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中小企業が設備投資に使える助成金・補助金は?(2020年版)

掲載日:2020年7月3日事業戦略

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事業発展のため、設備投資は実施したほうがいいと分かっていても、コストと手間がかかってできない・・・とお悩みではありませんか? そんな時に有効活用できるのが、国や地方自治体などが提供している補助金や助成金です。
補助金・助成金は、申請した企業の活動が、公共の利益に直接または間接的に貢献していると認められた時に支給され、返金の義務はありません。その種類は年間で3,000~5,000にものぼり、この中には創業や起業、研究開発だけでなく、人材雇用、生産性向上、環境対策、経営改善など様々な目的に使えるものが揃っています。
本稿では、補助金や助成金のメリット、デメリットを整理したうえで、中小企業にとって後回しになりやすい設備投資に活用できる代表的な補助金・助成金をご紹介します。

補助金と助成金の違いとは

補助金と助成金、この2つにはどのような違いがあるのでしょうか。

補助金とは、主に起業促進や産業振興を目的とした経済産業省や地方自治体が管掌する支援金です。一方、助成金は、雇用促進や能力向上を目的とする場合に活用できる支援金で、厚生労働省が管掌しています。
どちらも、支給側が進める施策の目的に合った取り組みに対して、返済不要で資金が提供される仕組みになっています。国または地方自治体から支給されるので、公的支援金に分類されます。

ただし、この2つは財源・募集の時期・採択ハードルに大きな違いがあります。
補助金の場合は税金が主な財源ですが、助成金は雇用保険料が財源となります。したがって、助成金を利用できる企業は雇用保険適用事業者に限られます。
また、補助金は年に1〜3回程度の公募が行われますが、公募期間はあまり長く設定されていないため、短期間で申請する必要があります。予算や採択件数にも限りがあるので、申請して必ずもらえるというものではなく、申込件数が増えるほど倍率は上がります。そのうえ、事業計画の優秀さを示してようやく受給されるため、採択率も低くなるようです。
一方、助成金は随時募集を行っていますが、「予算がなくなり次第終了」となりますので、早い者勝ちという点は否めません。審査も、どちらかといえば形式的で、一定条件を満たせば採択されることが多いようです。

補助金・助成金のメリット・デメリット

補助金や助成金のメリットと言えば、「返済不要」という言葉が即座に出てきますが、それだけではありません。
他にどのようなメリットがあるのか、整理してみましょう。

<メリット>

  • 返済が不要
    まず、最大のメリットは何といっても「基本的に返済しなくてよい」ということでしょう。
    ただし、あくまで「基本的に」という点に注意しましょう。中小企業庁が支給する創業補助金など、一部の補助金には返済義務がある場合もあります。補助金を探したり申請したりするときは、返済義務があるかどうかを調べておくと良いでしょう。
  • 雑収入扱いができる
    補助金・助成金は、ともに会計処理上では「雑収入」として扱えます。
    本来、雑収入は営業活動外の少額収入で、重要性が低いものを計上するときに使用する項目です。補助金・助成金は多額になるケースがほとんどですが、単発で継続性のない点で雑収入計上が認められています。
    入金までは未収とし、入金があった時点で未収入金を雑収入に振り替えます。
  • 事業拡大がしやすい
    融資や借入の条件の範囲内であれば、補助金・助成金の使い道はある程度自由です。資金が増えれば、見送っていた人材採用をしたり、設備投資をしたりすることもできます。補助金・助成金は、長期的には事業の成長につながり、事業拡大を見込むことができる投資にもなるのです。
  • 企業の信頼度を示し、公的融資が受けやすくなる
    補助金や助成金を受給するには、経済産業省、厚生労働省の認可を受けるために様々な書類作成や手続きが必要になります。特に、公共の利益を掲げる補助金は、助成金に比べて受給ハードルが高く受理されない場合さえあります。
    補助金・助成金を受け取れるということは、財源となる税金等を支払っていること、こうした手続きに慣れているといった間接的証拠となり、それは企業の信頼度を高めることにつながるようです。
    また助成金の受給は、労務環境整備の証でもあります。国に労務環境の質を認められると、公的な融資も受けやすくなるメリットがあります。

補助金・助成金には、メリットだけなくデメリットもあります。補助金・助成金を申請するにあたり、以下のような不便さがあることは理解しておきましょう。

<デメリット>

  • 受給までに手間と時間がかかる
    不正な受給を防ぐため、補助金・助成金の受給要件は難しくなっています。申請に必要な専門知識、書類作成ほか、審査を受ける時間も発生するので、手間も時間もかかります。
    助成金については、改正した就業規則、労使協定の提出を求められる場合もあります。申請期限までに全ての書類を作成し、不備のない状態で提出しなければならないため、申請できるレベルまで環境を整えることに時間とコストがかかる例も見られます。長ければ取得までに一年を要する場合もあることを、充分理解しておきましょう。
  • 入金までに時間がかかる
    補助金・助成金共に、申請してからすぐ入金されるものではありません。
    補助金は原則、後払いです。申請後、受給要件を満たすかどうかの審査が行われ、採択されれば入金されます。また、補助金は、入金前に自社の資金を支出しなければなりません。総額300万円で、補助金100万円を得た場合でも、先に300万円を入金することになるので、注意が必要です。
    助成金も、要件を満たし、かつ一定期間にわたって労務環境を維持できて初めて支給されます。維持期間は短ければ3カ月、長いものでは半年が想定されます。
    補助金や助成金は雑収入で計上できるとはいえ、あくまでも事業の発展のため使用するものです。資金調達のアテにするのはそもそも間違いであり、同時に危険性もはらみます。
  • 法人税がかかる
    補助金・助成金は、ともに法人税の課税対象です。
    特に補助金は、「経費補助金」か「施設補助金」に分類され、いずれの場合も法人税が課されます。
    例えば、補助金で固定資産を購入すると、そのお金は施設補助金に分類されます。この項目は税金の繰延処理ができるので、会計処理の取り扱いには注意が必要です。
  • 期限を過ぎると受給できない
    補助金・助成金には申請期限が定められていて、一日でも期日を過ぎると受給できません。活用できそうな補助金・助成金を見つけたら、余裕のあるスケジュールを立てなければなりません。補助金については、応募期間が1カ月というものも少なくないからです。
    多くの場合、申請に何種類も書類を用意しなければならず、不備なく申請できるようにするためにも、しっかり準備の時間を取ることが望ましいとされます。

中小企業が設備投資に活用できる代表的な補助金・助成金

補助金・助成金の支給は、都道府県等の地方自治体のほか独立行政法人も実施しており、合計するとその年間募集数は5,000種類以上とも言われています。
ここでは、政府が実施する補助金・助成金の中でも、特に「中小企業が設備投資を図る際に使える」補助金・助成金について、代表的なものをご紹介します。

  • ものづくり補助金
    新製品開発のための製造機器購入やシステム構築など、中小企業が実施する設備投資にかかる費用を補助するもので、機械装置費、技術導入費、専門家経費、運搬費とクラウド利用費等が補助対象となります。
  • IT導入補助金
    生産性の向上につながる様々なITツール(ソフトウェア・サービス等)の導入を補助するものですが、2020年においては「バックオフィス業務の効率化や新たな顧客獲得などのためのITツールの導入」を主な目的としています。
    特に中小企業においては、今後の相次ぐ制度変更に伴い生産性向上を継続的に支援する必要があり、その意味でもITツールの導入は様々な業務で需要が高まると見込まれています。
  • 業務改善助成金
    業務改善助成金は、生産性を上げるために設備投資を行い、かつ事業場内の最低賃金を一定額以上アップさせた時に設備投資にかかった費用の一部を支援するものです。例えば、POSレジシステムを導入して在庫管理の短縮化を進める場合や、顧客・在庫・帳票管理システム導入による業務の効率化を図る場合なども対象となります
  • 人材確保等支援助成金(設備改善等支援コース)
    人材確保等支援助成金には複数のコースが設けられていますが、中でも「設備改善等支援コース」は、生産性向上に役立つ設備を導入することにより、賃金アップ等の雇用管理改善と生産性向上を図る企業を支援するものです。企業がICT化や自動化装置などハード面を整備することにより、生産性の向上を図る場合の設備等が対象となります。
  • 時間外労働等改善助成金
    2020年4月から中小企業にも「時間外労働の上限規制」が適用されます。この流れを受け、「時間外労働等改善助成金」では長時間労働の見直しのために労働時間の短縮に取り組む中小企業を支援します。

その他にも、「受動喫煙防止対策助成金」をはじめ、中小企業が受けられる補助金・助成金はたくさんあります。国だけでなく地方自治体が運営するものも含め、「ミラサポ」で検索することができますので、自社の目的に応じて適切な補助金・助成金を検討してみましょう。

おわりに

補助金・助成金は、それぞれ受給条件や申し込み期限が異なるため、間に合わなかったということがないように、最新情報をつねに把握できるようにしましょう。
特に補助金は、受給するために厳しい審査を受けなければなりません。「書類のまとめ方が分からない」「用意するための時間がない」などと手が止まってしまわないよう、専門家の知恵を借りるのが得策です。
例えば、IT導入補助金には、申請の補助事業を行う「IT導入支援事業者」という存在があります。事前登録を済ませた事業者だけがIT導入支援事業者となることができ、交付申請は支援事業者を通過させることが前提とされています。

中小企業にとって設備投資は、必要性を感じながらも中々投資に踏み切れないジレンマをもちやすいものです。そんなときこそ、補助金・助成金が有効と考えられます。「IT導入支援事業者」のような採択スペシャリストのサポートを受けつつ、事業に合わせた補助金・助成金活用計画を立ててみてはいかがでしょうか。

本コンテンツは株式会社オービックビジネスコンサルタントが運営するサイト「OBC360°(https://www.obc.co.jp/360)」内の記事「中小企業が設備投資に使える助成金・補助金(2020年版)(https://www.obc.co.jp/360/list/post107)」を一部加筆・変更したものです。

上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。

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