スタートアップの資金調達方法は?主な種類やステージ別の戦略を解説
掲載日:2025年5月23日資金調達
スタートアップや成長をめざす企業にとって、事業を拡大するための資金調達は重要な課題の一つです。資金調達の手段は多岐にわたり、それぞれに特性やリスクが伴います。自社に最適な方法を選ぶためには、各手法のメリット・デメリットを理解し、事業フェーズや資金ニーズに応じた戦略を立てることが求められます。

目次
スタートアップにおける資金調達とは
資金調達とは、事業の成長を支えるために外部から資金を確保することを指します。単に運転資金を確保するだけでなく、市場展開や技術開発、人材採用等を加速させ、競争力を強化するための戦略的な手段でもあります。
スタートアップの成長段階と資金調達手法
スタートアップは、シード期・アーリー期・ミドル期・レイター期といった成長を経ながら事業を拡大していきます。それぞれのステージに応じて主な資金調達方法が異なるため、自社の状況に適した選択をすることが重要です。
以下の表は、スタートアップの各ステージと資金調達方法の概要です。
成長ステージ | 主な資金調達方法 |
---|---|
創業期(シード期) |
自己資金、エンジェル投資家、ベンチャーキャピタル(VC)、クラウドファンディング、助成金・補助金 |
成長期(アーリー期) |
ベンチャーキャピタル、銀行融資、事業会社からの出資、シリーズA資金調達 |
拡大期(ミドル・レイター期) |
シリーズB・C資金調達、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)、デットファイナンス等 |
成熟期(IPO準備期) |
IPO(新規株式公開)、プライベートエクイティ(PE)投資、大規模融資 |
- *各ステージの資金調達方法は、後半のセクションで詳しく解説します。
適切に資金調達をすることで、事業計画を実行し、持続的な成長につなげることができます。また、投資家や金融機関との信頼関係を構築し、次の成長フェーズに進むための基盤を整える役割も果たすでしょう。
スタートアップが利用できる主な資金調達方法
まず理解しておくべき重要な点は、スタートアップが活用できる主な資金調達方法です。ここでは、各資金調達の種類や仕組み、基本的な考え方に加え、それぞれのメリット・デメリット、実務上の留意点について詳しく解説します。
1. 融資による資金調達(デットファイナンス)
融資による資金調達とは、銀行や公的金融機関を通じて資金を借り入れる方法です。 スタートアップにおいては、初期投資や運転資金の確保が自己資金のみでは難しいケースが多いため、計画的なキャッシュフロー管理と無理のない返済計画の策定が重要となります。また、融資のお申し込みの際には、事業計画書や財務実績の提出を求められる場合があります。
融資による資金調達のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
株式の希薄化がなく、創業者の経営権を維持できる。 |
返済義務と金利負担が発生するため、事業の収益性が必要。 |
返済スケジュールが明確で、計画的なキャッシュフロー管理が可能。 |
審査が厳しく、詳細な事業計画や財務データの提出が求められる。 |
主な融資制度の例
スタートアップの創業期に利用できる融資制度には主にどのような選択肢があるでしょうか。 主な融資制度の特徴をご紹介します。
-
1.日本政策金融公庫の融資
- 低金利・長期返済の条件で融資を提供。
- 国の支援を受けた融資制度であり、創業期の企業も利用しやすい。
- 2.地方自治体の制度融資
- 信用保証協会の保証を活用した融資制度。
- 条件を満たせば、有利な金利での資金調達が可能。
- 地域ごとに異なるため、事前の確認が必要。
いずれの融資制度を利用する場合でも、事業の収益見通しや返済計画を十分に検討することが重要です。
2. 株式による資金調達(エクイティファイナンス)
株式による資金調達とは、企業が新株を発行し、投資家に取得してもらうことで資金を調達する方法を指します。一般的には普通株式の発行による調達が知られていますが、種類株式等、様々な手法が存在します。例えば、普通株式を特定の投資家に向けて新株を発行する「第三者割当増資」等の方法があります。また、優先株式や劣後株式を活用し、配当や議決権の条件を調整することで、企業の資本政策に応じた柔軟な資金調達を行うことも可能です。
このような資金調達手法は、企業の成長ステージや資本政策に応じた適切な選択が求められます。
特に、第三者割当増資では投資家との交渉や株式の希薄化、優先株や劣後株を活用する場合は配当や議決権の条件設定が課題となるため、慎重な検討が必要です。
株式による資金調達のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
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返済義務がなく、資金調達後のキャッシュフロー負担が少ない。 |
株式希薄化により、創業者の経営権が低下する可能性がある。 |
投資家からの経営支援やネットワークの活用が期待できる。 |
投資家との契約条件(評価額、Exit戦略等)により、柔軟な経営が難しくなる場合がある。 |
エクイティファイナンスの具体例
エクイティファイナンスには、投資家の種類や目的に応じた様々な形態があります。出資を受ける際は、各投資家の特性を理解し、事業の成長戦略に適した選択をすることが重要です。
・ベンチャーキャピタルからの出資
ベンチャーキャピタル(VC)は、成長が見込まれる企業に対し、出資を通じて資金を提供し、経営支援を行う投資機関です。 VCは、一定期間内でのIPO等のExitをめざすため、出資を受ける企業は、投資契約の条件(企業評価額、株式売却の制限等)を慎重に検討・交渉する必要があります。
・エンジェル投資家からの出資
エンジェル投資家は、創業初期の企業に対して比較的少額の出資を行い、経営支援や事業アドバイスを提供する個人投資家です。 VCと比べて、経営への関与が少ない場合もありますが、投資家によっては事業の方向性に影響を与えるケースもあるため、出資条件を慎重に検討することが重要です。
・コーポレートベンチャーキャピタルからの出資
コーポレートベンチャーキャピタルは、大手企業が自社の事業戦略に沿ってスタートアップに出資する投資ファンドです。 通常のVCと異なり、出資企業との業務提携や技術開発の機会を得られる可能性がある点が特徴です。
一方で、出資元の企業の事業方針や戦略に影響を受ける可能性があるため、スタートアップ側は事業の独立性を維持できるか慎重に検討する必要があります。
3. 資産を活用した資金調達(アセットファイナンス)
資産を活用した資金調達とは、企業が保有する不動産、機械設備、売掛債権、在庫等を担保にして資金を調達する方法です。一般的には、不動産担保融資や売掛債権を譲渡する「ファクタリング」等が知られています。
スタートアップの場合、保有資産が限られるため、売掛債権や知的財産(IP)を活用した資金調達が選択肢の一つとなります。例えば、売掛債権を譲渡して資金を確保する「ファクタリング」、特許や商標を担保にする「知的財産担保融資」、事業用設備をリースに切り替える「セール・アンド・リースバック」等の方法があります。
これらの手法は、自己資本を維持しながら資金調達できる点がメリットですが、資産価値の変動や契約条件によっては、追加担保の提供や早期返済が求められるリスクがあるため、慎重な検討が必要です。
資産を活用した資金調達のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
担保があるため、低金利で安定した資金調達ができることが多い。 |
担保評価が必要で、評価額が低いと希望する資金調達額に届かない可能性がある。 |
担保活用により、融資条件が柔軟になる場合がある。 |
資産価値の下落により、追加担保を求められるリスクがある。 |
アセットファイナンスの活用ポイント
アセットファイナンスを利用する際は、まず担保となる資産の正確な評価が不可欠です。市場価値が安定している資産であれば、低金利での融資が受けやすく、資金繰りの安定につながる可能性があります。
一方で、担保価値の変動リスクを考慮し、返済計画や市場動向に応じた適切な資金戦略を構築することが求められます。
4. 補助金・助成金
補助金や助成金は、国や地方自治体が特定の政策目的(技術開発、雇用促進、新規事業創出等)に沿って提供する資金支援制度です。
原則として返済不要ですが、制度によっては、補助対象経費の一部を自己負担する必要がある他、申請時に詳細な事業計画の提出や、採択後の報告義務、成果の達成が求められる場合があります。
特に、事業の初期段階や特定分野において活用できる強力な支援策ですが、採択には厳格な審査が行われるため、事前準備が重要となります。
補助金・助成金活用のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
返済義務がなく、株式希薄化も発生しない。 |
申請手続きが煩雑で、採択されるかどうか不確実。 |
特定の分野(技術開発、雇用促進等)に対して、まとまった支援が受けられる。 |
利用可能な時期や対象が限定されるため、事業計画との整合性や情報収集が必要。 |
補助金・助成金を活用する際のポイント
補助金・助成金は、事業の成長を支援する公的な資金ですが、申請要件や用途に応じて様々な種類があり、それぞれの制度に適した活用が求められます。
例えば、「ものづくり補助金」は、製造業や技術革新をめざす企業にとって有力な支援策ですが、他にも、創業支援を目的とした「創業補助金」や、雇用促進を目的とした「雇用関係助成金」等、様々な制度が用意されています。
ただし、申請には詳細な事業計画書や市場分析の提出が必要であり、提出期限の厳守が求められます。また、採択後は資金の使途について厳格な報告義務があるため、適切な資金管理が求められます。補助金・助成金を活用する際は、事業計画に沿った資金管理と進捗管理を徹底し、適正な運用を行うことが重要です。
補助金・助成金の制度は年度ごとに変更される場合があるため、最新の情報を公的機関の発表や専門家のアドバイスを参考にしながら確認することを推奨します。
詳細は関連記事をご参照ください。
5. クラウドファンディング
クラウドファンディングは、インターネットを介して多数の支援者から少額ずつ資金を集める方法です。融資やエクイティファイナンスとは異なり、審査のハードルが低く、比較的短期間で資金を集めることが可能です。
クラウドファンディング活用のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
幅広い支援者から資金を集めることができ、初期の市場反応を測ることができる。 |
目標金額に達しなければ資金調達が成立しないリスクがある。 |
製品やサービスのPR効果があり、ブランドファンの獲得につながる。 |
プラットフォーム手数料や運営費が発生する。 |
クラウドファンディングは、特にプロダクト開発初期において、資金調達と市場テストを同時に行える点が大きな魅力です。 プロジェクトのストーリーと明確なリターン設計が成功の鍵となります。
また、支援者とのコミュニケーションを通じて、実際の市場ニーズを把握できるため、後続の資金調達や事業拡大に向けた貴重な検証機会としても活用できるでしょう。
クラウドファンディングのやり方とは?種類、始め方、注意点を徹底解説
6. その他の資金調達手法
自己資金以外にも、スタートアップが資金調達の選択肢として検討できる手法がいくつか存在します。
これらの手法は、短期的な資金需要に対応するために利用されることが多く、他の主要手法と組み合わせることで、全体の資金調達戦略の柔軟性を高める役割を果たします。
①自己資金
自己資金は、起業家自身やその身近な人々(親族、友人)からの資金調達手法です。 創業初期の段階では、外部の投資家から資金調達が難しい場合も多く、まずは自己資金で事業の基盤を固めることも選択肢の一つです。
【特徴・活用ポイント】
- 小規模な初期投資には最適だが、事業拡大には限界があるため、他の手法との組み合わせが必要。
- 自己資金で事業を開始することで、後続の資金調達時に企業の信頼性が向上する場合がある。
②少人数私募債
少人数私募債は、限られた数の投資家に対して社債を発行し、資金を調達する方法です。この手法は、比較的短期間で調達が可能でありながら、経営の自由度を維持できる点が魅力です。
【特徴・活用ポイント】
- 手続きが簡便で、迅速に資金調達が可能。
- 投資家の数が少ないため、条件交渉が比較的柔軟に進むが、調達可能な金額には上限がある。
- 事業規模が大きくない場合や、特定のプロジェクト資金としての利用が適している。
③ファクタリング
ファクタリングは、企業が保有する売掛債権を、ファクタリング会社に買い取ってもらうことで、早期に現金化する手法です。
特に、入金サイクルが長くキャッシュフローに課題を抱える企業にとって、資金調達の迅速化が期待できる方法です。
【特徴・活用ポイント】
- 売掛債権を即座に現金化できるため、急な資金需要に対応可能。
- キャッシュフローの改善や、倒産リスクの軽減に寄与する。
- 一方、手数料が発生するため、実際に手元に残る資金額が減少する点や、売掛先の信用状況に依存するリスクがある。
各手法の特徴を正しく理解し、自社の状況に合わせた適切な組み合わせを検討しましょう。
【ステージ別】スタートアップの資金調達手法

スタートアップの資金調達は、企業の成長段階ごとに必要な資金規模や調達手段が異なり、関与する投資家やリスク管理のアプローチも変化します。
ここでは、各ステージの特徴や目的、それぞれの資金調達戦略について解説します。
ステージ | 特徴 | 主な資金調達方法 |
---|---|---|
シード(Seed) | アイデアの具体化、プロトタイプ開発、市場検証 |
エンジェル投資家、シードベンチャーキャピタル、クラウドファンディング、補助金・助成金、日本政策金融公庫等 |
アーリー(Early) |
ビジネスモデルの確立、初期顧客獲得 |
ベンチャーキャピタル、エンジェル投資家、政府系ファンド、銀行融資等 |
シリーズA | プロダクトの拡販、営業・組織基盤の強化 |
ベンチャーキャピタル、コーポレートベンチャーキャピタル、銀行融資等 |
シリーズB | 市場拡大、新規事業の展開、人材採用強化 |
大手ベンチャーキャピタル、プライベートエクイティ(PE)、銀行融資、ストラクチャードファイナンス等 |
シリーズC以降 | IPO準備、海外市場展開、大規模なM&A |
プライベートエクイティ、機関投資家、銀行融資、IPO等 |
シード(Seed) | |
---|---|
特徴 | アイデアの具体化、プロトタイプ開発、市場検証 |
主な資金調達方法 | エンジェル投資家、シードベンチャーキャピタル、クラウドファンディング、補助金・助成金、日本政策金融公庫等 |
アーリー(Early) | |
特徴 | ビジネスモデルの確立、初期顧客獲得 |
主な資金調達方法 | ベンチャーキャピタル、エンジェル投資家、政府系ファンド、銀行融資等 |
シリーズA | |
特徴 | プロダクトの拡販、営業・組織基盤の強化 |
主な資金調達方法 | ベンチャーキャピタル、コーポレートベンチャーキャピタル、銀行融資等 |
シリーズB | |
特徴 | 市場拡大、新規事業の展開、人材採用強化 |
主な資金調達方法 | 大手ベンチャーキャピタル、プライベートエクイティ(PE)、銀行融資、ストラクチャードファイナンス等 |
シリーズC以降 | |
特徴 |
IPO準備、海外市場展開、大規模なM&A |
主な資金調達方法 |
プライベートエクイティ、機関投資家、銀行融資、IPO等 |
シードステージ
シードステージは、起業前または起業直後で、具体的な製品やサービスがまだ完成していない段階です。このフェーズでは、アイデアの具体化、プロトタイプの開発、市場調査、初期チームの組成が主な目的となります。
資金調達においては、創業者のビジョンやプロトタイプの完成度が重視され、投資家は事業の将来性や市場の成長可能性を評価します。近年では、特に成長市場におけるスタートアップや技術革新を伴う企業では、シードステージでも1億円規模の資金調達が行われるケースも見られます。
【シードステージの要点】
項目 | 内容 |
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調達額の目安 | 数百万円〜1億円程度 |
資金調達のポイント |
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シードステージでの資金調達の重要性
シードステージでの資金調達は、スタートアップの成長基盤を築きます。
投資家との信頼関係を構築するためには、透明性のある資金計画と、実現可能な成長戦略の提示が不可欠です。これにより、後続の資金調達ラウンドでの評価が向上し、更なる事業拡大の機会を得ることができるでしょう。
アーリーステージ
アーリーステージは、プロダクトやサービスがリリースされ、初期の顧客獲得が始まった段階です。 事業は開始しているものの、まだ収益が安定していないことも多いため、プロダクトの改良、マーケティング、採用、運転資金等、事業基盤の強化が求められます。
実績を基に今後の成長戦略を明確に示すことが重要です。
【アーリーステージの要点】
項目 | 内容 |
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調達額の目安 | 数千万円~数億円程度 |
資金調達のポイント |
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注意点 |
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アーリーステージでは、プロダクトを市場に投入してからのフィードバックを基に、製品の改善と事業の拡大を図ります。 具体的なユーザー数や初期売上データを示し、今後の成長戦略を明確にすることが成功の鍵となります。
また、柔軟な経営計画と迅速な改善が、投資家からの信頼を獲得するポイントとなります。
シリーズA
シリーズAは、製品・サービスが市場で一定の評価を受け、顧客基盤が確立され始めた段階です。
ここでは、事業のスケールアップに向けた組織体制の強化、マーケティング拡大、追加開発等に多額の資金が必要となります。
投資家は、既に得られた実績を基に、更なる成長の可能性を具体的なデータで評価します。
【シリーズAの要点】
項目 | 内容 |
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調達額の目安 | 数億円~数十億円程度 |
資金調達のポイント |
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注意点 |
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シリーズAでは、企業は市場での実績を基に拡大戦略を具体的に示すことが求められます。 ユーザー数や売上、成長率等の具体的な数値で実績を裏付け、今後のマーケティングや技術開発、組織拡大の計画を明確に提示する必要があります。
この段階での成功が、次の大規模なラウンドへの足掛かりとなります。
シリーズB
シリーズBは、企業が既に安定した成長軌道に乗り、売上や利益が着実に増加している段階です。 このフェーズでは、市場拡大、M&A、新規事業開発等、具体的な成長戦略の実行が求められます。
調達額も大幅に増え、数十億円から数百億円に達するケースが一般的です。
【シリーズBの要点】
項目 | 内容 |
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調達額の目安 | 数十億円~数百億円規模 |
資金調達のポイント |
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注意点 |
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シリーズBでは、企業はこれまでの成功実績を基に、市場拡大や新規事業への展開を目指します。
大規模な資金調達に伴い、株式の希薄化リスクや経営権の分散に対するリスク管理が不可欠となります。 投資家との交渉では、各投資家の条件をうまく調整し、長期的な成長戦略に基づいた資本政策を構築することが重要です。
シリーズC以降
シリーズCは、企業が成熟し、収益性が高まっている上で、上場(IPO)やM&A等のExit戦略を視野に入れる段階です。 このフェーズでは、更なる事業拡大と企業価値向上が主な目的となり、投資家はExitに向けた具体的な計画を重視します。
調達額は非常に大きく、数十億円から数百億円以上に達する場合もあります。
【シリーズCの要点】
項目 | 内容 |
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調達額の目安 | 数十億円~数百億円以上 |
資金調達のポイント |
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注意点 |
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シリーズCは、企業が市場での地位を確立し、持続可能な収益基盤を構築しています。ここでは、Exit戦略を含む長期的な成長計画を具体的に示すことで、投資家に対して企業の将来性をアピールします。
非常に大規模な資金調達が行われるため、企業評価や経営権の管理、Exit戦略が市場環境に左右されるリスク等、多岐にわたるリスク管理が求められます。
スタートアップが資金調達を成功させるためのポイント

資金調達は、スタートアップの成長を後押しするための重要な戦略であり、準備や計画の段階から徹底的に取り組む必要があります。
以下に、成功するためのポイントをご紹介します。
1. 魅力的かつ説得力のある事業計画書を作り込む
投資家にとって、事業計画書は企業の将来像を描く「未来予想図」です。自社のビジネスモデル、ターゲット市場、競合優位性、収益計画、成長戦略を、具体的な数値や実績データを交えて記述することが不可欠です。
また、調達資金の使途についても、マーケティング、プロダクト開発、人材採用等、具体的な施策と達成目標を明示することで、投資家の理解と信頼を得ましょう。
2. 投資家が重視する視点を的確に捉える
投資家は、市場の大きさや成長性、事業のスケーラビリティ、そして経営チームの実績を重視します。
したがって、以下の点を強調することが重要です。
評価項目 | 説明 |
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市場規模と成長予測 | 市場の魅力度や競争環境を具体的なデータに基づいて説明し、自社の優位性をアピールする。 |
チームの強み | 経験豊富な経営陣や各分野の専門家が揃っていることを強調し、事業推進力を示す。 |
事業モデルのスケーラビリティ | 事業がどのように大規模に展開できるのか、その仕組みを実例を交えて具体的に示すことが、投資家の信頼を獲得するポイントとなる。 |
3. 複数の資金調達手段を戦略的に組み合わせる
一つの調達手段に固執するのではなく、複数の手段を組み合わせることで、リスクを分散し、より柔軟な資金調達が可能になります。
事業の成長段階に合わせて、最適なタイミングで各手法を活用することが、事業拡大への確実なステップとなるでしょう。
4. 専門家のサポートを積極的に活用する
資金調達は、税務、法務、財務等、多岐にわたる専門知識が必要となるため、税理士、弁護士、ファイナンシャルアドバイザー、コンサルタント等の専門家との連携が欠かせません。
特に、契約書の作成や資本政策の策定、投資家向けプレゼンテーションの準備においては、専門家の意見を取り入れることで、説得力と安全性を高めましょう。
5. 柔軟かつ長期的な資本戦略を構築する
短期的な資金調達だけでなく、将来のExit戦略(IPOやM&A等)を見据えた長期的な資本戦略を構築することが、事業の持続的成長に繋がります。
出資による株式希薄化リスクを最小限に抑えるための資本政策の設計や、投資家との契約条件の交渉は、経営権を守りながら企業価値を高めるための重要な要素です。
このように、資金調達を成功させるためには、単に資金を集めるだけでなく、企業の成長戦略と連動した計画の策定が求められます。 各ポイントをバランス良く実践することで、投資家からの信頼を獲得し、事業拡大への確かな一歩を踏み出すことができるでしょう。
事業成長を支える法人口座【みずほ銀行・来店不要のネット受付】
資金調達を終えた後の適切な資金管理は、事業の成長を支える重要な要素です。特に、投資家や取引先からの資金をスムーズに受け入れ、適切に運用するためには、法人口座の開設が欠かせません。
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実際の開設事例のご紹介
創業者インタビューにて実際の開設事例を掲載したページを公開しています。具体的な活用イメージの参考に、ぜひご覧ください。
詳しい情報やお申し込み方法については、以下のページからご覧ください。
まとめ
本記事では、スタートアップの資金調達について、その重要性、適切なタイミング、主な調達方法、成功のポイント、具体的な手順等を詳しく解説しました。
資金調達は、スタートアップの成長を支える重要なステップであり、適切な方法を選択し、戦略的に進めることで、事業の持続的な発展が実現するでしょう。また、資金調達の過程では、投資家や金融機関との信頼関係の構築、適切なキャッシュフロー管理、将来を見据えた資金計画の策定が求められます。
本記事で紹介した情報を参考に、自社のフェーズや事業モデルに適した資金調達手法を見極め、事業の成長と安定した経営基盤の確立に役立てていただければ幸いです。