ページの先頭です
メニュー

メニュー

閉じる
本文の先頭です

相場急変時、目的を思い出して冷静に考える

長期目線でみると違う景色が見えてくる

投資は、投資先の成長を期待して取り組むものではありますが、足元では評価額が変動することが一般的です。「○○ショック」と称されたマーケットの急落が、長期の視点でみると回復したという例は、数多くあります。
過去の成績通りに未来が推移するとは限りませんが、投資している商品の基準価額推移を全期間や10年間など、長い期間で確認してみましょう。今は下落基調に見えても、長期でみると大きな下落ではないと感じられたり、過去に回復してきた実績を確認できたりするかもしれません。

実績の長いファンドの基準価額の推移イメージ(2013年9月3日(ファンド設定日)~2025年7月31日、日次)

出所:Bloombergのデータをもとにみずほ銀行作成。
上記は、各主要株式市場を表すため、みずほ銀行で取り扱っているインデックスファンドの中で、実績の長いファンドの基準価額の推移を示しています。
上記は、各ファンドの実績であり、将来における運用成果を示唆、保証するものではありません。

そのうえで、この急落が自分にとって本当に困る出来事なのかを確認していきます。

いつ使うお金なのかを確認する

投資に充てている資金は将来のインフレ対策のため、という方も多いでしょう。実際に活用するのは、足元の預貯金が少なくなってきた頃なので、その頃に評価額が回復してくれていれば良いわけです。
そのため、相場急変時にまず行うことは「投資に充てている資金を使う予定はいつなのか」を確認することです。

現在の預貯金と投資額、今後の貯蓄ペースやお金を使いそうなライフイベントを整理して、投資に充てている予算を使わなければいけないタイミングがいつなのかを確認します。それが10年以上先(表1)なのであれば、慌てて売却する必要性は低く、そのまま保有を続けることが有力な選択肢になります。

表1【例:39歳 預貯金800万円の場合】

詳細
自分

39歳

40歳

41歳

42歳

43歳

44歳

45歳

46歳

47歳

48歳

37歳

38歳

39歳

40歳

41歳

42歳

43歳

44歳

45歳

46歳

長男

11歳

12歳

13歳

14歳

15歳

16歳

17歳

18歳

19歳

20歳

長女

9歳

10歳

11歳

12歳

13歳

14歳

15歳

16歳

17歳

18歳

ライフイベント

長男
高校
入学

長女
高校
入学

長男
大学
入学

長女
大学
入学

ライフイベントで現状より追加で必要になりそうなお金
教育費(高校・大学学費)

50
万円

50
万円

100
万円

150
万円

100
万円

150
万円

資産の増減(現在の年間の余力が100万円)
現時点での預貯金の額

800
万円

現時点での金融商品保有額

200
万円

今後の年間貯蓄額

80
万円

80
万円

80
万円

50
万円

50
万円

0
万円

△50
万円

0
万円

△50
万円

今後の年間投資額(元本)

20
万円

20
万円

20
万円

合計
預貯金の残高

800
万円

880
万円

960
万円

1,040
万円

1,090
万円

1,140
万円

1,140
万円

1,090
万円

1,090
万円

1,040
万円

金融商品の残高(元本)

200
万円

220
万円

240
万円

260
万円

260
万円

260
万円

260
万円

260
万円

260
万円

260
万円

資産合計

1,000
万円

1,100
万円

1,200
万円

1,300
万円

1,350
万円

1,400
万円

1,400
万円

1,350
万円

1,350
万円

1,300
万円

ポイント

少なくとも10年以内に投資に充てている260万円(現在の評価額)の部分に手を付ける必要はなさそう

投資に充てている予算を使わなければいけないタイミングが10年以内(表2)など、迫ってきているようであれば、数回に分けて売却することも選択肢になります。ただ、この時も慌ててすべてを売却するのではなく、評価額が回復している時を意識するなどして数年かけて売却することも視野に入れると良いでしょう。

表2【例:39歳 預貯金200万円の場合】

詳細
自分

39歳

40歳

41歳

42歳

43歳

44歳

45歳

46歳

47歳

48歳

37歳

38歳

39歳

40歳

41歳

42歳

43歳

44歳

45歳

46歳

長男

11歳

12歳

13歳

14歳

15歳

16歳

17歳

18歳

19歳

20歳

長女

9歳

10歳

11歳

12歳

13歳

14歳

15歳

16歳

17歳

18歳

ライフイベント

長男
高校
入学

長女
高校
入学

長男
大学
入学

長女
大学
入学

ライフイベントで現状より追加で必要になりそうなお金
教育費(高校・大学学費)

50
万円

50
万円

100
万円

150
万円

100
万円

150
万円

資産の増減(現在の年間の余力が60万円)
現時点での預貯金の額

200
万円

現時点での金融商品保有額

200
万円

今後の年間貯蓄額

30
万円

30
万円

30
万円

10
万円

10
万円

△40
万円

△90
万円

△40
万円

△90
万円

今後の年間投資額(元本)

30
万円

30
万円

30
万円

合計
預貯金の残高

200
万円

230
万円

260
万円

290
万円

300
万円

310
万円

270
万円

180
万円

140
万円

50
万円

金融商品の残高(元本)

200
万円

230
万円

260
万円

290
万円

290
万円

290
万円

290
万円

290
万円

290
万円

290
万円

資産合計

400
万円

460
万円

520
万円

580
万円

590
万円

600
万円

560
万円

470
万円

430
万円

340
万円

ポイント

資産が枯渇するわけではないが、10年以内に預貯金部分の余力が手薄になる可能性が考えられる

当面使わない予算があり、投資している商品の成長に期待をしている場合は、一時的な相場の下落がむしろボーナスシーズンのように感じることもあるかもしれません。資産全体のバランスで余力があれば、少し購入金額を増やすことも選択肢になります。

相場急変時の対応は大きく3つ

整理すると、相場が急変している時にとれる対策は「そのまま」「売却」「買い増し」と大きく3つあることになります。どの対策を選ぶかを考えるためには、まず、資産を棚卸しし、今後の残高推移をざっくりと描いてみることが重要です。
加えて、投資している商品に対する長期的な期待や評価が自分の中で変わっていないのかを確認します。期待している先であれば、保有を続ける方向に、期待できなくなっているのであれば、売却や解約の方向に判断の比重が傾くことになります。

そのまま
投資先への期待は維持されていて、10年以上その資金に手を付ける必要がない場合。積み立て投資をしている最中であれば、投資金額も変更せず継続するような判断

売却
投資先への期待が持てなくなっていたり、期待は維持されていても10年以内にその資金に手を付ける必要がありそうな場合。一括で売却する他に、数年に分けて分割して売却していくことも選択肢になる

買い増し
投資先への期待は維持されていて、10年以上手を付ける必要がない資金の余裕がある場合。積立金額の増額やスポットでの追加購入などで、結果的に取得総額が抑えられる可能性も出てくる

一時的でも下落に直面すると誰でも多少は心配になります。ただ、そうした時には一呼吸置いて、自分がその商品に期待していた役割や目的、家計の現在や中長期でみた余力を確認してみましょう。慌てず冷静に判断していくことで、長い目線でみても後悔しにくい選択をしやすくなります。

著者プロフィール

風呂内 亜矢(ふろうち あや)

風呂内 亜矢(ふろうち あや)

  • 1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者

貯蓄80万円でマンションを衝動買いした経験を原点に、生活に寄り添ったファイナンシャル・プランニングを提唱。『やってはいけない「ひとりマンション」の買い方(青春新書)』、『マンガでカンタン!NISA・iDeCoは7日間でわかります。(Gakken)』など、お金に関する書籍やムックは30冊以上。日常の記録に交えてお金のTipsを伝えるYouTubeチャンネル「FUROUCHI vlog」も更新。

  • *記事内の情報は、本記事執筆時点の情報に基づく内容となります。みずほ銀行の公式な見解を示すものではありません。
ページの先頭へ