日本政策金融公庫とは?銀行との違いや融資の流れ、メリット・デメリットを解説
掲載日:2026年10月14日起業準備
開業資金や運転資金の借入先として、日本政策金融公庫の名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
また、日本政策金融公庫を利用できるのはどのような方なのか、銀行との違いは何かについて気になる方もいるかもしれません。
本記事では日本政策金融公庫とは何かについて分かりやすく解説します。銀行との使い分けやメリット、デメリットもまとめました。借入先を検討している方はぜひ参考にしてください。
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目次
- *本記事は、株式会社みずほ銀行が提供しています。
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日本政策金融公庫とは国民生活の向上をめざす政策金融機関
日本政策金融公庫とは、民間金融機関の貸付業務を補完することを目的とした金融機関です。地域経済の活性化や中小企業のグローバル化等を金融面から支援し、国民生活の向上に寄与することをめざしています。
日本政策金融公庫の事業は、国民生活事業と中小企業事業、農林水産事業に大別できます。それぞれの事業を見ていきましょう。
国民生活事業
国民生活事業は、一般の個人や小規模事業者向けに実施されています。事業資金だけでなく、教育資金等、生活に関わる資金を借りることも可能です。
国民生活事業の主な業務内容
- 小口の事業資金融資
- 創業支援
- 事業再生支援
- 事業承継支援
- ソーシャルビジネス支援
- 海外展開支援
- 教育ローン(国の教育ローン)
- *参考:日本政策金融公庫「業務の概要」
中小企業事業
中小企業事業は、中小企業を対象とした事業です。融資業務に加え、信用保険業務や経営相談、ビジネスマッチング等、幅広い業務に対応しています。
中小企業事業の主な業務内容
- 長期事業資金の融資
- 新事業・スタートアップ支援
- 事業再生支援
- 事業承継支援
- 海外展開支援
- 証券化支援業務
- 信用保険業務
- ビジネスマッチング等による経営課題解決支援
- *参考:日本政策金融公庫「業務の概要」
農林水産事業
農林水産事業は、農林水産業者向けの業務です。農業や林業、水産業等に関わる事業者に対し、長期資金の融資や事業再生・事業承継のサポート等を提供しています。
農林水産事業の主な業務内容
- 長期事業資金の融資
- 新規就農支援
- 事業再生支援
- 事業承継支援
- 海外展開支援
- ビジネスマッチング等による経営課題解決支援
- *参考:日本政策金融公庫「業務の概要」
日本政策金融公庫を利用する流れ
日本政策金融公庫から融資を受ける際は、次の流れで手続きを進めます。
- ①相談
- ②申し込み
- ③審査・融資実行
融資の流れを理解すると、よりスムーズな資金調達が可能になります。それぞれの内容について、プロセスにそって解説します。
なお、日本政策金融公庫から受けた融資は、民間金融機関の口座へ入金されます。遅くとも融資実行のタイミングまでには、口座を開設しておきましょう。
①相談
事前相談は必須の手続きではないため、要件を満たしており、ご自身で必要書類を整えられる場合は、直接申し込みに進むことも可能です。
ただし、「自分が対象になるか知りたい」「必要書類が分からない」といった場合は、事前相談を利用するとよいでしょう。創業計画書の作成方法や手順について丁寧なアドバイスを受けられるため、その後の審査をスムーズに進めやすくなります。
小規模事業者や個人事業主は、電話やオンライン、支店窓口で相談してください。中小企業者は、電話や支店窓口に加え、最寄りの商工会議所が実施する定例相談会でも相談できます。
相談の際には、会社案内のパンフレットや決算書、事業計画書等の書類を持参すると、より具体的に話を進めやすくなります。
②申し込み
貸付条件や返済期間等を確認し、問題がなければ申し込みに進みます。
小規模事業者や個人事業主は、インターネット経由で申し込みを行います。初めて日本政策金融公庫に申し込む場合は、次の書類が必要になります。
融資申し込みの際に提出する必要書類の例
- 創業計画書*1)(これから創業する方・税務申告が2期未満の方)
- 企業概要書*2)(すでに事業を行っている方)
- 直近期の決算書(すでに事業を行っている方)
- 設備投資を行う場合は見積書
- 送金先の預金通帳
- *1)*2)日本政策金融公庫が指定するフォーマットに記入します。
上記はあくまで一例です。申込者の状況や利用する融資制度によって提出すべき書類は異なるため、指定のフォーマットや詳細な必要書類については、必ず日本政策金融公庫の公式ページでご確認ください。
中小企業者は、以下の書類を準備しましょう。
融資申し込みの際に提出する主な必要書類の例
- 会社案内
- 製品カタログ
- 法人登記事項証明書
- 最新3期分の決算書・税務申告書
- 納税証明書
- 最近の試算表
- 設備投資を行う場合は見積書
- 担保を提供する場合は担保内容が分かる資料
- *参考:日本政策金融公庫「中小企業の方」
なお、個人・法人ともに、融資内容や貸付条件等によっては手続きや提出書類が異なる場合があります。
③審査・融資実行
必要書類を提出すると、審査が開始されます。面談による口頭審査のほか、日本政策金融公庫の職員が事業計画予定地等を実際に訪問し、事業内容や事業計画を確認したうえで、多角的な観点から審査を行います。
日本政策金融公庫と銀行の違い
日本政策金融公庫は、主に貸付業務を行う機関です。沖縄県を除くすべての都道府県に1ヵ所以上*の支店がありますが、民間銀行と比べると店舗数は多くありません。
日本政策金融公庫と銀行は、店舗数以外にもいくつか違いがあります。主な違いを見ていきましょう。
- *沖縄県の個人・法人は、沖縄振興開発金融公庫に相談できます。
設立目的
日本政策金融公庫は、「一般の金融機関が行う金融を補完すること」を基本理念とし、中小企業や農林水産業者等の資金調達を支援することで、「国民生活の向上に寄与すること」を目的として設立された機関です。
なお、日本政策金融公庫は銀行と同じく株式会社の形態をとっていますが、その性質は大きく異なります。公庫は国が株式の100%を保有する特別な株式会社であり、株式会社のガバナンスの仕組みを活用して、透明性が高く効率的な運営を行うことを目的としています。
業務内容
日本政策金融公庫は、主に融資業務を行う金融機関です。銀行とは異なり、口座を開設できないため、日本政策金融公庫から融資を受ける際には民間金融機関の口座が必要になります。
一方、銀行は融資業務に加え、預金業務や決済業務等、幅広い金融サービスを提供しています。銀行サービスを利用する際の基本となるのが口座です。口座を開設することで、借り入れや決済等のサービスをスムーズに利用できるようになります。
日本政策金融公庫と銀行の使い分け
日本政策金融公庫は創業時の融資に対応しています。
これから起業する方や、事業開始後2期分の税務申告を終えていない事業者向けの融資制度もあり、通常より低い金利で利用できます。
起業時や創業間もない時期に資金が不足する場合は、日本政策金融公庫への相談も有効な選択肢の一つです。
関連記事:「創業融資とは?種類ごとの概要とメリット・デメリットを解説」
日本政策金融公庫を利用するメリットとデメリット
日本政策金融公庫を利用する前に、メリットとデメリットを理解しておくことは大切です。ここでは、一般的に挙げられるメリットとデメリットを紹介します。
メリット
日本政策金融公庫のメリットとして、起業時や創業後2期を終えていない事業者でも利用しやすい「創業融資」が挙げられます。創業融資の特徴は以下のとおりです。
創業融資の特徴
- 原則として無担保・無保証人の制度が標準化されている
- 金利の引き下げが適用される
- 他の融資よりも返済期間が長い
創業融資は原則として金利が0.65%*引き下げられます。創業融資を活用して雇用の拡大を図る場合は、引下幅は0.9%*になります。
返済期間が長めに設定されているのも創業融資の特徴です。日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」を利用する場合、返済期間は設備資金で20年以内*、運転資金で10年以内*です。
また、設備資金・運転資金ともに5年以内*の据置期間を設定できるため、返済開始時期に余裕を持たせやすい点も特徴です。
- *2026年5月16日時点の情報です。
デメリット
日本政策金融公庫を利用するデメリットとしては、支店が少ない点が挙げられます。1~2ヵ所しか支店がない都道府県もあり、事業所や居住地域によっては相談しにくいと感じる場合があるかもしれません。
また、日本政策金融公庫では申し込みから融資実行までに一定の期間を要します。制度や申込状況によって異なりますが、審査結果が出るまでに2〜3週間程度かかるケースが一般的です。
急ぎで資金が必要な場合は、融資実行までの期間を考慮して資金調達計画を立てることが重要です。
日本政策金融公庫に関するよくある質問
日本政策金融公庫に関するよくある質問と、その回答を紹介します。借入先を検討する際の参考にしてください。
日本政策金融公庫では資金以外の相談もできる?
日本政策金融公庫では、融資に関する相談だけでなく、経営課題の解決支援等のサポートも行っています。例えば、後継者を探したい、事業を譲り受けたい、介護や子育て支援等のソーシャルビジネスを始めたいといった課題がある場合は、日本政策金融公庫に相談できる可能性があります。
なお、銀行でも、財務コンサルティングやイノベーション企業支援等の相談業務を行っていることがあります。ビジネス関連の課題がある場合は、取引のある銀行に相談してみてはいかがでしょうか。
相談から申し込み、融資までをすべてオンラインで完結できる?
日本政策金融公庫では、相談や申し込み、契約等の手続きにオンラインで対応しており、「国の教育ローン」のように要件が定型化されている個人向け融資であれば、オンラインで完結できます。
ただし、中小企業や個人事業主向けの事業融資(特に創業時や初回融資時)では、審査の過程で担当者との面談が原則として求められます。そのため、申し込みや書類提出自体はオンラインで行えても、担当者との面談等の直接のやり取りが必要となります。
事業を始める際にはみずほ銀行の法人口座開設がおすすめ
事業が始まると取引や資金管理のために口座が必要になります。また、融資実行時の振込先や返済口座として、民間金融機関の口座が必須です。
みずほ銀行の法人口座は、休日・夜間でもお申し込みいただけるほか、原則来店不要で開設手続が完結します。
また、「みずほビジネスWEB」や年会費無料の法人カード「みずほビジネスデビット」等、資金管理を効率化できるサービスを提供している点も、みずほ銀行の特徴です。さらに、創業期から利用できる多彩な経営サポートも用意しています。
法人口座の開設はぜひみずほ銀行をご検討ください。
まとめ
創業時にはさまざまな手続きや業務が必要となります。資金調達もその一つです。借入先として日本政策金融公庫を検討する場合もあるでしょう。
日本政策金融公庫は創業時の融資に注力しており、金利の引き下げや長期の返済期間が適用されるほか、原則として担保不要・保証人不要で借入できる点が特徴です。
ただし、融資金の受け取りや返済のために、民間金融機関で口座を開設する必要があります。
また、創業時以外にも、ビジネスを継続するには取引や資金管理のための銀行口座が必要です。信頼性の高い金融機関で法人口座を開設することは、円滑な事業運営において重要な要素といえるでしょう。
<最短即日>来店不要で休日・夜間も受付中!
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監修者
安田 亮(やすだ りょう)
- 公認会計士
- 税理士
- 1級FP技能士
1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。