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掲載日:2021年2月15日

事業戦略

中小企業の救世主!「補助金」最新ガイド

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新型コロナウイルスの感染拡大の影響により停滞している国内経済を改善しようと、政府は企業に対し、様々な支援策を打ち出しています。
特に中小企業向けには、従来から補助金や助成金による給付をはじめ、税制優遇等、多彩な施策が用意されています。
しかし、様々な情報があり日々更新されていくなかで、最新情報を網羅的に把握することは難しいとの声もあるようです。
本稿では、コロナ禍で影響を受けた中小企業にとって役立つ補助金について取り上げ、補助金額や補助率の概略、知っておきたい注意点等をわかりやすく解説していきます。
なお、2021年1月末の情報を元にしています。

  • *補助金と助成金の違いについては、以下、みずほスマートポータルの過去記事「中小企業が設備投資に使える助成金・補助金は?(2020年版)」を参照してください。

https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/mizuhosmartportal/jigyosenryaku/topic_53.html

従来よりも手厚くなった3つの補助金

中小企業を対象とした補助金としては、従来から「中小企業生産性革命推進事業」として、「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」の3つの補助金があります。
これらは、中小企業の生産性向上の取組状況に応じて、設備投資、IT導入、販路開拓等を支援するための補助金といえるでしょう。
今回注目したいのは、新型コロナウイルスの影響が長期化していることを受け、この3つの補助金の補助金額や補助率が拡充されるということです。これまでの「通常枠」とは別に、新特別枠「低感染リスク型ビジネス枠」が設けられることになりました。

本枠は、ポストコロナの状況に対応したビジネスモデルへの転換に向けた中小企業等の取組を支援することを目的としており、通常枠に比べて、補助率が高いことが特徴であるといえます。
ここからは、3つの補助金の概要と、「低感染リスク型ビジネス枠」の具体的な補助金額と補助率および、どのようなケースが該当するのかを紹介していきましょう。

  • 「ものづくり補助金」:新製品・サービス開発や生産プロセス改善等のための設備投資を支援するものです。
    補助額:100万円~1,000万円、補助率:2/3(通常枠における補助率は中小は1/2,小規模事業者は2/3)
    「低感染リスク型ビジネス枠」では、「AI・IoT等の技術を活用した遠隔操作の機能を有する製品を開発」といったケースが該当します。
  • 「小規模事業者持続化補助金」:小規模事業者が経営計画を作成して行う販路開拓等の取組を支援するものです。
    補助上限:100万円、補助率:3/4(通常枠は上限50万円、補助率2/3)
    「低感染リスク型ビジネス枠」では「ホテル事業者が宿泊者のみに提供していた食事をテイクアウト可能にするための商品を開発」といったケースが想定されます。
  • 「IT導入補助金」:ITツールを導入しようとする事業者に対して、その導入費用の一部を補助する制度です。
    補助額:30万円~450万円、補助率:2/3(通常枠は補助率1/2)
    「低感染リスク型ビジネス枠」では「飲食店が顧客と店員の接触機会を減らすため、遠隔注文ツールを導入」といったケースがあてはまるといえるでしょう。
    補助対象となる経費も、通常枠でのソフトウェアやクラウド利用費に加え、PC・タブレット等のレンタル費用が対象となります。

また、テレワークを行うため、複数の業務工程にクラウド対応したITツールを導入する取組も支援の対象となります。この場合は「テレワーク対応類型」となり、補助上限は150万円です。

申請にあたっては「ものづくり補助金」「IT導入補助金」は、インターネットを通じて行います。一方、「小規模事業所持続化補助金」は、商工会議所または商工会に経営計画を提出する等で申請します。
インターネットによる申請は、アカウント発行等に時間がかかることもあるため、早めにID取得をしておくと良いでしょう。

新設された「事業再構築補助金」は最大1億円を補助

先の3つの補助金に加え、新型コロナウイルスの追加経済対策として、新たに閣議決定された目玉の施策が「中小企業等事業再構築促進事業」です。
この事業における「事業再構築補助金」は、新分野展開や業態転換、事業再編等によって生産性を高める中小企業や小規模事業者に対し、最大1億円を補助するもので、申請には次の3つの要件をすべて満たすことが必要になります。

  1. 申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している中小企業等。
  2. 事業計画を認定支援機関(商工会や商工会議所、税理士、公認会計士等)や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む中小企業等。
  3. 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、又は従業員一人あたり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加の達成。

補助率と補助上限額は、中小企業の場合と中堅企業の場合に分けられ、それぞれ2つの枠があります。

<中小企業の場合>

  1. 通常枠 補助額:100万円~6,000万円、補助率:2/3
  2. 卒業枠 補助額:6,000万円超~1億円、補助率:2/3

②は400社限定。事業計画期間内に、「組織再編」「新規設備投資」「グローバル展開」のいずれかのために、資本金または従業員を増やし、中小企業から中堅企業または大企業へ成長することが条件です。通常枠より条件は厳しいですが、その分支給額が高くなっているといえます。

<中堅企業の場合>
(「中堅企業」の定義は2021年1月末時点では未定で、公募要領等で提示される予定です)

  1. 通常枠 補助額:100万円~8,000万円、補助率:1/2(4,000万円超は1/3)
  2. グローバルV字回復枠 補助額:8,000万円超~1億円、補助率:1/2

②は100社限定。「コロナ以前の売上げより15%以上減少していること」「事業終了後、付加価値額の年率5.0%以上増加を達成すること」「グローバル展開を果たす事業であること」という3つの要件をすべて満たす中堅企業向けの特別枠です。

補助対象となる経費は、「建物費、建物改修費、設備費、システム購入費、外注費(加工、設計等)、研修費(教育訓練費等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)等」とされています。
「補助対象企業の従業員の人件費及び従業員の旅費」は補助対象外となるので注意しましょう。

この施策の公募開始は2021年3月となる見込みです。スケジュールを含めて未定部分も多いので、公式情報をこまめにチェックすることが大切でしょう。

各種団体や自治体でも様々な支援策を用意

これまで見てきた補助金のほか、各団体・自治体でも中小企業・小規模事業者の商品やサービスを応援するため、様々な支援策に取り組んでいます。その例をいくつかご紹介しましょう。

東京しごと財団では、「はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助事業)」として、東京都が実施するテレワーク導入に向けたコンサルティングを受けた企業等に対し、テレワーク環境の構築と就業規則へのテレワーク制度整備に対して補助するものです。
支給額は、テレワーク環境の構築は30万~100万円、就業規則へのテレワーク制度整備は10万円で、補助率はすべて10/10となっています(締切:2021年3月31日)。

福井県では、県内に本社のある中小製造業を対象に「新規取引先開拓支援補助金」として、海外の生産拠点や部材等調達先の分散化を検討する事業者を支援しています。対象となる経費は、分散化に向けて実施する現地確認・調査に要する旅費等で、限度額は30万円、補助率は1/2としています(締切:2021年3月31日)。

北海道では「北海道異業種チャレンジ奨励金」を用意。新型コロナウイルス感染症の影響により、失業または離職した人が、介護や建設等人手不足が深刻な対象職種に異業種から正社員等として就職した場合、離職者および企業に奨励金が支給されます。
対象者を雇用した企業等への支給額は、一人あたり30万円です(締切:2021年3月31日)。

さらに、国の助成金に上乗せして補助をする自治体もあります。
例えば岐阜県では、国の働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)助成金の交付を受けた岐阜県内の中小企業事業主を対象に、100万円を上限に国と同額を給付。県内のテレワークに弾みがつくことが期待されます(締切:2021年3月31日)。

これらの例は、あくまで一例です。
エリアや業種等対象が限定されてしまう補助金もありますが、ポストコロナ・ウィズコロナの時代に対応するために活かせる補助金があるかもしれません。
本稿を参考に、ぜひ補助金の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

(記事提供元:株式会社プレジデント社 企画編集部)

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