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VC(ベンチャーキャピタル)とは?スタートアップにとってのメリットと注意点を紹介

掲載日:2025年7月1日起業準備

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スタートアップにとって、VC(ベンチャーキャピタル)との出会いは、事業の将来に大きな影響を与える機会となるかもしれません。

VCは、資金の投資だけでなく、ビジネスの知識や経験、豊富な人脈を通じてビジネスの成長をサポートしてくれます。そのため、VCとの出会いにより、スタートアップの事業を効率的に拡大できる可能性があります。実際、日本でも、多くのスタートアップがVCとの出会いをきっかけに急成長を遂げています。

本記事では、VCがスタートアップに与える影響や種類によるビジネスモデルの違い等を分かりやすく紹介します。

VC(ベンチャーキャピタル)とは

VCは「ベンチャーキャピタル」の略称で、将来の飛躍が期待される急成長中のスタートアップに対して、資金を提供する投資ビジネスのことです。

なお、スタートアップは、起業したばかりの企業を意味するわけではありません。革新的なアイデアや技術で新しいビジネスを構築し、急成長を遂げている会社をスタートアップといいます。

VC(ベンチャーキャピタル)には主に二つの側面があります。

一つ目は、スタートアップの将来性を見込んで、将来発行される潜在株式も含めた株式を取得し、その売却によりリターンを得るアグレッシブな投資家としての側面です。二つ目は、投資したスタートアップの企業価値を高めるため、経営相談やコンサルティング等の事業サポートを行うビジネスパートナーとしての側面です。

つまり、VCは投資先のスタートアップに対して資金と支援の両面でサポートを行い、確実に成長させることで利益を得るビジネスモデルとなっています。

VC(ベンチャーキャピタル)から投資を受けるメリット

スタートアップがVC(ベンチャーキャピタル)から投資を受けることで、主に次のようなメリットが想定されます。

  • 資金調達がしやすい
  • 資金の返済義務がない
  • VCから経営のアドバイスやサポートを受けられる
  • ビジネスのネットワークが広がる

それでは、それぞれのメリットを詳しく紹介します。

資金調達がしやすい

VCから投資を受けると、スタートアップとしてVCに評価を受けた事実が、社会的な評価や信用の向上につながると考えられます。

VCからの投資が、金融機関からの融資も受けるチャンスを広げる、他のVCにも認識されて新たに投資を受けるチャンスが広がる等、資金調達が容易になる可能性があります。

資金の返済義務がない

VCからの出資金は、一般的な融資とは異なり、返済の義務がありません。VCからの出資金はエクイティファイナンスにあたります。スタートアップが株式を発行する対価として資金を提供しているため、VCからの資金は返済不要となります。

そのため、VCから資金の提供を受けても、スタートアップは返済の負担を感じることなく、VCからの経営サポートを受けながらビジネスの成長に集中できるでしょう。

エクイティファイナンスとデットファイナンスの違い

VCのように「株式発行の対価により返済義務のない資金提供を受けること」をエクイティファイナンスと呼ぶのに対し、「金融機関からの融資等で負債を増やす資金調達法」をデットファイナンスと呼びます。

なお、デットファイナンスには、資金の返済義務があります。

VCから経営のアドバイスやサポート受けられる

VCはビジネスの運営や経営のノウハウに精通しています。VCから投資を受ければ、スタートアップは事業の成長に役立つ適切なアドバイスやビジネスサポートを受けられるでしょう。

スタートアップへの投資は、VCにとって不確実でリスクの高い投資です。そのため、スタートアップへの手厚い支援は、一定期間のうちに事業で成果を上げてもらい、VCが利益を得るためでもあります。

ビジネスのネットワークが広がる

VCは、多くの企業や投資家等と広い人脈ネットワークを持っています。

VCの持つ人脈を軸に、新たなビジネスチャンスの獲得、市場での認知度アップ、事業の成長や拡大へつながると期待されます。

VC(ベンチャーキャピタル)から投資を受ける際の注意点

VC(ベンチャーキャピタル)から投資を受けるには多くのメリットがある一方で、以下のような把握しておきたい注意点もあります。

  • 経営に介入される可能性がある
  • 自社の持ち株比率が下がる
  • 早期の成果を求められる

経営に介入される可能性がある

VCから投資を受けると、事業の運営やマネジメント等に対する専門家による支援、いわゆる「ハンズオン支援」が実施されます。積極的なハンズオン支援は、スタートアップの事業成功がVCの利益につながるためです。

ビジネスに精通した専門家による支援は、スタートアップにとってプラスとなる可能性が高い一方、場合によっては経営の主導権を握られる等の状況も考えられます。

VCから投資を受けるにあたっては、自社の事業計画や経営方針を共有のうえ、あらかじめ投資契約を結ぶと良いでしょう。

投資契約を結ぶ際はVC側に有利すぎる契約になっていないか確認することが重要です。また、中立の立場にあるアドバイザーを擁する、VCとの交渉術も身につける等、いざというときの備えがあると安心です。

自社の持ち株比率が下がる

VCは出資の対価として、スタートアップから新たな株式を取得します。そのため、スタートアップ経営陣の持ち株比率が下がる可能性もあります。

経営陣の持ち株比率が低下すれば、スタートアップの経営権等に影響を及ぼす恐れがあるほか、事業の成功に伴ってVCが大量の株式を売却すると株価が下落することも想定されます。

VCと契約する前に、新株の発行価格や出資比率等で自社に不利とならないように、投資条件は慎重に交渉しましょう。

早期の成果を求められる

VCは投資の成果を得るまでに一定の期限を設けていることが一般的です。その結果、IPOの達成やM&Aによる売却等として、スタートアップに早期の成果を求めることもあります。

スタートアップは、VCから出資やビジネスへの手厚い支援を受けているため、期待に応える必要があります。そのため、VCの定める期限までに思うような実績を出せず、投資計画の見直しで双方の意見が対立する可能性もあるでしょう。

また、当初期待していた成果を出せないと判断されれば、VCが投資から撤退する恐れもあります。

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VC(ベンチャーキャピタル)の主な種類

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現在、日本には様々な種類のVC(ベンチャーキャピタル)が存在します。ひと口にVCと言っても、運営主体や投資に対する考え方、どのようなスタートアップに投資するか等に違いがみられます。

そこで、代表的なVCの種類と特徴を簡単に紹介します。

独立系ベンチャーキャピタル

近年、日本では独立系ベンチャーキャピタルが増加しています。

独立系ベンチャーキャピタルは、特定の親会社や企業グループに属さず、独自の資本で運営されているVCです。企業と企業のしがらみや関係性にとらわれず、中立的な立場からスタートアップを独自に評価し、出資を決めます。

  • 独立系ベンチャーキャピタルの一例
    日本ベンチャーキャピタル、ジャフコグループ、グローバル・ブレイン等

金融系ベンチャーキャピタル

日本のVCで最も歴史が長く数も多いのが、金融系ベンチャーキャピタルです。銀行や証券会社、保険会社等の金融機関が母体となって設立されています。

高い資金力を持つ金融機関によるVCのため、多額の投資を要するスタートアップも対象となります。また、創業間もないシード・アーリーからIPO目前のミドル・レイターまで、成長ステージを問わず支援するVCが多いのも特徴です。

  • 金融系ベンチャーキャピタルの一例
    SBIインベストメント(SBIグループ)、ニッセイキャピタル(日本生命グループ)、みずほキャピタル(みずほフィナンシャルグループ)、三菱UFJキャピタル(三菱UFJフィナンシャルグループ)、DBJキャピタル(日本政策投資銀行グループ)等

企業系ベンチャーキャピタル

日本のVCは、独立系、金融系に次いで、企業系ベンチャーキャピタルが多くなっています。

企業系ベンチャーキャピタルは「CVC(Corporate Venture Capital)」とも呼ばれることが多く、自社の事業に関連性のある専門的な知識や技術を提供する等、スタートアップとの事業連携を得意とするVCです。

スタートアップへの投資を通じて、自社にはないビジョンやアイデアを得て事業の成長につなげる目的があります。

  • 企業系ベンチャーキャピタルの一例
    伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、サイバーエージェントベンチャーズ、NTTドコモベンチャーズ、GREE Ventures等

大学系ベンチャーキャピタル

大学系ベンチャーキャピタルは、東大IPCのように大学の出資によるVCのほか、大学での研究成果や人的資源をいかした事業への投資を行うVCがあります。大学での研究に基づいた最先端の技術やアイデアを産業創出や社会実装につなげる、大学を卒業した優秀な人材を活用する等の目的があります。

  • 大学系ベンチャーキャピタルの一例
    東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)、東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)、大阪大学ベンチャーキャピタル、東北大学ベンチャーパートナーズ、京都大学イノベーションキャピタル、慶應イノベーションイニシアティブ(KII)等

政府系ベンチャーキャピタル

そもそも日本のVCの歴史は、民間に先がけて、中小企業の事業支援を目的とした政府系ベンチャーキャピタルからスタートしています。現在は、国や地方公共団体が運営主体となったVC全般を政府系ベンチャーキャピタルとしており、公的資金から出資する特徴があります。

民間のVCのような利益追求型の投資とは異なり、国内産業の維持や技術確保を重視した投資を行っています。

  • 政府系ベンチャーキャピタルの一例
    日本政策投資銀行系のDBJキャピタル、地域経済の再生を目的とした地域経済活性化支援機構REVIC、産業革新投資機構JIC、クールジャパン機構(海外需要開拓支援機構)等

地域特化型ベンチャーキャピタル

地域特化型ベンチャーキャピタルは、特定の地域に所在する企業に出資するVCです。高い技術や経験を有する地元企業等に限定し、特定の地域に根差したビジネスの成長を重視する点が他のVCと異なります。

  • 地域特化型ベンチャーキャピタルの一例
    東北イノベーションキャピタル、新潟ベンチャーキャピタル、北海道ベンチャーキャピタル、DOGAN β、ハックベンチャーズ等

海外系ベンチャーキャピタル

海外系ベンチャーキャピタルとは、外資系企業を親会社に持つVCです。国内のVCと比べると投資規模が大きく、合理性を追求する傾向があります。最近は、海外系ベンチャーキャピタルによる日本のスタートアップへの投資が増加しています。

  • 海外系ベンチャーキャピタルの一例
    Coral Capital、500 Startups Japan等

VC(ベンチャーキャピタル)から投資を受けるには?

いくつかの注意点はあるものの、これから事業の拡大をめざすスタートアップにとって、VC(ベンチャーキャピタル)からの投資は大きなビジネスチャンスとなります。

ここでは、スタートアップがVCから投資を受ける機会を得るにはどうすればいいか、具体的な方法を紹介します。

ビジネスモデルのブラッシュアップを図る

VCには、新しいビジネスの創造を達成する意図もあるため、投資先を選ぶ際には、独自の視点を持つ魅力的なビジネスが重視されます。しかし、どんなに革新的なアイデアも、市場での成長に懸念があれば投資先として敬遠される可能性もあります。

VCから選ばれるには、事業の魅力や将来性を示すことが大切です。現状または今後の課題を提示し、その解決策までを考える等、事業の明確化やビジネスモデルのブラッシュアップを図りましょう。独自性の高いビジネスとしてアピールできるように、競合他社との差別化を意識してオリジナリティを出すことも重要です。

また、アイデアにとどまらず、例えば量産化の前にプロトタイプ(試作品)で市場の反応を確かめる等、積極的な行動で事業をアピールするのもおすすめです。

具体的な事業計画を立てる

事業の内容やビジネスの展望を示す事業計画は、VCがスタートアップの事業を理解し、将来性を判断する重要な資料となります。スタートアップの事業と市場の需要がマッチするか等、具体的なデータや数値を基に記すことが大切です。

中でも、特に重要となるのが財務指標の実績と見込みです。将来の見込み収益は、どのような戦略でどんな課題を解消すれば達成するのか、道筋までを示した定量的・定性的に説明しましょう。高い経営目標にチャレンジする姿勢や熱意を伝えることは大切ですが、実現の可能性を感じる具体的な内容であるべきです。

関連記事:「事業計画書とは?主な記載項目と書き方のポイントを分かりやすく解説!」

VCと出会うチャンスを増やす

斬新なビジネスアイデアや入念に練られた事業計画も、VCの目に触れなければ投資を受ける機会を得られません。VCとコンタクトを取るには、例えば次のように、自らチャンスを増やす努力も必要です。

  • 知人やビジネス上の人脈を使う
  • VCが主催するイベントやビジネスコンテストに参加する

さらに、コンタクトを取るだけではなく、VCに投資したいと思わせるプレゼン力や交渉力を日頃から身につけておくと良いでしょう。

法人口座ならスタートアップの創業期を支えるみずほ銀行がおすすめ

VCからの投資を受けるには、創業期のシードステージにあるスタートアップでも法人口座の準備が欠かせません。起業後はチャンスを逃さないように、法人口座を早めに開設しておきましょう。

法人口座の開設なら、創業期をサポートするサービスや特典を提供しているみずほ銀行がおすすめです。

全国47都道府県に支店があり、来店不要(ウェブ面談)で口座開設手続きが完結するため、忙しい創業期に本業に集中する体力を捻出することが可能です。法人口座を有していることは会社の信用力にも繋がり、事業理解を得やすくなるメリットが期待できるでしょう。

また、便利なインターネットバンキング「みずほビジネスWEB」、電子帳票に対応したみずほWEB帳票サービス、法人口座からのリアルタイム決済が可能なみずほビジネスデビットを無料付帯等、便利で役立つサービスを提供しています。

さらに、みずほ銀行では、スタートアップ企業を支援する会費無料の会員制サービス「M’s Salon」をご用意しており、必要不可欠な経営知識、事業遂行ノウハウ、ビジネス拡大機会、資金調達サポート等の提供によって、スタートアップ企業の成長をサポートします。

関連記事:「新設法人が法人口座を開設するメリットは?口座開設の流れやポイントも紹介」

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まとめ

VC(ベンチャーキャピタル)は、スタートアップへの投資によって新たな産業を創出するとともに、事業の成長により将来的なリターンを狙う投資家のことです。

VCからの投資では、返済義務のない出資を受けられるほか、豊富な経験や人脈を活用したビジネスサポートを受けられます。ただし、経営の主導権を握られる、一定期間で成果を上げることを追求される等の可能性に注意しましょう。

独立系、CVC、金融系、大学系等、運営主体により投資の狙いや得意分野に違いがあり、最近はVCの活動が盛んな海外から日本へ上陸する、海外系ベンチャーキャピタルも増えています。事業の将来性やオリジナリティを打ち出し、具体的な事業計画を立てることで、VCから投資を得るチャンスを広げましょう。

スタートアップの法人口座開設にはみずほ銀行がおすすめです。休日夜間いつでもお申込が可能で、原則として登記事項証明書・印鑑証明書の原本提出が不要です。

また、みずほ銀行は創業期をサポートする便利で役立つサービスや特典を提供していますので、ぜひ口座開設をご検討ください。

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監修者

安田 亮

安田 亮

  • 公認会計士
  • 税理士
  • 1級FP技能士

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

HP:https://www.yasuda-cpa-office.com/

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