会社名の決め方やルールは?商号との違いや注意点を解説
掲載日:2025年4月14日起業準備

法人を設立する際には、会社名を考える必要があります。会社名はその会社の第一印象になるため、覚えやすく好印象を与えられる名前にすると良いでしょう。
同名の会社名や似たような名前の会社名があるときは、トラブルに発展する恐れがあります。余計なリスクを避けるためにも、似たような名前の会社名があるときは、会社名を再考した方が良いでしょう。
本記事では、覚えやすく好印象を与えられる会社名の決め方や考え方、会社名をつけるときの注意点等を解説します。
会社名とは?商号との違いも解説
会社名はその名の通り会社の名前で、「株式会社〇〇」「〇〇株式会社」のような形で示されるのが一般的です。
会社名と同じようなニュアンスで「商号」という言葉を使うこともありますが、それぞれ以下のような違いがあります。
会社名 |
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商号 |
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会社名 | |
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商号 | |
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会社名と商号を使い分けず、「会社名=商号」となるケースもあります。
なお、店舗を構えるときに店舗名を付ける場合、会社名とは別物である点に留意しましょう。店舗名はあくまでも通称のようなもので、登記や契約等の法的手続きをする際には、法律上の正式な名称である会社名(商号)を用います。
会社名の決め方やルール
会社名を付けるときには、法律で定められているルールを守りつつ、覚えてもらいやすい名前を考えるとよいでしょう。
会社名を付けるときのルールや、知っておくと良いこと等を見ていきましょう。
会社名の前後に「株式会社」や「合同会社」等をつける
現行法で設立できる会社の種類は「株式会社」「合同会社」「合資会社」「合名会社」の4つです。会社を設立する際には、いずれかの名称を含めて、会社の種類を明らかにしなければなりません。
例えば、株式会社を設立する場合は、前株である「株式会社〇〇」または後株である「〇〇株式会社」のような形となります。
後株にするか前株にするかは自由です。実際に文字を配置して、「読みやすいか」「見やすいか」「語呂が良いか」等を探ってみてください。
覚えやすい会社名にする
会社を設立してビジネスを営む際には、会社名が覚えやすいに越したことはありません。取引先や顧客から認知してもらうためにも、できるだけ覚えやすい名前にすると良いでしょう。
会社名に創業の想いを含めたり、インパクトを重視したりする際には、覚えてもらいやすいか客観的に評価してみてください。また、難読漢字や長すぎる名前だと、覚えづらいため、複雑な会社名は避けた方が良いでしょう。
顧客となるターゲットが子どもから高齢者まで幅広い場合は、子どもでも覚えやすい名前にすることをおすすめします。
地域に根ざした事業展開を検討している場合、地名を含めることも一つの選択肢です。「横浜〇〇株式会社」「名古屋〇〇センター合同会社」のように、地域名を入れると当該地域で親しみを持ってもらえる可能性があります。
会社名の文字数に制限はありませんが、取引先・顧客に覚えてもらえそうか、親しみを持ってもらえそうかを意識しましょう。
自社の商品やサービスと同じ名前にする
販売する商品やサービスの名前を会社名にすると、自社のブランドとしての認知度を高められる可能性があります。
会社名と事業内容が連想できるようにすると、「この商品・サービスはあの会社」と覚えてもらえるでしょう。自社が取得している(あるいは取得する予定の)商標登録を会社名に含める方法もあります。
また、IT企業なら「テック」「システム」「デジタル」等、業界や事業内容を表すキーワードを含めると事業内容が伝わりやすいでしょう。
会社名を決める際の注意点

会社名を決める際には、いくつか注意すべき点があります。トラブルを避けるためにも、法的なルールを確認しておきましょう。
他社と同じ会社名は使用しない
法律上は、同じ名前の会社が存在しても問題ありません。しかし、商標権侵害で訴えられて法的トラブルに発展する可能性があるため、他社と同じ会社名の使用は避けるのが無難です。
有名企業と同じ社名・似たような会社名で会社を設立すると、不当競争防止法に基づいて訴えられるリスクもあります。
後になってトラブルに見舞われる事態を防ぐためにも、正式に登記する前に似たような会社名がないかを事前に確認しましょう。また、商標登録されているサービス名と同じまたは類似した名称を使用すると、知的財産権の侵害とみなされる可能性がある点にも注意が必要です。
なお、既に登記されている会社名を調べるには、「登記ねっと 供託ねっと」や「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」を利用すると便利です。
「支店」「支社」「支部」は使用しない
会社名の中に「支店」「支社」「支部」という言葉は使用できません。「支店」「支社」「支部」は会社の一部であることを示す言葉であるため、会社名には含められない決まりとなっています。
そのため、「〇〇株式会社 品川支部」のような会社名では登記できない点に注意しましょう。
同じ住所に同じ会社名は使用しない
同じ住所に同じ会社名は登記できません。昨今はレンタルオフィスやバーチャルオフィス等のサービスを用いて、登記上の住所だけ借りるケースが増えているため、重複が発生しないように気を付けましょう。
住所が違っていても、登記する住所の近くに同じまたは似たような会社名の会社がある場合も注意が必要です。不正競争防止法等によって、損害賠償・商号使用の差し止めを請求される可能性があります。
レンタルオフィスやバーチャルオフィスを活用し、複数の企業と同じ住所で登記する場合は、会社名の重複や近似が起きていないか確認しましょう。
ドメインを取得できるか調べる
多くの会社は、自社のウェブサイト(コーポレートサイト)を作成して、自社の基本情報や事業内容を公開しています。ウェブサイトは会社の基本情報を掲載するだけでなく、問い合わせの窓口としても機能することがあるため、事業運営に欠かせない存在です。
ウェブサイトからの集客を検討している場合は、自社のドメインを取得できるか確認しましょう。ドメインとは、インターネットに接続されたコンピュータを識別するための文字列で、インターネット上の住所のようなものです。
「〇〇.co.jp」や「〇〇.com」の〇〇にあたる部分が、ドメインに該当します。同じ会社名の会社が既に存在している場合、既にドメインが使用されている場合があります。
この場合、希望しているドメインを取得できないため、事前に想定しているドメイン名の取得ができるか確認しましょう。
会社名が重複したときの影響
他社と会社名が重複してしまった場合、商標権侵害や不当競争防止法に基づく損害賠償請求や、名称使用の差し止めを訴えられる可能性があります。法的トラブルに巻き込まれると、生産性のない対応を余儀なくされるリスクがあるため、注意が必要です。
法的トラブルにつながらなかったとしても、他の会社と誤って認識した人から問い合わせを受け、対応に時間と労力を要する可能性も考えられます。別の会社と間違われてしまうと、無駄な応対が増えてしまい、業務の生産性を損ねてしまうでしょう。
また、会社名が重複していると検索順位が上がりにくくなるデメリットもあります。検索サイトのGoogleやYahoo!で自社の検索順位が低下して認知が進まなかったり、他社と混同されて自社のサービスが正しく認識されなかったりする事態が起こり得ます。
社名変更する場合の方法
会社を設立した後、いつでも社名変更が可能です。定款と登記内容の変更手続きを行えば社名を変更できるため、名称や所在地等に変更があった場合は、遅滞なく手続きを進めると良いでしょう。
なお、社名(商号)を変更する際の手続きは以下の通りです。
- 1.新しい社名(商号)を決める
- 2.株主総会での定款変更を決議する(株式会社の場合)
- 3.株主総会の議事録を作成する(株式会社の場合)
- 4.本店所在地を管轄する法務局へ商号変更登記申請を行う
法務局で商号変更登記申請をするときは、変更日から2週間以内に申請する必要があり、「株式会社変更登記申請書」「新社名の印鑑届書」「代表者の印鑑証明書」等を一緒に提出する必要があります。また、登録免許税として3万円(2025年2月時点)の費用が発生します。
法務局での変更登記が完了したら、税務署・都道府県税事務所・年金事務所・労働基準監督署・公共職業安定所等で会社名を変更する手続きをしなければなりません。
他にも、法人口座や契約している公共料金の名義変更、取引先企業への通知等も必要です。自社のウェブサイトがある場合は最新情報に更新する必要があるため、様々な手間がかかる点を知っておきましょう。
まとめ
会社名は好印象や良いイメージを与えられ、覚えてもらいやすい名前を付けましょう。
会社名を決めるときのアイデアは様々ですが、会社名に創業の想いを含めたり、商標登録にかかる文言を会社名に含めたりする方法が考えられます。
なお、会社名を決める際には、いくつか守るべきルールがあります。トラブルを避けるためにも、他社と同じ会社名や似たような会社名は避けるのが無難です。
実際に法人を設立したら、事業を円滑に発展させるためにも法人口座の開設を検討すると良いでしょう。みずほ銀行の法人口座は休日・夜間でもお申し込みでき、原則ウェブ面談を経て、来店不要で口座開設手続きが完結します。
原則として登記事項証明書・印鑑証明書なしでお申し込みいただけるため、書類を用意する手間を省けます。法人口座を開設できる店舗は全国にあり、ビジネスを支えるサービスもご利用いただけるため、ぜひご検討ください。
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監修者

安田 亮
- 公認会計士
- 税理士
- 1級FP技能士
1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。