起業できるのは何歳から?年代別のメリットや成功するための3つのポイント
掲載日:2024年12月18日起業準備

「いつかは起業したい」と考える方の中には、何歳ごろに起業するのが最適なのか迷っている方もいるのではないでしょうか。また「いざ起業する」となったとき、何から準備を始めたら良いのか分からないというケースもあるかもしれません。
本稿では、起業を検討している方のために、何歳から起業できるのか、起業における年代別のメリットや気を付けたい点を紹介します。資金調達や事業計画の立て方についても解説しているので、ぜひご参照ください。
何歳から起業できる?

「株式会社」などの法人ではない個人事業主であれば、起業できる年齢の制限はありません。18歳以下の未成年でも開業届を提出して事業を行うことができます。
また、法人を立ち上げたい場合でも会社法では法人設立の年齢制限はありません。しかし手続きの際に必要な書類の中に「印鑑証明書」があり、印鑑登録ができる年齢は15歳以上です。そのため実質は15歳未満の方は法人設立ができません。
なお15歳未満でも「親子起業」なら法人としての起業ができます。詳しくは本稿内の「10代で起業する場合のポイント・注意点」をご参照ください。
起業する年齢は何歳が多い?
日本政策金融公庫総合研究所の「2023年度新規開業実態調査」によると、開業時の年齢の傾向は以下の通りです。
開業時の年齢層 | 割合 |
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29歳以下 |
5.8% |
30代 |
30.1% |
40代 |
37.8% |
50代 |
20.2% |
60歳以上 |
6.1% |
出典:日本政策金融公庫総合研究所「2023年度新規開業実態調査」をもとに作成
上記の表を見ると、30代・40代で開業する方が最も多いことが分かります。また同調査によると、2023年度の起業時の平均年齢は43.7歳です。2013年度の平均年齢は41.7歳で、上昇傾向にありますが40代での起業が多いことに変わりはありません。
30代・40代は社会人としてある程度の経験を積んでいる方が多く、経験をいかした起業がしやすい年代だといえるでしょう。
また29歳以下で起業する方は5.8%、60代での起業は6.1%と、少数ながら存在しています。アイデアや準備、そして戦略があれば年代を問わず誰でも起業ができることが分かるでしょう。
【年代別】起業する際に意識したいポイントやメリット・注意点

起業にあたって意識すべき点は年代ごとに異なります。起業を成功させるために意識したい年代別のポイントを確認しておきましょう。また年代ごとに、その年代で起業するメリットや注意点(デメリット)も紹介します。
10代で起業する場合のポイント・注意点
10代で起業する方法は限られますが、不可能ではありません。以下2つの方法があります。
- 親子起業
- 個人事業主としての起業
「親子起業」とは、親権者が法人の代表者として登録して、子どもは法人の従事者となる起業方法です。この方法なら、15歳以下でも法人としての起業に参加できます。
「個人事業主としての起業」なら、印鑑証明は不要なので、何歳からでも起業することが可能です。ただし未成年の場合は親権者の同意を得る必要があります。
10代で起業するメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
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10代で起業する最大のメリットは、メディアに注目されやすく、宣伝に大きな費用をかけなくても知名度を上げやすいことです。また、まだ若いため失敗してもやり直しや路線変更がしやすい点もメリットといえます。
一方、事業が忙しくなると学業との両立が難しくなるため注意しましょう。また、開業届や賃貸契約など、各種手続で親の同意を得る必要がある点は、他の年代にはないデメリットです。
20代で起業する場合のポイント・注意点
20代で起業する方も多くいます。「大学の在学中に起業する」「社会人として数年会社勤めをしてから、その経験・人脈などをいかして起業する」など、タイミングも様々です。
20代で起業するメリット・デメリットを確認しましょう。
メリット | デメリット |
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20代は受験勉強などがある中学生・高校生と比較すると事業に充てる時間を確保しやすいことがメリットです。また10代と同様に、起業に失敗した場合でも「他の事業で再起する」「事業を畳んで就職する」など、やり直し・路線変更がしやすい年代でもあります。
ただし20代は社会人経験が浅く、人脈などが少ないことがデメリットです。人脈は、クライアントを紹介してもらえる経路になるなど、起業を成功させるために重要な要素といえます。人脈が少ない20代は、ビジネスを軌道に乗せるまでに時間がかかることもあるでしょう。
またキャリアが浅いことから貯蓄など自己資金が少ない場合も多いため、資金計画を十分に練っておくことが大切です。
30代で起業する場合のポイント・注意点
30代は、それまで勤めた会社を辞めて起業するパターンと、会社勤めを続けながら副業として起業・会社経営をしていくパターンの2つが考えられます。
いずれにしても、起業が軌道に乗らないうちに会社を辞めるのはリスクがあります。まずは副業としてスタートし、軌道に乗ってから退職・独立を考えるのが基本です。少なくとも独立後に仕事をもらえる経路を確保してから退職しましょう。
30代で起業するメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
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30代は社会人としての経験やスキルが身に付いている年代です。職場の同僚や取引先など、多くの人脈を持っている方も珍しくありません。また計画的に貯蓄してきた方なら、起業のための資金も確保できているでしょう。
ただし30代は結婚・出産・子育てなどのライフイベントが重なりやすい年代です。そのため起業に時間や資金を割くことが難しくなることがあります。マイホームを建てるタイミングと重なると、住宅ローンの審査に影響し、審査に通りにくくなる可能性もあることに注意が必要です。
40代で起業する場合のポイント・注意点
40代は起業する方が最も多い年代です。30代と同様、会社を辞めて起業する場合には、タイミングに注意しましょう。
40代で起業するメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
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社会人の経験が豊富な点が40代での起業の大きなメリットです。起業に役立つ人脈を築き上げている方も多いでしょう。これまで資金を貯めていたなら、20代・30代よりも自己資金の準備もしやすいはずです。
デメリットとしては、失敗した場合に20~30代と比べて人生設計の軌道修正ができる残りの期間が短くなっている点があります。起業のやり直しや再就職などの可能性も20~30代よりは低くなるでしょう。
40代からは健康面の心配も出てきます。例えば厚生労働省が2022年に行った「更年期症状・障害に関する意識調査」によると、男女ともに更年期と診断された人や更年期を疑ったことがある人の割合が、40代以降で大幅に増加しています。若いときよりも体調管理に気を付けながら起業する必要性が高い年代だといえるでしょう。
50代で起業する場合のポイント・注意点
50代で起業する方も一定数存在します。これまで勤めた会社を早期退職し、セカンドライフとして起業する方もいるでしょう。
50代で起業するメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
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30代・40代と同様、50代は社会人としての経験や人脈をいかした起業がしやすい年代です。また、勤めている企業によっては早期退職制度を利用して起業するという選択肢もあります。早期退職をすると退職金が上乗せされることも多く、資金を確保する方法の一つとしても早期退職を検討できるでしょう。
ただし起業に失敗した場合、50代は再起業や再就職が難しい年代です。また老後に必要な資金を起業に使い込んでしまった場合、老後までの年数が少ないため、貯蓄してカバーするなどの対処が難しくなります。事業資金と生活資金・老後資金は分けて考えることが大切です。
60代で起業する場合のポイント・注意点
他の年代より少ないながら、60代で起業する方もいます。定年退職後にも働き続けたい方や、やりがいのある活動に取り組みたい方にとって、起業は有効な手段の一つです。
60代で起業するメリット・デメリットを確認しておきましょう。
メリット | デメリット |
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定年退職した後なら、事業に充てる時間を十分に確保できます。また、日本政策金融公庫の「女性、若者/シニア起業家支援資金」など、シニア向けの支援制度を使える点もメリットです。
ただし60代での起業は、健康面に十分に配慮して進めましょう。また失敗した場合に再就職などで挽回するという道は基本的にないと考えられる年齢でもあります。失敗したら年金生活ができるように資金を残しておくなど、リスクを抑えて起業することを意識するのも大切です。
年代に関係なく起業に成功するために意識したい3つのポイント

ここまで、年代別起業のメリット・デメリットを紹介しましたが、年代に関係なく起業に成功するために大切な共通ポイントも確認しておきましょう。3つのポイントそれぞれについて詳しく解説した別記事もあるので、ぜひご参照ください。
入念な事業計画を立てる
起業を成功させるためには事業計画を入念に立てることが大切です。アイデアがあるからといって、思い付きで起業するだけでは失敗するリスクが高くなります。
計画した内容を「事業計画書」として整理しましょう。事業計画書とは、事業内容、今後の戦略、資金計画、収益見込みなどを説明したものです。金融機関などからの資金調達の際は、事業計画書を使って説明することがあります。
事業計画書は会社経営の指針となる大切な資料なので、資金調達の予定がない場合でも作成することをおすすめします。
事業計画書について詳しくは、以下のページをご参照ください。
事業計画書とは?主な記載項目と書き方のポイントを分かりやすく解説!
資金調達の手段について知っておく
起業するにあたり、どのようにして事業資金を準備するかも検討する必要があります。主な資金調達の方法は以下の4種類です。
- 自己資金を投入する
- 融資を受ける
- 出資を受ける
- 助成金・補助金を活用する
4つの方法それぞれにメリット・デメリットがあり、活用しやすいケースと不向きなケースがあります。起業する際はもちろん、すぐには活用しない方も、資金繰りで困ったときなどのために、どのような方法があるかだけでも知っておくことが重要です。
資金調達方法について詳しくは、以下のページをご参照ください。
資金調達とは?主な3つの方法とそれぞれの特徴を分かりやすく解説!
会社設立・開業の手続きの流れを把握しておく
スムーズに起業するためには、手続き全体の流れを把握しておくことも重要です。
起業方法は「個人事業主」「法人設立」の2通りがあり、それぞれ必要な手続きの種類が異なります。また飲食店・古物商など、業種によっては都道府県の許認可が必要な場合もあります。
早期退職やシニア向けの助成金・補助金など、年齢ごとに関係する手続きについても確認しておきましょう。
手続きの全体像を理解しておくことで、決めるべきことや準備すべきことが明確になり、会社設立を滞りなく進めやすくなります。
会社設立の流れについては以下のページをご参照ください。
まとめ

起業できる年齢には、基本的に制限はありません。ただし、法人設立については、印鑑証明が作成できる15歳以上に限られます。15歳未満の方が起業をする際は親を代表者とする親子起業や、個人事業主としての起業を検討しましょう。
起業する際には、年代ごとのメリット・デメリットを意識して進めていくことが大切です。本稿を参考にしながら、起業の最適なタイミングを考えてみてはいかがでしょうか。
なお、法人として取引先と金銭のやりとりをする場合は「法人口座」を開設しておくと便利です。みずほ銀行は、非対面で法人口座の開設ができ、原則来店不要で手続きを完結できます。起業にあたって法人口座の開設を予定している方は、みずほ銀行での開設をご検討ください。
(記事提供元:株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ)
- *本稿に含まれる情報の正確性、確実性あるいは完結性をみずほ銀行が表明するものではありません。
また、個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。
最新の情報をご確認のうえ、ご自身でご判断いただくようお願いいたします。
執筆者

田尻 宏子
生命保険・損害保険・株式投資・ローン・相続など金融分野の専門ライターとして活動するファイナンシャル・プランナー。証券会社・生命保険会社・銀行など複数の金融機関での勤務経験あり。
保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員一種資格