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クラウドファンディングのメリット・デメリットを徹底比較|種類別の特徴と事例も紹介

掲載日:2025年11月6日資金調達

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クラウドファンディングは、融資やベンチャーキャピタルからの出資に依存せず、資金を調達できる手段として注目されています。一方で、その方式は多岐にわたり、プロジェクトの目的に応じて適切な方式を選択することが重要です。

本記事では、クラウドファンディングに共通する利点および留意点を整理したうえで、「購入型」「寄付型」「融資型」「投資型」の4つの代表的な方式について比較を行います。事業内容や資金使途に応じて最適な方式を検討する際の参考となる情報を提供します。

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クラウドファンディングとは?

クラウドファンディングとは、「群衆(Crowd)」と「資金調達(Funding)」を組み合わせた造語で、インターネットを通じて、個人や企業、団体が自身のプロジェクトやアイデアを発信し、それに共感した不特定多数の人々から資金を募る仕組みを指します。

従来、資金調達は融資やベンチャーキャピタルからの出資が主流でした。しかし、クラウドファンディングの登場により、実績や信用情報だけでなく、アイデアや想いへの「共感」を軸に資金を集めることが可能になりました。

この仕組みは、資金調達の手段としてだけでなく、近年では様々な目的に応じて活用の幅が広がっています。プロジェクトの種類や目的に応じて複数の方式が用意されており、適切な形式を選ぶことで、成功確率を大きく高めることにつながります。

クラウドファンディングの具体的な始め方や実施手順については、以下の関連記事をご覧ください。

関連記事:クラウドファンディングのやり方とは?種類、始め方、注意点を徹底解説

クラウドファンディングのメリット・デメリット

クラウドファンディングは、比較的導入しやすい資金調達手段として広く活用されていますが、方式の選定や運用体制によっては一定の負担やリスクも伴います。以下に、主なメリットとデメリットを整理します。

主なメリット

クラウドファンディングの特長は、事業実績や財務状況にかかわらず、アイデアの独自性や社会的意義といった「共感」を基盤に資金調達が可能である点にあります。これにより、創業初期や新規事業においても、柔軟な資金確保の手段となり得ます。

また、資金調達の過程自体が、製品やサービスの市場性を検証するテストマーケティングの機会となるほか、支援者との関係構築にも寄与します。こうした特性は、単なる資金調達にとどまらず、事業展開全体に好影響をもたらす可能性があります。

【主なメリット】

  • 共感ベースでの資金調達: 金融機関等の審査を経ず、アイデアへの共感を基に資金を募ることが可能
  • 効率的な調達:規模や目的に応じて、短期間で一定額の資金調達が可能
  • 支援者との関係性構築:継続的な支援やファン形成を通じて、将来的な顧客基盤の拡充に繋がる
  • アイデアや事業の実現性検証:支援者の反応を通じて、計画の妥当性や市場ニーズを早期に把握できる
  • 開発・PR・マーケティングへの活用:プロジェクトを通じて製品開発の資金確保と同時に、認知度向上も期待できる

主なデメリット

クラウドファンディングは有効な資金調達手段である一方で、方式特有のリスクや負担が生じる点には留意が必要です。以下に、代表的なデメリットを整理します。

【主なデメリット】

  • 資金不成立のリスク:All-or-Nothing型の場合、目標金額に到達しなければ資金を一切受け取れないことがある
  • 目標未達でも実施義務が生じる負担:All-in型の場合、集まった金額にかかわらず、プロジェクトの実行が求められる
  • 内容変更・中止が困難な運用制約:支援者との約束により、柔軟な変更が難しくなる場合がある
  • 情報流出・模倣に繋がる公開リスク:プロジェクト内容を事前に公開するため、アイデアの模倣や情報漏洩のリスクがある
  • リターン履行や支援者対応に伴う運営負荷:リターンの提供や活動報告等、想定以上の実務対応が発生する可能性がある

このように、クラウドファンディングには大きな可能性がある反面、方式や運用に応じた使い分けが重要です。メリットとデメリットの双方を理解したうえで、自社の目的や体制に適した選択を行いましょう。

All-or-Nothing型とAll-in型とは?特徴と違い

クラウドファンディングの実施形式には、「All-or-Nothing型」と「All-in型」の2つの方式があります。これらは特に購入型クラウドファンディングでよく採用される仕組みです。

「All-or-Nothing型」は、設定した目標金額に到達した場合にのみ資金を受け取れる方式です。目標未達成の場合、支援金はすべて支援者に返金されます。一定額以上の資金がなければ成立しない製品開発やイベントなどに適しており、リスクを抑えて計画的に進めたいときに用いられます。

一方、「All-in型」は、目標金額に達していなくても、集まった資金をすべて受け取ることができます。ただし、集まった金額にかかわらずプロジェクトは必ず実施しなければならない義務があります。そのため、ある程度自己資金や予備リソースが確保できており、最低限でも実行可能な体制が整っている場合に適しています。

クラウドファンディングの4つの方式と特徴

クラウドファンディングには大きく分けて「購入型」「寄付型」「融資型」「投資型」の4つの方式があります。

【4つの方式一覧】

仕組み 向いているケース メリット 注意点
購入型

商品やサービスをリターンとして提供し、対価として資金を受け取る

新商品の先行販売・イベントのチケット販売等

テストマーケティングやPRとして活用できる

リターン不履行時の信頼低下や計画変更の難しさ

寄付型

活動趣旨に共感した支援者から寄付として資金を受ける(営利目的ではなく活動資金として利用)

社会貢献活動、災害支援、地域振興等

リターンの準備負担が比較的小さく、趣旨への共感を得やすい

支援が集まりにくい場合や活動の透明性が求められる

融資型

利息付きで返済する条件で資金を借り入れる

中小企業の設備投資や不動産開発等

比較的まとまった資金の調達が期待できる

元本割れや返済遅延、事業が計画通りに進まない可能性

投資型

株式や配当を提供することで出資を受ける

成長が見込まれるスタートアップや新規事業への出資等

企業の成長が支援者の利益に繋がる可能性がある

事業収益の不確実性や、元本を失う可能性

このように、クラウドファンディングには共通する仕組みがある一方で、各方式にはそれぞれ特性があり、適した用途や留意点が異なります。以下では、「購入型」「寄付型」「融資型」「投資型」の4つの代表的な方式について、それぞれのメリットと注意点を説明します。

1)購入型クラウドファンディング

購入型クラウドファンディングは、支援者が資金提供の見返りとして、物やサービス等のリターンを受け取る方式です。

【主なメリット】

  • 資金調達と並行してプロモーション効果が期待でき、認知拡大やブランド形成に繋がる
  • 先行販売のような位置づけのため、テストマーケティングとしての活用も可能
  • プロジェクトへの共感が支援を集め、利益率の向上に繋がる場合がある

【注意すべき点】

  • 製品やサービスを提供する前提であるため、スケジュール管理や品質管理には細心の注意が必要
  • リターンの提供遅延や、品質に問題があった場合は、支援者からの信頼を損なうリスクがある
  • All-or-Nothing型で目標未達成の際には資金を受け取れないリスクがある

2)寄付型クラウドファンディング

寄付型クラウドファンディングは、支援者が金銭的なリターンを求めず、プロジェクトの理念や社会的意義に共感して資金提供を行うタイプのクラウドファンディングです。

【主なメリット】

  • 金銭的なリターンを伴わないため、設計や履行の手間を抑え、資金調達そのものに注力しやすくなる
  • 社会的な課題への共感が支援の原動力となり、団体や活動の認知度向上、支援者との関係構築に繋がりやすい
  • 活動報告や感謝状等を通じて、支援者との良好な信頼関係を築ける可能性がある

【注意すべき点】

  • 金銭的なリターンが伴わないため、プロジェクトの意義や必要性等に共感を得るための発信力が求められる
  • 資金の使途や進捗状況に対して高い透明性が期待されるため、定期的な報告や丁寧な説明が求められる
  • 活動の公共性や社会貢献性が重視される傾向にあり、プロジェクト内容によっては十分な支援を得ることが難しい場合もある

このように、寄付型クラウドファンディングは単なる資金集めの手段にとどまらず、社会課題に向き合う活動への共感と支援の輪を広げる有効な手段となり得ます。特に、地域文化の継承、災害支援、福祉活動、環境保全等、非営利・公益的なプロジェクトとの親和性が高い傾向にあり、NPO法人や自治体、市民団体等によって幅広く活用されています。

3)融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)

融資型クラウドファンディングは、事業者が支援者(投資家)から資金を借り入れ、一定期間後に利息をつけて返済する方式です。

【主なメリット】

  • 比較的高額な資金を短期間で集めやすい傾向にあり、まとまった資金ニーズに対応できる場合がある
  • 個人投資家も参加しやすいことから資金の受け皿が広く、多様な層から支援を受けられる可能性がある

【注意すべき点】

  • 事業が計画通りに進まなかった場合、元本割れや返済遅延が発生するリスクがあり、支援者の信頼を損なう可能性がある
  • 融資型は金融商品としての側面を持つため、法令遵守や金融庁の監督対象となり、運営には専門的な対応が求められる
  • 返済の義務を伴うため、事業者にとっては資金繰りや計画遂行へのプレッシャーが大きくなる場合がある

このように、融資型クラウドファンディングは、従来の金融機関とは異なる角度から資金を集めることができる有力な選択肢の一つです。特に、中小企業の事業資金や不動産開発等、多額の資金を必要とするプロジェクトに適しているケースがあります。また、個人投資家にとっても、地域活性化や特定分野の事業支援を通じて社会的な意義に貢献できる可能性がある点で、参加意欲を高める一因となっています。

4)投資型クラウドファンディング

投資型クラウドファンディングは、支援者(投資家)が企業の株式やファンドに対して出資を行い、企業の成長に応じたリターンを受け取る方式です。

【主なメリット】

  • 企業側は株式発行等を通じて広く資金を集められ、将来の成長に必要な資金を確保できる可能性がある
  • 支援者(投資家)はキャピタルゲイン(株価上昇による利益)や配当金等、将来的なリターンが期待できる
  • 少額からの投資が可能で、個人投資家でも参加しやすく、企業成長に関与できる体験に繋がる場合がある

【注意すべき点】

  • 出資者(株主)が増えることで、経営に関する情報開示や意思決定の複雑化といった負担が生じる場合がある
  • 未上場企業の場合、株式の流動性が低く、売却が難しいため、投資資金の回収に時間がかかる可能性がある

このように、投資型クラウドファンディングは、高リスク・高リターンの投資を受け入れられる投資家と、資金と同時に支援者とのつながりや認知度向上を目指す企業を結びつける有力な手段です。特に、スタートアップや成長が期待される新規事業のように、将来性を重視する場面で適している場合があります。

クラウドファンディングの国内事例紹介

クラウドファンディングは、個人や企業だけでなく、地方自治体等の公的な組織でも幅広く活用されています。ここでは、国内の公開事例を基に、実際にどのようなプロジェクトが支援を集めてきたのか紹介します。

三陸花火競技大会実行委員会[岩手県陸前高田市]

東日本大震災から10年の節目に地域を盛り上げるため、復興の象徴として花火競技大会を計画し、運営資金をクラウドファンディングで集めた事例です。プレ大会では、補助金や協賛金だけに頼らず資金を集めると同時に、全国に向けたPRとファン獲得を目的としてプロジェクトを実施しました。

この事例では、最終的に目標の2倍となる1,000万円を超える支援を集めました。

PICK UP1 コロナに負けるな!花火師が情熱を捧げた花火が被災地の夜空を明るく灯す。 三陸花火競技大会実行委員会[岩手県 陸前高田市]

出典:復興庁「復興庁クラウドファンディング支援事業事例集」

株式会社 阿部伊組[宮城県 南三陸町]

本業の将来を見据えた新規事業で、新商品のテストマーケティングとしてクラウドファンディングを活用した事例です。建設業を営む同社は、震災関連工事の減少に備えて新たな事業分野を開拓する必要性からプロジェクトを開始しました。地元の希少海藻「マツモ」の陸上養殖に着手し、開発した新商品「海藻バター」のテストマーケティングとしてクラウドファンディングを実施しました。

在庫を抱える必要がなく、顧客と直接つながれる手段として活用し、今後のビジネスにつながり得る多くの反響を得ました。

PICK UP2 クラウドファンディングで新商品のテストマーケティング。三陸の海藻食文化を全国に発信。 株式会社 阿部伊組[宮城県南三陸町]

出典:復興庁「復興庁クラウドファンディング支援事業事例集」

相馬野馬追執行委員会[福島県南相馬市]

コロナ禍で経済的負担が増した伝統行事の担い手を支援し、地域の馬事文化を未来へ継承するためにクラウドファンディングで資金を募った事例です。1000年以上の歴史を持つ「相馬野馬追」は、新型コロナの影響で縮小開催となり、行事を支える馬主への奨励金がなくなりました。この状況を受け、馬主を支援し、古くから受け継がれてきた馬事文化を守るためのクラウドファンディングが実施されました。

全国から広く支援が集まり、約1,200万円の資金を調達し、伝統の継承に貢献しました。

PICK UP3 伝統行事がコロナで大幅に縮小。人と馬が共存する馬事文化をクラウドファンディングで守る! 相馬野馬追執行委員会[福島県南相馬市]

出典:復興庁「復興庁クラウドファンディング支援事業事例集」

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クラウドファンディングは有効な資金調達手段の一つとして広く活用されていますが、調達後の資金活用や管理体制の構築も検討することが重要です。みずほ銀行では、資金管理・税務対応・業務効率化を支援する多様なサービスを提供しています。

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まとめ

クラウドファンディングは、単なる資金調達手段にとどまらず、「共感の形成」「アイデアの発信」「支援者との関係構築」等、多面的な付加価値をもたらす手法です。プロジェクトの目的や背景に応じて最適な方式を選定することが、目標達成に向けた重要な第一歩となります。

本記事で紹介した各方式の特性や留意点、事例を参考に、円滑なプロジェクト運営と目標の実現につなげていただければ幸いです。

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