発行可能株式総数とは?決め方や公開会社・非公開会社別の上限について解説
掲載日:2026年2月27日起業準備
会社の設立や増資を検討する際には、発行可能株式総数を正確に理解しておくことが重要です。発行可能株式総数は会社法で定められた要件であり、資金調達や株主構成に大きな影響を及ぼします。
設定を誤ると、将来的な増資や株式分割の際に柔軟な対応ができず、資金計画に支障が生じる可能性があります。
本記事では、発行可能株式総数の決め方や上限、具体的な決定手順について解説します。
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目次
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発行可能株式総数とは
発行可能株式総数とは、会社が将来的に発行できる株式の総数の上限を指します。
会社法第37条に基づき、会社を設立する際には必ず設定しなければなりません。発行可能株式総数を定めることで、会社はその範囲内で株式を自由に発行できます。
ただし、発行に関する基本的なルールをまとめた定款を変更しない限り、発行可能株式総数を超えて新たに株式を発行することはできません。そのため、将来的な増資や株式分割を見据えて、発行可能株式総数は十分に検討しましょう。
定款について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せて参考にしてください。
関連記事:「定款とは?作り方・記載内容から認証の方法まで分かりやすく解説」
発行可能株式総数を定款で定める理由
会社を設立する際に、なぜ発行可能株式総数を決めなければならないのか疑問に思う方も多いでしょう。発行可能株式総数の設定は会社法で義務付けられており、経営の安定性や将来の資金調達に深く関わります。
以下では、発行可能株式総数を定款で定める理由を詳しく解説します。
資金調達をスムーズに進めるため
資金調達が必要になった際には、取締役会の決議によって発行可能株式総数の範囲内で新たな株式を発行できるため、必要なタイミングでスムーズに資金を調達できます。
一方で、発行可能株式総数の上限を超えて増資を行う場合は、定款を変更するために株主総会で特別決議を行う必要があります。手続きには時間と手間がかかるため、資金が必要なときに迅速な対応が困難になる可能性があります。
つまり、あらかじめ十分な発行可能株式総数を設定することで、将来の資金調達をスムーズに進められます。反対に、設定が不十分だと必要なタイミングで資金調達ができない可能性があります。
定款の変更について詳しく知りたい方は、以下の記事を併せて参考にしてください。
関連記事:「定款変更はできる?手続方法や費用、頻繁な変更を避けるための注意点を解説」
権限の不適切な行使を防ぐため
発行可能株式総数に上限が設けられていなければ、取締役会や経営陣の判断だけで無制限に株式を発行できてしまい、既存株主の持株比率が大きく下がる恐れがあります。
その結果、株主の議決権や経営への影響力が意図せず弱まる可能性もあるでしょう。
上限を設定することで、大規模な増資を行う際には株主総会の決議を経なければならず、経営陣が一方的に株式を発行する事態を防止できます。
発行可能株式総数の決め方・上限
発行可能株式総数の決め方や上限は、公開会社と非公開会社で異なります。
公開会社とは、発行する株式の全部または一部に譲渡制限がない会社を指し、非公開会社とは、すべての株式に譲渡制限を設けている会社のことです。両者は、会社の性質や株主構成が異なるため、設定の考え方にも違いが生じます。
以下では、公開会社と非公開会社それぞれの発行可能株式総数の決め方と上限を解説します。
公開会社
公開会社の発行可能株式総数は、発行済株式総数の4倍を超えて設定することはできません。一般に「4倍ルール」と呼ばれる基準です。
例えば、会社が現在100株を発行している場合、発行可能株式総数の上限は400株となります。
発行可能株式総数を変更する際には、定款変更等の手続きが必要になるため、将来的な増資を見据えて、あらかじめ4倍に近い数で設定することが望ましいでしょう。
非公開会社
非公開会社は、公開会社とは異なり、発行可能株式総数の上限が法律で定められていません。そのため、発行済株式総数の何倍であっても自由に設定することが可能です。
経営者や株主が一部の限られた人々によって構成されている非公開会社では、柔軟な経営判断を行うために、将来的な資金調達や株式分割の余地を十分に確保することが重要です。
具体的には、発行済株式総数の10倍程度の数を発行可能株式総数として設定すると、将来の増資や新株発行をスムーズに進めることができます。
発行可能株式総数を決める手順
発行可能株式総数を適切に設定するためには、会社設立時から順序立てて進めることが大切です。
発行可能株式総数は、資本金や株主構成、将来的な資金調達計画などに直結するため、慎重に検討する必要があります。経営の方向性や今後の成長を見据えたうえで、検討しましょう。
以下では、発行可能株式総数を決める手順を分かりやすく解説します。
設立時に発行する株式数を算出する
初めに、会社設立時に実際に発行する株式の総数(発行済株式総数)を算出しましょう。発行済株式総数は、「会社の資本金総額÷1株当たりの発行価格」で求められます。
例えば、資本金を300万円とし、1株当たりの発行価格を1万円に設定した場合、設立時に発行する株式は300株となります。
この発行済株式総数が、次に設定する発行可能株式総数の基準となり、将来的な増資や株式分割の設計にも影響を与えるため、最初の段階で正確に把握することが重要です。
発行可能な株式総数を設定する
発行済株式総数を算出した後は、その数を基準に発行可能株式総数を設定します。
公開会社の場合、会社法により発行済株式総数の4倍を超える設定はできません。一方で、非公開会社は上限が設けられていないため、将来的な資金調達や株式分割を見据えて自由に設定できます。
いずれの場合も、発行可能株式総数を変更する際には定款変更等の手続きを経る必要があるため、将来の事業拡大や増資の可能性を踏まえて、あらかじめ余裕をもたせて設定しましょう。
発行可能株式総数を決める際の注意点
発行可能株式総数を決める際には、いくつか注意すべきポイントがあります。一度枠を決めると、変更には手間と時間を要するため、慎重に検討しましょう。
以下では、発行可能株式総数を設定する際に押さえておきたい注意点を解説します。
発行可能株式総数は余裕を持って設定する
発行可能株式総数は、将来的な増資や株式分割に対応できるように、余裕を持って設定することが大切です。
上限を低く設定してしまうと、資金調達の際に定款変更や株主総会での特別決議等が必要となり、手続きに時間や費用がかかる可能性があります。
あらかじめ十分な数を確保しておけば、必要なタイミングで迅速に株式を発行でき、資金調達をスムーズに進められます。将来の経営戦略を見据えて、発行可能株式総数を決めましょう。
将来の資金調達計画を考慮する
発行可能株式総数を設定する際には、将来的な資金調達計画をあらかじめ見込んでおくことが重要です。
事業の拡大や新規事業への投資を進める際には、多くの場合、追加の資金が必要となります。しかし、上限を低く設定してしまうと、増資のたびに定款変更や株主総会での特別決議を行う必要があり、手続きや費用の負担が大きくなるでしょう。
今後の成長を見据えて事業を拡大していく方針がある場合は、多めに発行可能株式総数を設定することが推奨されます。
株式の希薄化リスクを理解する
発行可能株式総数を多めに設定すると、将来的に新株を発行した際に既存株主の持株比率が下がる「株式の希薄化」が起こる可能性があります。
株式の希薄化が進むと、株主一人当たりの議決権や配当の割合が減少し、結果的に経営への影響力が弱まるリスクを伴います。
特に、資金調達や新株発行を繰り返す企業では、株主構成の変化が経営方針に影響を及ぼす場合もあるため、慎重に判断することが大切です。
発行可能株式総数を設定する際は、資金調達の柔軟性と株主の権利保護のバランスを意識しましょう。
会社設立後の資本金管理には法人口座がおすすめ
会社を設立して登記が完了すると、定款で定めた発行可能株式総数や資本金が正式に確定します。株式発行による資金調達を行うときは、事前に法人口座を開設することがおすすめです。資本金の振り込みや取引の透明性を確保できるため、企業としての信頼を高める基盤となります。
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まとめ
発行可能株式総数とは、会社が将来的に発行できる株式の総数の上限を指します。設立時には、実際に発行する株式数を基準とし、将来の事業拡大や株式分割を見据えて余裕をもった数値を設定することが大切です。
発行可能株式総数を適切に定めておけば、増資や新株発行の際に定款変更の手間が減り、将来の資金調達もスムーズに進められます。
さらに、調達した資金を円滑に管理するためには、法人口座の開設を検討しましょう。
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監修者
安田 亮
- 公認会計士
- 税理士
- 1級FP技能士
1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。