キャッシュ・フローがマイナスになる要因は?財務への影響や資金繰りの改善方法を解説
掲載日:2026年4月15日起業準備
事業運営では、会計上は利益を伸ばしているのに資金繰りに苦しむケースがあります。このようなケースを回避するには、キャッシュ・フローがプラスかマイナスかを把握し、財務状況を正確に理解することが大切です。
しかし、マイナスのキャッシュ・フローとはどのような状態か、黒字経営でも資金がショートする理由について疑問を抱く方も少なくありません。
本記事では、キャッシュ・フローの意味、マイナスになる要因、事業の財務状況の改善のポイント等を分かりやすく解説します。
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目次
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キャッシュ・フローとは
そもそもキャッシュ・フロー(CF)とは、事業における一定期間内の現金の流れ、すなわち現金収支のことを指します。現金が入ってくる「キャッシュ・イン・フロー」と、現金が出ていく「キャッシュ・アウト・フロー」で構成されます。
企業会計では、キャッシュ・フローではなく、売掛金や買掛金、手形、借入金の返済等、取引が発生した時点で会計処理を行う方法が一般的です。この管理方法の場合、売掛金を回収する前でも、決算書に記載される売上高等は手元にある現金とは一致しません。つまり、事業の売上や利益には、実際の現金の流れが含まれないケースが存在するのです。
キャッシュ・フローは事業運営で実際に起こっているお金の流れを読み解く概念であり、事業の財務状況をより正しく理解するのに役立ちます。
上場企業では、キャッシュ・フローを記載した「キャッシュ・フロー計算書(C/F)」の作成と開示が義務づけられています。中小企業においても財務管理の適正化や強化につながると考えられています。
関連記事:「キャッシュフロー計算書とは?記載する項目と作り方の基本手順」
キャッシュ・フローは3種に分かれる
現金の入手先と使い道を明らかにするキャッシュ・フロー(CF)は次の3つに分類され、それぞれ異なる活動における現金の増減を把握するために利用されます。
| 営業キャッシュ・フロー (営業CF) |
営業活動を通じてどれだけ現金を得たのかを示すCFで、事業の収益性を現金ベースで表す指標。 |
|---|---|
| 投資キャッシュ・フロー (投資CF) |
事業の維持や成長のための設備や有価証券等への投資を示すCFで、投資額が増えるほど投資CFは減少する。営業CFの増加範囲内に収まる金額であることが重要。 |
| 財務キャッシュ・フロー (財務CF) |
企業の資金調達(借り入れや増資)、借入金の返済、配当金の支払いといった資金繰りに関わる現金の流れを示すCFで、どのような手段で何に使われているかを判断する指標。 |
| 営業キャッシュ・フロー(営業CF) |
|---|
|
営業活動を通じてどれだけ現金を得たのかを示すCFで、事業の収益性を現金ベースで表す指標。 |
| 投資キャッシュ・フロー(投資CF) |
|
事業の維持や成長のための設備や有価証券等への投資を示すCFで、投資額が増えるほど投資CFは減少する。営業CFの増加範囲内に収まる金額であることが重要。 |
| 財務キャッシュ・フロー(財務CF) |
|
企業の資金調達(借り入れや増資)、借入金の返済、配当金の支払いといった資金繰りに関わる現金の流れを示すCFで、どのような手段で何に使われているかを判断する指標。 |
また、事業で稼いだ現金(営業CF)から事業への投資額(投資CF)を差し引いた残額を「フリーキャッシュ・フロー(フリーCF)」と呼びます。フリーCFは企業が自由に使える現金であり、余裕があるほど財務状況は安定しているとされます。
マイナスのキャッシュ・フローの分析と要因
キャッシュ・フロー(CF)は営業・投資・財務の3つに区分され、これらを管理することで、企業内での現金の流れをより明確に把握できます。
また、キャッシュ・フローの3つの区分を「+(プラス)」と「-(マイナス)」の符号で評価することで、事業の収益力や資金繰りの実態を多角的に捉えることができ、財務健全性の分析に役立ちます。
そこで、「+」と「-」の符号を使った分析に基づき、キャッシュ・フローがマイナスになる要因を解説します。
①営業キャッシュ・フローがマイナスのとき
| 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|
|
- |
+ |
+ |
投資CFと財務CFがプラスでも、営業CFがマイナスになっている場合、事業で現金を稼げず、資産の売却や借り入れ等に頼った資金繰りを行っていると分析されます。
こうしたキャッシュ・フローに陥る具体的な原因には、売上の減少、原材料費や人件費の高騰、売掛金の回収遅延等が考えられます。
このキャッシュ・フローは、本業で先の見通しが立たない「要注意型」と呼ばれ、本業における現金が継続的に減少している状況を指しています。
「要注意型」のキャッシュ・フローが長く続くと、従業員への給与や取引先への支払いが滞り、倒産のリスクが生じる可能性があります。
②投資キャッシュ・フローがマイナスのとき
| 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|
|
+ |
- |
+ |
営業CFと財務CFがプラスで投資CFがマイナスのときは、事業で順調に現金が入っており、資金調達力にもゆとりがあるため、積極的な設備投資等を実施できる状況を示しています。
キャッシュ・フローが安定していることから、事業の更なる成長に適したタイミングであると考えられます。そのため、このキャッシュ・フローは「成長型」のパターンに該当します。
ただし、営業CFの「+」を超えた過剰な投資等を行うと、期待通りに現金が入らなくなったときに借入金の返済が厳しくなるでしょう。
③財務キャッシュ・フローがマイナスのとき
| 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|
|
+ |
+ |
- |
財務CFがマイナスで、営業CFと投資CFがプラスになっている場合、借入金の返済や株主への還元等のために現金が使われている状態だと考えられます。
このキャッシュ・フローからは、高い収益力を持ち、成長のための積極的な投資を終えた経営フェーズであることが読み取れます。潤沢な資金力を示しており、事業の整理や縮小を図るタイミングであるとみなされることが多いため、「ダウンサイジング型」のキャッシュ・フローに分類されます。
ただし、投資CFのプラスが資産売却に依存していたり、ほぼ「0(ゼロ)」の状態であったりする場合は、投資が不十分であり、ダウンサイジングを検討するには時期尚早である可能性もあります。
理想的なキャッシュ・フローの状態とは
次に、理想的なキャッシュ・フローの状態とされるパターンを確認します。
理想的なキャッシュ・フローは、営業CF・投資CF・財務CFが以下の符号を示すケースに該当します。
| 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|
|
+ |
- |
- |
上記のキャッシュ・フローは、営業活動で得た現金収入に余裕がある一方、投資や借入金等への支出が賄われている状況を示しています。借り入れに頼ることなく、事業で稼いだ現金で継続的な投資や借入金の返済等が行われており、理想的な資金の循環が期待される「成熟型」のキャッシュ・フローです。
成熟型のキャッシュ・フローは、事業の成長をめざすと同時に負債を減らす余裕があるため、借入先からの信用力向上も期待されます。
前述の「財務CFがマイナスのとき」も良好なキャッシュ・フローを示していると言えますが、投資CFがマイナスのこちらのパターンの方が、営業CFの範囲内で適度な設備投資等が実施されており、理想的だと考えられます。
ただし、投資CFのマイナス幅が小さすぎると事業の成長機会を逃す恐れがあり、また手元の現金を有効に使えず貯めすぎて資本効率が悪化する可能性もあります。
マイナスのキャッシュ・フローがもたらす影響
キャッシュ・フロー(CF)のマイナス、特に営業キャッシュ・フロー(営業CF)のマイナスは事業の根幹である営業活動で現金収入が得られない状態を意味しており、事業の財務体質に次のような悪影響を及ぼす恐れがあります。
- 信用リスクの高まり
- 成長機会の損失
- 黒字倒産
ここでは、営業CFのマイナスが財務にもたらす影響を分かりやすく紹介します。
信用リスクの高まり
営業CFのマイナスは、事業で現金を稼げない状況を表します。収入の見通しが立たなくなると、資金繰りが悪化し、事業運営を金融機関等からの借り入れに頼らざるを得なくなります。
しかし、営業CFが改善しないまま借り入れに頼って事業を運営すると、借入金の返済に充てる原資を準備するのが難しくなります。やがて利息の負担が増してキャッシュ・フローの悪循環に陥ると、返済が滞るようになることが予想されます。
営業CFがマイナスだと、現金を貸し出す金融機関等から信用リスクを懸念されるようになり、新たな借り入れは厳しくなります。そのうえ、借入金の返済が滞り、事業者としての信用力が低下すれば、事業運営はさらに困難となるでしょう。
成長機会の損失
キャッシュ・フロー、特に営業CFのマイナスが続くと、手元に現金を確保することが優先されるようになります。そのため、将来の成長につながる投資に十分な資金を投入することが難しくなります。投資キャッシュ・フロー(投資CF)で表すと、マイナス幅が縮小あるいはプラスへ転じる状態です。
新たな投資ができず、老朽化した設備を使い続けたり研究開発に着手できなかったりする状態が続くと、事業の成長機会が失われます。ひいては、市場での競争力が低下し、営業CFにも更なる悪影響を招く恐れがあります。
設備投資が不十分になると、営業CFをプラスに転じさせるチャンスが失われます。そうなると、借り入れや資産売却等で資金のショートを回避したとしても、キャッシュ・フローの根本的な解決とはならないでしょう。
黒字倒産
売掛金や買掛金等の掛取引では入金にタイムラグが生じるため、会計上は利益が出ていても実際には現金収入が発生していない状況が起こります。そのため、売上が計上されているものの実際には現金が入ってきていない状態で経営を続けていると、手元の現金が減り続け、仕入代金や人件費、借入金の返済等の資金が不足する恐れがあります。
マイナスのキャッシュ・フローが続くと、こうした「黒字倒産」が発生する可能性があります。具体的には、取引先から売掛金を予定通りに回収できずに債務超過に陥る等のケースが考えられます。
黒字倒産とは逆に、会計上は赤字であっても良好なキャッシュ・フローを維持していれば、仕入代金の支払いや借入金の返済等に困ることはなく、倒産を回避できる場合もあります。
キャッシュ・フローをマイナスからプラスへ改善する財務戦略
黒字倒産を招きかねないキャッシュ・フローの状態を回避し、マイナスからプラスへ改善するためには、迅速な財務戦略の実行が重要です。
- 売掛金の回収を進める
- 過剰な在庫を見直す
- 経費を削減する
- 支出のタイミングを遅らせる
- 事業の収益を上げる
- 資金調達力を高める
以下に、キャッシュ・フローの改善につながる具体的な財務戦略をそれぞれ詳しく解説します。
売掛金の回収を進める
キャッシュ・フローのマイナスが続く状態で現金を増やすには、売掛金を早期に回収して現金化することが重要です。売掛金は会計上の売上として計上されていても、代金が回収されるまでは現金収入にはなりません。売上のペースを上回って売掛金を増やすと、キャッシュ・フローに悪影響を及ぼすため注意しましょう。
売掛金の回収にあたっては、取引先に対して丁寧に連絡や交渉を行うことが重要です。回収期限の連絡ミスに注意する、回収期限を早めるために割引を提案する等、状況に応じて確実な現金化に努めましょう。資金繰りがひっ迫していて取引先との交渉に時間をかけられない場合には、ファクタリングによる債権の買い取りを選択肢として検討することも有効です。
そもそも売掛金の回収遅延や回収不能はキャッシュ・フローをマイナスにする要因となります。売掛金の入金状況をこまめに確認して、未然に防ぐことが大切です。
関連記事:「起業1年目にやるべきことと赤字を防ぐ対策|利益率・資金繰りの実態を解説」
過剰な在庫を見直す
商品等の在庫を多めに確保しておくと、事業運営をスムーズに進められます。しかし、適正量を超えた過剰な在庫を抱えていると、仕入れても現金化の見通しが立たない「資産の放置」になる恐れがあります。
過剰在庫はキャッシュ・フローがマイナスになる原因の一つとされます。現状を確認の上、事業計画に基づいた適正な在庫量を把握しましょう。キャッシュ・フローを改善するためには、適正な在庫水準を維持し、不良在庫を持たないことが重要です。
財務状況によっては、適正在庫の把握とともに在庫の処分も検討しましょう。不良在庫の現金化を決断することも、キャッシュ・フロー改善の手段となります。
経費を削減する
マイナスのキャッシュ・フローは、手元にある現金だけでは事業運営にかかる支出を賄えない状況を意味します。
現金の不足を補うには、売掛金の回収等で現金を増やす以外にも、出ていく現金をできるだけ抑える方法もあります。キャッシュ・フローの改善を検討するなら、機器や設備は購入ではなくリースを利用する、人材を雇用せず外注する、借入先を一本化する等、経費削減への意識を高めましょう。
支出のタイミングを遅らせる
商品等の仕入代金を支出するタイミング(支払いサイト)をできるだけ伸ばすことも、キャッシュ・フローの改善に有効です。現金の支出を一時的に減らすだけではなく、手元に現金を長く留める有効な手段です。
ただし、買掛金や支出のタイミングの延長は、仕入先との信頼関係が不可欠です。起業間もない等、取引歴の短い事業者は交渉の方法に注意しましょう。
事業の収益を上げる
事業で利益を出せるように対策を講じ、キャッシュ・フローがマイナスになりにくい経営体質を構築することも有効です。
キャッシュ・フロー改善に向けた対策として、次のようなものが考えられます。
- 商品に対して適正な価格設定等を実施する
- 収益力の低い事業や製品・サービスから撤退する
- 商品の付加価値を高める
現金の入るキャッシュ・イン・フローと現金が出ていくキャッシュ・アウト・フローのタイミングがずれる可能性はあり、即効性があるとは限りません。しかし、長期的な視点で考えると、安定したキャッシュ・フローの実現に効果的だと言えるでしょう。
他に、売掛金を回収するまでの売掛金回転期間(回収サイト)や在庫を確保して放出するまでの在庫回転期間等に、キャッシュ・フローの鉄則とされる「回収は早く支払いは遅く」を実現できる目標を設定するのもおすすめです。
商品の仕入れにかかった運転資金が現金として戻るまでの期間「キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)」を短縮するほど、キャッシュ・フロー改善につながります。
資金調達力を高める
キャッシュ・フローがマイナスになって資金難に陥ったときに備えて、資金調達の手段を準備しておくと安心です。
事業者の資金調達方法は、公的機関による融資制度の利用や金融機関等からの借り入れ、クラウドファンディングの活用等、様々な手段があります。審査の有無や申込条件、資金を手にするまでの期間等、資金を集めるのに適した方法をリサーチしておきましょう。困ってからではなく、必要なときにすぐ選択できる力を持っておくことが重要です。
また、日頃から取引のある金融機関は、キャッシュ・フローに悩む事業者にとって信頼できる資金調達先となります。経営相談等を積極的に利用して、取引先金融機関と円滑な関係を築いておくと良いでしょう。借入時以外にも財務情報を提供しておくと、自社の信用力を高めるのに役立ちます。
関連記事:「クラウドファンディングのメリット・デメリットを徹底比較|種類別の特徴と事例も紹介」
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まとめ
キャッシュ・フローとは事業における一定期間内の現金の流れを示すものです。事業の財務状況を示す重要な指標の一つで、上場企業にはキャッシュ・フロー計算書(CF)の作成・開示義務もあります。
キャッシュ・フローを把握していれば手元資金を正確に把握できるため、会計上は利益が出ているにもかかわらず現金不足に陥る事態を未然に防ぐことができます。マイナスのキャッシュ・フローが続くと「黒字倒産」が起こり得るため、日頃からキャッシュ・フローを基盤とした財務管理を行うことが重要です。
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監修者
安田 亮
- 公認会計士
- 税理士
- 1級FP技能士
1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。