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キャッシュフロー計算書とは?記載する項目と作り方の基本手順

掲載日:2024年4月26日 法人口座開設準備

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キャッシュフロー計算書は、企業のお金(キャッシュ)の流れ(フロー)を把握するうえで重要な書類です。経営者が自社の経営状態を把握して今後の施策を考える際や、金融機関や調査機関といった第三者が企業の健全性や価値を評価する際に用いられます。

本稿ではキャッシュフローおよびキャッシュフロー計算書の概要に触れたうえで、キャッシュフロー計算書の内容や必要性、作成方法について解説します。

キャッシュフローとは

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キャッシュフローとは「企業におけるお金(キャッシュ)の流れ(フロー)」を意味します。貸借対照表(BS)や損益計算書(PL)でも企業のお金の流れをある程度は把握できますが、必ずしも企業のキャッシュの状態や動きを表しているわけではありません。会計上の売上や費用を計上するタイミングは、キャッシュの出入りと一致しないことがあるからです。

例えば、「既に売上を計上しているものの、取引先から売上金が回収できておらず、手元のキャッシュが足りなくなる」といったケースは十分あり得ます。企業の資金管理を適切に行うためには、会計上の儲けだけではなく、キャッシュフローを把握することが重要です。

キャッシュフローについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。

キャッシュフローとは?計算方法や分析する際の考え方を解説

キャッシュフロー計算書とは

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ここからは、キャッシュフローを表す代表的な書類である「キャッシュフロー計算書」について詳しく見ていきましょう。

キャッシュフロー計算書の概要

キャッシュフロー計算書は、企業のキャッシュの増減を表すための書類です。この書類を作成することで、「企業のキャッシュがどのような要因で増減したのか」を把握できます。貸借対照表・損益計算書ではこのような情報は得られないため、キャッシュフロー計算書はこれらの書類を補う重要な役割を果たしています。

キャッシュフロー計算書は、経営者が自社の経営や資金の状態を把握する場合や、金融機関・投資家や調査会社などの第三者が企業価値を評価する際の指標として用いられます。貸借対照表・損益計算書と並んで「財務三表」とも呼ばれる重要な財務諸表の一つです。

貸借対照表(BS)との違い

貸借対照表は、決算日における資産、負債、純資産(株主から調達した資金など)の「残高」を記した書類です。つまり「ある時点での企業の財政状態を表す書類」と言えるでしょう。貸借対照表の左側には資産、右側には負債と純資産が記され、左右の合計額は常に一致するため「バランスシート(Balance Sheet)」とも呼ばれます。

貸借対照表はあくまで「決算日時点」の各残高が記録されたものです。キャッシュ(現金・預金など)を表す項目はありますが、会計期間中にどのような要因で増減したのかは分かりません。キャッシュフロー計算書では、貸借対照表では把握しきれないキャッシュの動きが可視化できるのです。

損益計算書(PL)との違い

損益計算書は、会計期間中の収益から費用を差し引いた「利益・損失」を計算した書類です。「一定期間における企業の経営成績を表す書類」とも言えます。損益計算書では、売掛金や買掛金のように、実際に入出金が発生していないものも収益・費用として認識します。

一方でキャッシュフロー計算書では入出金が発生していないものは計上しないので、実際のキャッシュの増減が把握可能です。なお後述する営業キャッシュフローでは、損益計算書の項目を基にキャッシュフローを導き出す方法(間接法)もあります。

キャッシュフロー計算書に記載する項目・3つの要素

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キャッシュフロー計算書に記載する項目には大きく分けて以下3つの要素があります。それぞれの要素と記載する主な項目は下表の通りです。

キャッシュフロー計算書の要素 記載する項目
営業キャッシュフロー
  • 営業における現金収入
  • 原材料または商品の仕入における現金支出
  • 従業員への給与・賞与支払に伴う現金支出
  • 広告・販促活動における現金支出
    • *直接法の場合
投資キャッシュフロー
  • 固定資産の取得・売却
  • 投資有価証券の取得・売却
  • 定期預金の純増減額(預入期間が3ヵ月を超えるもの)
財務キャッシュフロー
  • 短期・長期借入の増減額
  • 資本金の増減額
  • 配当金の支払における現金支出

このようにキャッシュフロー計算書に記載されるキャッシュフローには「営業キャッシュフロー」「投資キャッシュフロー」「財務キャッシュフロー」の3種類があります。それぞれの定義や項目、分析にあたっての考え方について見ていきましょう。

営業キャッシュフロー

営業キャッシュフローとは、企業の営業活動、つまり本業におけるキャッシュの増減を表すものです。営業キャッシュフローの計算方法には「直接法」と「間接法」があります。

直接法では、営業キャッシュフローの増減に関わる項目を足し引きして計算します。間接法は、損益計算書の当期純利益から、営業活動に関係のない項目や現金収支が発生しない項目を加減して計算する方法です。

営業キャッシュフローの総額はどちらを選んでも同じ結果になります。作成方法は企業が任意で選べますが、作成の手間が少ない間接法を選択する企業が大半です。

キャッシュフロー計算書ではそれぞれ以下のような項目が内訳として記載されます。

直接法 間接法
  • 営業における現金収入
  • 原材料または商品の仕入における現金支出
  • 減価償却費
  • 貸倒引当金の増減額
  • 従業員への給与・賞与支払に伴う現金支出
  • 広告・販促活動における現金支出
  • 受取利息など営業外収益
  • リース資産の支払利息などを含む営業外費用
  • 固定資産売却益などの特別利益
  • 固定資産売却損などの特別損失
  • 前払費用や未払費用の増減額
  • 売掛金や受取手形の増減額
  • 棚卸資産や買掛金、支払手形の増減額

営業キャッシュフローがプラスの場合、本業における現金収入で仕入や経費などの現金支出をまかなえている状態です。本業の状態が良く、キャッシュ獲得にもつながっていると判断できます。

一方で営業キャッシュフローがマイナスの場合は、本業の現金収入以上にキャッシュが流出していることを意味します。営業キャッシュフローのマイナスが続くと、事業資金が不足して経営が立ち行かなくなる可能性もあります。そのため、マイナスの要因を特定したうえで状況に応じた対策をすることが重要です。

例えば、新規事業の展開や事業規模の拡大に伴い仕入や人件費が増えているのであれば、マイナスは一時的なもので、将来的にはキャッシュフローの改善が期待できる可能性があります。しかし売上金の回収が滞っているような状況であれば、売掛金管理を徹底するなど資金繰りを改善させる対策が必要です。

投資キャッシュフロー

投資キャッシュフローとは、設備投資や資産運用など、企業の成長を促すような投資活動におけるキャッシュの増減です。投資キャッシュフローでは以下のような項目を足し引きして総額を計算します。

  • 固定資産の取得・売却
  • 投資有価証券の取得・売却
  • 定期預金の純増減額(預入期間が3ヵ月を超えるもの)

投資キャッシュフローがプラスの場合、設備投資などによる現金支出より、固定資産の売却などで得られる現金収入の方が多いことを意味します。資産を売却することで一時的に投資キャッシュフローがプラスになることはあり、これは一見良いことのように見えます。

ただし、その理由が資金繰りを改善させるための手段であれば、営業キャッシュフローの改善など根本的な対策が必要です。

一方で投資キャッシュフローがマイナスの場合、企業が積極的に投資活動を行っていることを意味します。その投資が企業の成長につながり将来的に営業キャッシュフローのプラスに反映されるのであれば、良い状況と言えるでしょう。このように投資キャッシュフローを分析する際は、他のキャッシュフローの状況も踏まえて判断することが必要です。

財務キャッシュフロー

財務キャッシュフローは、企業の資金調達(融資や出資など)におけるキャッシュの増減を表すものです。財務キャッシュフローでは以下の項目を加減して総額を計算します。

  • 短期・長期借入の増減額
  • 資本金の増減額
  • 配当金の支払における現金支出

財務キャッシュフローのプラスは、融資や出資などによる現金収入が、借入金の返済額や配当金の支払などによる現金支出を上回っている状況です。

財務キャッシュフローがプラスの場合、資金調達に成功していることを意味しますが、営業キャッシュフローがマイナスで資金繰り悪化を解消するための調達であれば、良い状況とは言えません。しかし営業キャッシュフローもプラスで、将来の投資のために積極的に資金調達をしているのであれば企業の成長につながる可能性があります。

一方で財務キャッシュフローがマイナスの場合も、必ずしも悪い状況とは限りません。例えば営業キャッシュフローで十分キャッシュを稼げており、順調に借入金の返済や配当が行えている場合は良い状況と言えるでしょう。財務キャッシュフローでも、営業キャッシュフローや投資キャッシュフローを踏まえて状況を見極めることが大切です。

キャッシュフロー計算書を作成する必要性

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キャッシュフロー計算書は経営者や金融機関・投資家などが企業の経営状態を把握するために必要な指標です。主に次のような場面で多く用いられます。

資金繰りの悪化を防ぐため

キャッシュフロー計算書を作ることで、手元の資金が不足しないよう資金繰りを意識しながら経営しやすくなります。

資金繰りの悪化は、会計上の利益が出ているものの、直近の支払に必要な資金が足りずに起こる「黒字倒産」につながりかねないので注意が必要です。キャッシュフロー計算書で企業のキャッシュの状態を把握できれば、このようなリスクにも対処しやすくなるでしょう。

なおキャッシュフロー計算書は会計期間中のキャッシュの増減要因を把握するためのもので、将来の資金繰りを予測するものではありません。資金繰りの悪化を防ぐためには、日単位・月単位などで将来の資金繰りを予測する「資金繰り表」も併せて用いるとより効果的でしょう。

経営の健全性を評価するため

自社の経営の健全性を把握するためにも、キャッシュフロー計算書は重要な役割を果たします。前述の通り、キャッシュフロー計算書は「営業キャッシュフロー」「投資キャッシュフロー」「財務キャッシュフロー」の3つに分かれているので、それぞれにおけるキャッシュの増減要因を詳細に把握するために効果的です。

これらの分析結果を基に「設備投資に力を入れるべき状況か」「まずは営業キャッシュフローの改善を優先すべきか」といった経営判断を適切に行うための判断材料として活用できます。

金融機関・投資家からの信用力を強化するため

キャッシュフロー計算書は、金融機関・投資家などの第三者が企業の信用力や価値を評価するためにも用いられます。キャッシュフロー計算書を継続的に作成し、その内容が良好になるよう努めることで、金融機関・投資家からの信用を獲得することが可能です。

金融機関から融資を受ける際、キャッシュフローが良好な企業であれば返済が滞るリスクは少なくなるため、審査で好材料になることが期待できます。また投資家は企業の価値や成長力に対して出資する傾向があり、キャッシュフローが良好な企業ほど出資を受けやすくなるでしょう。

キャッシュフロー計算書の作り方・基本手順

最後にキャッシュフロー計算書の基本的な作り方について見ていきましょう。主な手順は以下の通りです。

  1. 1.全取引の仕訳を行い、総勘定元帳を作る
  2. 2.貸借対照表と損益計算書を作る
  3. 3.キャッシュフローの種類ごとに項目を分類する
  4. 4.キャッシュフロー計算書にまとめる

キャッシュフロー計算書は、主に貸借対照表と損益計算書の情報から作成します。そして貸借対照表と損益計算書は、仕訳(取引からどの勘定が増減したかを把握する手続き)を行い、勘定科目ごとの金額を集約した総勘定元帳から作成されるものです。

まずは全取引の仕訳を行い、貸借対照表と損益計算書を作るために必要な書類(総勘定元帳など)を準備しましょう。そのうえで貸借対照表と損益計算書を作成します。既に貸借対照表と損益計算書を作っている企業であれば、普段通りの手順でこれらの書類を作成して問題ありません。

貸借対照表と損益計算書が完成したら、前述した3つのキャッシュフローごとに必要な項目をピックアップして分類します。なお、営業キャッシュフローを直接法で作成する場合や固定資産・有価証券の取引によるキャッシュの増減がある場合は、総勘定元帳など、貸借対照表と損益計算書以外の書類も用いて作成します。最後にキャッシュフロー計算書に各項目の金額を転記すれば完了です。

キャッシュフロー計算書の作成は、表計算シートを基に手作業で作ると手間がかかりますが、キャッシュフロー計算の自動作成に対応した会計ソフトを使えば、効率的に作成できるでしょう。

まとめ

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キャッシュフロー計算書は、企業の経営状態の把握や資金管理を行ううえで重要な書類です。キャッシュフローを意識することで、会計上の利益だけではなく、企業のキャッシュの動きやその要因を把握して適切に対処できるので、経営の健全性向上や、金融機関・投資家からの信用力強化にもつながります。

企業のキャッシュの動きを正確・効率的に管理するには、法人名義の銀行口座があると便利です。会計ソフトを使ってキャッシュフロー計算書を作る場合も、法人専用の銀行口座があれば事業用の入出金だけを連携できます。

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口座開設(法人のお客さま)

(記事提供元:株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ)

  • *本稿に含まれる情報の正確性、確実性あるいは完結性をみずほ銀行が表明するものではありません。
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