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ベンチャーキャピタルとは?仕組み・投資の流れ・他手法との違いを解説

掲載日:2025年11月12日資金調達

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ベンチャーキャピタルは、スタートアップの成長を支援する重要な存在です。資金提供だけでなく、経営支援やネットワーク構築も担います。本記事では、ベンチャーキャピタルの基本から実際の資金調達事例までを包括的に紹介します。ベンチャーキャピタルを正しく理解し、自社の成長戦略にいかすヒントを得ましょう。

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ベンチャーキャピタルとは?

ベンチャーキャピタルとは、主に投資家(ファンド運営者)が、成長初期にある企業(スタートアップ)に対して、株式を引き受けるかたちで資金を提供し、その企業の将来的な株式上場(IPO)やM&Aを通じて利益を得ようとする投資機関です。ハイリスク・ハイリターンな投資スタイルが特徴です。

ベンチャーキャピタルの役割と目的

技術力や成長ポテンシャルはあるものの資金調達が難しいスタートアップ企業に対し、資金だけでなく経営支援や人的ネットワークの提供等、多面的な支援を行います。ベンチャーキャピタルが投資する理由は、企業価値の上昇に伴うリターン(キャピタルゲイン)を得ることです。

また、多くのベンチャーキャピタルは複数の出資者(機関投資家・事業会社・富裕層等)から資金を集めてファンドを組成し、そのファンドを通じて投資を行います。このファンドの運営主体は「GP(ジェネラル・パートナー)」と呼ばれます。

CVC・エンジェル投資家・PEファンドとの違い

ベンチャーキャピタルと混同されやすいのが、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)やエンジェル投資家、プライベート・エクイティ(PE)ファンドです。それぞれの特徴を以下に整理します。

主な投資対象 代表的な投資時期 特徴
ベンチャーキャピタル

成長ポテンシャルの高い未上場スタートアップ

シード〜レイター期

ハイリスク・ハイリターンであり、資金だけでなく経営支援やExit支援も行う

CVC

自社事業と連携可能な未上場スタートアップ

シード〜レイター期

出資先とシナジーを生むことを目的とし、技術・顧客・販路の統合を図る

エンジェル投資家

創業初期のスタートアップや個人起業家

プレシード〜シード期

起業家個人との関係性重視しており、助言・人脈提供等“伴走型”支援が特徴

PEファンド

業績改善・成長余地のある非上場企業(中堅〜大企業も含む)

レイター〜事業再生期

経営権を取得し、企業価値向上後にPEファンドはその事業や企業を再度売却することが多い

  • *代表的な投資時期の分類はベンチャー業界で一般的に用いられる区分であり、プレシード期(創業準備・アイデア段階)・シード期(試作品開発や初期顧客獲得段階)・レイター期(事業拡大やIPO準備段階)・事業再生期(成熟・業績改善を目的とする段階)に分けられることがあります。

このように、エンジェル投資家は創業初期を支える伴走者、ベンチャーキャピタルは成長の加速装置、PEファンドは企業再生の実行者、そしてCVCは戦略的連携を重視する事業会社の投資部門として、それぞれ異なる立場と目的を持っています。

スタートアップは自社の成長フェーズや目指す方向性に応じて、最適な投資パートナーを選ぶことが重要です。

ベンチャーキャピタルの仕組み

ベンチャーキャピタルは、複数の出資者から資金を集めたファンドを運営し、そのファンドを通じて未上場企業に出資を行い、数年後のIPOやM&Aによるリターンをめざします。ここでは、その基本的な構造と投資の流れを解説します。

ファンドの組成と運営主体(GPとLP)

ベンチャーキャピタルファンドは、以下の2つの立場によって構成されています。

  • GP(ジェネラル・パートナー)
    ファンドの運用責任を持つ運営者。スタートアップへの投資先選定や支援、Exit戦略の立案等を行います。
  • LP(リミテッド・パートナー)
    主に機関投資家や金融機関、事業会社等の出資者で、ファンドに資金を提供しますが、運営には関与しません。

GPはLPから資金を集めてファンドを組成し、10年程度の運用期間の中で複数の企業へ分散投資を行います。

投資を受ける基本的な流れと将来的な成長(Exit)の考え方

ベンチャーキャピタル等から出資を受ける場合、資金を得るだけでなく、将来的にどのように事業を成長させ、出資者との関係を整理していくかまで見据えた取り組みでもあります。ここでは、投資を受ける企業側の視点から、資金調達後の基本的な流れと、最終的な成長のかたちとしての「Exit」の考え方について分かりやすく解説します。

1. 成長戦略と資金の使い道を明確にする

まずは、自社が今後どう成長していくのか、そのためにどのような資金が、どれだけ必要なのかを検討します。この段階で、将来的に上場(IPO)やM&A等、どのようなかたちで成長の節目を迎えるか(=Exit戦略)をある程度描いておくことが重要です。

例えば以下のような目的が考えられます。

  • 新しい製品やサービスの開発
  • 人材の採用や組織体制の強化
  • 販路拡大や海外展開 等

2. 出資者との面談・プレゼン

事業内容や将来の展望を資料にまとめ、投資を受けたいベンチャーキャピタル等に説明します。この段階では、資金だけでなく、どんな支援を求めるかも明確にしておくとスムーズです。

3. 契約を結んで資金を受け取る

出資者と話し合いを重ね、出資額や出資割合、今後の関係性等について合意が取れれば、正式に契約を結び、資金を受け取ることができます。

4. 出資者と協力しながら事業を伸ばす

出資者は資金だけでなく、経営のアドバイスや人材の紹介、次の資金調達の支援等、様々な形で協力してくれることがあります。出資後はそうした支援も活用しながら、事業の成長に取り組みます。

5. 将来的な「Exit」について実行段階に移す

出資後、一定の事業成長を経たタイミングで、Exitの実行を見据えた準備を行います。これは企業にとっても、投資した側にとっても大きな節目の一つです。

Exitの主な種類・方法

「Exit」には主に次のような方法があります。

  • 株式上場(IPO)
    証券取引所に上場し、株式を市場で売買できるようにする方法です。企業の知名度や信用力が高まり、更なる資金調達の可能性も広がります。
  • 企業の売却(M&A)
    他の企業に買収されることで、出資者が株式を現金化し、出資関係を解消します。上場よりも短期間で実現するケースもあります。

こうしたExit戦略は、最初の出資を受ける段階からある程度想定されている場合が多く、将来どのような方向を目指すかによって、出資条件も変わってきます。出資を受けることは「ゴール」ではなく、「事業を加速させる手段」の一つです。将来どうなりたいのか、そのために誰と組むのかを考えたうえで、最適な資金調達の形を選びましょう。

投資対象となる企業の特徴

では、こうした投資を受けるにはどのような企業が対象となるのでしょうか。ベンチャーキャピタルはすべての企業に投資するわけではなく、主に以下のような特徴を持つ企業を対象とします。

  • 革新的な技術やビジネスモデルを有する
  • 高い市場成長性が見込まれる分野で事業を展開している
  • スケーラブル(急成長可能)な事業構造を有する
  • 経営陣に実行力と明確なビジョンがある

特に重視されるのは、「短期間で企業価値を飛躍的に高められる可能性があるかどうか」です。 投資対象となるということは、資金を投じれば大きく成長し、数年以内に上場やM&Aといった「Exit」を実現できる可能性があると見なされているといえるでしょう。

ベンチャーキャピタル投資・銀行融資の違い

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ベンチャーキャピタルによる投資は「エクイティファイナンス(株式による資金調達)」に分類され、銀行からの「融資(デットファイナンス)」とは性質が大きく異なります。以下に主要な違いを整理します。

観点 ベンチャーキャピタル投資
(エクイティ)
銀行融資
(デット)

調達手段

株式の発行

銀行や金融機関からの貸し付け

返済義務

なし(企業がExitするまで資金返済不要)

元本および利息の定期返済義務あり

利子負担

なし

定期的な利息支払いが必要

経営への関与

原則あり(取締役派遣や重要事項への関与等)

なし

財務基盤の要件

赤字・資産不足でも投資対象となる可能性あり

信用力・担保・収益性等が重視される

このように、ベンチャーキャピタルは企業の将来価値に期待して投資する一方で、銀行融資は現在の信用力に基づいて資金を貸し付けます。スタートアップにとっては、初期段階での柔軟な資金調達手段としてベンチャーキャピタル投資が重要な選択肢となります。

関連記事:エクイティとは?デットとの違いからメリット、注意点まで分かりやすく解説

関連記事:融資とは?出資・投資との違いと法人が活用するための基礎知識

ベンチャーキャピタル投資のメリット・デメリット

ベンチャーキャピタルから投資を受けることは、単なる資金調達手段にとどまりません。成長を加速させる多面的な支援を受けられる反面、経営の自由度の制約や、責任の増大といったリスクを伴います。このセクションでは、ベンチャーキャピタル投資の利点と注意点を整理します。

資金調達以外の支援

ベンチャーキャピタルのメリットは、資金面だけにとどまりません。次のような支援を受けられる点も、スタートアップにとって大きな価値となります。

  • 経営支援やメンタリング
    事業戦略や組織体制に関する助言を受けられます。
  • 人材やネットワークの紹介
    経営幹部、パートナー企業、顧客の紹介等、成長を後押しするネットワークが提供されます。
  • 信頼性の向上
    著名ベンチャーキャピタルからの投資は、その企業に対する社会的信用を高め、他の投資家や顧客の安心材料となります。

成長局面では、資金以上にこのような“非資金的支援”の効果を求める場合もあるでしょう。

ベンチャーキャピタル投資の注意点

一方で、ベンチャーキャピタルからの投資には、以下のようなリスクも伴います。

  • 経営への介入
    ベンチャーキャピタルは一定の持株比率を保有するため、重要事項に対する同意権や経営判断への影響力を持つことがあります。
  • 株式の希薄化
    投資を受けることで創業者の持株比率が下がり、将来的に意思決定権の維持が困難になるケースもあります。
  • 期待値のプレッシャー
    短期間での成長とExitが求められ、長期志向の経営と相反することもあります。

このような影響を事前に理解し、どの範囲まで受け入れるのかは、創業チームとして慎重に検討する必要があります。また、ベンチャーキャピタルとの関係は短期ではなく、5〜10年単位の“共同経営”の側面もあります。投資を受けるという判断は、事業だけでなく、自身の経営者としての覚悟が試される局面ともいえるでしょう。

日本におけるベンチャーキャピタルからの資金調達

ベンチャーキャピタルからの投資で実際にどの程度の資金調達が可能なのでしょうか。ここでは、ベンチャーキャピタル投資の事例をご紹介します。

大型資金調達案件(2024年)

ベンチャーキャピタルの支援を受けて多額の資金調達に成功した企業は多く存在します。2024年に大型資金調達を実現させた上位5件を表にまとめました。

事業内容 調達額
(億円)
シリーズ
評価額(億円) 主な投資家(一部抜粋)
Sakana AI

AIソリューション開発

301

C

2,058

三菱UFJ銀行、SBIインベストメント、NEC、第一生命

newmo

タクシー配車アプリ

187

A

367

メルカリ、Coral、GMO VP、Spiral Capital、SMBC ベンチャーキャピタル

五常・アンド・カンパニー

途上国向け小口金融サービス

185

1,337

みずほキャピタル、富士通V、丸井G、サムライインキュベート

Preferred Networks

AIプロセッサーの開発

150

D

1,510

SBI HD、AGSコンサル、日本政策投資銀行、三菱商事

SmartHR

クラウド人事ソフト

100

D

1,841

Teachers’ Venture Growth、KKR、WiL、Light Street Capital

ベンチャーキャピタルの資金提供は単なる出資にとどまらず、技術革新、制度対応、人材確保、提携拡大といった企業成長の加速装置として機能します。業界課題を的確に捉えたプロダクトと、堅実なマネジメント体制、将来的なExit戦略を描けている企業は、ベンチャーキャピタルからの支援を「資金以上の価値」として引き寄せ、成長の推進力へと変えていけるでしょう。

参考:JIC 株式会社産業革新投資機構

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まとめ

本記事では、ベンチャーキャピタルの基本から仕組み、メリット・リスク、投資を受ける方法、活用事例までを体系的に整理してきました。ベンチャーキャピタル投資は、資金調達にとどまらず、経営支援やネットワーク、信頼性の向上といった多くの利点を持つ一方で、経営への影響や株式の希薄化といったリスクも伴います。

重要なのは、ベンチャーキャピタルの特性を正しく理解したうえで、自社のビジネスモデルや成長フェーズ、経営方針に合致しているかどうかを見極めることです。資金調達を“手段”と捉え、事業と経営の本質に立ち返る姿勢が、結果的に最良の選択へと導くことになるでしょう。

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