記載する事業目的は、メイン事業を簡潔に書いて、何を営んでいる会社なのか誰が見てもすぐにイメージできるようにしましょう。

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定款に記載する事業目的についてよくある疑問

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ここでは定款の事業目的の基本をさらに詳しく把握するために、よくある疑問を紹介します。定款の事業目的を記載するにあたって、同じような疑問をお持ちの方はぜひご参照ください。

事業目的の削除・変更・追加はできる?

定款の事業目的は後から変更(削除・追加など)ができます。ただし自由に変更できるわけではなく、一定の手続きが必要です。定款の事業目的を変更するためには、まず株主総会の「特別決議」を行う必要があります。

そのうえで、法務局で「変更登記」という手続きが必要です。変更登記を行う際は、通常3万円の登録免許税を納める必要があります。登記の手続きについて詳しくは、以下のページをご参照ください。

会社登記の手続きの流れとは?必要書類・申請方法を10分で徹底解説!

合同会社なら自分で定款の事業目的を変更できる?

合同会社であっても、定款の事業目的を変更する際は法務局で変更手続が必要です。合同会社の場合、株式会社と違って定款の認証(定款の正当性を公証人が証明すること)が不要なので、変更登記をせず自由に変えられるのではないかと思うかもしれませんが、そうではありません。

なお定款の事業目的を変更する際は、原則総社員の同意が必要です。同意が得られたら、事業目的を変更する旨の同意書を添えて、法務局で申請手続を行いましょう。

事業目的にない事業を行うとどうなる?

定款の事業目的に記載していない事業を行っても、法律上の罰則はありません。ただし実態に即さない事業目的を定款に記載することは避けるべきです。

定款は、金融機関や取引先がその会社の健全性や信頼性を判断するために重要な資料です。そのため、実際に営んでいる事業と定款の事業目的が合っていないと、融資を受ける際に不利に働いたり、取引先からの信用に影響したりするデメリットがあるので注意する必要があります。

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まとめ

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定款に記載する事業目的は、会社法で定められている「絶対的記載事項」の一つであり、必ず記載しなければならないものです。定款に記載された事業目的は、その会社の事業内容を示すための大切な情報なので、分かりやすく記載することが大切です。

定款の事業目的は後から変更することもできますが、手続きの手間や費用がかかるため、設立時に過不足なく記載しておきましょう。

会社設立の手続きが完了したら、法人口座を開設しておくと便利です。会社名義の口座があれば事業資金を効率よく管理でき、取引先からの信頼も得やすくなります。

みずほ銀行の法人口座の開設は非対面で完結できるので、来店する時間が取れない方にもおすすめです。法人名義の口座開設をお考えの方は、みずほ銀行での法人口座開設を検討してみてはいかがでしょうか。

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(記事提供元:株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ)

  • *本稿に含まれる情報の正確性、確実性あるいは完結性をみずほ銀行が表明するものではありません。
    また、個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。
    最新の情報をご確認のうえ、ご自身でご判断いただくようお願いいたします。

執筆者

鈴木 靖子

鈴木 靖子

金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。執筆・監修・相談業務を中心に活動中。銀行の財務企画や金融機関向けサービスに10年以上従事した経験あり。
保有資格:AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/2級DCプランナー(企業年金総合プランナー)

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