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資本準備金と資本金の違いは?資本準備金の3つの役割や注意点を解説

掲載日:2024年12月18日資金調達

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会社を設立する際、出資者から払い込まれた資金を資本金として設定する必要がありますが、その金額を決めるにあたって「資本準備金」についても理解しておく必要があります。

本稿では、資本準備金と資本金の違いや資本準備金の役割、資本準備金の取扱方法などを解説します。会社設立にあたって、資本金や資本準備金を適切に設定するための参考に、ぜひご一読ください。

資本準備金と資本金の違い

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資本金準備金と資本金はどちらも出資者から払い込まれた資金で、会社運営の元手となるものです。しかし両者には定義や法律上の扱い等に違いがあります。下表はそれぞれの違いを簡単にまとめたものです。

資本金 資本準備金
定義

会社設立時に払い込まれた資金を基礎として設定される金額

会社設立時に払い込まれた資金のうち、資本金として計上しなかった金額

登記簿への記載
(法律上の必要性)

あり

なし

金額の制限

上限・下限ともになし

上限:資本金として払い込まれた金額の2分の1の金額
下限:なし

定義
資本金

会社設立時に払い込まれた資金を基礎として設定される金額

資本準備金

会社設立時に払い込まれた資金のうち、資本金として計上しなかった金額

登記簿への記載(法律上の必要性)
資本金

あり

資本準備金

なし

金額の制限
資本金

上限・下限ともになし

資本準備金

上限:資本金として払い込まれた金額の2分の1の金額
下限:なし

それぞれの特徴について、以下に詳しく解説します。

資本金とは

資本金とは、会社設立時に出資者や経営者の自己資金から払い込まれたお金のことです。金融機関からの借入金のように返済義務はなく、貸借対照表の「純資産の部」に計上されます。

資本金は会社法によって設定することが定められており、法人登記の際にその金額を記載しなければなりません。

2006年5月に施行された新会社法により資本金の額に制限はなくなり、会社形態に関わらず、1円以上の資本金があれば会社を設立できるようになりました。なお上限金額の定めもありません。

資本金について詳しくは、こちらの記事でも解説しています。

資本金とは?その役割と金額を決める際の基準について解説

資本準備金とは

資本準備金は、会社設立時に払い込まれた資金のうち、資本金として計上しなかった金額のことを指します。

会社法では、資本金として払い込まれた資金のうち、2分の1を超えない金額までは資本金として計上しなくて良いことが認められています。例えば会社設立時に1,000万円の出資を受けた場合、500万円まで資本準備金としての計上が可能です。

資本準備金は資本金と異なり、法人登記の際に金額は記載されない項目です。資本金と異なり、設定が義務付けられているものでもありません。一方で、資本準備金は貸借対照表の「純資産の部」に資本金と分けて表示されるため、計上している場合は決算時に金額が明らかになります。

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資本準備金の3つの役割

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資本準備金には主に3つの役割があります。資本準備金や資本金の額を決めるにあたっての事前知識として、内容をチェックしておきましょう。

赤字補てんの資金として使用する

事業で赤字が発生した際、業績の立て直しを図るために経営資金の補てんが必要になることがあります。資本準備金は、赤字を補てんするために取り崩して使用できます。

資本金を取り崩して赤字を補てんすることも可能ですが、資本金の額は登記簿に記載されているため、取り崩しをするには法務局で変更登記の手続きが必要です。

資本準備金からの取り崩しであれば変更登記は必要ないため、資本金を減らす場合と比べて手続きの手間や費用を抑えられます。

必要以上に資本金が大きくなることを防ぐ

法人が支払う各種税金の中には、資本金の金額に応じて税率が高くなるものがあります。

例えば消費税は、前々年の課税売上が1,000万円を超える場合に課せられるため、設立1期目・2期目は原則として免税措置を受けることが可能です。(適格請求書発行事業者の場合を除く)

しかし資本金が1,000万円以上ある会社はその免税措置が受けられなくなり、1期目から消費税を納めることになります。

また法人税においても、普通法人の場合、資本金が1億円以下であれば所得800万円以下の部分に係る税率が軽減される措置があります。

設立時に払い込まれた資金の一部を資本準備金にすることで、資本金の額が必要以上に大きくならないよう調整でき、税負担を抑えることにつながります。

増資のために使用する

資本準備金は「増資」の資金としても使えます。増資とは資本金の額を増やすことです。増資では、株式を発行して株主や投資家から出資を受ける有償増資が一般的ですが、自己資金を組み入れる「無償増資」という方法もあります。無償増資の資金として活用できるのが資本準備金です。

有償増資の場合、出資者を募集する必要があり、新たに株式を発行するための手続きも必要になるため、時間も費用もかかります。資本準備金を減額して資本金に組み入れる場合も一定の手続きが必要ですが、一般的に有償増資より手続きの負担は軽く済みます。

資本準備金の増額・減額に必要な手続方法は、後述の「資本準備金を変更する際に必要な手続き」をご参照ください。

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資本準備金の取扱上の注意点

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資本準備金を計上する際は、以下のポイントに注意する必要があります。資本準備金は事業に大きな影響を与える場合もあるので、扱い方をよく理解しておきましょう。

許認可の要件を満たすよう注意する

前述の通り、資本金の金額を抑えることで、税制上のメリットにつながる場合がありますが、業種によっては許認可を得るために一定の資本金が必要になる場合もあります。そのため資本金を少なくしすぎると、許認可を受けられなくなってしまう恐れがあるため注意が必要です。

例えば、特定建設業許可を取得するには資本金が2,000万円以上であることが求められます。許認可の取得が必要な事業を営む場合は、税制上のメリットを考える前に、まずは許認可の要件を満たせる資本金額を設定しましょう。

信用度への影響も考慮する

一般的に資本金は会社の規模や信用度を図る指標として用いられます。資本金の額が少なすぎると金融機関から融資を受ける際や、取引先との契約に影響する場合もあるので注意が必要です。また、資本金の額が記載されている登記簿は誰でも閲覧できるため、金融機関や取引先以外にも広く公表されるものと考えておきましょう。

税制上のメリットだけにとらわれず、会社の信用度への影響も踏まえて、資本金と資本準備金の金額を決めることが大切です。

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資本準備金を変更する際に必要な手続き

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資本準備金の額は、一度決めた後に変更することも可能です。変更に必要な手続きは、減額と増額の場合で異なります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

減額する場合に必要な手続き

資本準備金の減額が必要になるのは、資本準備金を取り崩して資本金や資本剰余金に組み入れるケースが考えられます。

資本準備金を減額する場合、株主総会の普通決議で承認される必要があります。普通決議で承認されるには、原則として議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席株主の議決権の過半数以上の賛成が必要です。

そのうえで債権者保護の手続きが必要です。債権者保護の手続きは以下の手順で行います。

  1. 1.官報*による公告を行う(資本準備金の減額内容、債権者が異議を申し立てられる旨、最新の貸借対照表の掲載場所を示す)
  2. 2.資本準備金を減額する旨を個別に債権者に通知する

なお減額した資本準備金の全額を資本金に組み入れる場合は、債権者保護の手続きは不要です。

  • *官報とは政府が発行する国の広報紙のこと。法令の公布や、国会事項、官庁報告、公告等が掲載される。

増額する場合に必要な手続き

資本準備金を増額するには、資本金から組み入れる方法と、資本剰余金から組み入れる方法があります。どちらも株主総会で株主の承認を得る必要がありますが、決議方法が異なります。

資本金から組み入れる場合、株主総会の特別決議で承認される必要があります。特別決議で承認されるためには、原則として議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。

一方で資本剰余金から組み入れる場合は、株主総会の普通決議で承認される必要があります。普通決議で承認されるためには、前述の通り、議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席株主の議決権の過半数以上の賛成が必要です。

なお、資本準備金の増減によって資本金の額が変わる場合は、効力発生日から2週間以内に変更登記の申請が必要です。登記の手続きについて詳しくは以下のページで解説しています。

登記とは?法人登記に必要な手続きと必要書類を解説

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「資本剰余金」と資本金・資本準備金の違い

資本準備金について理解を深めるために、「資本剰余金」についても知っておきましょう。資本剰余金とは、株式発行などの「資本取引」で発生した金額のうち、資本金以外の部分に該当するものです。

資本剰余金には「資本準備金」が含まれますが、もう一つの要素として「その他資本剰余金」が含まれる点が異なります。「その他資本準備金」とは、資本剰余金のうち資本準備金以外のものを指し、主に資本金や資本準備金を取り崩した際に発生する差益や、自己株式を売却した際に生じる差益などが計上されます。

その他資本剰余金と、資本金・資本準備金の主な違いは、配当金の原資となるかどうかです。その他資本剰余金は、そのまま配当金の原資にできますが、資本金・資本準備金から直接配当することはできません。

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まとめ

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資本準備金は、会社設立時に払い込まれた資金のうち、資本金として計上しなかった金額のことです。資本準備金は赤字の補てんや増資の際に活用したり、資本金の額を調整して税負担を抑えたりする役割があります。

一方で資本準備金を多くしすぎて資本金の額が必要以上に少なくなってしまうと、許認可の要件を満たせない場合や、会社の信用度に影響する可能性もあります。最低限必要な資本金の額を見極めたうえで、適切に資本準備金を設定しましょう。

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(記事提供元:株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ)

  • *本稿に含まれる情報の正確性、確実性あるいは完結性をみずほ銀行が表明するものではありません。
    また、個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。
    最新の情報をご確認のうえ、ご自身でご判断いただくようお願いいたします。

執筆者

鈴木 靖子

鈴木 靖子

金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。執筆・監修・相談業務を中心に活動中。銀行の財務企画や金融機関向けサービスに10年以上従事した経験あり。
保有資格:AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/2級DCプランナー(企業年金総合プランナー)

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